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悪性リンパ腫

悪性リンパ腫 治療

1.病期と治療の選択

1)病期

治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。
ローマ数字が使われ、悪性リンパ腫ではⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の4つに分類されます(表2)。進行の程度によって治療法や予後が変わってくるため、検査結果を用いて病期を正確に把握することがとても重要です。

表2 悪性リンパ腫の病期分類
Ⅰ期 リンパ腫がリンパ節またはリンパ組織の1カ所に限られている状態。もしくは、リンパ外臓器にリンパ腫がある場合でも1カ所に限られている状態
Ⅱ期 リンパ腫が2カ所以上のリンパ節にあるが、横隔膜を境にして上半身か下半身のどちらかに限られている状態。または、リンパ外臓器に1カ所とリンパ節にも1カ所以上あるが、横隔膜を境にして上半身か下半身のどちらかに限られている状態
Ⅲ期 リンパ腫が2カ所以上のリンパ節に、横隔膜を境にして上半身と下半身の両側にある状態
Ⅳ期 リンパ腫がリンパ外臓器にも広範に広がっている状態

AおよびB分類(症状)
それぞれの病期は以下の全身症状の有無によって、A(症状なし)またはB(症状あり)のいずれかに分類される。

  1. ① 発熱:38℃より高い理由不明の発熱
  2. ② 寝汗:寝具(掛け布団、シーツなど)を変えなければならないほどのずぶ濡れになる汗
  3. ③ 体重減少:診断前の6カ月以内に通常体重の10%を超す原因不明の体重減少
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)より作成

2)予後因子

これまでの治療成績より治療効果についてのさまざまな条件が明らかになっています。これらの条件を予後因子と呼び、年齢、血清LDH、ヘモグロビン値、PS(パフォーマンスステータス)、病期、節外病変数などから評価します。予後因子が少ないほど、治療効果や予後がよいとされており、これらの項目の数が少ないほうから、「低リスク」「中間リスク」「高リスク」に分類されます。「高リスク」の患者さんには、特に注意しながら治療を行います。

3)治療の選択

治療方針は、適切な病理診断と病期分類に基づき、全身状態を考慮して決定されます。主な治療法は化学療法と放射線治療です。治療効果が十分でない場合は、さらに強い化学療法や造血幹細胞移植などが行われます。

治療法は、病型や病期と全身状態を考慮して決定されます。図3と図4は、悪性リンパ腫の病期と治療の関係を大まかに示したものです。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の中で、わが国で多くみられる9つの病型(濾胞性リンパ腫/MALTリンパ腫/リンパ形質細胞性リンパ腫/マントル細胞リンパ腫/びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/バーキットリンパ腫/末梢性T細胞リンパ腫/節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型/皮膚のリンパ腫)については、それぞれのページでさらに詳しい解説を掲載しています。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。

(1)ホジキンリンパ腫

限局期と進行期で治療方法が異なります(図3)。

図3 ホジキンリンパ腫の治療
図3 ホジキンリンパ腫の治療の図

(2)非ホジキンリンパ腫

病型と病期によって治療方法が異なります(図4)。

図4 非ホジキンリンパ腫の治療
図4 非ホジキンリンパ腫の治療の図

2.薬物療法

中心的な治療は薬物療法です。細胞障害性抗がん剤(抗がん剤)や分子標的薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくすることを目的として行います。薬剤は全身に行き渡るため、腫瘤のある部分だけではなく、別の部分に発生した検査ではわからないような小さな病変にも効果があります。

1)化学療法

抗がん剤には、たくさんの種類があり、悪性リンパ腫の病型によって通常4~5種類の抗がん剤を組み合わせる多剤併用療法が行われます。入院や外来治療で、通常3~4週間を1コースとし数コース行います。

化学療法の副作用について

抗がん剤治療の目的は、がん化してふえたがん細胞を減らすことですが、正常な血液細胞もダメージを受けて、一時的に減少します。一般的な副作用は、骨髄抑制や吐き気、嘔吐、下痢 、口内炎 、脱毛、発熱などです。予測される副作用に対して対策を立てて治療を行います。

2)分子標的療法

分子標的薬はがん細胞に特徴的な分子を標的とした薬剤です。従来の抗がん剤と組み合わせて投与することもあります。

代表的な分子標的薬は、B細胞の表面にある「CD20」という分子を標的とするリツキシマブです。リツキシマブはCD20に結合することで、直接的に腫瘍細胞を破壊するだけでなく、腫瘍細胞を標識することで免疫細胞の働きを借りて腫瘍細胞を破壊します。CD20は、B細胞に由来するリンパ腫細胞の表面に存在するため「CD20陽性のB細胞非ホジキンリンパ腫」の治療に使用されます。

分子標的薬の副作用について

分子標的薬は、従来の抗がん剤に比べて吐き気や脱毛などの副作用は少ないとされていますが、リツキシマブの場合、投与して間もなくアレルギー症状のような副作用のインフュージョンリアクションが起こることがあります。また肺障害や心臓障害にも注意が必要です。

3.放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線を体の外から照射して、がん細胞を破壊し損傷させて、がんを消滅させたり小さくする効果があります。病巣が1カ所で小さい場合(Ⅰ期)や早期のリンパ腫(Ⅰ期または隣接するⅡ期)などに単独で行ったり、短期間の化学療法と併用して行うことがあります。

放射線治療の副作用について

主に放射線が照射された部位に皮膚炎や粘膜炎などが起こります。全身症状としてはだるさ、吐き気、嘔吐おうと、食欲低下、白血球減少などがあります。いずれも個人によって程度が異なり、症状が強い場合は症状を和らげる治療をしますが、通常は治療後2~4週くらいで改善します。

4.造血幹細胞移植

造血幹細胞移植とは、大量の化学療法や全身への放射線治療などを行った後に、骨髄機能を回復させるため事前に採取した造血幹細胞を投与する治療です。標準的な化学療法や放射線治療を行っても再発する可能性が高い場合、また再発した場合などに行われます。

5.無治療経過観察

悪性リンパ腫の中でゆっくりと進行する病型の場合、何年間も症状がない状態で経過することがあります。このような場合は治療を行う利点がないこともあり、定期的な診察や画像検査を継続し、腫瘍が増大したり何らかの症状が出たりした時点から治療を行います。

6.治療効果の判定

治療効果を判定するためには、通常CT検査を行います。PET検査も有効なため積極的に行われています。リンパ節の腫瘤は、がん細胞が消失しても形が残ることがあるため、治療前のPET検査で異常があったものが治療後消失していれば、形態上やCT検査での腫瘍の大きさに関わらず、完全奏効(がん細胞が認められなくなる)と判断されます。

7.緩和ケア

緩和ケアとは、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法です。緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。患者さんのニーズに応じて幅広い対応をします。患者さん本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えるようにしましょう。

8.再発

再発とは治療によって検査上がんが認められなくなった後、再びがんが出現することをいいます。治療後は、定期的に通院して経過をみることが大切です。

悪性リンパ腫の再発の場合、前回とは違った病型になっている可能性があるため、再発してできた腫瘍の生検を再び行います。その結果によって、前回と同じ化学療法あるいは前回とは異なる化学療法を行い、奏効を目指します。65歳以下で可能であれば、造血幹細胞移植を行うこともあります。治療効果が得られない場合は、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持しながら病気と付き合っていくことを目指した治療を行うことになります。

更新・確認日:2017年09月13日 [ 履歴 ]
履歴
2017年09月13日 がんの冊子「悪性リンパ腫」2017年第3版の内容を反映するとともに、4タブ形式に変更しました。
2017年08月14日 1.化学療法(抗がん剤治療)に関連情報「クリニカルパス」を掲載しました。
2015年11月26日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」より内容を更新しました。
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