膀胱がん(ぼうこうがん)
更新・確認日:2016年01月08日 [
履歴 ]
履歴
2016年01月08日 |
タブ形式への移行と、「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版)」「膀胱癌診療ガイドライン2015年版」より、内容の更新をしました。 |
2006年10月01日 |
更新しました。 |
1996年09月20日 |
掲載しました。 |
1.転移
転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れで運ばれてほかの臓器に移動し、そこで増えたものをいいます。がんは検査では認められなくても、治療の時点ですでにほかの臓器に移動している可能性があり、時間がたってから転移として見つかる場合があります。膀胱がんの転移は、
リンパ節、肝、肺、骨、副腎、脳に多くみられます。転移が確認された場合には全身抗がん剤治療や放射線治療の適応となります。
転移を検出する方法としては、主にCT検査や骨シンチグラフィが用いられています。
転移はそれぞれの患者さんによって状態が異なるため、症状や体調あるいは希望に応じて治療やケアの方針を決めていきます。
2.再発
再発とは、治療により目に見える大きさのがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。膀胱がんでは内視鏡切除を実施した場合に起こる膀胱内再発と、膀胱を摘出したにも関わらずがん細胞が残存したため、膀胱を摘出した部位にがんが認められる局所再発があります。さらに膀胱がんの治療を行ったあとに腎盂や尿管といった部位に腫瘍が発生する上部尿路再発があります。同じ再発といっても病態は異なっています。
筋層非浸潤性がんは、膀胱内に何度も再発することが特徴です。初期治療後に再発のリスクが高いと判断された場合にはもう一度TURBT(2nd TURBT)を行いますが、再発した場合には、膀胱内注入療法(抗がん剤またはBCG)、場合によっては膀胱全摘除術が実施されます。膀胱を摘出したあとの局所再発は、全身抗がん剤治療や放射線治療などが実施されます。再発はそれぞれの患者さんによって状態が異なるため、症状や体調あるいは希望に応じて治療やケアの方針を決めていきます。
3.生活の質を重視した治療
近年、がんと診断されたときから、
クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の改善を目的として、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族が自分らしく過ごしたりするための
緩和ケアが浸透し始めています。
緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くするため、また、自分らしい生活を送ることができるように、緩和ケアでは医学的な側面に限らず、幅広い対応をします。
そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことなど、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。
緩和ケアについては、「
緩和ケア」もご参照ください。
再発や転移、痛みが強いときの治療については、「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」の以下の項もご参照ください。
がんの再発に対する不安や、再発に直面したときの支えとなる情報をまとめた冊子です。がんの再発という事態に直面しても、「希望を持って生きる」助けとなりたいという願いを込めて、再発がんの体験者、がん専門医らとともに検討を重ねて作成されたものです。 |
 |
【参考文献】
- 日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編:腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版);金原出版
- 日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2015年版;医学図書出版
閉じる
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。