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GIST(じすと)

更新・確認日:2018年07月09日 [ 履歴 ]
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2018年07月09日 「5.発生要因」「6.予防と検診」を追加しました。
2015年03月16日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.消化管について

消化管は、口から入り、咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門へ続き、さまざまな付属器官を伴っています。この管となった臓器の構造は、パイプ状ですが、必要に応じて太くなったり細くなったり、ところどころにくびれもあります。また、それぞれの部分で消化吸収の役割分担が決まっています。

この管を構成する壁の構造が、内側から粘膜(ねんまく)上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜という複数でできています。
図1 消化管の構造とGISTの発生する場所(胃の場合)
図1 消化管の構造とGISTの発生する場所(胃の場合)の図

2.GIST(消化管間質腫瘍)とは

GIST(ジスト)は、消化管間質腫瘍を示す英語Gastrointestinal Stromal Tumorの略称です。GISTは、胃や小腸(大腸、食道はまれ)など、消化管の壁にできる転移再発を起こす悪性腫瘍の一種(肉腫)で、粘膜から発生する胃がんや大腸がんとは異なる性質を示します。

GISTは、粘膜の下に腫瘤(しゅりゅう:こぶ、かたまり)状の病変を形成する粘膜下腫瘍の1つです。消化管壁の筋肉の間にある神経叢(しんけいそう)に局在する「カハールの介在細胞(Interstitial Cells of Cajal)」に分化する細胞から発生します。「カハールの介在細胞」自体は、広く消化管に分布し、消化管運動のリズムをつくったり、調節したりする大切な細胞です。
【腫瘍の発生について、さらに詳しく】
「カハールの介在細胞」に分化する細胞において、受容体型チロシンキナーゼを構成するタンパクのうち、c-kitまたはPDGFRα(Platelet-derived Growth Factor Receptor α:血小板由来増殖因子受容体α)の遺伝子が、機能獲得型の突然変異をすることで異常増殖の信号を出し続け、その結果、腫瘍を形成すると考えられています。
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【粘膜下腫瘍について】
胃の粘膜下腫瘍には、GIST以外に、平滑筋腫瘍や神経系腫瘍などの間葉系腫瘍、粘膜下腫瘍の形態をとる上皮性腫瘍(癌、カルチノイド、転移性腫瘍)、リンパ腫、のう胞(袋状の腫瘍)、線維腫、異所性膵、消化管のう腫、血管性腫瘍、脂肪腫、顆粒細胞腫、好酸球性肉芽腫など非常に多くのものがあります。それぞれ、治療方針が違うため、詳細に調べる必要があり、さまざまな画像検査や病理検査・病理診断などを組み合わせることによって検査が行われます。
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3.症状

病変が大きくなっても自覚症状が少ない腫瘍ですが、腹痛や腫瘍からの出血による下血、貧血などの症状があらわれることがあります。切除することが可能な場合は、手術を行います。完全切除できたと思われる場合でも、手術を行った後に肝臓や腹膜への転移を起こすことがあります。

4.疫学・統計

病院で治療されるGISTの発生頻度は、10万人に1~2人と少なく、希少がんの1つに位置付けられます。
日本では、発生部位として胃の割合が70%と高く、次いで小腸20%、大腸および食道が5%となっています。

5.発生要因

GISTが発生する要因として、細胞の増殖に関わるたんぱく質の異常があります。主にKITまたはPDGFRΑと呼ばれるたんぱく質が関わっており、これらのたんぱく質の異常はそれぞれc-KIT遺伝子、PDGFRΑ遺伝子の突然変異によって発生します。

6.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、GISTについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わったあとの検査は、ここで言う検診とは違います。
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編:GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版);金原出版
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更新・確認日:2012年10月26日 [ 履歴 ]
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2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.腫瘍の診療の流れ

この図は、腫瘍の「受診」から「経過観察」への流れです。大まかでも、流れがみえると心にゆとりが生まれます。ゆとりは、医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう。あなたらしく過ごすためにお役立てください。

腫瘍の疑い

  「体調がおかしいな」と思ったまま、放っておかないでください。なるべく受診しましょう。
   

受診

  受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。
   

検査・診断

  検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。
   

治療法の
選択

  腫瘍や体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。
   

治療

  治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。
   

経過観察

  治療後の体調の変化や腫瘍の再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

2.受診と相談の勧め

腫瘍という病気は、患者さんごとに症状のあらわれ方が異なります。また、症状がなく検診で腫瘍の疑いがあると言われることもあります。何か気にかかる症状があるときや、詳しい検査が必要と言われたときには、医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご自身で判断したり、何か見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、問題がないことを確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

がん診療連携拠点病院がん相談支援センターでは、がん・腫瘍について知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしていますので、お気軽に訪ねてみてください。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談できます。対面だけでなく、電話などでも相談することができますので、わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

詳しくは、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」をご覧ください。

お近くのがん相談支援センターは「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。

3.腫瘍と言われたとき

腫瘍という診断は誰にとってもよい知らせではありません。ひどくショックを受けて、「何かの間違いではないか」「何で自分が」などと考えるのは自然な感情です。

病気がどのくらい進んでいるのか、果たして治るのか、治療費はどれくらいかかるのか、家族に負担や心配をかけたくない…、人それぞれ悩みは尽きません。気持ちが落ち込んでしまうのも当然です。しかし、あまり思い詰めてしまっては、心にも体にもよくありません。

この一大事を乗りきるためには、腫瘍と向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく必要があります。そこで、まずは次の2つを心がけてみませんか。

1)情報を集めましょう

まず、自分の病気についてよく知ることです。担当医は最大の情報源です。担当医と話すときには、あなたが信頼する人にも同席してもらうといいでしょう。わからないことは遠慮なく質問してください。また、あなたが集めた情報が正しいかどうかを、あなたの担当医に確認することも大切です。

「知識は力なり」。正しい知識は、あなたの考えをまとめるときに役に立ちます。

2)病気に対する心構えを決めましょう

大きな病気になると、積極的に治療に向き合う人、治るという固い信念を持って臨む人、なるようにしかならないと受け止める人などいろいろです。どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。そのためには、あなたが自分の病気のことをよく知っていることが大切です。病状や治療方針、今後の見通しなどについて担当医からよく説明を受け、いつでも率直に話し合い、その都度十分に納得した上で、病気に向き合うことに尽きるでしょう。

情報不足は、不安と悲観的な想像を生み出すばかりです。あなたが自分の病状について理解した上で治療に取り組みたいと考えていることを、担当医や家族に伝えるようにしましょう。

お互いが率直に話し合うことが、お互いの信頼関係を強いものにし、しっかりと支え合うことにつながります。
更新・確認日:2015年03月16日 [ 履歴 ]
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2015年03月16日 「1.検査 3)病理検査・病理診断」「2.病期(ステージ)と転移リスク分類」を更新しました。
2014年10月10日 「表2 GISTのリスク分類 2(Miettinenの分類)」を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.検査

自覚症状は少ないのですが、下血や貧血、また腹部に腫瘤(腫れ)を触れることで発見されることもあります。出血のため貧血を認めることがあるので血液検査を行って確認します。内視鏡検査などで粘膜下腫瘍を指摘されることがきっかけで発見されることもあります。

1)胃X線検査(バリウム検査)

バリウムをのんで、X線で胃の形、壁の形状(しわ・ひだ)、粘膜の状態を観察することで、病変の有無を調べます。途中で発泡剤をのんで胃をふくらませます。
胃X線検査で胃の粘膜下腫瘤を発見することができますが、GISTであると診断することはできません。

2)内視鏡検査

内視鏡で胃や大腸の内部を直接見て、腫瘍が疑われる場所の状態を調べる検査です。胃がんなどと異なり、筋肉の層から発生する腫瘍であるため、表面の組織の一部を採取して細胞の性質を詳しく調べる病理検査を行っても、腫瘍の組織が採取できず正しい診断ができない場合も少なくありません。

施設によっては、超音波を発するプローブ(探触子[たんしょくし])を使って、腫瘍内部の構造を調べる超音波内視鏡検査を行うこと、さらに超音波内視鏡下における穿刺(せんし)生検(EUS-FNAB)を行うことで診断が可能な場合があります。大きさ、潰瘍形成や辺縁不整の所見の有無も重要となります。超音波内視鏡では、分類が不得意なものもありますが、消化管の壁構造のどの層から発生しているのかよくわかるので重要な検査となります。GISTは、固有筋層に形づくられている低エコー腫瘤の一種として認められます。悪性度の判断として、不均一な内部エコー、辺縁不整の所見にも注意を払う必要があります。
内視鏡検査の図

3)病理検査・病理診断

内視鏡検査や超音波内視鏡検査を行ったとき、あるいは手術で腫瘍を切除したときに細胞や組織を採取します。これを顕微鏡で詳しく観察することで、腫瘍の性質を調べる検査を病理検査といい、専門の病理医によってなされます(病理診断)。GISTの病理診断は、細胞や組織の形態や、KITという特徴的なタンパク質の有無などを調べることでなされます。

また、病理診断では、悪性度(組織標本上の単位視野あたりの核分裂像数[Mitotic Index])を調べることで、治療効果の予測や再発の危険性(再発リスク)の評価などがなされます。核分裂像数が大きいほど、腫瘍細胞の増殖が速い=悪性度が高いと判断されます。

保険適応のあるc-kit遺伝子変異検査により、治療効果の予測や再発リスクに極めて有用な情報(例:エクソン11変異は分子標的薬のイマチニブが効きやすい、術後の再発リスクが高いなど)を得ることができるため、実施することが推奨されます。

KIT陽性であればGISTと診断されますが、KIT陰性の場合でもDOG1あるいはCD34は陽性、もしくは、KIT、DOG1、CD34、desmin、s-100タンパクのすべてが陰性の腫瘍では、遺伝子解析が有用となります。また、c-kit、PDGFRα遺伝子の突然変異検索を行うことが、分子標的治療に対する反応性や耐性を評価することに役立ちます。

4)CT検査、MRI検査

CTはX線を、MRIは磁気を使った検査です。このCTやMRIによって体の内部を描き出し、腫瘍の位置と広がりを調べます。また、粘膜下腫瘍として捉えられたGISTの全体像をみるのに、マルチCTを用いた検査は、極めて有用な検査です。腫瘍の形態や性状、血管との関係もよくわかります。空気や水を注入しふくらませた消化管の多方向の断面の画像も重要視されています。MRIは、壊死部やのう胞部を検出するのに優れています。また、経過観察時には、肝転移や播種(はしゅ)の診断にはCTは必須検査とされています。

CTではヨード造影剤を用いますので、ヨードアレルギーのある人は医師に申し出てください。MRIではガドリニウムという造影剤が用いられますが、ぜんそくやアレルギー体質の人は副作用が起きる可能性が高くなりますので、医師に申し出てください。

2.病期(ステージ)と転移リスク分類

病期とは、腫瘍の進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてStage(ステージ)という言葉が使われることがあります。病期にはローマ数字が使われ、I期、II、III、IVに分類されています。
【病期について、さらに詳しく】
GISTの病期はI期(IA、IB)、II期、III期(IIIA、IIIB)、IV期に分類されます。胃や小腸など、発生する場所によって分類方法は異なりますが、腫瘍の大きさ、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかによって判断されます。
表1 胃GISTのステージ分類
  核分裂像数(個)
5個以下 5個を超える



(cm)
2cm以下 IA II
2cmを越え5cm以下 IA II
5cmを越え10cm以下 IB IIIA
10cmを越える II IIIB
腫瘍の大きさに関係なく
リンパ節転移がある
IV IV
腫瘍の大きさに関係なく
遠隔転移がある
IV IV
※ 核分裂像数の評価は強拡大(対物40倍)50視野(5mm2)で行う。UICC-TNM 7th ed、2009を改変
表2 小腸GISTのステージ分類
  核分裂像数(個)
5個以下 5個を超える



(cm)
2cm以下 I IIIA
2cmを越え5cm以下 I IIIB
5cmを越え10cm以下 II IIIB
10cmを越える IIIA IIIB
腫瘍の大きさに関係なく
リンパ節転移がある
IV IV
腫瘍の大きさに関係なく
遠隔転移がある
IV IV
※ 核分裂像数の評価は強拡大(対物40倍)50視野(5mm2)で行う。
注)小腸GISTのステージ分類は、食道、結腸、直腸、腸間膜などのまれな部位のGISTにも適用される。
UICC-TNM 7th ed、2009を改変
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GISTの場合は、転移リスクを考慮した分類が重要とされています。転移リスクは、病変の大きさと病理診断でわかる腫瘍細胞の性質(細胞が活発にふえているかどうか、など)から、評価されます。

GISTでは腫瘍の発生部位によって予後が異なることが報告されていることから、分類として、腫瘍径および核分裂像数とともに発生部位を考慮に入れたMiettinen分類(表3)が再発リスクを推定する基準として用いられています。

さらに、最近では、再発高リスク群のみを他のリスク群から効果的に選択する分類法として、Joensuu分類(表4)が有用であると報告されています。

これらの転移リスク評価によって、治療方針が検討されることになります。
表3 GISTのリスク分類 1(Miettinenの分類)
核分裂像数
(強拡大50視野あたり)
大きさ 小腸 大腸
空腸・回腸 十二指腸
5以下 2cm以下
2cm超 5cm以下 超低
5cm超 10cm以下 データ
不十分
データ
不十分
10cmを超える
5を超える 2cm以下
2cm超 5cm以下
5cm超 10cm以下 データ
不十分
データ
不十分
10cmを超える
Miettinen M et al: Semin Diagn Pathol 23: 70-83, 2006 より一部改変
表4 GISTのリスク分類 2(Modified Fletcher(いわゆるJoensuu)分類)
リスク分類 大きさ 核分裂像数
(強拡大50視野あたり)
原発部位
超低リスク 2cm以下 5以下 -
低リスク 2cm超 5cm以下 5以下 -
中リスク 5cm以下 6から10以下
5cm超 10cm以下 5以下
高リスク - - 腫瘍破裂あり
10cmを超える - -
- 10を超える
5cmを超える 5を超える
5cm以下 5を超える 胃以外
5cm超 10cm以下 5以下
Joensuu H: Hum Pathol 39:1411-1419, 2008 / Rutkowski P et al: Eur J Surg Oncol 37: 890-896, 2011より一部改変
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編:GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版);金原出版
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更新・確認日:2015年03月16日 [ 履歴 ]
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2015年03月16日 「図2 GISTの治療の流れ」「図3 胃粘膜下腫瘍(SMT)」の治療方針を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.臨床病期と治療

GISTの治療は、病期転移のリスク評価に基づいて決まります。次に示すものは、GISTの治療の流れを大まかに示した図です。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。

『GIST診療ガイドライン』もご参照ください。
図2 GISTの治療の流れ
図2 GISTの治療の流れの図
日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編
「GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版)」(金原出版)より作成
【胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針について詳しく】
GISTは、粘膜下腫瘍の1つのため、粘膜下腫瘍全体の治療法の概要についても示します。
図3 胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針
図3 胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針の図
日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編
「GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版)」(金原出版)より作成
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2.自分に合った治療法を考える

治療方法は、すべて担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいというわけではなく、患者さん自身が満足できる方法が一番です。

まずは、病状を詳しく把握しましょう。わからないことは、担当医に何でも質問してみましょう。診断を聞くときには、病期(ステージ)を確認しましょう。治療法は、病期によって異なります。医療者とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認してください。

診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。最初にかかった担当医に何でも相談でき、治療方針に納得できれば言うことはありません。

担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。そのときは、担当医に話してみましょう。多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解していますので、快く資料をつくってくれるはずです。
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編:GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版);金原出版
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更新・確認日:2015年03月16日 [ 履歴 ]
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2015年03月16日 「1.手術(外科治療)」「2.薬物療法(抗がん剤治療)」を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.手術(外科治療)

初発のGISTでは、すべての病期において、手術(外科治療)がまず検討されます。遠隔転移腫瘍が最初にできた部位から遠く離れた部位にたどり着き、そこでふえること)がなければ、腫瘍を周囲の組織を含めて完全に取りきるように切除します。
GISTは周囲の組織を徐々に圧排しながら大きくなります。しかし、がん細胞が周囲の組織に浸潤しやすい胃がんや大腸がんと比べ、GISTの腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤する傾向は少なく、リンパ節への転移も非常にまれです。そのため、GISTの手術では、できるだけGISTができた臓器を残し、かつ、その機能を損ねないために、腫瘍から必要最低限の距離(一般には1cm程度)を確保した上で部分切除を行うことが多くあります。最近では、胃や小腸の5cm以下のより小さいGISTであれば、体に優しく、術後の回復が早いといわれる腹腔鏡下手術を行うことがあります。
手術後、切除した組織について、顕微鏡検査(病理検査・病理診断)を行い、腫瘍がGISTであったか、転移があったかなどをまず確認します。
GISTの場合は、以下を確認することが重要になります。

(1)大きさは何cm(腫瘍径)だったか
(2)悪性度(核分裂像数)はどの程度であったか
(3)腫瘍ができた場所はどこか(食道、胃、小腸、大腸、その他)
(4)腫瘍が破れて外にGIST細胞がこぼれていなかったか(腫瘍破裂)

これらの結果を考慮し、再発のリスクが高いと考えられた場合(高リスクと判定された場合や腫瘍破裂がある場合)には、肉眼的には腫瘍が完全に取り切れた場合でも、再発を予防する目的でイマチニブでの薬物療法を行います。

2.薬物療法(抗がん剤治療)

切除ができない場合や再発のリスクが高いと判断される場合は、分子標的薬を用いた薬物療法を行います。分子標的薬であるイマチニブは、延命効果が高いことが臨床試験の結果として報告され、手術不能な患者さん、または再発した患者さんの第一選択薬となっています。また、再発高リスク群の患者さんを対象とした手術後の補助療法の臨床試験結果から、術後に3年内服した場合に無再発生存期間および生存期間が延長するということがわかりました。そのため、高リスク群および腫瘍破裂が認められる患者さんには、術後3年間のイマチニブによる薬物療法が推奨されています。
再発した場合、あるいは初診時に転移がある場合や腫瘍が進行して手術ができないGISTに関しては、イマチニブを用いた薬物療法が行われます。

また、イマチニブの効果が得られない患者さん、あるいは長期使用により耐性(治療による効果が弱まること)ができた場合には、同じく分子標的薬であるスニチニブが推奨されています。
さらに、スニチニブの耐性によって効果が得られなくなった場合には、レゴラフェニブの投与が推奨されています。

分子標的薬を用いた薬物療法においては、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、浮腫、発疹、筋肉痛、皮膚の変色(黄色になる)や手のひら、足の裏の発赤・腫れ・痛み、血圧上昇などが起こることがありますが、症状を和らげる薬を用いたり、減量して投与をすることにより多くの患者さんでは治療を継続することが可能です。また、白血球減少血小板減少貧血などが起こることもありますが、同様に注意して行います。そして、これらのほとんどが一時的なもので、治療を終了すると順次改善していきます。

3.その他の治療

GISTに対する放射線治療については、骨転移などで痛みを和らげたり取り除いたりする効果はありますが、腫瘍の進行を遅らせる効果は認められていません。イマチニブなどの内服中に、一部の腫瘍のみが増悪した肝臓への転移に対してラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法などが行われることがあります。
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編「GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版)」(金原出版)
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更新・確認日:2012年10月26日 [ 履歴 ]
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2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.経過観察

治療を行った後の体調確認、治療効果の評価や再発の有無を調べるために定期的な通院が必要です。再発や転移の危険度が高いほど頻繁に通院することになります。主に、CT検査を行い、状況により超音波(エコー)検査やMRI検査を加えながら、定期的に再発の有無を確認します。
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編:GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版);金原出版
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更新・確認日:2012年10月26日 [ 履歴 ]
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2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年10月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2012年10月02日 掲載しました。

1.転移

転移とは、腫瘍細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。また、腫瘍を手術で全部切除できたようにみえても、その時点ですでに腫瘍細胞が別の臓器に移動している可能性があり、手術した時点では見つけられなくても、時間がたってから転移として見つかることがあります。

粘膜から発生する胃がんの場合、リンパ節転移が多く、早期のがんでも起こることがあります。一方、GISTにおける転移は主に血液の流れを介する転移(血行性[けっこうせい]転移)であり、肝臓、次いで腹膜に多くみられます。しかし、リンパ節への転移の頻度は低いことが特徴です。

2.再発

再発とは、治療により目に見える大きさの腫瘍がなくなった後、再び腫瘍が出現することをいいます。

手術を行った場所のすぐ近くで再発が認められる場合と、肝臓や肺、骨などへ転移した状態で再発が認められる場合があります。再度手術できる場合もありますが、それほど多くはありません。切除できない場合には薬物療法による治療が行われるのが一般的です。

再発といってもそれぞれの患者さんでの状態は異なります。転移が生じている場合には治療方法も総合的に判断する必要があります。それぞれの患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。
再発や転移、痛みが強いときの治療については、「患者必携がんになったら手にとるガイド」の以下の項もご参照ください。
がんの再発や転移のことを知る患者必携サイトへのリンク
緩和ケアについて理解する患者必携サイトへのリンク
痛みを我慢しない患者必携サイトへのリンク
【参考文献】
  1. 日本癌治療学会・日本胃癌学会・GIST研究会編:GIST診療ガイドライン 2014年4月改訂(第3版);金原出版
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がんの再発に対する不安や、再発に直面したときの支えとなる情報をまとめた冊子です。がんの再発という事態に直面しても、「希望を持って生きる」助けとなりたいという願いを込めて、再発がんの体験者、がん専門医らとともに検討を重ねて作成されたものです。
(Webサイトでもご覧になれます。「もしも、がんが再発したら [患者必携]本人と家族に伝えたいこと患者必携サイトへのリンク
もしも、がんが再発したら 冊子画像