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悪性黒色腫(皮膚)(あくせいこくしょくしゅ(ひふ))

更新・確認日:2017年07月24日 [ 履歴 ]
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2017年07月24日 「5.統計」を更新しました。4タブ形式に変更しました。
2016年03月24日 タブ形式への移行と、「皮膚悪性腫瘍取扱い規約 第2版(2010年)」「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版(2015年)」より、内容の更新をしました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年04月02日 掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については「治療にあたって」をご参照ください。

1.皮膚について

皮膚は表面に近い部分から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3つの部分に大きく分かれます(図1)。表皮はさらに表面側から順に、角質層、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4層に分けられます。表皮最下層である基底層は真皮と接しています。真皮には、血管、神経、毛嚢(もうのう)、脂腺、汗腺、立毛筋などの組織があります。
図1 皮膚の構造
図1 皮膚の構造の図
図2 表皮の構造と細胞
図2 表皮の構造と細胞の図

2.悪性黒色腫とは

皮膚がん(皮膚悪性腫瘍)は、このような皮膚を構成する細胞から発生するがんのことで、発生した場所やがん細胞の種類によって区分されます。

悪性黒色腫は皮膚がんの1つで、単に黒色腫またはメラノーマと呼ばれることもあります。皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞で、表皮の基底層に分布しているメラノサイト(図2)、あるいは母斑細胞(ぼはんさいぼう:ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられます。

3.症状

メラノサイトと呼ばれる色素をつくる細胞またはほくろの細胞(母斑細胞)が悪性化し、悪性黒色腫になる一歩手前の状態が存在し、悪性黒色腫前駆症と呼ばれています。この前駆症の状態ないしは早期の悪性黒色腫の状態で発見することが最も重要です。

皮膚は身体の表面にありますので、注意すれば自分もしくは家族により悪性黒色腫を早期に発見することが可能です。しかしながら、早期の場合には、普通のほくろと悪性黒色腫を区別することは非常に難しいのが実情です。そのため、少しでもおかしいと思われるほくろがあった場合は、自己判断せずに、まず皮膚科専門医を受診することが、早期発見、早期治療につながります。

悪性黒色腫の早期症状として、下記に示すABCDEの5つの特徴があるといわれています(表1)。この5つのポイントを示す場合、悪性黒色腫の可能性が高くなります。
表1 悪性黒色腫の早期の症状
symmetry 非対称性 形が左右非対称
order 輪郭がギザギザしている 皮膚とほくろの輪郭がギザギザして不整/色のにじみ出しがある
olor 色むら 色調が均一でない/色むらがある
iameter 大きさ 長径が6mm以上
volving 変化がある 大きさが拡大する、色・形・症状が変化してくる
このほか、比較的短期間(約1~2年以内)に次のような変化があれば、要注意です。

1)色の変化

一般に薄い褐色が濃い黒色に変化する場合が多くあります。また、色調に濃淡が生じて相混じったり、一部色が抜けてまだらになることもあります。

2)大きさの変化

1~2年以内の経過で、直径2~3mm程度の色素斑(しきそはん)が5~6mm以上になった時は注意すべきです。短期間に目立って大きくなるものは要注意です。

3)形の変化

色素斑の辺縁が、ぎざぎざに不整になったり、しみ出しが出現したりすることがあります。色素斑の一部に硬結(こうけつ)や腫瘤(しゅりゅう:かたまりのできもの)が出現した場合は要注意です。

4)かたさの変化

一般に、ほくろは均一なかたさをしていますが、その一部または全体がかたくなってくることがあります。

5)爪の変化

爪にできる場合はほかの皮膚と違い、爪に黒褐色の色素線条(縦のすじ)が出現し、半年~1年くらいの短期間に色調が濃くなって、すじの幅が拡大してきます。進行すると爪が割れたり、色素のしみ出しが出現することがあります。

4.病型分類

悪性黒色腫の臨床症状は、大きく4つのグループ(病型)に分けられます。それぞれのタイプによって、症状のあらわれ方は異なります。
表2 悪性黒色腫の病型
病型 人種・年齢などの特徴 発生部位 症状のあらわれ方
(1) 末端黒子型
黒色腫
日本人に最も多い 足の裏や手のひら、手足の爪などに発生する ●はじめは褐色・黒褐色のシミができ、次第に色調が一部濃くなったり潰瘍(かいよう)ができたりする。
●爪に黒褐色の縦のスジができ、次第に爪全体に広がって割れたり、爪周辺の皮膚に黒褐色のしみ出しがあらわれたりする。
(2) 表在拡大型
黒色腫
白人に多い病型だが、近年日本人にも増加している ほくろの細胞から発生すると考えられ、体幹や手足に発生する ●わずかに盛り上がったシミが見られ、輪郭は不整で、色調はまだら状である。
(3) 結節型
黒色腫
  全身のどこにでも発生する ●はじめから立体構造をしていることが多く、色調は全体的に濃黒色となり、濃淡が混ざるようになる。
●早期に深部に進行したり、転移したりすることが多い。
(4) 悪性黒子型
黒色腫
高齢者に多い 顔面、首、手背(しゅはい)など日光に照射されやすい露出部位に発生する ●はじめは褐色から黒褐色の色素斑(しきそはん)が出現し、やがて濃黒色が混ざって拡大し、さらに一部に硬結や腫瘤が出現する。
●ゆるやかに成長することが多い。

5.統計

悪性黒色腫と新たに診断される人数は、1年間に100万人あたり約10~20人です。年齢別にみた罹患(りかん)率は、男女とも60歳代から高齢になるにつれて高くなります。罹患率の男女差は大きくありません1)

発生部位は足底(足の裏)が最も多く、このほか体幹、顔面、首、爪(つめ)などさまざまな部位に発生することもあります。その他、悪性黒色腫は皮膚だけでなく、頻度はあまり多くありませんが粘膜にも発生することがあります。

6.発生要因

悪性黒色腫の発生には、遺伝的背景と環境因子の双方が重要な役割を果たしています。白色人種の発生率が有色人種よりも数倍高く、紫外線の強い地域に住む白色人種の発生率がさらに高いという報告もあり、紫外線が関係している可能性があります。

日本人では悪性黒色腫の大半が紫外線の影響を直接受けない部位(肢端部)に発生し、紫外線の関与は少ないと考えられます。しかしながら、過度な日焼けは避けたほうが無難であると思われます。また、サンスクリーン剤で紫外線を防御することで、紫外線を直接浴びる部位の悪性黒色腫の発生率が減少する傾向が報告されています。

白色人種では家族内で発生したり、数カ所の皮膚に多発する家系が報告されており、遺伝的に悪性黒色腫が発生しやすい家系があると考えられています。

一方、わが国では今のところそのような家系は明らかではありません。わが国では、足底や爪部など普段慢性的に刺激を受けやすい部位、あるいは衣類などですれる部位や外傷を受けた部位などに発生が多くみられることより、外的刺激も危険因子の1つと考えられています。

ほくろと思われるしみに対して、自分で針を刺したり、焼いたりしてとろうとすることは決して行ってはいけません。ほくろを刺激しないように心がけるべきです。さらに、成人後出現したほくろが次第に大きくなったり、色が濃くなったりしてきた場合は、早めにお近くの皮膚科を受診しましょう。

7.「悪性黒色腫」参考文献

1) Tamaki T, et al. The burden of rare cancer in Japan: application of the RARECARE definition. Cancer Epidemiology. 2014;38(5):490-495.
2) 日本皮膚悪性腫瘍学会編:皮膚悪性腫瘍取扱い規約 第2版(2010年8月);金原出版
3) 日本皮膚科学会.皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版.日本皮膚科学会雑誌.2015年;125(1):5-75
4) 日本皮膚悪性腫瘍学会編:科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版(2007年);金原出版
5) James D. Brierley, Mary K. Gospodarowicz, Christian Wittekind, editors. UICC: TNM Classification of Malignant Tumours, 8th Edn. West Sussex: Wiley-Blackwell; 2017.143-144.
6) 日本皮膚悪性腫瘍学会.悪性黒色腫(メラノーマ)薬物療法の手引 version 1.Skin Cancer.2017年;32(1):1-5
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2006年10月01日 内容を更新しました。
1996年04月02日 掲載しました。

1.悪性黒色腫の検査

悪性黒色腫は、皮膚科専門医による臨床症状の総合的な診断が必要です。見ただけで診断が難しい場合には、ダーモスコピーを用います。ダーモスコピーで診断するのが難しい場合には、腫瘍全体を切除する全切除生検を行います。全切除生検が困難な場合には、部分生検を行うこともあります。

その他にもリンパ節や内臓などへの転移を調べるために、X線、超音波(エコー)、CTMRIPETなどの画像診断を行うこともあります。

2.検査の種類

1)ダーモスコピー

色素性皮膚疾患を観察するための特殊なルーペを用いた検査です。病変部を10倍から30倍程度に拡大し、反射光のない状態で明るく照らして観察することができます。痛みもなく、簡便な検査です。

2)超音波(エコー)検査

体に超音波をあてて、その反響の様子で体内の状態を調べる方法です。原発巣(最初に発生したがん)の進行度の重要な指標である厚さを予測し、リンパ節などへの転移の検索の補助になることがあります。

3)CT、MRI検査

CTは、X線を使って体の内部を描き出し、治療前に転移や周辺臓器へのがんの広がりを調べます。MRIは、磁気を使用します。造影剤を使用する場合、アレルギーを起こすことがあります。アレルギーの経験のある人は医師に申し出てください。

4)PET検査

放射性フッ素を含む薬剤を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出する検査です。

関連情報
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2017年07月24日 「1.病期と治療の選択」と「3.薬物治療」を更新しました。4タブ形式に変更しました。
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1996年04月02日 掲載しました。

1.病期と治療の選択

治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討されます。
がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類されます。

1)病期

病期はがんの厚さ、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかによって決まります。悪性黒色腫では、0期、I期、II期、III期、IV期の5つの病期に分類されます。
表3 悪性黒色腫の病期分類
  がんの厚さ 潰瘍なし 潰瘍あり
がんは原発巣のみ 0.8mm未満 IA IB
0.8mm以上1mm以下 IB IB
1mmを超えているが2mm以下 IB IIA
2mmを超えているが4mm以下 IIA IIB
4mmを超えている IIB IIC
がんの厚さに関わらず、
1個以上のリンパ節転移がある
III
がんの厚さやリンパ節転移に関わらず、
別の臓器へ転移している
IV
0期:上皮内がん
UICC TNM Classification of Malignant Tumours, 8th Edn, Wiley-Blackwell:2017, 143-144より作成

2)治療の選択

悪性黒色腫は、病期に基づいて治療法が決まります。悪性黒色腫は全身どこの臓器にも転移します。進行した悪性黒色腫に対しては、外科治療のほか、薬物療法、および放射線治療などいろいろな手段を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。

図3は、悪性黒色腫に対する治療方法を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。
図3 悪性黒色腫の治療の選択
図3 悪性黒色腫の治療の選択の図
※センチネルリンパ節生検:がんが最初に転移するリンパ節のことをセンチネルリンパ節と呼びます。ここに転移がなければ、その先のリンパ節には転移がないと推測されるため、まずはこのリンパ節の生検(細胞をとって調べること)を行います。

日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第1版(2007年)」(金原出版),日本皮膚科学会編「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版(2015年)」、日本皮膚科学会雑誌;125(1),5-75より作成
治療は主に病期により決定されます。同じ病期でも、病気の進行具合や全身状態によって、治療が異なる場合があります。

I期の治療

初発部位の腫瘍辺縁より1cm程度離して広汎切除手術が行われます。しかし、指などの場合、切断手術になることもあり、また部位によっては植皮手術を行う場合もあります。

II期の治療

初発部位の腫瘍辺縁より1~2cm程度離して広汎切除手術を行い、しばしば植皮手術が行われます。また、センチネルリンパ節生検によってリンパ節転移の有無を確認し、転移がみられた場合にはリンパ節郭清(かくせい)が検討されます。

III期の治療

初発部位の腫瘍辺縁より1~2cm程度離して広汎切除手術を行い、所属リンパ節の郭清手術が行われます。皮膚転移や皮下転移に対しては大きめに切除したり、インターフェロンを注射したり、放射線治療を行ったりします。また、腫瘍再発や転移を予防するためにインターフェロンによる治療が行われます。

IV期の治療

病状により異なりますが、外科治療のほか、薬物療法および放射線治療などいろいろな手段を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。遠隔転移が単発で完全に切除できる場合は、転移であっても手術を行う場合があります。しかしながら、手術が可能な場合は少なく、一般に薬物療法が主体になります。皮膚転移や皮下転移に対してはIII期と同様な治療が行われ、手術や薬物療法が行われます。

2.手術(外科治療)

悪性黒色腫では、手術によってがんを切除する方法が優先されます。悪性黒色腫の場合、目に見える原発巣のみを切除しただけでは周囲にがんが再びあらわれる危険性があります。したがって、最初の手術で原発巣の縁(ふち)から約1~2cm離して広範囲に切除するのが原則です。

一方、腫瘍が悪性のものであるか診断が確定されない場合には、腫瘍のみを切除したあと、病理医が組織について詳しく調べて診断を行うことがあります。診断が確定された場合は、広範囲に追加切除したほうがよいとされています。進行すると、原発巣の周囲に皮膚転移(衛星病巣)が数カ所発生することがありますが、その場合はさらに広く切除します。

手術による皮膚の傷が大きくて縫い寄せられない場合は、自分の皮膚の一部を移植する手術が行われることもあります。皮膚をとる場所は、主に太ももの付け根(鼠径[そけい]部)、耳の後ろ、太ももの前面や後面などです。

手術の際に、センチネルリンパ節(がんが最初に転移するリンパ節)生検を行うことがあります。センチネルリンパ節に転移が見つかった場合は、リンパ節の切除(リンパ節郭清)を行うことがあります。

リンパ節郭清した場合などに、手や足などがむくんだり、しびれが残ったりすることもあります。その対処法については医師や看護師に相談して上手に乗りきりましょう。

3.薬物療法

薬物療法は薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくしたりすることを目的として行います。現在では、従来用いられてきた細胞障害性抗がん剤に加えて、免疫チェックポイント阻害薬や、分子標的薬など、新たな選択の幅が広がっています。ただし、使用できる施設が限定されている薬もありますので、担当医にご相談ください。

1)免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)

免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞が免疫から逃れようと免疫細胞にかけたブレーキを解除して、体内にもともとある免疫細胞を活用する作用のある薬です。手術ができない場合や再発した場合の悪性黒色腫に対して用いられています。悪性黒色腫に対して、ニボルマブ※1、ペムブロリズマブ※1※2、イピリムマブなどが用いられています。効果(がんの縮小)はおよそ10~40%に認められ、一度効果があると長く続くこともあります。肺炎や肝障害、下痢・大腸炎、皮膚障害、内分泌障害、神経・筋障害などの副作用が、治療が終了してから数週間から数カ月後に生じることもあるため注意が必要です。

※1:皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版(2015年;金原出版)には、掲載されていません。
※2:承認されて間もない薬のため、副作用について特に慎重に検討がなされています。

2)分子標的治療薬

分子標的薬とは、正常細胞を傷つけないように、がん細胞の増殖に関わる分子を攻撃する薬です。BRAFと呼ばれる遺伝子の変異が悪性黒色腫の進行に関わっていることがわかり、腫瘍組織でBRAF遺伝子変異があると確認された場合に変異BRAFの働きを阻害するダブラフェニブ※1、トラメチニブ※1、ベムラフェニブなどが用いられています。T細胞の増殖、活性化によってがんを抑制することができると考えられています。期待できる効果(がんの縮小)は半数以上に認められますが、使い続けると薬が効きにくくなること(薬剤耐性)、ほかの皮膚がんができてしまうこと、皮膚障害、肝機能障害などの副作用に注意が必要です。今後、分子標的治療薬の併用療法などが期待されています。

※1:皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版(2015年;金原出版)には、掲載されていません。

3)細胞障害性抗がん剤(化学療法)

内臓やリンパ節の転移巣の増大を抑えたり、縮小させたりすることを目的として行います。ダカルバジンなどが用いられることがあります。

細胞障害性抗がん剤はがん細胞以外の正常細胞にも影響を与えるため、いろいろな副作用を生じます。その症状や程度は抗がん剤の種類や量、個人差などによって異なります。一般的には、白血球減少血小板減少貧血、吐き気、嘔吐(おうと)、食欲不振、下痢、手足のしびれ、肝機能障害、腎機能障害、脱毛、倦怠感などです。細胞障害性抗がん剤を投与する場合は、このような副作用を軽減させるための処置が同時に行われます。

4)インターフェロン製剤

インターフェロンとは、ヒトがつくり出す生理活性物質で、一部のがんやウイルスの増殖を抑制する作用が認められています。悪性黒色腫では、原発巣切除後に、再発予防のためにインターフェロンをその切除部位周辺や皮下に注射することがあります。また、皮膚転移や皮下転移に直接注射を打つ方法も行われます。

インターフェロンの副作用として、発熱がありますが、これは解熱剤を投与することで下げることができます。また、頭痛、貧血、食欲不振や白血球減少、肝機能障害などが生じることもあります。

4.放射線治療

放射線治療には、高エネルギーのX線や電子線を照射してがん細胞を傷害し、がんを小さくする効果があります。

これまで、悪性黒色腫は放射線への感受性が低いと考えられてきましたが、悪性黒色腫が脳や全身へ遠隔転移した場合には、緩和医療として放射線治療を行うことで、転移や再発に伴う症状(痛みなど)を和らげる効果が報告されています。

また、脳転移に対しては全脳照射(脳全体を照射する方法)がよく行われていますが、転移個数が少なく、全身状態が良好な場合には、サイバーナイフやガンマナイフなどの定位放射線照射が勧められることがあります。

副作用として、放射線照射部に一致して皮膚炎を起こすことがありますが、かゆみ止めや痛み止めの薬の内服や軟こうの外用により症状は軽減し、照射終了後時間とともに軽快します。

陽子線や重粒子線といわれる特殊な放射線が効果を示すことがありますが、ごく限られた施設でしか行うことができませんので、このような治療を希望する場合は医師にご相談ください。

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5.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。

以下に、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が公表している院内がん登録から算出された5年相対生存率のデータを示します(参照:相対生存率)。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。したがって、診断や治療の進歩により、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではないことをご理解ください。
【悪性黒色腫の生存率について、さらに詳しく】
治療については、手術(外科治療)だけではなく、放射線治療、薬物療法、その他の何らかの治療を受けた患者さんが対象となっています。そのため、各施設で公表している、手術だけを受けた患者さんを対象とした生存率と、異なる場合があります。
表4 悪性黒色腫の病期別5年相対生存率(対象:2006~2008年に診断を受けた患者さん)
病期 症例数(件) 5年相対生存率(%)
I 55 86.2
II 60 79.6
III 26 53.1
IV 21 11.0
全症例 172 69.5
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6.緩和ケア

緩和ケアとは、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法です。緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。患者さんのニーズに応じて幅広い対応をします。患者さん本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えるようにしましょう。

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7.臨床試験

「標準治療」とは、科学的根拠に基づいた観点で最良の医療であり、保険診療で受けることができる治療法です。

現在行われている標準治療は、より多くの患者さんによりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねで作り上げられてきました。よりよい標準治療の確立を目指して、「臨床試験」や治験などの研究段階の医療が行われています。

関連情報
現在国内で行われている臨床試験(医師・研究者が実施する臨床試験、および製薬企業や医師が実施する治験の一部)に関しては、「がんの臨床試験を探す」で、開発の段階別に分類された情報を閲覧することができます。

参加できる臨床試験があるかについては、担当医に相談してみましょう。

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8.転移・再発

転移とは、がん細胞がリンパ液血液の流れなどに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。手術でがんを全部切除できたようにみえても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している可能性があり、手術した時点では見つけられなくても、時間がたってから転移として見つかることがあります。転移が生じている場合には治療法を総合的に判断する必要があります。

再発とは、治療により目に見える大きさのがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。悪性黒色腫では病期が進むにつれて、転移・再発する可能性が高くなります。それぞれの患者さんで状態は異なりますので、患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。再発した場合でも初期であれば高い治療効果が望めます。

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1.日常生活を送る上で

病院での検査だけでなく、皮膚のがんでは、自分で傷口や創の周囲の状態を観察することができます。手術を行った場合には、患者さんやご家族が定期的に鏡を利用して全身の皮膚の状態をチェックすることが、再発転移を早期に見つけるために役立つとされています。一般には、皮膚の色が変化したところはないか、急に盛り上がったり、しこりができたり、引きつれがないかどうか、などを観察します。普段の診察のときに、担当医に自分で気を付けておくべきことについて、確認しておきましょう。心配なことがあったら、自分で判断しないで必ず担当医や看護師に相談しましょう。

2.経過観察

治療を行ったあとも、皮膚の状態や転移・再発の有無を確認するために、定期的に通院します。間隔は病状によって異なりますが、1~3カ月に1度、追加の治療がなく安定している場合は半年に1度程度が一般的です。