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消化器症状:嘔気・嘔吐

更新・確認日:2006年11月30日 [ 履歴 ]
履歴
2006年11月30日 更新しました。
2006年10月01日 掲載しました。

1.嘔気・嘔吐とは

嘔気とは、胃のなかにあるものを吐き出したいという切迫した不快感を指し、嘔吐とは胃のなかの内容物が食道・口から逆流して外に吐き出される状態をいいます。

2.原因

抗がん剤により、脳のなかにある嘔吐中枢が刺激されることで起こります。また、放射線療法と併用して抗がん剤治療を行うと、照射部位によっては、食道や胃に粘膜炎を起こすことで嘔気や嘔吐が起こることがあります。

抗がん剤による嘔気・嘔吐は、症状の現れ方によって、大きく以下の3つに分かれています。

1)急性嘔気・嘔吐

抗がん剤開始後より24時間以内に出現するもの。

2)遅延性嘔気・嘔吐

抗がん剤投与開始24時間以後に出現するもの。

3)予測性嘔気・嘔吐

以前の嘔吐した体験から、脳のなかにある大脳皮質を刺激することによって起こるといわれ、主に精神的要因により出現するもの。

3.嘔気嘔吐を起こしやすい抗がん剤

高発現率グループ 中発現率グループ 低発現率グループ
シスプラチン
カルボプラチン
ネダプラチン
シクロホスファミド
ダカルバジン
イリノテカン
ドキソルビシン
イダマイシン
イフォスファミド
ドセタキセル
パクリタキセル
フルオロウラシル
ゲムシタビン
エトポシド
マイトマイシン C
ブレオマイシン
ブスルファン
ビノレルビン
ビンクリスチン
ビンブラスチン
アスパラキナーゼ

4.嘔気・嘔吐の起こる時期と期間

嘔気・嘔吐は抗がん剤を開始してから数時間後から起きはじめ、3〜4日間ほどで症状は落ちつきます。また、全く嘔気・嘔吐がない場合や、3〜4日以上続く場合もあり、嘔気・嘔吐の起こる時期と期間はかなりばらつきがあります。それは使用する抗がん剤の種類・量、抗がん剤の組み合わせ方、治療する期間、個人差に大きく左右されるからです。

5.嘔気・嘔吐による身体への影響

嘔吐によって、水分と胃液・十二指腸液などに含まれる電解質も体外に出てしまいます。電解質(カリウム、ナトリウムなど)は体内の水分量の調節、神経筋肉の興奮・伝達、体内の水分性状バランス保持(酸性、アルカリ性に傾き過ぎないようにする)などの働きがあります。そのため電解質や水分が多量に失われると、脱力感・倦怠感・手足のしびれなどの電解質異常症状や、口の渇き・皮膚の乾燥・尿量の減少・体重の減少などの脱水症状が出てきます。これらがさらに進むとだんだんと衰弱し、意識障害などを起こすこともあります。

また嘔吐することによって、消化・吸収の働きが低下し、体内に必要な栄養が行き届かなくなり、栄養状態の低下・体重の減少が起こります。他に吐物が誤って気道に入ると肺炎、ひどいときには窒息を起こすことがあります。

6.嘔気・嘔吐への対処法

1)嘔気・嘔吐の薬

近年さまざまな制吐剤が開発され、それらを使用することで、嘔気・嘔吐の症状をかなり軽減することができるようになりました。病院で処方される制吐剤(嘔気を抑える薬)は、決められた指示どおりに内服してください。また、嘔気が強いときに使用していただくものもあります。嘔気が強く、内服が難しいときは、座薬を用いることも可能です。嘔気・嘔吐は我慢せず、担当医と相談しながら制吐剤をうまく使用していくことが大切になります。

2)日常生活の工夫

(1)嘔気・嘔吐の予防

  1. 抗がん剤治療を受ける日は食事の量を少なめにしたり、治療の数時間前は食べないようにするなどの工夫で、軽減できることがあります。(特に乳製品は消化時間が長いので、控えたほうが良いでしょう)
  2. 体を締め付ける衣服は避けたほうが良いでしょう。

(2)嘔気・嘔吐が起きたとき

  1. 安静を心がけ、横向きに寝て体を内側に曲げると良いでしょう。また冷たい水や番茶、レモン水でうがいをしたり、氷やキャンディーなどを口に含むと効果的です。
  2. においに敏感になっている場合には、花や香水などのにおいが強いものを避け、また室内の換気をよくして、リフレッシュすると良いでしょう。
  3. 音楽を聞いたり、テレビを見たり、ゆっくりと腹式呼吸を行うことで嘔気が楽になることがあります。

(3)食事の工夫

  1. 無理せず食べられるものを探し、食事はゆっくりと時間をかけたり、少量ずつ可能な範囲で食べると良いでしょう。
  2. 料理では、特に揚げ物、煮物、煮魚や焼き魚などは避けることで、嘔気を軽減することもあります。また料理は冷やしたり、冷まして食べることでにおいが軽減し食べやすくなることがあります。
  3. 市販の栄養補助食品などで、少量でもカロリーや栄養素を補うことができるものがあるので、試してみても良いでしょう。
  4. 食事ごとに吐いてしまうような激しいときは、1〜2食、食事は差し控えてみましょう。この場合も水分はできるだけとりましょう。

【食べやすい食品の例】

  • 冷たくて口当たりがよく飲み込みやすいもの:卵豆腐、茶碗蒸し、絹ごし豆腐、ゼリー、プリン、シャーベット
  • 消化のよいもの:お粥、煮込みうどん、雑炊、野菜のスープ煮
  • ビスケット、クラッカー、クッキー

7.医療者に報告する症状

吐物の性状や回数、嘔気・嘔吐の症状があらわれる時期は、身体の異常を知る大切な目安になりますので、メモを取っておくとよいでしょう。

嘔気・嘔吐が長く続き、食事や水分がほとんど取れないときは、医療者に連絡してください。
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
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