がんの治療に使われる主な薬

イマチニブ:錠剤


更新・確認日:2017年04月05日 [ 履歴 ]
履歴
2017年04月05日 2016年08月版の添付文書情報に基づき「4.注意すること」「7.参考資料」を更新しました。
2016年03月28日 掲載しました。
注:本ページは、患者さん個別の状況に関する医学的判断を目的としたものではありません。患者さんご自身の治療内容や副作用については、担当の医師や看護師、薬剤師にお尋ねください。

1.薬の名前

一般的名称および剤型:イマチニブ:錠剤
この成分を使用している商品
グリベック錠100mg
グリベック錠100mg
※商品名の欄には主に先発医薬品の名前を掲載しています。後発医薬品(ジェネリック医薬品)については、商品名ではなく薬の「一般的名称」から索引ください。

2.適応となるがん

  • 慢性骨髄性白血病
  • 消化管間質腫瘍(GIST)
  • 急性リンパ性白血病
  • 好酸球増多症候群
  • 慢性好酸球性白血病
※治療の内容や全身状態などにより、記載したがんであっても使われない場合があります。また、がんの治療以外でも使われる場合があります。

3.種類と作用

薬を使用する目的には、治癒・延命・症状緩和がありますが、がんの種類や病態により異なります。期待される効果とそれに伴う副作用などのリスクも、人によって異なります。
この薬は下記の標的分子に作用する分子標的薬で、低分子化合薬という種類の薬です。キナーゼ阻害薬と呼ばれるグループに属します。がん細胞の増殖に関わる複数のタンパク質の働きを選択的に抑えます。
「標的分子:bcr-Abl、v-Abl、c-Abl、PDGFR、KIT」

4.注意すること

薬を安全に使用するための注意点です。

1)この薬を使用する際に、特に注意がいる人

  • 肝障害のある人
  • 心臓に障害のある人、または過去にあった人
  • B型肝炎ウイルスにかかっている人、または過去にかかったことのある人

2)医師や薬剤師から確認される注意点

  • 妊娠または授乳中。
  • 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。
  • ほかに薬を使っている。
  • 健康食品やサプリメントを使っている。

3)使用上の注意点

  • グレープフルーツジュースや、セントジョーンズワート(St.John'sWort,和名セイヨウオトギリソウ)を含む食品は控えてください。
  • めまいや眠気、目のかすみがあらわれることがありますので、高いところでの作業、自動車の運転や危険を伴う機械を操作するときには注意してください。
  • 飲み忘れた場合は、気づいてもすぐに服用せず、次回の服用時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • この薬を使用している間は、避妊を行ってください。
  • 授乳を避けてください。
  • 骨髄抑制は、がんの治療で用いられる多くの薬であらわれる副作用ですが、この薬でもあらわれることがあります。血液検査で早期に発見できますが、だるい、発熱、血が止まりにくいなどのときは、骨髄抑制の症状です。骨髄抑制が進むと感染症などにかかるおそれがあります。

5.副作用

1)主な副作用

嘔気・嘔吐(おうと)、下痢、食欲不振、発疹、表在性浮腫(顔・まぶた・下肢など)、貧血、倦怠(けんたい)感、筋痙攣(けいれん)、発熱など

2)気を付けておきたい副作用と自覚症状

重大な副作用に至る可能性がある主な自覚症状です。薬の使用中、医師は採血の回数を増やすなど、必要な検査や診察を行って副作用をチェックしていきますが、次のような症状が出た場合や急な体調の異変などがあれば、医師、看護師または薬剤師に伝えましょう。
主な自覚症状 可能性のある重大な副作用
発熱、寒気がする、のどが痛む、口の中に白い斑点ができる、手足に赤い点(点状出血)または赤いあざ(紫斑)ができる、出血しやすい(歯ぐきの出血・鼻血など)、水のような下痢、腹痛、口内炎、通常の生活をしていてだるさが続く、ちょっとした階段や坂で動悸(どうき)や息切れを感じる、顔色が悪い 骨髄抑制
あおあざができやすい、歯ぐきや鼻の粘膜からの出血、発熱、のどの痛み、皮膚や粘膜があおじろくみえる、疲労感、動悸(どうき)、息切れ、気分が悪くなりくらっとする、尿が赤い、寒気 汎血球減少
突然の高熱、寒気、のどの痛み 白血球減少、好中球減少
手足に点状出血、あおあざができやすい、出血しやすい(歯ぐきの出血・鼻血・生理が止まりにくい) 血小板減少
顔色が悪い、疲れやすい、だるい、頭が重い、動悸(どうき)、息切れ 貧血
手足に点状出血、あおあざができやすい、皮下出血、鼻血、過多月経、歯ぐきの出血 出血
片側の麻痺(まひ)、吐き気、嘔吐(おうと)、判断力の低下、半身不随、しゃべりにくい、意識の低下、手足のまひ・しびれ、考えがまとまらない、頭痛、意識を失って深く眠りこむ 脳出血
意識の低下、考えがまとまらない、めまい、もどす、吐き気、むかむかする、判断力の低下 硬膜下出血
血を吐く、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、血が混ざった便、黒色便、肛門から血液が出る 消化管出血
食欲不振、むかむかする、お腹がはる、血が混ざった便、黒色便、血を吐く、貧血 胃前庭部毛細血管拡張症
吐き気、嘔吐(おうと)、激しい腹痛 消化管穿孔(せんこう)
吐き気、嘔吐(おうと)、お腹がはる、貧血、血が混ざった便 腫瘍出血
からだがだるくなる、発熱(38℃以上)、皮膚や白目が黄色くなる、食欲がなくなる、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、発疹、かゆみ 肝機能障害
白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、尿が褐色になる 黄疸(おうだん)
からだがだるくなる、発熱(38℃以上)、皮膚や白目が黄色くなる、食欲がなくなる、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、発疹、かゆみ、意識の低下、判断力の低下、考えがまとまらない、いつもお腹が張っている 肝不全
むくみ、息苦しい、腹がはる 重篤な体液貯留
息が苦しい、胸が痛い 胸水
腹部の膨張 腹水
息が苦しい、胸がゼーゼーする、咳・痰が出る、呼吸が速くなる、脈が速くなる 肺水腫
からだがだるい、息切れ、息苦しい、食欲低下 心膜滲出液
動くと息が苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増えた、咳とピンク色の痰 うっ血性心不全
からだがだるい、息苦しい、息切れ、食欲低下 心タンポナーデ
かぜのような症状、からだがだるい、発熱、嘔吐(おうと) 感染症
発熱、悪寒、咳、息切れ、痰が出る 肺炎
寒気、ふるえを伴う急激な高熱が出る、関節の痛み、筋肉の痛み 敗血症
発熱、頭痛、顔のむくみ、口の渇き、食欲不振、手足のむくみ、尿量が減る 重篤な腎障害
階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空咳(からせき)が出る、発熱 間質性肺炎、肺線維症
なおりにくい皮膚病 重篤な皮膚症状
発熱(38℃以上)、目の充血、唇のただれ、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる、がみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする 中毒性表皮壊死融解症(ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう)/TEN
発熱(38℃以上)、目の充血、めやに(眼分泌物)、まぶたの腫(は)れ、目が開けづらい、唇や陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる、などがみられ、これらの症状が持続したり、急激に悪くなったりする 皮膚粘膜眼症候群/スティーブンス・ジョンソン症候群
全身の皮膚にかゆみや部分的に痛み・熱感を伴った赤いまだらのいろいろな形の発疹や水疱ができる 多形紅斑(たけいこうはん)
発熱、かゆみ、全身の発赤、皮膚の表面がはがれおちる 剥脱性皮膚炎
皮膚のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、目と口唇のまわりの腫(は)れ、息苦しさ、動悸(どうき)、ほてり、意識の混濁 ショック、アナフィラキシー
発熱、胸の痛み、息苦しい、息切れ 心膜炎
頭痛、めまい、意識の低下、視力の低下、深く大きい呼吸、手足の震え、精神の混乱 脳浮腫、頭蓋内圧上昇
お腹がはる、著しい便秘、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと) 麻痺(まひ)性イレウス
手足の麻痺(まひ)やしびれ、しゃべりにくい、胸の痛み、呼吸困難、片方の足の急激な痛みや腫(は)れ 血栓症、塞栓(そくせん)症
手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になる 横紋筋融解症
尿量が減る、脇腹の痛み、血尿 腫瘍崩壊症候群
疲れやすい、胸の痛み、動くときの息切れ、気を失う 肺高血圧

6.薬について心配なとき

薬の使用において、期待される効果とあらわれる副作用などは人それぞれ異なります。薬物療法を受けるにあたって、不安なことや知りたいことや心配なことがあるときには、ひとりで悩まずに担当の医師などの医療者や「がん相談支援センター」に相談しましょう。

●担当の医師、看護師、薬剤師など

担当医は、一人一人の状態に基づいて最も適した情報を提供してくれる存在です。治療について不安や疑問が生じた際には、まず、担当医へ相談しましょう。また、病棟や外来化学療法室の看護師、病院や調剤薬局の薬剤師に質問することもできます。

●がん相談支援センター

「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」などに設置されている、がんに関するご相談の窓口です。治療について、「がん相談支援センター」にご相談いただくこともできます(ただし、担当医にかわって治療の判断をするところではありません)。
全国の「がん相談支援センター」は、「がん相談支援センターを探す」(https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpConsultantSearchTop.xsp)のページから検索できます。

●がん情報サービスサポートセンター

お電話で、「がん相談支援センター」を探すお手伝いをします。
サポートセンターについては、「がん情報サービスサポートセンターのご案内」(https://ganjoho.jp/public/consultation/support_center/guide.html)のページをご参照ください。

7.参考資料

  • グリベック錠100mg 添付文書情報.ノバルティス ファーマ.2016年08月改訂版(第3版)
  • グリベック錠100mg 患者向医薬品ガイド.ノバルティス ファーマ.2016年09月更新版
  • グリベック錠100mg くすりのしおり(R).ノバルティス ファーマ.2016年08月改訂版
本ページでは、がんの治療に使用される代表的な薬を中心に掲載していますが、がんの治療に使われるすべての薬に関する情報を網羅しているものではありません。また、掲載している薬の一部は、がんの治療以外にも使用される場合があります。
薬の効果、使い方、注意することや最新の情報については各医薬品の「患者向医薬品ガイド」、医療専門家向けの「添付文書情報」
外部サイトへのリンク http://www.pmda.go.jp/)をご参照ください。
用語集
このページの先頭へ