がんの治療に使われる主な薬

メトトレキサート:注射


更新・確認日:2017年04月05日 [ 履歴 ]
履歴
2017年04月05日 「7.参考資料」を更新しました。
2016年01月28日 掲載しました。
注:本ページは、患者さん個別の状況に関する医学的判断を目的としたものではありません。患者さんご自身の治療内容や副作用については、担当の医師や看護師、薬剤師にお尋ねください。

1.薬の名前

一般的名称および剤型:メトトレキサート:注射
この成分を使用している商品
メソトレキセート点滴静注液1000mg
メソトレキセート点滴静注液200mg
注射用メソトレキセート50mg
注射用メソトレキセート5mg
※商品名の欄には主に先発医薬品の名前を掲載しています。後発医薬品(ジェネリック医薬品)については、商品名ではなく薬の「一般的名称」から索引ください。

2.適応となるがん

  • 急性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • 絨毛性疾患(絨毛がん、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
  • 乳がん
  • 尿路上皮がん
  • 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)
  • 悪性リンパ腫
  • 胃がん
※治療の内容や全身状態などにより、記載したがんであっても使われない場合があります。また、がんの治療以外でも使われる場合があります。

3.種類と作用

薬を使用する目的には、治癒・延命・症状緩和がありますが、がんの種類や病態により異なります。期待される効果とそれに伴う副作用などのリスクも、人によって異なります。
この薬は、細胞障害薬という種類の薬です。その種類の中で「代謝拮抗薬(葉酸拮抗薬)」と呼ばれるグループに属します。DNAの合成に必要な活性型葉酸を作る酵素の働きを妨げ、がん細胞の増殖を抑えます。

4.注意すること

薬を安全に使用するための注意点です。

1)この薬を使用する際に、特に注意がいる人

  • 骨髄抑制のある人
  • 感染症にかかっている人

2)医師や薬剤師から確認される注意点

  • 妊娠または授乳中。
  • 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。
  • ほかに薬を使っている。
  • 健康食品やサプリメントを使っている。

3)使用上の注意点

  • 髄腔内に使用することがあります。
  • この薬を服用中には生ワクチンを接種するとワクチン由来の感染を増強・持続させるおそれがあるので、生ワクチンを使用した予防接種をしないでください。
  • この薬を使用している間は、避妊を行ってください。
  • 授乳を避けてください。
  • 骨髄抑制は、がんの治療で用いられる多くの薬であらわれる副作用ですが、この薬でもあらわれることがあります。血液検査で早期に発見できますが、だるい、発熱、血が止まりにくいなどのときは、骨髄抑制の症状です。骨髄抑制が進むと感染症などにかかるおそれがあります。

5.副作用

1)主な副作用

食欲不振、吐き気・嘔吐(おうと)、発熱、発疹、蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、光線過敏症、脱毛、貧血、口内炎など

2)気を付けておきたい副作用と自覚症状

重大な副作用に至る可能性がある主な自覚症状です。薬の使用中、医師は採血の回数を増やすなど、必要な検査や診察を行って副作用をチェックしていきますが、次のような症状が出た場合や急な体調の異変などがあれば、医師、看護師または薬剤師に伝えましょう。
主な自覚症状 可能性のある重大な副作用
皮膚のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、目と口唇のまわりの腫(は)れ、息苦しさ、動悸(どうき)、ほてり、意識の混濁 ショック、アナフィラキシー
発熱、寒気がする、のどが痛む、口の中に白い斑点ができる、手足に赤い点(点状出血)または赤いあざ(紫斑)ができる、出血しやすい(歯ぐきの出血・鼻血など)、水のような下痢、腹痛、口内炎、通常の生活をしていてだるさが続く、ちょっとした階段や坂で動悸(どうき)や息切れを感じる、顔色が悪い 骨髄抑制
かぜのような症状、からだがだるい、発熱、嘔吐(おうと) 感染症
からだがだるくなる、発熱(38℃以上)、皮膚や白目が黄色くなる、食欲がなくなる、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、発疹、かゆみ、意識の低下、判断力の低下、考えがまとまらない、いつもお腹が張っている 劇症肝炎、肝不全
尿量が減る、ほとんど尿が出ない、一時的に尿量が多くなる、発疹、むくみ、体がだるい 急性腎不全
意識の低下、眼が腫(は)れぼったい、疲れやすい、尿量が減る、尿がでない、頭痛、からだがだるい、息苦しい、からだのむくみ 尿細管壊死、重症ネフロパチー
階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空咳(からせき)が出る、発熱 間質性肺炎、肺線維症
息が苦しい、胸(むね)が痛い 胸水
発熱(38℃以上)、目の充血(じゅうけつ)、唇のただれ、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる、がみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする 中毒性表皮壊死融解症(ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう)/TEN
発熱(38℃以上)、目の充血、めやに(眼分泌物)、まぶたの腫(は)れ、目が開けづらい、唇や陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる、などがみられ、これらの症状が持続したり、急激に悪くなったりする 皮膚粘膜眼症候群/スティーブンス・ジョンソン症候群
激しい腹痛、血が混ざった便、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱 出血性腸炎
嘔吐(おうと)、腹がはる、下痢、血が混ざった便 壊死性腸炎
吐き気、嘔吐(おうと)、おなかの痛みがのけぞると強くなりかがむと弱くなる 膵炎
身長が2cm以上低下した、背中が丸くなった 骨粗しょう症
意識の低下、考えがまとまらない、判断力の低下、物忘れ、痙攣(けいれん)、ふらつき、ぼんやりする、意識がなくなる、しゃべりにくい、覚えられない 脳症(白質脳症を含む)
けいれんが起こる 中枢神経障害(痙攣[けいれん])
言葉が出ない、手足が動かない 中枢神経障害(麻痺[まひ])
言葉を理解できない、いいたいことががいえない 中枢神経障害(失語)
時間や場所がわからない、物忘れがひどい、覚えられない、計算ができない 中枢神経障害(認知症)
意識を失う 中枢神経障害(昏睡)
両側の手や足に力が入らない、歩行時につまずく、階段を上れない、ものがつかみづらい、手や足の感覚が鈍くなる、顔の筋肉が麻痺(まひ)する、食べ物がのみ込みにくい、呼吸が苦しいなど ギランバレー症候群

6.薬について心配なとき

薬の使用において、期待される効果とあらわれる副作用などは人それぞれ異なります。薬物療法を受けるにあたって、不安なことや知りたいことや心配なことがあるときには、ひとりで悩まずに担当の医師などの医療者や「がん相談支援センター」に相談しましょう。

●担当の医師、看護師、薬剤師など

担当医は、一人一人の状態に基づいて最も適した情報を提供してくれる存在です。治療について不安や疑問が生じた際には、まず、担当医へ相談しましょう。また、病棟や外来化学療法室の看護師、病院や調剤薬局の薬剤師に質問することもできます。

●がん相談支援センター

「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」などに設置されている、がんに関するご相談の窓口です。治療について、「がん相談支援センター」にご相談いただくこともできます(ただし、担当医にかわって治療の判断をするところではありません)。
全国の「がん相談支援センター」は、「がん相談支援センターを探す」(https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpConsultantSearchTop.xsp)のページから検索できます。

●がん情報サービスサポートセンター

お電話で、「がん相談支援センター」を探すお手伝いをします。
サポートセンターについては、「がん情報サービスサポートセンターのご案内」(https://ganjoho.jp/public/consultation/support_center/guide.html)のページをご参照ください。

7.参考資料

  • メソトレキセート点滴静注用200mg,1000mg 添付文書情報.ファイザー.2016年02月改訂版(第15版)
  • メソトレキセート点滴静注用1000mg くすりのしおり(R).ファイザー.2013年02月作成版
  • 注射用メソトレキセート50mg 添付文書情報.ファイザー.2016年02月改訂版(第14版)
  • 注射用メソトレキセート50mg くすりのしおり(R).ファイザー.2012年09月改訂版
  • 注射用メソトレキセート5mg 添付文書情報.ファイザー.2016年02月改訂(第14版)
本ページでは、がんの治療に使用される代表的な薬を中心に掲載していますが、がんの治療に使われるすべての薬に関する情報を網羅しているものではありません。また、掲載している薬の一部は、がんの治療以外にも使用される場合があります。
薬の効果、使い方、注意することや最新の情報については各医薬品の「患者向医薬品ガイド」、医療専門家向けの「添付文書情報」
外部サイトへのリンク http://www.pmda.go.jp/)をご参照ください。
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