U期・V期の標準治療は、治療前に体の状態を調べて、手術ができる体の状態である場合には手術が第一選択です。その中でも、まず、細胞障害性抗がん薬を用いた化学療法を行ってから手術をする方法が標準治療とされています。なお、手術の前に化学放射線療法を行い、がんを切除することができたものの、その後の病理検査の結果で、がんが完全に消えたことが確かめられなかった場合には、術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬を使うことが勧められています。化学療法を行わずに手術を行い、その後の病理検査でリンパ節への転移が認められたときには、手術のあとに細胞障害性抗がん薬を用いた化学療法を行うことがあります。
体力的に手術はできないが、化学放射線療法はできる体の状態と判断された場合や、手術を希望しない場合は、完治を目指した治療として根治的化学放射線療法を行います。根治的化学放射線療法のあとに、がんが残っていたり(遺残)、消失したようにみえたけれども同じ場所に再発したりしたときには、救済治療として、手術や内視鏡治療を行うことがあります。この場合の内視鏡治療は、食道内のみの小さな病変に対して、内視鏡的切除や、光線力学療法(薬剤とレーザーを組み合わせた治療)が用いられることもあります。
手術も化学放射線療法もできない体の状態だと判断された場合は、放射線治療単独療法や化学療法などを行います。
【15ページ図 図5.食道がんの治療の選択(U期・V期)】
日本食道学会編.食道癌診療ガイドライン 2022年版.2022年,金原出版.を参考に作成
【図終わり】