4−2 内視鏡的切除

内視鏡的切除は、内視鏡を用いて食道の内側からがんを切除する方法です。切除方法には、内視鏡の先端から、スネアと呼ばれる輪状の細いワイヤーをかけて、病変を切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)(図7)と、高周波ナイフで粘膜下層から病変をはがすように切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)(図8)があります。

内視鏡的切除の対象は、リンパ節転移のない0期の早期食道がんのうち、食道の全周に及んでいないがんか、全周に及んでいる場合は5cm以下のがんです。

切除したがんを含む組織は、病理検査で詳細に調べます。がん細胞が粘膜下層に広がっている、リンパ管や静脈に侵入しているなど、がんが残っている可能性やリンパ節転移の可能性が高いと判断された場合は、内視鏡的切除後に化学放射線療法や手術を行う場合があります。

内視鏡的切除の合併症として、出血、穿孔せんこう(食道に穴が開くこと)、狭窄などがありますが、その多くは内視鏡を使って対処することができます。なお、出血や穿孔が起こると、吐き気や嘔吐おうとなどの症状が出てきます。そのほかにも、腹痛やめまい、発熱など、治療後に何らかの体調の変化を感じたときには、医師や看護師に伝えることが必要です。

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【18ページ図 図7.内視鏡的粘膜切除術(EMR)】

図7EMR

【図終わり】

【18ページ図 図8.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)】

図8ESD

【図終わり】

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