粘膜にとどまるがんでは、食道を温存できる内視鏡的切除が標準治療として推奨されています。内視鏡的切除の対象は、リンパ節転移のない0期の早期食道がんのうち、食道の全周に及んでいないがんか、全周に及んでいる場合は長さが5cm以下のがんです。
内視鏡的に切除したがんを含む組織は、病理検査で詳細に調べます。がん細胞が粘膜下層に浸潤している、リンパ管や静脈に侵入しているなど、がんが残っている可能性やリンパ節転移の可能性が高いと判断された場合は、内視鏡的切除後に化学放射線療法や手術を行う場合があります。
粘膜にとどまるがんのうち、がんが食道の全周に及んでおり、かつ長さが5cmを超える場合には、手術または化学放射線療法または放射線治療を行います。化学放射線療法は、内視鏡治療を行うことが難しい、食道の3/4周以上にがんが及ぶ場合や、がんが粘膜下層に深く浸潤している場合にも行われます。また、体の状態によってはがんの大きさや深さに関わらず行われることもあります。
なお、内視鏡的切除を行った場合で、がんが食道の3/4周以上に及んでいるときは、狭窄予防のための治療が行われます。
【13ページ図 図3.食道がんの治療の選択(0期)】
日本食道学会編.食道癌診療ガイドライン 2022年版.2022年,金原出版.を参考に作成
【図終わり】