3−5 薬物療法

喉頭がんの薬物療法には、治癒や機能の温存を目的とした集学的治療として行われる薬物療法と、再発・転移した場合に行われる症状の緩和やクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の維持・向上などを目的とした薬物療法があります。

治癒や機能の温存を目指した薬物療法では、放射線治療と同時に行われる化学放射線療法のほか、根治を目指した治療の前に行われる導入化学療法、根治を目指した手術のあとに行われる術後化学放射線療法があります。

導入化学療法とは、放射線治療や手術の前に行う薬物療法のことです。喉頭がんの導入化学療法では、最初に薬物療法を行い効果を確認することで、その後の治療(喉頭の機能を温存する放射線治療か、手術が必要か)を検討する目的で行われることがあります(図6)。また、薬物療法によって腫瘍の量を減らし、治療効果を高めることを目的に行われることがあります。治療は、複数の細胞障害性抗がん薬を組み合わせ、分子標的薬を併用することもあります。なお、根治を目指した治療の前に行われる導入化学療法のうち、手術の前に行われるものを術前化学療法ということがあります。

術後化学放射線療法とは、手術のあと、がんが取りきれなかった場合や、再発の可能性が高い場合に行う治療のことです。細胞障害性抗がん薬が用いられ、放射線治療を併用することが勧められています。

再発や遠隔転移に対する薬物療法では、細胞障害性抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われます。

薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者にご確認ください。

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