4−2−1 手術の種類

(1)円錐切除術

子宮頸部の一部を円錐状に切除し(図5)、病理組織学的に病変の広がりを詳しく調べます。CIN3に対しては、病変を完全に取り切る治療として行います。子宮の多くの部分を残すことができますが、その後の妊娠や出産に影響が出る場合もあります。

【17ページ図 図5.円錐切除術の範囲】


17P.図5

【図終わり】

(2)単純子宮全摘出術

子宮頸部の周りの組織は取らずに、子宮だけを切除します(図6)。円錐切除を行い、切除した面にCIN3があった場合や、診断がAISまたはごく早期のがん(IA1期)だった場合に行います。おなかを切り開いて切除する開腹手術、おなかを切らずに膣から切除する膣式手術、腹腔鏡下手術のいずれかで行います。子宮を摘出するため、妊娠することはできなくなりますが、性交渉は可能です。

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【18ページ図 図6.単純子宮全摘出術の範囲】


18P.図6

【図終わり】

(3)準広汎こうはん子宮全摘出術

がんを取り残さないように、単純子宮全摘出術よりも少し広めに子宮を切除する方法です(図7)。子宮と一緒に子宮を支えている基靭帯などの子宮頸部の周りの組織の一部と、膣の一部を切除します。膀胱の神経の大部分を温存することができるため、尿が出にくくなるといった術後の排尿のトラブルはほとんど起こりません。子宮を摘出するため、妊娠することはできなくなりますが、性交渉は可能です。

【18ページ図 図7.準広汎子宮全摘出術の範囲】


18P.図7

【図終わり】

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(4)広汎子宮全摘出術

がんを完全に取り切るために、準広汎子宮全摘出術よりもさらに子宮を広く切除する方法です(図8)。子宮と一緒に、子宮の周りの組織や膣を大きく切除します。また、骨盤内のリンパ節も一緒に切除するリンパ節郭清を行います。がんを完全に取り切ることができる可能性は高くなりますが、リンパ浮腫、排尿のトラブル、性生活への影響などが起こることもあります。卵巣を切除するかどうかは、年齢や組織型、病期なども考慮して決めます。

【19ページ図 図8.広汎子宮全摘出術の範囲】


19P.図8

【図終わり】

(5)広汎子宮頸部摘出術

妊よう性を温存する(妊娠するための力を保つ)ために子宮体部と卵巣を残し、それ以外は広汎子宮全摘出術と同じ範囲を切除します(図9)。通常であれば広汎子宮全摘出術が必要な病期の場合で、将来子どもをもつことを望んでいて、妊娠可能な年齢のときに検討します。主な手術方法として、おなかを切り開いて切除する開腹手術と、おなかを切らずに膣から切除する膣式手術があります。本来取るべき子宮体部と卵巣を残すため、IA2期またはIB1期で明らかなリンパ節転移がないなどの一定の基準を満たしている必要があります。

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【20ページ図 図9.広汎子宮頸部摘出術の範囲】


20P.図9

【図終わり】