概要
平成29年7月25日、国立がん研究センターが主催する第10回都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会が国立がん研究センター研究棟1階 大会議室で開催された(議事次第)。全国の都道府県がん診療連携拠点病院の施設の代表者と、各都道府県のがん対策関連部署の職員等が参加した。
開会にあたり、国立がん研究センターの若尾文彦がん対策情報センター長より「第3期がん対策推進基本計画を踏まえて今後見直しされる、がん診療連携拠点病院の整備指針に現場の意見を反映させ、有効なものにするため、活発な議論をお願いしたい」とのあいさつがあった。
来賓として、厚生労働省健康局がん・疾病対策課 渡辺真俊課長より、「現在、第3期がん対策推進基本計画の策定に向けて、最終調整を行っている。今後、がん診療連携拠点病院の指定要件の見直しやゲノム医療の拠点病院について、がん診療提供体制のあり方に関する検討会のワーキンググループを設置し、検討する予定である。我が国のがん対策の更なる発展のために議論してほしい」とのあいさつをいただいた。
議事について、まず、がん登録部会(資料1-1)、情報提供・相談支援部会(資料1-2)、緩和ケア部会(資料1-3)、臨床研究部会(資料1-4)より、それぞれ活動報告があった。
続いて、都道府県におけるがん診療の質の向上を目指した研修の企画・開催について、各都道府県の取り組みに関する事前アンケート結果と都道府県で研修会を実施するための指導者養成研修についての説明(資料2-1,参考資料1)があった。続けて、奈良県立医科大学附属病院腫瘍センターの神野正敏腫瘍センター長から、奈良県の取り組み(資料2-2)についてご発表いただいた。県内に化学療法に関する専門の医療従事者が少ないことを契機として、県内の医療機関と連携した化学療法に関する専門職を育成するための組織の立ち上げ、ワークショップの開催、副作用評価・対策の統一化、化学療法医療チーム研修の開催に至るまで、ご紹介いただいた。
都道府県レベルでのがん診療の質の向上を目指したPDCAサイクル確保の取り組みについては、
各都道府県の取り組みに関する事前アンケート結果と都道府県レベルでのPDCAサイクルの確保の方法、先行例の紹介についての説明(資料3,参考資料1)があった。
「第3期がん対策推進基本計画案(案)」を踏まえた、今後のがん診療連携拠点病院が担っていくべき役割についての討議については、都道府県及び地域がん診療連携拠点病院からの事前アンケート結果について説明(資料4,参考資料1)があった。討議において、がん診療連携拠点病院における人材育成や人員配置、小児・AYA世代に対する診療体制、緩和ケア研修会の受講などについて、がん診療連携拠点病院の指定要件についての意見交換がなされた。
がん診療連携拠点病院の整備においては、指定要件をより適正かつ具体的なものにすべきという意見や、指定要件を満たすことががん診療連携拠点病院にとって過重な負担となっているという意見、より専門的な医療を提供するがん診療連携拠点病院への集約化とそれ以外のがん診療連携拠点病院との機能分化が必要ではないかという提案もなされた。
総合討議において、患者の立場で参加しているオブザーバーの方々からは、教育者との連携の推進、患者に分かる形でのがん診療連携拠点病院の集約化と連携、遺族調査などによる緩和ケアの質の評価、在宅医療を含めた地域とがん診療連携拠点病院との連携等について、ご意見とご要望をいただいた。
これらを踏まえ、今後のがん診療の質の向上のため、本会より厚生労働省へ、第3期がん対策推進基本計画を踏まえた、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件として求められることについての意見を取りまとめて提案書を作成することについて議論がなされ、承認された。
最後に、中釜議長より本議会からの提案について委員の最終確認を得ることとして、本会の幕を閉じた。
資料
第10回 都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 次第
日時 平成29年7月25日(火) 13:00-16:00
於 国立がん研究センター研究棟1階 大会議室
主催 国立がん研究センター
Ⅰ.開会挨拶
国立がん研究センターがん対策情報センター長 若尾 文彦
Ⅱ.来賓挨拶
厚生労働省 健康局がん・疾病対策課 渡辺 真俊 がん・疾病対策課長