- 日時
- 2022年10月27日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 直腸がん局所再発の治療戦略
(栃木県立がんセンター発信)
司会 栃木県立がんセンター 副センター長 藤田 伸
直腸癌外科手術の工夫、さらに薬物療法、放射線療法の進化で直腸癌術後局所再発割合は、大きく低下した。直腸癌局所再発の治療は、外科切除が大きな役割を果たしてきたが、さらなる治療成績の改善が求められている。このカンファレンスでは、局所再発リスクを減らす直腸癌治療、局所再発の外科的治療、集学的治療、重粒子線治療について議論したい。
1. 直腸癌治療と局所再発
栃木県立がんセンター 副センター長 藤田 伸
TME(全直腸間膜切除)、側方郭清以前の直腸癌外科手術の局所再発割合は、20%から40%と高いものであった。手術法の改善(TME,側方郭清)と周術期補助療法の進化(化学放射線療法)により局所再発割合は5から10%にまで低下した。直腸癌治療の変遷をたどり、局所再発リスクを減らす直腸癌治療についてまとめてみたい。
2. 直腸癌局所再発の外科的治療
国立がん研究センター東病院 大腸外科医長 塚田 祐一郎
局所再発は直腸癌術後の再発として比較的頻度の高い再発形式である。R0切除が可能と判断された場合には根治を目指して手術を行うことが大腸癌治療ガイドラインで推奨されているが、高侵襲・高難度手術が必要なことが多く、外科医には豊富な知識と経験が求められる。また、切除可能な直腸癌局所再発に対する術前治療の有用性も明らかとはされておらず、現在JCOG臨床試験(JCOG1801)にて検証中である。直腸癌局所再発の手術治療および集学的治療のこれまでのデータと今後の展望について解説する。
3. 直腸癌術後局所再発に対する重粒子線治療の現状と将来
量子科学技術研究開発機構QST病院 病院長 山田 滋
重粒子線は優れた線量分布と高い生物学的効果を有する放射線である。今回、2003年から2020年まで大腸癌術後骨盤内再発に対し重粒子線治療を施行した584例を解析したので報告する。原発巣は直腸535例でS状結腸25例であった。治療成績は全症例では局所制御率3年81%、5年74%で全生存率は3年66%、5年43%であった。X線治療後の再発96例では、局所制御率は 3年84%、5年76%で全生存率 3年74%、5年55%であった。手術困難な症例に対しては治療の選択枝となりうることが示された。