神経芽腫が疑われる場合、視診や触診などの診察に加え、尿検査・血液検査が行われます。そして、腫瘍発生部位の確認や病期分類のために超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査、遠隔転移の診断のためにMIBG(メタヨードベンジルグアニジン)シンチグラフィ、骨転移の確認のためにX線検査、骨シンチグラフィなどの画像診断が行われます。骨髄転移の有無を調べるために、骨髄検査も行われます。また、病理診断と分子生物学的診断のために組織生検(腫瘍の一部を切り取ること)が行われます。
1.尿検査・血液検査
神経芽腫の腫瘍細胞では、神経伝達物質であるカテコールアミンが増加します。カテコールアミンは、体内で代謝されると、バニリルマンデル酸(VMA)とホモバニリン酸(HVA)となって尿中に排泄されるため、尿検査でこれらの値を調べて確認します。ただし、一部の神経芽腫ではVMA、HVAの値が増えないことがあります。
血液中の腫瘍マーカーである神経特異エノラーゼ(NSE)、乳酸脱水素酵素(LDH)、フェリチンなどが高値を示すこともあるため、血液検査を行います。骨髄に転移している場合は、貧血や血小板減少が認められることがあります。
2.画像診断
超音波(エコー)検査は超音波を、CT検査はX線を、MRI検査は磁気を使った検査です。腫瘍の発生部位を確認したり、腫瘍の大きさや周囲への広がり方を調べて、がんの進行の程度を判定(病期分類)するのに役立ちます。
MIBGシンチグラフィは、メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)という物質が神経芽腫の腫瘍部位に集まる性質があることから、発生部位の確認だけでなく、遠隔転移巣の診断にも役立つ検査です。ごくまれに、MIBGが腫瘍部位に集まらないこともありますが、その際にはPET検査が有用な場合があります。
また、骨転移の有無や広がりの程度を調べるためにX線検査や骨シンチグラフィなどの検査も行われます。
3.骨髄検査
骨髄検査は、腫瘍細胞が骨髄まで浸潤しているかどうかを調べるために行います。左右の腸骨(腰の骨)から骨髄液を吸引して、顕微鏡を用いて診断します。
4.病理検査
神経芽腫の確定診断は、腫瘍摘出や生検により採取した腫瘍組織を顕微鏡で調べて決定します。
病理組織は、後述の国際神経芽腫病理分類(INPC:International Neuroblastoma Pathology Classification)に従って分類され、神経芽腫の予後の判定に重要な役割を果たします。