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胃がん(いがん)

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更新日:2012年12月04日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2007年04月02日
更新履歴
2012年12月04日 内容更新
2012年10月26日 更新履歴追加
2012年06月05日 内容更新、新しいタブ形式に変更

1.胃について

胃は腹部にある袋状の臓器で、食道と小腸の間にあります。小腸は十二指腸、空腸、回腸の3つの部分に分かれており、胃の出口は十二指腸とつながっています。食道との境目の入り口部分を噴門部(ふんもんぶ)、中心部分を胃体部、出口部分を幽門部(ゆうもんぶ)といいます。また、胃の壁は5層に分かれ、大別すると、最も内側の層は胃液や粘液を分泌(ぶんぴ)する粘膜、中心が胃の動きを担当する固有筋層、外側は胃全体を包む薄い膜で漿膜(しょうまく)です。

主な役割は2つあり、食物を一時的に貯蔵することと、消化する働きです。食物を食べると、喉から食道を通って胃に入ります。食道は、単なる食物の通り道にすぎませんが、胃は胃袋とも呼ばれ、食物をしばらくためておきます。その間に固形状の食物を砕いて細かくしたり、胃液と混ぜ合わせ粥(かゆ)状になるまで消化し、適量ずつ十二指腸へ送り出します。
【胃の働きについて】
食物の消化と栄養の吸収は、主に小腸の役割ですが、ビタミンB12、鉄、カルシウムは胃で吸収されます。胃の粘膜から分泌される胃液には、塩酸と消化酵素のペプシノゲンが含まれています。また、胃液の分泌を調節するガストリンというホルモンも分泌されています。塩酸は、強い酸性により殺菌し、胃の中に一定時間蓄えられた食物の腐敗を防ぎます。ペプシノゲンは、塩酸と混じると分解され、ペプシンに変化し、タンパク質を分解して食物をどろどろの粥状にする役割があります。胃の動きと胃液の働きによって、粥状になった胃の内容物は適量ずつ十二指腸に送り出され、小腸で効率のよい消化吸収が行われ、食後数時間から半日くらいは食事をする必要がないようにできています。
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図1 胃の構造
図1 胃の構造

2.胃がんとは

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になったものです。細胞の分類としては、組織型(顕微鏡で観察したがん細胞の外見)のほとんどが腺がん用語集アイコンで、分化度用語集アイコンは大きく分類すると、分化型と未分化型に分けられます。同じ胃がんでも、細胞の組織型や分化度で治療方針は異なります。
【胃がんについて、さらに詳しく】
胃がんは、粘膜内の分泌細胞や、分泌物を胃の中に導く導管の細胞から発生します。はじめは30〜60μmの大きさで、年単位の時間がかかって5mm程度の大きさになるころから発見可能になります。そのため、胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、発生から何年もかかるといわれています。

進行するに従い、がん細胞は胃の壁の中に入り込み、全体を包む漿膜の外に出て、近くにある大腸、肝臓、膵臓などに浸潤用語集アイコンします。この外方向への進行の程度は、深達度(しんたつど)用語集アイコンと呼ばれています。がんの種類によって、胃の内側へも突出するように進行するものと、水平方向に広がるもの(表層進展型)があります。
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【スキルス胃がんについて】
特殊な胃がんとして、胃の壁の中を広がるように浸潤し、粘膜の表面にはあまりあらわれない「スキルス胃がん」があります。胃の粘膜面へがんが突出することが少ないため、胃X線検査や内視鏡検査でも診断が難しいことがあります。早期の段階での発見が難しいため、進行した状態で発見されることが多く、治療が難しい胃がんの種類の1つです。がん細胞の増殖が速い傾向がある未分化型がんが、スキルス胃がんと同様であると誤解されることがありますが、未分化型がんであっても、深達度の浅い早期がんであれば、スキルス胃がんではありません。 
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3.胃がんの原因

胃がん発生については、多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘され、喫煙や食生活などの生活習慣や、ヘリコバクターピロリ用語集アイコン菌の持続感染などが原因となりうると評価されています。

食生活については、塩分の多い食品の摂取や、野菜、果物の摂取不足が指摘されています。また、ヘリコバクターピロリ菌については、日本人の中高年の感染率は非常に高く、若年層では低下していますが、感染した人の全てが胃がんになるわけではありません。現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果が集積されつつありますので、感染していることがわかれば、除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。感染の有無にかかわらず、禁煙する、塩や高塩分食品のとり過ぎに注意する、野菜、果物が不足しないようにするなどの配慮が重要となります。

4.症状

胃がんは、早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸焼け、吐き気、食欲不振などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こります。検査をしなければ確定診断はできませんので、症状に応じた胃薬をのんで様子をみるよりも、まず医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。症状の原因が、胃炎や胃潰瘍の場合でも、内視鏡検査などで偶然に、早期胃がんが発見されることもあり、貧血や黒色便が発見のきっかけになる場合もあります。食事が喉に通らない、つかえる、体重が減る、といった症状は、進行胃がんの可能性もあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。

5.疫学・統計

胃がんの罹患率用語集アイコン、死亡率を、年齢別にみた場合、ともに40歳代後半から増加し始め、男女比では男性のほうが女性より高くなります。また、死亡率の年次推移は、1960年代から男女とも減少傾向にあります。

がんで亡くなった人数を部位別に多い順に並べると、最新の統計データでは男女とも胃がんが第2位となっています。

罹患率の国際比較では、東アジア(中国、日本、韓国など)や南米で高く、欧米など白人では低くなっています。また、アメリカでは、日系、韓国系、中国系移民の罹患率が白人より高くなっていますが、それぞれの本国在住者よりは低い傾向にあります。一方、日本国内では、東北地方の日本海側で高く、南九州、沖縄で低い「東高西低」型を示しています。 

詳しい統計については、「集計表のダウンロード(医療関係者の方へ)」をご参照ください。

6.胃がん検診

早期胃がんの場合は、多くの患者さんが検診によって発見されています。症状の有無にかかわらず、毎年定期的に検診を受けることが、早期発見のために最も重要なことです。

胃の検査方法として一般的なものは、「胃X線検査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。

詳しくは、「がん検診について」をご参照ください。
【胃がん検診について、さらに詳しく】

1)胃X線検査

胃X線検査は、バリウム(造影剤)と発泡剤(胃をふくらませる薬)をのみ、胃の中の粘膜を観察する検査です。胃がんを見つけることが目的ですが、良性の病気である潰瘍(かいよう)やポリープも発見されます。検査の感度(がんの有無を正しく診断できる精度)は、70〜80%です。検査当日は朝食が食べられないなど、検査を受ける際の注意事項があります。検査に伴って起こりうる有害事象としては、検査後の便秘やバリウムの誤嚥用語集アイコン(ごえん)等があります。

2)内視鏡検査

胃の中を内視鏡で直接観察する検査です。内視鏡を口や鼻から挿入するため、検査の準備として、喉の麻酔や鎮静剤や鎮痛剤などの注射を用いることがあります。内視鏡検査は、胃の中の小さな病変を見つけることが可能で、胃X線検査でがんなどが疑われた場合、確定診断をつけるための精密検査として行われます。ただし、注射や麻酔によるショック、出血や穿孔(胃の粘膜に穴を開けてしまうこと)といったことがまれにあるため、検査の準備と内容については、検査前に担当医へご確認ください。

3)ペプシノゲン検査

血液検査によって、胃粘膜の萎縮度(いしゅくど)を調べます。胃がんを直接見つけるための検査ではありませんが、一部の胃がんは萎縮の進んだ粘膜から発生することがあるため、この検査で発見されることがあります。陽性と判定された場合は、胃がんになる可能性があるので、定期的な検診を受けることが望ましいといえます。

4)ヘリコバクターピロリ抗体検査

血液検査などによって、ヘリコバクターピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。ヘリコバクターピロリ菌は、胃がんの原因となりうる細菌ですが、感染した人が全て胃がんになるわけではありません。この検査では、感染しているかどうかはわかりますが、胃がんの診断はできないので、基本的には胃X線検査や内視鏡検査を受けることが勧められます。
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