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胃がん(いがん)

更新日:2015年10月31日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2007年04月02日
更新履歴
2015年10月31日 最新の情報を確認し、「5.疫学・統計」などを更新しました。
2012年12月04日 内容を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。
2012年06月05日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。

1.胃について

胃は食道と小腸の間に位置する袋状の臓器です(図1)。胃の入り口部分は食道との境目にあたり噴門部(ふんもんぶ)と呼ばれ、中心部分は胃体部といいます。胃の出口は小腸の一部である十二指腸とつながっており、幽門部(ゆうもんぶ)と呼ばれます。

胃の壁は内側から順に、胃液や粘液を分泌(ぶんぴ)する粘膜、粘膜を支える粘膜筋板、粘膜と固有筋層をつなぐ粘膜下層、胃の動きを担当する固有筋層、胃全体を包む薄い膜である漿膜(しょうまく)の5層に大別されます。

胃の主な役割は、食物を一時的に貯蔵し、その食物を消化することです。食物を食べると、喉から食道を通って胃に入ります。食道は、単なる食物の通り道にすぎませんが、胃は胃袋とも呼ばれ、食物をしばらくためておくことができます。その間に固形状の食物を砕いて細かくしたり、胃液と混ぜ合わせ粥(かゆ)状になるまで消化し、適量ずつ十二指腸へ送り出します。
【胃の働きについて】
食物の消化と栄養の吸収は主に小腸の役割ですが、ビタミンB12、鉄、カルシウムは胃で吸収されます。胃の粘膜から分泌される胃液には、塩酸と消化酵素のペプシノゲンが含まれています。また、胃液の分泌(ぶんぴ)を調節するガストリンというホルモンも分泌されています。塩酸は強い酸性で、胃の中を殺菌し、一定時間蓄えられた食物の腐敗を防ぎます。ペプシノゲンは塩酸と混じると分解され、ペプシンに変化し、タンパク質を分解して食物をどろどろの粥状にする役割があります。胃の動きと胃液の働きによって、粥状になった胃の内容物は適量ずつ十二指腸に送り出され、小腸で効率のよい消化吸収が行われ、食後数時間から半日くらいは食事をする必要がないようにできています。
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図1 胃の構造
図1 胃の構造

2.胃がんとは

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで生じます。胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれています。大きくなるにしたがってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜(しょうまく)やさらにその外側まで侵食し、近くにある大腸や膵臓(すいぞう)にも広がっていきます。がんがこのように広がることを浸潤(しんじゅん)といいます。

がん細胞の組織型(細胞を顕微鏡で観察した外見)分類では、胃がんのほとんどを腺がんが占めています。細胞の分化度は、大きく分類すると分化型と未分化型に分けられ、一般的に、分化型は進行が緩やかで、未分化型はがん細胞の増殖が速いため進行が速い傾向があるといわれています。なお、未分化型は、特殊なタイプの胃がんであるスキルス胃がんだと誤解されることがありますが、未分化型であっても深達度(しんたつど)の浅い早期がんもあり、分化型でスキルス胃がんになることもあります。
【スキルス胃がんについて】
スキルス胃がんは胃がんの10%前後を占めており、女性や若年者の胃がんにもみられます。がんの進行に伴い吐き気や上腹部痛、上腹部膨満感など、さまざまな症状が出現しますが、スキルス胃がんに特有の症状はありません。また、スキルス胃がんは、胃の壁の中をしみこむように浸潤し、粘膜の表面にはあまりあらわれないため、内視鏡検査でも診断が難しいことがあります。また、腹膜播種(ふくまくはしゅ)やリンパ節転移の頻度が高いため、治癒切除が困難なことが多く、予後が悪い傾向にあり、治療が難しい胃がんの種類の1つです。近年、抗がん剤による治療効果の向上が期待されています。
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3.胃がんの原因

胃がんの発生については多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。中でも、喫煙や食生活などの生活習慣や、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが胃がん発生のリスクを高めると評価されています。食生活については、塩分の多い食品の過剰摂取や、野菜、果物の摂取不足が指摘されています。

日本人のヘリコバクターピロリ菌の感染率は、中高年で高く、若年層では近年低下傾向にあります。ヘリコバクターピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありませんが、現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果が集積されつつあります。感染していることがわかれば除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。感染の有無に関わらず、禁煙する、塩や高塩分食品のとり過ぎに注意する、野菜、果物が不足しないようにするなどの配慮が重要となります。

4.症状

胃がんは、早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)の場合でも起こります。検査をしなければ確定診断はできませんので、症状に応じた胃薬をのんで様子をみるよりも、まずは医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。症状の原因が、胃炎や胃潰瘍の場合でも、内視鏡検査などで偶然に、早期胃がんが発見されることもあり、貧血や黒色便が発見のきっかけになる場合もあります。食事がつかえる、体重が減る、といった症状は、進行胃がんの可能性もあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。

5.疫学・統計

胃がんの罹患(りかん)率は40歳代後半以降に高くなります。日本全体では、一昔前の同年代の人々と比べると、人口10万人あたりの罹患率は男女とも大きく減ってきていますが、高齢化のために胃がんにかかる人の全体数は横ばいです。がんで亡くなった人の数では、全がんの中で胃がんは2013年時点で男性では2位、女性では3位ですが、以前と比べると、胃がんで亡くなる人の割合は減ってきています。

罹患率の国際比較では、東アジア(中国、日本、韓国など)や南米で高く、欧米など白人では低くなっています。また、アメリカでは、日系、韓国系、中国系移民の罹患率が白人より高くなっていますが、それぞれの本国在住者よりは低い傾向にあります。一方、日本国内では、東北地方の日本海側で高く、南九州、沖縄で低い「東高西低」型を示しています。

6.胃がん検診

早期胃がんは、多くの患者さんが検診によって発見されています。症状の有無に関わらず、定期的に検診を受けることが、早期発見のために最も重要なことです。

胃の検査方法として一般的なものは、胃X線検査および胃内視鏡検査です。
【胃がん検診について、さらに詳しく】

1)胃X線検査

胃X線検査は、バリウム(造影剤)と発泡剤(胃をふくらませる薬)をのみ、胃の中の粘膜を観察する検査です。胃がんを見つけることが目的ですが、良性の病気である潰瘍やポリープも発見されます。検査の感度(全がんを分母としたときの見つけることのできるがんの頻度)は、70~80%です。検査当日は朝食が食べられないなど、検査を受ける際の注意事項があります。検査に伴って起こりうる有害事象としては、検査後の便秘やバリウムの誤嚥(ごえん)などがあります。

2)内視鏡検査

胃の中を内視鏡で直接観察する検査です。内視鏡を口や鼻から挿入するため、検査の準備として、喉や鼻の麻酔、鎮静剤や鎮痛剤などの注射を用いることがあります。内視鏡検査は、胃の中の小さな病変を直接見つけることが可能で、胃X線検査でがんなどが疑われた場合でも、確定診断をつけるための精密検査として行われます。ただし、注射や麻酔によるショック、出血や穿孔(せんこう:胃の壁に穴が開いてしまうこと)といったことがまれにあるため、検査の準備と内容については、検査前に担当医にご確認ください。

3)ペプシノゲン検査

血液検査によって、胃粘膜の萎縮度(いしゅくど)を調べます。胃がんを直接見つけるための検査ではありませんが、一部の胃がんは萎縮の進んだ粘膜から発生することがあるため、この検査をきっかけにして胃がんが発見されることがあります。陽性と判定された場合は、検診を受けることが望ましいといえます。

4)ヘリコバクターピロリ抗体検査

血液検査などによって、ヘリコバクターピロリ菌に感染している、または、感染したことがあるかどうかを調べることができます。ヘリコバクターピロリ菌感染は、胃がんの発生リスクを高めますが、感染した人がすべて胃がんになるわけではありません。この検査では胃がんの診断はできないので、基本的には胃X線検査や内視鏡検査を受けることが勧められます。
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【参考文献】
  1. 日本胃癌学会編:胃癌取扱い規約 第14版(2010年3月);金原出版
  2. 日本胃癌学会編:胃癌治療ガイドライン 2014年第4版;金原出版
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