HOME > 予防・検診 > がんの発生原因と予防 > 科学的根拠に基づくがん予防

科学的根拠に基づくがん予防

がんになるリスクを減らすために
更新日:2017年11月09日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年11月09日 「冊子 科学的根拠に基づくがん予防」を基に「日本人のためのがん予防法」の内容を再構成し、タイトルを「科学的根拠に基づくがん予防」と変更しました。
2017年10月16日 「がん予防」から「がんの発生原因と予防」に移動しました。
2016年08月31日 「日本人のためのがん予防法」の表3(喫煙)、推奨1(喫煙)を更新しました。
2015年12月24日 「日本人のためのがん予防法」の推奨3(食事)を更新しました。
2015年01月27日 「日本人のためのがん予防法」の推奨6(感染)を更新しました。
2014年09月25日 「日本人のためのがん予防法」の推奨3(食事)、4(身体活動)、5(体形)を更新しました。
2013年09月13日 内容を更新しました。
2011年01月05日 内容を更新しました。
2006年10月01日 掲載しました。

1.はじめに

今、日本人の2人に1人が、一生のうち一度はがんになるというデータがあります。がんは日本人にとって身近な病気で、その予防は多くの人の関心を集めるテーマです。

このページでは、日本人を対象とした研究結果から定められた「科学的根拠に基づいた『日本人のためのがん予防法』」についてまとめています。

1人でも多くの方がこのページをご参照いただき、より健康的な生活習慣を生活に取り入れていただけるように願っています。
この内容は、平成28年7月時点でのエビデンスに基づいて作成しております。今後新しい研究知見の報告などにより、推奨される内容に変更が生じる可能性があります。最新情報については、下記のサイトをご参照ください。

関連情報

2.がん研究から「がん予防」へ

1)日本人におけるがんの要因

図1は、日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると思われる割合をまとめたものです。
「全体(※1)」の項目に示されている、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、ここにあげた生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。
図1 日本人におけるがんの要因
図1 日本人におけるがんの要因
Inoue, M. et al.: Ann Oncol, 2012; 23(5): 1362-9より作成

※1 棒グラフ中の項目「全体」は、他の項目の合計の数値ではなく、2つ以上の生活習慣が複合して原因となる「がんの罹患」も含めた数値です。

2)科学的根拠に根ざしたがん予防ガイドライン「日本人のためのがん予防法」(※2)

国立がん研究センターをはじめとする研究グループでは、日本人を対象としたこれまでの研究を調べました。その結果、日本人のがんの予防にとって重要な、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つの要因を取りあげ、「日本人のためのがん予防法」を定めました。

このうち、「感染」以外は日頃の生活習慣に関わるものです。
これから紹介する5つの健康習慣を実践することで、あなた自身の努力でがんになる確率を低くしていくことが可能です。
図2 がんリスクを減らす健康習慣
図2 がんリスクを減らす健康習慣
関連情報
※2 【社会と健康研究センター】外部サイトへのリンク日本人のためのがん予防法

3)5つの健康習慣を実践することでがんリスクはほぼ半減します

実際に、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人では、将来がんになる確率はどれくらい違うのでしょうか。

国立がん研究センターでは、日本全国の11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40歳から69歳の男女、総計140,420 人を対象に、生活習慣とがんやほかの病気の罹患(りかん)についての追跡調査を実施してきました。その結果、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されました(図3)。

5つの健康習慣をどう実践すればよいのかこのページで具体的に説明していきます。
図3 「5つの健康習慣」でがんになるリスクが低くなります
図3 「5つの健康習慣」でがんになるリスクが低くなります
Sasazuki, S. et al.: Prev. Med., 2012; 54(2):112-6より作成

3.禁煙する

1)たばこは吸わない

日本人を対象とした研究の結果から、たばこは肺がんをはじめ食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんなど多くのがんに関連することが示されました。
たばこを吸う人は吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まることもわかっています。

2)他人のたばこの煙を避ける

受動喫煙でも肺がん(特に腺がんタイプ)や乳がんのリスクは高くなります。たばこは吸う本人のみならず、周囲の人の健康も損ねます。

禁煙はがん予防の、大きく、確実な一歩。
吸っている人は禁煙し、吸わない人はたばこの煙をなるべく避けて生活しましょう。
禁煙の方法~ひとりでやろうとせず専門医に相談~
まずは喫煙のリスクを理解することから始めましょう。
禁煙外来など専門家と共に取り組むことも成功への近道です。医療保険で受診できる場合もありますし、現在では、禁煙補助薬を使った禁煙プログラムなどもあります。地域の医療機関を探し、ぜひ禁煙に取り組んでみましょう。

4.節酒する

多量の飲酒でがんのリスクが高くなることが、日本人男性を対象とした研究でわかりました。
1日あたりの平均アルコール摂取量が、純エタノール量で23g未満の人に比べ、46g以上の場合で40%程度、69g以上で60%程度、がんになるリスクが高くなります。

特に飲酒は食道がん、大腸がんと強い関連があり、女性では男性ほどはっきりしないものの、乳がんのリスクが高くなることが示されています。女性のほうが男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。

飲む場合は純エタノール量換算で1日あたり約23g程度までとし、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。
飲酒量の目安(1日あたり純エタノール量換算で23g程度)
毎日飲む人は以下のいずれかの量までにとどめましょう。
日本酒 … 1合
ビール大瓶(633ml) … 1本
焼酎・泡盛 … 原液で1合の2/3
ウィスキー・ブランデー … ダブル1杯
ワイン … ボトル1/3程度

5.食生活を見直す

これまでの研究から、「塩分のとりすぎ」「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、がんの原因になるということが明らかになっています。このことから、塩分を抑え、野菜と果物を食べ、熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてからとるという3つのポイントを守ることで、日本人に多い胃がんのリスクや、食道がん、食道炎のリスクが低くなります。

1)減塩する

調査から、食塩摂取量の多い男性のグループでは胃がんのリスクが高いことがわかっています。また、女性は男性ほどはっきりした関連はみられないものの、いくら、塩辛などの塩分濃度の高い食べ物をとる人は男女ともに胃がんのリスクが高いという結果も報告されています。
塩分を抑えること、すなわち減塩は、胃がんの予防のみならず、高血圧、循環器疾患のリスクの低下にもつながります。
食塩摂取量の目安
日本人の食事摂取基準(厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準2015年版」)では、1日あたりの食塩摂取量を男性は8.0g未満、女性は7.0g未満にすることを推奨しています。塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にするよう心がけましょう。

2)野菜と果物をとる

野菜と果物の摂取が少ないグループでは、がんのリスクが高いことが示されています。しかし、野菜や果物を多くとればリスクが低下するかどうかという点に関しては明らかではありません。

特に、食道がん・胃がん・肺がんについては、野菜と果物をとることで、がんのリスクが低くなることが期待されますが、いずれのがんも喫煙との関連がとても強いため、明確な結論は出ていません。また、食道がんは飲酒との関連が強いことがわかっています。これらのことから、禁煙と節酒を心がけることがまず重要となりますが、野菜と果物をとることは、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながるので、できるだけ毎日意識的にとるようにしましょう。
野菜と果物の摂取について
野菜や果物不足にならないようにしましょう。
厚生労働省策定「健康日本21」では、1日あたり野菜を350gとることを目標としています。

3)熱い飲み物や食べ物は冷ましてから

飲み物や食べ物を熱いままとると、食道がんと食道炎のリスクが高くなるという報告が数多くあります。飲み物や食べ物が熱い場合は、少し冷まし、口の中や食道の粘膜を傷つけないようにしましょう。
熱い飲食物について
熱い飲み物や食べ物は、少し冷ましてから口にするようにしましょう。

6.身体を動かす

仕事や運動などで、身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。
身体活動量が高い人では、がんだけでなく、心疾患のリスクも低くなることから、死亡全体として考えた場合のリスクも低くなります。普段の生活の中で、可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。

1)活発な身体活動によりがんになるリスクは低下します

国立がん研究センターの研究報告(※3)によると、男女とも、身体活動量が高い人ほど、何らかのがんになるリスクが低下していました。特に、高齢者や、休日などにスポーツや運動をする機会が多い人では、よりはっきりとリスクの低下がみられました。
がんの部位別では、男性では、結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんにおいて、身体活動量が高い人ほど、リスクが低下しました。
関連情報
※3 【社会と健康研究センター】外部サイトへのリンク多目的コホート研究(JPHC Study)

2)推奨される身体活動量

では、実際にどれくらい身体を動かすとよいのでしょうか?
厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、18歳から64歳の人の身体活動について、“歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行うこと”、それに加え、“息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分程度行うこと”を推奨しています。

同様に、65歳以上の高齢者については、“強度を問わず、身体活動を毎日40分行うこと”を推奨しています。また、すべての世代に共通で、“現在の身体活動量を少しでも増やすこと”、“運動習慣をもつようにすること”が推奨されています。
推奨される身体活動量の目安
●身体活動の取り組み方
現在の身体活動量を、少しでも増やしましょう。
例えば、今より毎日10分ずつ長く歩くなど。
●運動の取り組み方
運動習慣をもつようにしましょう。
例えば、30分以上の運動を週2日以上行うなど。

7.適正体重を維持する

これまでの研究から、男性の場合、肥満度の指標であるBMI(※4)値21.0~26.9でがんのリスクが低く、女性は21.0~24.9で死亡のリスクが低いことが示されました。
※4 BMI:Body Mass Index 肥満度を表す指標です。値が高くなるほど、肥満度が高いことを表します。
   BMI値=(体重kg)/(身長m)2

1)太りすぎ痩せすぎに注意

中高年の日本人を対象に行われた研究報告をまとめ、がんによる死亡のリスクと、総死亡(すべての原因による死亡)のリスクが、BMI値によって、どう変化しているかをBMI値23.0~24.9を基準(1.0)としてグラフに表すと、図4のようになりました。
図4 BMI値と死亡リスクとの関連(日本の7つのコホート研究のプール解析 )
図4 BMI値と死亡リスクとの関連(日本の7つのコホート研究のプール解析 )
社会と健康研究センター予防研究グループ「肥満指数(BMI)と死亡リスク」より作成
この図をみると、男女とも、がんを含むすべての原因による死亡リスクは、太りすぎでも痩せすぎでも高くなることがわかります。

がんの死亡リスクに関しては、男性では肥満よりも痩せている人のほうが高くなりました。ただし、たばこを吸わない場合には、痩せていてもがんの死亡リスクは高くならないことが報告されています。
女性においては、がんによる死亡リスクはBMI値30.0~39.9(肥満)で25%高くなりました。特に閉経後は肥満が乳がんのリスクになることが報告されていますので、太りすぎに注意しましょう。

健康全体のことを考えると、男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理するのがよいようです。
推奨される身体活動量の目安
男性はBMI値21~27、女性はBMI値21~25の範囲になるように体重を管理するのがよいでしょう。
自分のBMIを計算してみよう図
関連情報
※3 【社会と健康研究センター】外部サイトへのリンク肥満指数(BMI)と死亡リスク

8.「感染」もがんの主要な原因です

日本人のがんの原因として、女性で一番、男性でも二番目に多いのが「感染」です。以下のようなウイルス・細菌感染と、がんの発生との関係があるとされています。
ウイルス・細菌 がんの種類
B型・C型肝炎ウイルス 肝がん
ヘリコバクター・ピロリ菌 胃がん
ヒトパピローマウイルス(HPV) 子宮頸がん
ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型 (HTLV-1) 成人T細胞白血病・リンパ腫
いずれの場合も、感染したら必ずがんになるわけではありません。それぞれの感染の状況に応じた対応をとることで、がんを防ぐことにつながります。
●地域の保健所や医療機関で、一度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。感染がわかった場合には、専門医に相談しましょう。
●これらの感染について心配なことは、医療機関や、がん相談支援センターに相談しましょう。

科学的根拠に基づくがん予防
301.科学的根拠に基づくがん予防(PDF)

・【社会と健康研究センター】外部サイトへのリンクがんリスクチェック
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートページへ
用語集
このページの先頭へ