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たばことがん もっと詳しく知りたい方へ

更新日:2017年10月16日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年10月16日 「がんの発生原因」から「がんの発生原因と予防」に移動しました。
2017年10月05日 「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)」より内容の更新をし、タイトルを「喫煙とがん」から「たばことがん もっと詳しく知りたい方へ」に変更しました。
2009年01月09日 更新しました。
2001年07月06日 掲載しました。

1.がんの原因となるたばこ

がんを予防するためには、たばこを吸わないことが最も効果的です。日本の研究では、がんになった人のうち、男性で30%、女性で5%はたばこが原因だと考えられています。また、がんによる死亡のうち、男性で34%、女性で6%はたばこが原因だと考えられています。

現在吸っている人も、禁煙することによってがんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)を下げることができます。

また、たばこは、がんだけでなく、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳卒中などの循環器の病気や、慢性閉塞性(へいそくせい)肺疾患(COPD)などの呼吸器の病気の原因でもあります。

さらに、たばこを吸うことは、本人だけでなく、吸わない周りの人にも肺がんなどの健康被害を引き起こします。

2.たばこを吸う人の割合

習慣的にたばこを吸う人の割合(喫煙率)は、この約50年間で低下してきましたが、近年は下げ止まりの傾向にあります。

男性の喫煙率は、減少傾向が続き、2015年では30.1%となっています。女性の喫煙率は、10%前後を推移しながら横ばいからやや減少傾向になり、2015年では7.9%です(図1)。
図1 喫煙率の推移
図1 喫煙率の推移
厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成6年~平成27年)」より作成
関連情報
最新の喫煙率については以下のページをご覧ください。
喫煙率(がん登録・統計)がん登録・統計へのリンク

習慣的にたばこを吸う人(喫煙者)の中には、たばこをやめたいと思っている人も多くいます。「やめたい」と回答した人は約3割で、「本数を減らしたい」と回答した人を合わせると、男女とも半数を超えています(図2)。その一方で、たばこを「やめたくない」と回答した人は男性で約3割、女性では約2割です。
図2 禁煙の意思
図2 禁煙の意思
厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査報告」より作成
国民健康づくり運動「健康日本21」(第二次)では、「たばこをやめたい喫煙者が2022年度までに全員禁煙すれば、わが国全体の喫煙率が12%に低下する」として、目標値を定めています。この目標値は、「がん対策推進基本計画」にも使われていますが、喫煙率は期待したように下がっていません。

このことは、がん対策推進基本計画の数値目標「75歳未満の年齢調整死亡率20%減少」が達成できない理由の1つになっています。

3.たばこががんを引き起こす仕組み

たばこの煙の中には、たばこ自体に含まれる物質と、それらが不完全燃焼することによって生じる化合物が含まれています。その種類は合わせて約5,300種類と報告されています。その中には、多環芳香族炭化水素類(たかんほうこうぞくたんかすいそるい;PAH)やたばこ特異的ニトロソアミン類をはじめとする、発がん物質が約70種類含まれています。

これらの有害物質は、たばこを吸うと速やかに肺に到達し、血液を通じて全身の臓器に運ばれます。DNAに損傷を与えるなど、がんの発生メカニズムのさまざまな段階へ関与して、がんの原因となります。

4.たばこと関連のあるがん

たばことがんの関連については、数多くの研究が行われ、国際機関の総括報告にまとめられてきました。これらの報告は一貫して、喫煙が肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となると結論付けています。

厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会(2016年)では、国際機関による総括報告に加え、日本人を対象とした研究報告を再検討し、たばこと病気の因果関係(たばこをなくすことで病気の発生を減らすか、遅らせることができること)を4段階で判定しました(表1)。
表1 喫煙と疾患の因果関係判定
レベル1 科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である
レベル2 科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない
レベル3 科学的証拠は、因果関係の有無を推定するのに不十分である
レベル4 科学的証拠は、因果関係がないことを示唆している
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より作成

この研究から、肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔(びくう)・副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱および子宮頸(けい)部のがんについて、喫煙とがんの因果関係が明らかになっています(図3)。
図3 たばこを吸っている本人がなりやすいがんの種類(科学的に明らかなもの:レベル1※1)
図3 たばこを吸っている本人がなりやすいがんの種類(科学的に明らかなもの:レベル1※1)
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より作成
※1 たばこによる健康影響は、さまざまなものがあります。レベル2の健康影響については、下記の「9.さらに知りたい人のために[喫煙と健康 厚生労働省喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)の概要を知りたい人のために]」をご覧ください。
胃がんはピロリ菌、肝臓がんは肝炎ウイルス、子宮頸がんはヒトパピローマウイルスによる感染も主な原因とされていますが、喫煙もがんとの因果関係が明らかになっています。

鼻腔・副鼻腔がんや膀胱がんなどは他のがんに比べて症例が少なく、研究も少ないですが、たばこを吸っている年数が長いほど、また1日のたばこ本数が多いほどがんになりやすい傾向がみられています。

これらの判定は、アメリカ公衆衛生総監報告(2006年、2014年)や国際がん研究機関「ヒトへの発がん性リスク評価モノグラフ」(2004年、2012年)など、海外で行われた評価とほぼ同じ結果になっています。

5.がん患者とたばこ

がん患者がたばこを吸うことは、再発・転移とは別に、新たに発生するがん(二次がん)の原因となることが明らかになっています。

また、喫煙量の増加に伴い二次がんのリスクが高まること、がんの診断後に禁煙した患者は、たばこを吸い続けた患者と比較して二次がんが発生するリスクが下がることが報告されています。

がん患者にとって、たばこはがんの再発のリスクを高めるだけでなく、治療効果を下げる原因にもなると考えられています(表2)。喫煙は、肺がん患者の予後悪化との因果関係も十分であるとされています。
表2 たばこを吸っているがん患者の悪影響(レベル1と2)
  評価(判定) 悪影響
レベル1 科学的根拠は、因果関係を推定するのに十分である 再発・転移とは別に、新たに発生するがん(二次がん)、肺がん患者の予後悪化
レベル2 科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない がん患者全体の予後悪化、がんの再発、治療効果低下
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より作成

6.禁煙の治療

たばこには依存性があるため、禁煙するためには支援が必要であると考えられています。毎年喫煙者の約3分の1が禁煙を試みているものの、そのほとんどが自力での禁煙を試みていることもあって、1年以上の長期間の禁煙に成功できる人はわずか1~3%であるという報告もあります。

たばこ依存症の人が確実に禁煙するためには、行動療法および薬物療法による治療が効果的です。禁煙治療(5回の診察すべて)を受けた人では、治療終了時で約75%、治療終了9カ月後でも約50%の人が禁煙に成功しています。

わが国では禁煙治療は保険適用となっています。健康保険を利用した場合、禁煙治療は12週間を基本とし、その間に5回の診察を受けます(図4)。自己負担3割の場合、5回の診療の費用は1万3,000円~2万円程度で、治療期間中たばこを1日1箱ずつ吸い続ける金額よりも安くなります。

2016年度には、未成年者や若年の喫煙者へも保険の適用が拡大されました。これまでは、おおむね喫煙年数が10年を経過していなければ保険適応にならない仕組みとなっていましたが、35歳未満の人についてはこの条件が撤廃され、未成年者や若年の喫煙者でも保険を使って禁煙治療を受けることが可能になりました。
図4 禁煙治療の流れ
図4 禁煙治療の流れ
日本循環器学会・日本肺癌学会・日本癌学会・日本呼吸器学会「禁煙治療のための標準手順書第6版」(2014年)より作成

7.禁煙の効果

今すぐ禁煙するか、あるいはその努力をすることで、長期的な健康被害の可能性を大幅に低減できます。
禁煙してから10年後には、肺がんのリスクが喫煙者に比べて約半分に低下し、口腔がん、食道がん(扁平上皮がん)、胃がん、喉頭がん、膀胱がん、子宮頸がん(扁平上皮がん)のリスクも低下することが報告されています(表3)。

喫煙者は、生涯たばこを吸わない人より10年程度余命が短くなるという報告もあります。ただし、35歳より前に禁煙すれば、たばこによる死亡リスクの増加を回避できることも報告されています。喫煙によって日常生活動作の低下や認知症の発症リスクが上昇することも示唆されています。禁煙によって、健康に長生きできる可能性が高まるのです。

がん以外の循環器や呼吸器の病気は、禁煙してから1年程度で大幅にリスクが低下することが示されています。

さらに、喫煙者本人の健康面だけでなく、火災の減少や健康保険費用の減少、受動喫煙の軽減により周りの人が健康に過ごすことができるなど、禁煙には大きなメリットがあります。
表3 禁煙による健康へのメリット ファクトシート
A. あらゆる喫煙者にとって、禁煙はすぐに、また長期的な健康上のメリットがある
禁煙してからの経過時間 健康上の好ましい変化
20分以内 心拍数と血圧が低下する
12時間 血中一酸化炭素値が低下し正常値になる
2-12週間 血液循環が改善し肺機能が高まる
1-9カ月 咳や息切れが減る
1年 冠動脈性心疾患のリスクが喫煙者の約半分に低下する
5年 禁煙後5-15年で脳卒中のリスクが非喫煙者と同じになる
10年 肺がんのリスクが喫煙者に比べて約半分に低下し、口腔、咽喉、食道、膀胱、頸部、膵臓がんのリスクも低下する
15年 冠動脈性心疾患のリスクが非喫煙者と同じになる

B. 全年齢層ですでに喫煙関連の健康問題が生じている人にもたらされるメリット。それでも禁煙のメリットはある
禁煙の時期 喫煙を続けている人と比較したメリット
30歳頃 寿命が約10年長くなる
40歳頃 寿命が9年長くなる
50歳頃 寿命が6年長くなる
60歳頃 寿命が3年長くなる
生命に関わる疾患の発症後 心臓発作の発症後に禁煙すれば、次の心臓発作が起きる可能性を50%低下させるなど、迅速な効果がある

C. 禁煙によって、呼吸疾患(喘息ほか)や中耳炎など、受動喫煙関連の多くの小児病の過度のリスクを減らすことができる

D. 禁煙によって、性的不全、不妊、早産、低出生体重児、流産の可能性が低下する
世界保健機関「たばこ使用者のための禁煙ガイド」(2014年)より作成

8.受動喫煙の影響

たばこを吸うと、本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こします(図5)。たばこを吸う本人以外がたばこの煙にさらされることを「受動喫煙(じゅどうきつえん)」と呼びます(※2)。

喫煙者が吸うたばこの煙(主流煙)の中の化学物質は、たばこ製品の燃焼部分から出る煙(副流煙)や喫煙者が吐き出す煙の中にも存在しており、受動喫煙はたばこを吸わない人の肺がんの原因の1つになります。副流煙はフィルターを通しておらず、燃焼温度が低いことから、主流煙よりも多くの有害物質を含みます。

受動喫煙と肺がんの因果関係は、科学的に明らかとなっています。がんの発生には複数のメカニズムがありますが、喫煙者本人の肺がん罹患(りかん)と、受動喫煙による肺がんの罹患の原因物質や発生プロセスは類似しています。
また、鼻腔・副鼻腔がんと乳がんについても、現在では十分ではないものの、受動喫煙と因果関係があると考えられています。

なお、受動喫煙によって、がん以外にも、虚血性心疾患、脳卒中などの影響があることが明らかになっています。

※2 受動喫煙は間接喫煙または不随意喫煙とも呼ばれます。副流煙と、主流煙の両方が含まれます。
図5 たばこを吸う人の周りの人がなりやすいがん(レベル1・レベル2)
図5 たばこを吸う人の周りの人がなりやすいがん(レベル1・レベル2)
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より作成
※3 たばこによる健康影響は、さまざまなものがあります。レベル2の健康影響については、下記の「9.さらに知りたい人のために[喫煙と健康 厚生労働省喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)の概要を知りたい人のために]」をご覧ください。
●たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(略称:たばこ規制枠組条約)
わが国は、2005年に発効したたばこ規制枠組条約の締約国です。
条約の「第八条 たばこの煙にさらされることからの保護」の第1項には、受動喫煙の影響について次のように書かれています。
「1 締約国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する。」

9.さらに知りたい人のために

国立がん研究センターでは、厚生労働省より2016年に公表された「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(通称、「たばこ白書」)の要点をとりまとめたリーフレットを作成し、公表しています。

喫煙と健康 厚生労働省喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)の概要を知りたい人のためにがん登録・統計へのリンク
文部科学省では、学校のがん教育において効果的な指導が行えるように、補助教材を作成しています。さらに、スライド資料や映像教材、ワークシートなども公開されています。

外部サイトへのリンク文部科学省 がん教育推進のための教材(平成29年6月 一部改訂)
外部サイトへのリンク文部科学省 がん教育推進のための教材 指導参考資料

10.「たばことがん」参考文献

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