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化学療法の副作用

更新日:2016年02月02日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2016年02月02日 抗がん剤治療の副作用と発現時期の図を更新しました。
2015年01月18日 抗がん剤による副作用の発現時期イラスト図をデータ更新のため削除しました。
2014年04月22日 がん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。
ここでは、主に化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療によって、治療直後から1ヵ月の間に起こる副作用について述べています。入院中は医療スタッフによって支持療法が行われます。

時間が経過して生じる副作用は「晩期合併症」といいます。晩期合併症については「長期フォローアップと晩期合併症」をご覧ください。

どんな副作用があるかということ、症状を軽くする薬や方法があること、治療が終了すれば回復していくことなどをお子さんに伝え、少しでも不安を解消するようにしましょう。

化学療法の副作用について

抗がん剤は、分裂して増殖しているがん細胞に作用する薬です。正常な細胞でも、分裂速度の速い血液細胞や口腔(こうくう)粘膜、胃腸粘膜、毛根の細胞などは、抗がん剤の作用の影響を受けやすいため、白血球減少によって感染しやすくなったり、貧血・出血・吐き気・口内炎・下痢・味覚の変化・脱毛・皮膚の障害・爪の変化などの症状が副作用としてあらわれます。また、心臓、腎臓、膀胱(ぼうこう)、肺や神経組織の細胞が影響を受けることや、生殖機能に影響が及ぶこともあります。

副作用には自覚症状のないものもあります。抗がん剤治療を行っている間は、尿や血液などの定期検査を実施して、目に見えない副作用の早期発見に努めます。

あらかじめ予想される副作用を知り、対策をたてておきましょう。心の準備ができれば不安を軽くすることができます。また、事前の対策によって副作用が予防できることもあり、さらに実際に副作用が起こったときにも、早く適切に対処できるため症状が重くなるのを防げます。

副作用の予防については、お子さんとご家族が生活上注意したり工夫したりすることで、十分に効果を上げられるものもあります。また、抗がん剤の特徴にあわせ、副作用を少なくするための薬がいろいろと研究・開発され、実際の診療で用いられています。
◆ワンポイントアドバイス

医師に伝え忘れたことはありませんか?
次のようなお子さんの場合は医師にあらかじめ伝えておきましょう。

薬や食べ物に対してアレルギーのあるお子さん
すでに薬を使っているお子さん(他の診療科や病院でもらった薬、薬局で買った薬を飲んでいるお子さん)
今までに薬による副作用を経験したことのあるお子さん
今までに放射線治療や化学療法を受けたことのあるお子さん
抗がん剤による主な副作用の発現時期は下記を参考にしてください。
投与日 : アレルギー反応、吐き気・嘔吐(おうと)、血管痛、発熱、血圧低下
2~7日 : 疲れやすい、だるい、食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢
7~14日 : 口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ、骨髄機能の抑制(白血球減少・血小板減少)
14~28日 : 脱毛、皮膚の角化やしみ、手足のしびれ、膀胱炎、骨髄機能の抑制(貧血)

吐き気・嘔吐(おうと)

抗がん剤による吐き気(悪心[おしん])や嘔吐は、脳のなかにある神経が刺激されることで起こります。また、放射線治療と併用して抗がん剤治療を行うと、照射部位によっては、食道や胃に粘膜炎を起こし、吐き気や嘔吐が起こることがあります。

<病院で処方される吐き気・嘔吐の薬>
制吐(せいと)剤(吐き気を抑える薬)
決められた指示どおりに内服します。また、吐き気が強い場合に追加で飲む薬もありますので、吐き気が強く内服が難しいときには担当医に相談しましょう。坐薬(ざやく)を用いることも可能です。制吐剤は、我慢せずに積極的に内服するようにしましょう。

<日常生活上の工夫>
吐き気・嘔吐の予防
・抗がん剤治療を受ける日は食事の量を少なめにしたり、治療の数時間前は食べないようにするなどの工夫で、吐き気や嘔吐を軽減できる場合があります(特に乳製品は消化時間が長いので、控えたほうがよいでしょう)。
・体をしめつける衣服は避けたほうがよいでしょう。

吐き気・嘔吐が起きたとき
・安静を心がけ、横向きに寝て体を内側に曲げるとよいでしょう。また、冷たい水でうがいをしたり、氷やキャンディーなどを口に含むと効果的です。
・においに敏感になっている場合には、花や香水などのにおいが強いものは避け、また室内の換気をよくして、リフレッシュするとよいでしょう。
・音楽を聴いたり、テレビを見たり、ゆっくりと腹式呼吸を行うことで吐き気が楽になることがあります。

食事の工夫
・無理せずに食べられるものを探し、食事はゆっくりと時間をかけたり、少量ずつ可能な範囲で食べるとよいでしょう。
・料理では、とくに揚げ物、煮物、煮魚や焼き魚などを避けることで、吐き気が軽減する場合もあります。また料理は冷やしたり、冷まして食べることで、においが軽減し食べやすくなる場合もあります。
・市販の栄養補助食品などで、少量でもカロリーや栄養素を補うことができるものがあるので、試してみてもよいでしょう。

食べやすい食品の例
・冷たくて口当たりがよく、飲み込みやすいもの:卵豆腐、茶わん蒸し、絹ごし豆腐、ゼリー、プリン、シャーベット
・消化によいもの:お粥、煮込みうどん、雑炊、野菜のスープ煮
・ビスケット、クラッカー、クッキー
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
吐き気・嘔吐が長く続き、食事や水分がほとんどとれないとき

下痢

腸管粘膜が薬により刺激を受けたり、抗がん剤投与により消化管の粘膜が傷害されて、下痢が起こります。薬の種類によって急に起こるものがありますが、多くは抗がん剤投与後2~10日ぐらいに起こります。

<病院で処方される下痢の薬>
・下痢止めの薬
・整腸剤
・ひどい場合には、輸液(水分や電解質の補給)を行うこともあります。

<日常生活上の注意>
・消化のよいもの(お粥や煮込んだうどんなど)を選び、食事は何回にも分けて、少しずつとるとよいでしょう。
・脂肪分の多い食べ物、牛乳や乳製品は避けましょう。また、香辛料を多く使った料理や、炭酸飲料などの刺激物は避けたほうがよいでしょう。
・十分な水分補給を心がけてください。冷たすぎる飲み物は避けましょう。
・スポーツドリンク類は電解質補給にもなります。
・カリウムの多い食品(バナナ、果物ジュースなど)をとるとよいでしょう。
・トイレのあとは必ず陰部を洗浄させてください(感染予防)。

便秘

腸の働きを調節している自律神経への抗がん剤の作用、直接的な障害やある種の制吐剤などによって、腸の運動が弱くなり、いつもより便が出にくくなることがあります。

<病院で処方される便秘の薬>
・腸の運動を強める下剤
・便の水分を保ち、便が硬くなるのを防ぐ下剤

<日常生活上の注意>
・水分を十分にとり、繊維の多い食べ物をとるとよいでしょう。
・十分に時間をかけて、お腹を時計回りにさすりながら排便したり、排便を我慢せず、毎日同じくらいの時間にトイレに座ってみると効果的です。
・また、無理のない程度の軽い運動を心がけるとよいでしょう。

口内炎

口内炎には、抗がん剤の粘膜に対する直接的な障害と、抗がん剤によって骨髄機能*が抑制され(骨髄抑制)、局所感染する二次性障害の2つがあります。

*骨髄機能:骨髄では、血液の成分である赤血球・白血球・血小板が作られています。骨髄機能の抑制により、赤血球が減少すると貧血になりやすくなり、白血球が減少すると感染症にかかりやすくなり、また、血小板が減少すると出血しやすくなります。

<口内炎の症状>
・しみる感じ、痛み、できもの
・舌や頬の内側の粘膜・歯ぐきの赤い腫れ、ただれ
・潰瘍(かいよう)
・出血

<病院で処方される口内炎の薬>
・痛みが強い場合には、消毒作用や痛み止めの作用のあるうがい薬を使うこともあります。
・炎症を抑えたり、鎮痛効果のある塗り薬・貼り薬を使用することもあります。

<日常生活上の注意>
口内炎ができたときの食事の工夫
・料理は熱いものを避け、冷まして食べると炎症部位への刺激が少なくなります。塩分や酸味、香辛料の強いものは避けるとよいでしょう。
・やわらかい料理(お粥や、やわらかく煮込んだうどんなど)を多めにしたり、とろみをつけたり、裏ごしすると食べやすいです。
・牛乳や卵豆腐などは、口にしみにくく食べやすいです。

予防
・治療前に歯科を受診し、ブラッシングやうがいの指導を受けておくことをお勧めします。
・必要に応じてうがい薬でこまめにうがいをしたり、食後あるいは寝る前にうがいをし、歯磨きなどで口のなかを清潔にするとよいでしょう。
・口のなかを乾燥させないように心がけてください。(口を開けて寝る癖のあるお子さんはマスクをつけて寝る、アルコール分を含んだうがい薬や洗浄剤は使用しないなど)
・歯ぐきの傷つきを防止するため、歯ブラシは小さめの柔らかいブラシのものを使うとよいでしょう。また、刺激の弱い歯磨き粉を用いるとよいでしょう。
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
口内炎が治りにくいとき、生活に支障を感じたとき

感染症

子どもの正常な白血球の値は5,000~10,000/μL (1μL あたり5,000~10,000個)といわれています。一般的には、抗がん剤の投与を受けてから7~14日目ごろに白血球の数が減少し、感染しやすい状態になります。

薬の影響で骨髄機能が障害され、白血球の数が少なくなると、病原菌(細菌)に対する体の抵抗力が弱くなり、いろいろな部位(口、肺、皮膚、尿路、腸、肛門、性器など)で感染症を起こす可能性があります。ときには、菌血症*、敗血症**などの全身の感染症を引き起こすことがあります。

* 菌血症:血液中に細菌が存在する状態。通常、細菌は少数で、生態の防御機構によって病原菌が除去されるため、症状が出ません。
** 敗血症:血液中に入った細菌に対して生体が反応し、さまざまな症状(発熱、白血球数の増加、呼吸数・心拍数の増加など)が生じた状態。

<感染症の疑われる症状>
・38℃以上の発熱
・寒気、ふるえ
・せき、のどの痛み
・歯肉痛、虫歯、口内炎
・下痢、腹痛
・肛門痛
・排尿時の痛み、血尿、頻尿、排尿後も尿が残る感じ
・皮膚の発疹(ほっしん)、発赤(ほっせき)

<病院で行われる感染症の対策>
・血液検査(白血球数、好中球数、ヘモグロビン、血小板数) (白血球の数値によっては、治療を延期する場合がある)
・白血球を増やすための薬の投与
・抗生物質の投与

<日常生活上の注意>
口や皮膚、尿路、肛門からの感染に注意しましょう。
・手洗い(食事の前、トイレの前と後、外出から帰ってきたとき)をしっかり行い予防に努めましょう。指の間もよく洗うことを心がけさせてください。
・うがい(朝起きたとき、外出から帰ってきたとき、食事の前など何度も)をしましょう。必ずしも殺菌・消毒作用のあるうがい薬を使う必要はありません。水道水でもよいので、つらくない方法で、なるべくうがい回数を多くするようにしてください。
・体を清潔に保つこと(入浴、シャワー)、またトイレの後、陰部を洗浄することや、皮膚を乾燥させない(ローション・クリームなどで保湿する)ことなどを心がけてください。
・口のなかを清潔に保つために、食後、寝る前の歯磨きを行いましょう。
・風邪、百日咳、水ぼうそうの人には近づかないほうがよいでしょう。また、抗がん剤治療中には予防接種は避けてください。
・切り傷に気をつけてください。また、爪は短く切り、皮膚に傷をつくらないようにするなどの工夫も効果的です。
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
38℃以上の発熱、寒気、ふるえを感じたとき、発熱に伴って、せき、下痢、排尿時の痛みや排尿後も尿が残る感じ、性器痛、肛門痛などの感染の症状があらわれるようでしたら、早めに医療スタッフに知らせましょう。

貧血

抗がん剤の影響で骨髄機能が障害され、赤血球の数が少なくなると、貧血症状を感じることがあります。具体的な症状としては、だるさや疲れやすさ、めまい、息切れなどです。

<貧血の症状>
・少し動いただけで息切れがする
・疲労・倦怠感(けんたいかん)がある
・めまいがする
・脈拍が増える、動悸(どうき)がする
・食欲不振、便秘
・結膜が白い
・手足が冷たい
・爪の色が白い
・顔色が青白い
・頭痛、頭が重い
・耳鳴りがする

<日常生活上の注意>
・動くときはゆっくりと動きはじめるとよいでしょう。例えば、起き上がるときは上半身を起こし、一息ついて立ち上がるようにしてみましょう。
・歩行は動悸や息切れのしない範囲でゆっくりと行います。疲れやすい場合には、十分な休養をとらせてください。
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
出血や貧血症状が出たとき
(輸血や薬が必要な場合があります)

出血

抗がん剤の影響で骨髄機能が障害されて、出血を止める作用がある血小板が少なくなると、出血しやすく、また出血が止まりにくくなります。一般的に7~10日目から減少し、14日間前後の減少期間となります。

<出血の症状>
・内出血(皮下出血)は、打撲・きつい服装によるしめつけ・長時間同じ姿勢による圧迫などが原因
・口のなかの出血(歯磨きによる)
・鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
・血便・血尿
・皮膚の点状出血、斑状出血(風呂で体を洗ったときやかゆくて皮膚をかいたとき)

<出血時の対策>
・採血、点滴のあとは、5分以上圧迫して止血する。
・鼻血が出たときは小鼻を指で圧迫し、氷で冷やす。
・安静にする。
・出血部位をタオルやガーゼで圧迫する。
・出血部位を冷やす。
・出血が止まらないときは担当医や看護師に連絡する。

<日常生活上の注意>
・激しい動作やスポーツは避けてください。また転倒や外傷、打撲に注意しましょう。爪は短く切り、皮膚に傷をつくらないようにするなどの工夫も効果的です。
・歯磨きは柔らかいブラシを使用し、歯ぐきを傷つけないようにしましょう。
・排便時には力ませないでください(下剤を使用して便を柔らかくする方法もあります。医療スタッフにご相談ください)。
・薬のなかには、解熱鎮痛剤などのように血小板の作用を抑制する薬があります。薬の飲み合わせに不明な点があれば、薬剤師もしくは医療スタッフにご相談ください。

しびれ(神経障害による)

抗がん剤によっては、副作用としてしびれ(神経障害)が起こります。手先や足先の感覚が鈍くなるため、外傷ややけどに注意することが必要です。また抗がん剤治療が終わっても、すぐには改善しないことが多いです。時間が経つにつれ少しずつ軽減していきますが、1年以上長引くこともあります。

<しびれの症状>
・手先、足先のしびれや冷たい感じ。
・ボタンがかけにくい。
・物をうまくつかめない。
・文字がうまく書けない。
・転びやすい。

<日常生活上の注意>
・外傷に気付きにくくなるので、やけどやぶつけたりなどしないように注意することが大切です。
・足先の保護のため、必ず靴下を履いてから靴を履くようにしましょう。また、マッサージをしたり、患部を温めるとよいでしょう。その際、低温やけどには注意してください。
・症状がひどく、日常生活に支障がある場合には、しびれを軽減させる内服薬を服用することがあります。医師または医療スタッフにご相談ください。
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
しびれが強い場合
(抗がん剤の量を減らしたり、投与を休んだりすることがあります)

脱毛

抗がん剤の種類によっては、髪の毛が抜ける場合と抜けない場合があります。また、髪の毛の抜け方には個人差があります。脱毛は抗がん剤投与の2週間から3週間後に多く起こり、髪以外の部分(体毛・眉毛・陰毛)でも起こります。髪は、抗がん剤治療が終われば、3ヵ月から6ヵ月後には再び生えてきます。

<日常生活上の注意>
・急に髪が抜けてくることが多いため、精神的に落ち込みやすくなります。あらかじめかつらや素材の柔らかい帽子、ナイトキャップを用意して、心の準備をしておくとよいでしょう。
・髪をあらかじめ短くしておくと、脱毛が起きた際に処理をしやすくなりますが、短すぎると抜けた髪がちくちくと刺激になることもあります。
・洗髪は爪を立てず、やさしく行いましょう。脱毛が起きる際にピリピリ感を感じることがあります。いつも使っているシャンプーでしみるようなら、刺激の少ないシャンプーを使ってください。
・髪の毛への負担をなるべくかけないようにしましょう。柔らかいヘアブラシを使用したり、ドライヤーの温度を低めにするとよいでしょう。
◆こんなときは医療スタッフに連絡しましょう!
精神的ショックが大きい時
(抗がん剤の副作用のなかでも人目につきやすい脱毛は精神的ショックが大きいものです。本人が気にするようなら、医療スタッフによるサポートを受けましょう。)
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