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がんの冊子びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(びまんせいだいさいぼうがたびいさいぼうりんぱしゅ)

更新日:2017年08月14日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年08月14日 2.治療に関連情報「悪性リンパ腫 化学療法(R-CHOP療法導入)基本パス」、「悪性リンパ腫[非ホジキンリンパ腫] 化学療法(CHASER療法)基本パス」を掲載しました。
2015年11月26日 「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」より内容を更新しました。「中悪性度非ホジキンリンパ腫」のタイトルを「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に変更しました。
2006年10月01日 掲載しました。

1.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL, NOS:diffuse large B-cell lymphoma, not otherwise specified)とは、悪性リンパ腫の種類の1つで、リンパ球の中のB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫です。月単位で病気が進行する「中悪性度」に分類されます。

用語集

1)疫学・統計

わが国の非ホジキンリンパ腫の30~40%を占めており、最も発生頻度の高い病型です。

2)症状

多くの場合無症状ですが、全身のあらゆる臓器から発生するため、症状がある場合は病変がある部位によってその症状は異なります。典型的な全身症状は、発熱、寝汗、体重減少ですが、例えば中枢神経系(脳)原発の場合は感覚障害や麻痺(まひ)など、胃原発の場合は出血や潰瘍(かいよう)性病変がみられることがあります。通常は、1カ所あるいは数カ所のリンパ節またはそれ以外の病変がある部位で、急速に大きくなるしこりで発見され、半数ほどの患者さんは病期(ステージ)Ⅰ、Ⅱ期の限局期で診断されます。

用語集

3)特徴

組織学的には、リンパ球の中の成熟B細胞ががん化した大型の芽球化リンパ球系細胞からなります。名前のとおり、大きなB細胞ががん化してはびこるように増殖していく(びまん性)ものを指します。がん細胞の形と増殖の仕方から定義されているため、リンパ節から発生したものも、それ以外の臓器(消化管、皮膚、中枢神経、骨、精巣など)から発生したものも、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に含まれます。BCL6、BCL2、c-MYCという遺伝子に異常を起こしている場合が多いことが特徴です。
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫は総称して悪性リンパ腫と呼ばれています。
それぞれのがんの解説「悪性リンパ腫」では、悪性リンパ腫の治療の全体像や大まかな治療の流れなどを解説していますので、併せてご参照ください。

関連情報

2.治療

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の基本的な治療は、がん細胞の中の増殖に関わる分子だけを標的とした分子標的薬のリツキシマブと、化学療法を併用するR-CHOP療法、放射線治療の組み合わせです。病気の進行度(病期)や病変の大きさによって、治療の期間や組み合わせが変わってきます。

図1、2は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療の大まかな流れです。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。

用語集

1)限局期(放射線照射が1照射野内に入るⅠ期、または病変どうしが近いⅡ期)

限局期の場合は、まず10cm以上の巨大な腫瘤(しゅりゅう)があるかないかで治療方針が異なります。巨大腫瘤がない場合、R-CHOP療法3コース+放射線治療、またはR-CHOP療法6~8コースが選択されます。巨大腫瘤がある場合は、R-CHOP療法6~8コースを行い、治癒を目指すために放射線治療を追加することもあります。治療で完全奏効(がん細胞が認められなくなる)すれば、その後は無治療で経過観察を行います。部分奏効(病変が縮小し新たな病変を認めない)の場合は、残っている病変に、合計50Gy程度まで放射線治療を追加します。不変・進行しているときは、原則として救援化学療法を行います。救援化学療法ができない場合は放射線治療が追加となります。
【R-CHOP療法について】
R-CHOP療法とは、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの5種類の薬剤を用いた化学療法で、投与スケジュールは3週を1コースとします。主な副作用は、吐き気・嘔吐(おうと)、骨髄抑制やリツキシマブの点滴時におこるインフュージョンリアクション(発熱、皮疹などアレルギーのような症状)などがあります。
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図1 限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療
図1 限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)より作成

2)進行期

進行期の標準治療は、R-CHOP療法を6~8コース行います。治療で完全奏効すれば、その後は無治療で経過観察を行います。念のために巨大腫瘤のあったところに放射線治療を追加することもあります。部分奏効で、残存している病変が1カ所で救援化学療法が困難な場合は、放射線治療が追加となります。それ以外の部分奏効、不変・進行では二次治療(救援化学療法)を行うことになります。二次治療は、65歳以下の場合、救援化学療法で奏効すれば造血幹細胞移植を行う場合もあります。
図2 進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療
図2 進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)より作成

3)再発時の治療

再発した場合は、救援化学療法を行います。救援化学療法の治療法は表1の中から選択されます。65歳以下の場合、救援化学療法で奏効すれば造血幹細胞移植を行う場合もあります。
表1 進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の再発時の救援化学療法
療法名 使用する薬剤[成分名]
DHAP療法 デキサメタゾン、シスプラチン、シタラビン、(+R:リツキシマブ)
(R-)ESHAP療法 メチルプレドニゾロン、エトポシド、シタラビン、シスプラチン、(+R:リツキシマブ)
(R-)ICE療法 イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド、(+R:リツキシマブ)
CHASE(R)療法 シクロホスファミド、シタラビン、デキサメタゾン、エトポシド、(+R:リツキシマブ)
Dose adjusted-EPOCH(-R)療法 エトポシド、プレドニゾロン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、(+R:リツキシマブ)
MINE療法 ミトキサントロン、イホスファミド、メスナ、エトポシド
GDP療法 ゲムシタビン、デキサメタゾン、シスプラチン

4)節外性リンパ腫の治療

リンパ節以外の臓器から発生する悪性リンパ腫を節外性リンパ腫といい、発生部位によって治療法が異なる場合があります。

(1)精巣原発

中枢神経系(脳)への再発が多いことがわかっており、予防のためR-CHOP療法に加えて、メトトレキサートという薬剤を脳脊髄(せきずい)液の中に髄注します。精巣への放射線照射(対側の精巣も含む)も併用します。

(2)中枢神経系(脳)原発

メトトレキサート大量療法を基本とした化学療法を行い、そのあと引き続いて放射線治療(全脳照射)を行います。

(3)胃原発

通常のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と同様の治療方針で、R-CHOP療法と放射線治療の組み合わせで治療を行います。ただし、胃で出血や深い潰瘍性病変がある場合は、化学療法で大量出血を起こして緊急手術が必要になることもあるので、十分な注意が必要です。

(4)その他の臓器が原発

原則として通常のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と同様の治療を行います。

用語集

3.「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」参考文献

1) 日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年WEB版(第1.2版),日本血液学会
2) 日本血液学会/日本リンパ網内系学会編.造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版),金原出版
3) WHO Classification Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues.2008.
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