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多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)

更新日:2017年04月12日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年04月12日 「多発性骨髄腫の診療指針 第4版(2016年9月)」「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年WEB版(第1.2版)」より内容を更新しました。
2015年05月26日 タブ形式に変更しました。「多発性骨髄腫の診療指針 第3版(2012年10月)」「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」より内容を更新しました。
2006年11月14日 「多発性骨髄腫の診断」を掲載しました。

1.多発性骨髄腫とは

血液中には酸素を運搬する赤血球、出血を止める働きがある血小板、免疫をつかさどる白血球リンパ球などの血液細胞があります。これらはそれぞれ体を守るために大切な役割をもっており、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)と呼ばれる細胞から、それぞれの形態・機能をもつ血液細胞に成熟していきます。この過程を分化といいます(図1)。
図1 造血幹細胞から血液細胞への分化
図1 造血幹細胞から血液細胞への分化
多発性骨髄腫(MM:Multiple Myeloma)は、これら血液細胞の1つである「形質細胞(けいしつさいぼう)」のがんです。形質細胞は、骨髄と呼ばれる「血液の工場」でつくられる血液細胞のうち、白血球の一種であるB細胞から分かれてできる細胞です。この細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守ってくれる「抗体」をつくる働きをもっています。この形質細胞ががん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します。骨髄腫細胞は骨髄の中で増加し、異物を攻撃する能力がなく、役に立たない抗体(これをMタンパクと呼びます)をつくり続けます。これらの骨髄腫細胞やMタンパクが、さまざまな症状を引き起こします。

●多発性骨髄腫と関連する疾患について

形質細胞腫瘍の中で、最もよくみられる疾患が多発性骨髄腫です。その他にも、形質細胞腫瘍にはさまざまな病型があります。

詳しくは、「多発性骨髄腫 検査・診断-2.病型分類」をご覧ください。

2.症状

多発性骨髄腫は、「骨髄腫細胞」が主に骨髄でふえ続け、体にいろいろな症状があらわれる病気です。

多発性骨髄腫では、骨髄の中で増殖した骨髄腫細胞によって、正常な血液細胞をつくり出す過程(造血)が妨げられるために、貧血による息切れ・だるさや、白血球減少に伴う感染症血小板減少による出血傾向などが生じます。また、骨髄腫細胞が正常な形質細胞の居場所を占拠してしまうために、免疫機能の低下(正常な抗体産生の減少)を来します。さらに骨髄腫細胞が無制限に産生するMタンパク(異常免疫グロブリン)による症状として、腎障害や血液循環の障害(過粘稠度症候群:かねんちょうどしょうこうぐん)が起こります。免疫機能が低下すれば肺炎や尿路感染症などの感染症が起こりやすくなります。また、骨髄腫細胞によって刺激された破骨細胞(はこつさいぼう:骨を溶かす細胞)が骨の組織を破壊してしまい、骨痛や病的な骨折、脊髄(せきずい)圧迫による麻痺(まひ)などに加えて、血液中にカルシウムが溶け出すことにより高カルシウム血症が起こることがあります。さらに、各臓器の機能も低下するなど、さまざまな症状を引き起こします。図2は主な症状をまとめたものです。

しかし、多発性骨髄腫は無症状の場合もあり、血液検査、尿検査で異常を指摘されてはじめて発見されることも少なくありません。

一般的には慢性の経過をたどりますが、まれに急激に進行する場合もあります。また、症状についても個人差が大きく、個々の患者さんの病状に合った適切な治療を選択することがとても重要になります。
図2 多発性骨髄腫の症状
図2 多発性骨髄腫の症状
*1 過粘稠度症候群:血液中のMタンパクが大量に増加することにより、血液の粘性が高くなり、血液の循環が悪化する状態。
*2 アミロイドーシス:Mタンパクの一部がさまざまな組織に沈着して、臓器機能を低下させる状態。
*3 圧迫骨折:脊椎(せきつい)の強度が弱まり加重によって押しつぶされること。多発性骨髄腫では骨髄腫細胞の影響で骨が弱くなり、骨折しやすくなる(病的骨折)。
*4 脊髄圧迫症状:脊椎が変形して神経が圧迫されるために生じる疼痛(とうつう)・手足のしびれ・麻痺、排尿・排便の障害などの症状を指す。

3.原因

骨髄腫細胞にはさまざまな遺伝子や染色体の異常が生じていることが知られていますが、その原因ははっきりしていません。

40歳未満での発症は非常にまれで、年齢が進むにつれて発症数が増加し、性別では男性にやや多い傾向があります。わが国では1年間に人口10万人あたり5人発症するといわれています。最近では、健診や人間ドックの血液検査で異常が発見され、精密検査で多発性骨髄腫と診断されることが増えています。
【参考文献】
  1. 日本骨髄腫学会編:多発性骨髄腫の診療指針 第4版(2016年9月);文光堂
  2. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年WEB版(第1.2版);日本血液学会
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多発性骨髄腫
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