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乳がん(にゅうがん)

更新日:2015年03月23日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2015年03月23日 タブ形式への移行と、「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版」より、内容の更新をしました。
2011年07月15日 内容を更新しました。
1997年10月01日 掲載しました。

1.検査

1)視診・触診

乳房を観察して、形状や左右差、皮膚の変化を調べます。次に指で乳房やわきの下に触れて、しこりの性質(硬さや動き方、大きさや形、個数など)を調べます。

2)マンモグラフィ検査

病変の位置や広がりを調べるために行われる、乳腺専用のX線検査です。少ない被曝(ひばく)線量で乳房組織を鮮明に映し出すために、板状のプレートで乳房を挟んで圧迫し、うすく引き伸ばして撮影します(図3)。そのため、乳房を圧迫される痛みがありますが、視診・触診で発見しにくい小さな病変も見つけることができます。

画像の性質上、乳腺の発達している若い人では、病変が存在していても見つかりにくいことがあります。またマンモグラフィで高濃度乳房とされる症例(乳腺の密度が高く、マンモグラフィで白く見える部分が多い状態)では、超音波検査のほうが乳がんを検出できることが知られています。
図3 マンモグラフィ検査の様子
図3 マンモグラフィ検査の様子

3)超音波(エコー)検査

乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、わきの下など周囲のリンパ節への転移の有無を調べます。乳房の表面から超音波を発生する器械(探触子:たんしょくし、プローブ)をあてて、超音波の反射の様子を画像で確認する検査です(図4)。X線のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊娠中でも検査が可能です。ベッドにあおむけに寝た姿勢で受けられる検査で、痛みもなく体に負担がありません。
図4 超音波(エコー)検査の様子
図4 超音波(エコー)検査の様子

4)病理検査・病理診断(細胞診/組織診)

病変の一部を採取して、がんかどうかを顕微鏡で調べる検査です。がん細胞が含まれていれば、その細胞の種類や性質なども調べます。

細胞診検査は大きく分けて、乳頭からの分泌液を採取して行う分泌液細胞診と、病変に細い針を刺し、細胞を吸引して行う穿刺(せんし)吸引細胞診があります。細胞診検査は、体への負担が比較的少ない検査ではあるものの、偽陽性(がんではないのにがんと診断されてしまうこと)や偽陰性(がんであるのにがんではないと診断されてしまうこと)がまれにあるという欠点があります。

組織診検査は病理診断を確定するための検査で、生検と呼ばれています。組織診では痛み止めとして局所麻酔を行い、病変の組織を採取します。注射針より太い針を使用する針生検、さらに太い針を使用するマンモトーム生検、皮膚を切開して組織を採取する外科的な生検があります。細胞診に比べて確実な診断ができ、また調べられる細胞や組織の量が多いので、腫瘍についてより詳しい情報を得ることが可能になります。

5)乳腺のCT検査・MRI検査

手術や放射線治療などを検討するとき、病変の広がりを調べるために行う検査です。CT検査(図5)はX線を、MRI検査は磁気を使って体の内部を描き出します。乳房内での病変の広がり具合を診断するのに有効とされています。

CTやMRIで造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがありますので、以前に造影剤のアレルギーを起こした経験のある人は、担当医に申し出てください。
図5 CT検査の様子
図5 CT検査の様子

6)全身検索のための検査(CT検査、骨シンチグラフィなど)

乳がんが転移しやすい遠隔臓器には、肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。がんの乳腺以外への広がりを調べるために、必要に応じてCT、MRI、腹部超音波、骨シンチグラフィ、PET-CT検査などの画像検査が行われます。

2.病期(ステージ)

1)病期診断

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてStage(ステージ)ともいいます。医師による説明では「ステージ」という言葉が使われることが多いかもしれません。わが国では、病期にはローマ数字が使われ、0期、I期、II期(IIA、IIB)、III期(IIIA、IIIB、IIIC)、IV期に分類されています。UICCと呼ばれる国際分類では、手術後の検査結果でI期をさらにIA期とIB期に分けていますが、他はわが国の分類と同じです。

病期は、がんが乳房の中でどこまで広がっているか、リンパ節転移があるか、骨や肺など乳房から離れた臓器への転移があるかなどによって決まります(表1)。

乳がんの治療方針は、この病期ごとにおおよその指針が決まっています。

また、病期やがんの性質によって、将来がんが再発するリスクをある程度推測することができます。手術によって切除された病変について病理検査・病理診断が行われ、がんの広がり、形態、性質を詳しく調べます。腫瘍の大きさ、広がり、年齢、異型度(グレード)、HER2タンパク質(参照:HER2型乳がん)、ホルモン受容体(参照:ホルモン受容体陽性)、Ki67の情報などを基に、将来の再発リスク、追加治療の必要性が検討されます。推定される再発のリスク、糖尿病や心臓病など別の病気の有無、年齢や患者さん自身の希望なども考慮して治療方針を決定していきます。
表1 乳がんの病期分類
0期 非浸潤がんといわれる乳管内にとどまっているがん、または乳頭部に発症するパジェット病(皮膚にできるがんの一種)で、極めて早期の乳がん
I期 しこりの大きさが2cm以下で、リンパ節や別の臓器には転移していない
IIA期 しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、そのリンパ節は周囲の組織に固定されず可動性がある
または、しこりの大きさが2~5cmでリンパ節や別の臓器への転移がない
IIB期 しこりの大きさが2~5cmで、わきの下のリンパ節に転移があり、そのリンパ節は周囲の組織に固定されず可動性がある
または、しこりの大きさが5cmを超えるが、リンパ節や別の臓器への転移がない
IIIA期 しこりの大きさが5cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、そのリンパ節は周辺の組織に固定されている状態、またはリンパ節が互いに癒着している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節に転移がある場合
あるいは、しこりの大きさが5cm以上で、わきの下または胸骨の内側のリンパ節への転移がある
IIIB期 しこりの大きさやリンパ節への転移の有無に関わらず、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような状態
炎症性乳がんもこの病期から含まれる
IIIC期 しこりの大きさに関わらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移がある、または鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある
IV期 別の臓器に転移している
乳がんの転移しやすい臓器:骨、肺、肝臓、脳など
日本乳癌学会編「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」(金原出版)より作成<

2)転移・再発乳がん

乳房のしこりに対する初期治療を行ったあと、乳がんが再び出現することを「再発」といいます。他の臓器に出現した場合は「転移再発」と呼びます。なお、乳房部分切除術を行ったあとの乳房に起こる再発は「乳房内再発」、また乳房を全部摘出したあとの胸壁の皮膚やリンパ節に起こる再発は「局所・領域再発(参照:局所再発領域再発)」と呼んで区別します。

3.サブタイプ分類

薬物療法内分泌[ホルモン]療法化学療法分子標的治療)の選択については、今までもホルモン受容体陽性やHER2陽性などで検討して治療されてきましたが、近年サブタイプ分類という考え方が定着してきました。サブタイプ分類はがん細胞の性質で分類する考え方で、遺伝子解析によって提唱されています。遺伝子検査は費用もかかり、実用はまだ難しく、実際は、生検や手術で採取されたがん細胞を免疫染色で調べることで、臨床病理学的に遺伝子解析の分類に当てはめています(表2)。調べられる要素は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質で、ホルモン受容体(エストロゲン受容体[ER]とプロゲストロン受容体[PgR])、HER2、Ki67です。

化学療法、内分泌(ホルモン)療法、分子標的治療は、がん細胞の性質により効果が異なります。がん細胞の性質を調べて、腫瘍の性質に合わせた治療を選択します。
表2 サブタイプ分類
サブタイプ分類 ホルモン受容体 HER2 Ki67値
ER PgR
ルミナルA型 陽性 陽性 陰性
ルミナルB型(HER2陰性) 陽性または陰性 弱陽性または陰性 陰性
ルミナルB型(HER2陽性) 陽性 陽性または陰性 陽性 低~高
HER2型 陰性 陰性 陽性 -
トリプルネガティブ 陰性 陰性 陰性 -
Ki67は、検査の状況(染色の条件、スコアリングの方法)によって陽性率が大きく変わります。適切なKi67カットオフ値(ルミナルAとBを分ける基準)はまだ明らかにされておらず、結果の解釈には注意が必要です。
 
【参考文献】
  1. 日本乳癌学会編.臨床・病理 乳癌取扱い規約第17版.2012年,金原出版
  2. 日本乳癌学会編.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版,金原出版
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