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食道がん(しょくどうがん)

更新日:2012年12月21日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2012年12月21日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年11月29日 内容を更新しました。
1996年11月25日 掲載しました。

1.検査

食道がんの診断方法には、一般にX線(レントゲン線)による食道造影検査と内視鏡検査があります。そのほか、がんの広がり具合をみるためにCTMRI検査、内視鏡超音波検査、超音波検査などを行います。こうした検査によって、がんの進行の程度を病期(ステージ)に分けます。病期は、がんの広がり、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかによって決まります。全身の状態を調べたり、病期を把握する検査を行うことは、治療の方針を決めるために、とても重要です。

1)食道造影検査(X線検査)

バリウムをのんで、それが食道を通過するところをX線で撮影する検査です。内視鏡検査が普及した今日でも、造影検査は苦痛を伴わず検診として有用です。造影検査では、がんの場所やその大きさ、食道内腔の狭さなど全体像がみられます。

日本人は胃がんにかかる人が多いので、通常の検診では胃の検査に重点が置かれ、食道は十分に観察されないことがあります。症状があれば、検査前にはっきりと伝えておきましょう。

2)内視鏡検査

内視鏡検査は、先端に小さなカメラ(CCD:固体撮影素子)を搭載した内視鏡(ビデオスコープ)を用いて、直接、消化管粘膜を観察する方法です。内視鏡検査は、病変を直接観察できることが大きな特徴です。病変の位置や大きさだけでなく、病変の数、病巣の広がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や凹凸)、色調などから、病巣の数や、ある程度のがんの浸潤の深さを判断することができます。食道の内視鏡精密検査では、通常の観察に加えて色素内視鏡検査を行います。正常な粘膜上皮細胞がヨウ素液(一般にルゴールといいます)に染まるのに対し、がんなどの異常のある部分は染まらない、でんぷん反応を利用した方法です。

もう1つの内視鏡検査の大きな利点は、直接組織を採取し(生検)、顕微鏡でがん細胞の有無を確認することができ、病変の診断に役立つことです。

無症状、あるいは初期の食道がんを見つけるために、内視鏡検査は極めて有用な検査であり、たとえレントゲン検査で異常が認められなくても、内視鏡検査で発見されることもあります。
【超音波内視鏡検査検査について】
食道上皮から発生したがんは、次第に粘膜下層、筋層へと広がり、周囲の臓器へ広がっていきます。がんがより深く浸潤しているほど、リンパ節転移の確率が高いことが明らかとなり、また、食道は狭い空間に気管や肺静脈などと隣接しているため、気管あるいは気管支などの周囲の臓器へ直接がんが食い込むことがあります。超音波内視鏡は、外見上は内視鏡と変わりないのですが、食道内壁の表面を観察する内視鏡検査と異なり、内視鏡の先端についた超音波装置を用いて粘膜下の状態、食道壁そのものや食道壁外の構造などを観察することができます。つまり、食道がんがどのくらい深く浸潤しているか、周りの臓器へ食い込んでいないか、食道の外側にあるリンパ節が腫(は)れていないか(リンパ節転移の有無)などについてのより詳細な情報を得ることができます。これは、治療方針の決定に非常に重要な役割を果たします。ただし、がんのために食道内腔が狭くなっている(狭窄(きょうさく))場合、内視鏡ががんの中心部まで到達できないため、正確な診断ができない場合もあります。
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3)病理検査

内視鏡検査で、採取した組織にがん細胞があるのか、あるとすればどのような種類のがん細胞かなどについて顕微鏡を使って調べることを、病理検査といいます。

4)CT・MRI検査

CT(コンピューター断層撮影)は、X線を使って体の内部を輪切りにしたようにみることができる検査です。体の内部を描き出し、治療前に転移や周辺の臓器へのがんの広がりを調べます。食道造影検査で認めた病変の広がりの長径もみます。

食道の周囲には、気管・気管支、大動脈、心臓など、極めて重要な臓器が存在しています。
CT検査は、がんとこれらの周囲臓器との関係を調べるために、最も優れた診断法といえます。リンパ節転移の存在も、頸部、胸部、腹部の3領域にわたって調べることができます。さらに肺、肝臓などへの転移の診断にも欠かせません。進行したがんにおいては、進行度を判定するために最も重要な検査です。

MRI検査は磁気を使用します。さまざまな角度の断面をみることができるのが特徴です。
CTではヨード造影剤を用いますので、ヨードアレルギーのある人は医師に申し出てください。MRIではガドリニウムという造影剤が用いられますが、ぜんそくやアレルギー体質の人は副作用の起こる危険が高くなりますので、医師に申し出てください。

5)超音波(エコー)検査

体外式(体表から観察する)の超音波検査は、腹部と首(頸部)について行います。腹部では、肝臓への転移や腹部リンパ節転移の有無などを調べ、頸部では頸部リンパ節転移を調べます。頸部食道がんの場合は、主病巣と気管、甲状腺、頸動脈などの周囲臓器との関係を調べるために行います。

6)PET検査

PET検査(陽電子放射断層撮影検査)は、全身の悪性腫瘍細胞を検出する検査です。悪性腫瘍細胞は正常細胞よりも活発に増殖するため、そのエネルギーとしてブドウ糖を多く取り込みます。PET検査では、放射性ブドウ糖を注射し、その取り込みの分布を撮影することで悪性腫瘍細胞を検出します。ほかの検査で転移・再発の診断ができない場合に、行うことがあります。

7)腫瘍マーカー

腫瘍マーカー」とは、がんの存在により異常値を示す血液検査の項目のことで、がんの種類に応じて多くの種類があります。食道がんの腫瘍マーカーは、扁平上皮がんではSCC(扁平上皮がん関連抗原)とCEA(がん胎児性抗原)です。腺がんではCEAです。ほかのがんにおける場合と同様に、腫瘍マーカーは進行した悪性腫瘍の動態を把握するのに使われているのが現状であり、早期診断に使えるという意味で確立されたものは残念ながらまだありません。また、がんがあっても異常値を示さないこともあります。

2.病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、食道がんの治療法を決めたり、また治療によりどの程度治る可能性があるかを推定したりします。英語をそのまま用いて、ステージともいいます。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることが多いかもしれません。病期には、ローマ数字が使われ、0期、I期、II期、III期、IV期に分類されています。病期は、がんがどこまで広がっているかT(primary tumor:原発腫瘍)、リンパ節転移があるかどうかN(regional lymph nodes:所属リンパ節)、別の臓器への転移があるかどうかM(distant metastasis:遠隔転移)で決まります。これをTNM分類といい、この3つの要素の組み合わせによって病期が決まります。

0期

がんが粘膜にとどまり、リンパ節、別の臓器、胸膜、腹膜(体腔の内面をおおう膜)にがんが認められないものです。いわゆる早期がん、初期がんと呼ばれているがんです。

I期

がんが粘膜にとどまっているが近くのリンパ節に転移があるものか、粘膜下層まで浸潤しているがリンパ節や別の臓器および胸膜・腹膜にがんが認められないものです

II期

がんが筋層を越えて食道の壁の外にわずかにがんが出ていると判断されたとき、あるいはがんは粘膜下層までにとどまっていてもがん病巣の近傍のリンパ節のみにがんがあると判断されたとき、そして臓器や胸膜・腹膜にがんが認められなければII期に分類されます。

III期

がんが食道の外に明らかに出ていると判断されたとき、食道壁に沿うリンパ節か、あるいは食道のがんから少し離れたリンパ節にがんがあると判断され、別の臓器や胸膜・腹膜にがんが認められなければIII期と分類します。

IV期

がんが食道周囲の臓器に及んでいるか、がんから遠く離れたリンパ節にがんがあると判断されたとき、あるいは別の臓器や胸膜・腹膜にがんが認められるとIV期と分類されます。
表1 食道がんのTNM分類
T因子
(がんの広がり)
T1a がんが粘膜内にとどまる
T1b がんが粘膜下層にとどまる
T2 がんが固有筋層にとどまる
T3 がんが食道外膜に広がっている
T4 がんが食道周囲の組織まで広がっている
N因子
(リンパ節転移)
N0 リンパ節転移がない
N1 第1群リンパ節のみに転移がある
N2 第2群リンパ節まで転移がある
N3 第3群リンパ節まで転移がある
N4 第4群リンパ節まで転移がある
M因子
(遠隔転移)
M0 遠隔転移がない
M1 遠隔転移がある
*リンパ節転移:1〜4群リンパ節をがんのある場所からどのくらい離れているかによって分類し、近いものから1群、2群、3群、4群と呼びます。
表2 食道がんの病期
表2 食道がんの病期
日本食道学会編「臨床・病理 食道癌取扱い規約(第10版)」(金原出版)より一部改変

【がんになったら手にとるガイド】

食道がん
102.食道がん(PDF)

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