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子宮肉腫(しきゅうにくしゅ)

更新日:2004年12月02日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年10月16日
更新履歴
2004年12月02日 更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

1.子宮肉腫とは

子宮は、膣に近い子宮頸部(けいぶ)、その奥の子宮体部に分かれます。そして子宮体部にできる悪性腫瘍には、がんの他に肉腫があります。また、子宮体部にできる良性腫瘍には子宮筋腫があります。子宮筋腫は良性であるので命を落とす危険はないのですが、子宮肉腫と区別しにくく、子宮筋腫と思っていたら子宮肉腫であった場合もあるので油断できないのです。

さて、子宮肉腫は婦人科のがんの中でもまれな病気で、子宮体がんの2~5%です。子宮肉腫は、子宮頸部より体部に多く発生し、その大部分は筋肉から発生します。

がんにかかりやすい人を「リスクの高い人」といいます。子宮内膜がんでは女性ホルモン値の高い人、肥満、高血圧、糖尿病などの病気を持った人がリスクの高い人ですが、子宮肉腫では、これらのホルモン状態、病気とはほとんど関係なく、はっきりとしたリスクはわかっていません。ただ、過去に骨盤内に放射線を照射したことのある人に多く発生するといわれています。

2.症状

子宮がんと同様、生理以外や閉経してからの性器出血がみられることがあります。その他、腹痛、下腹部の違和感を感じることもあります。そして、外見上、子宮筋腫と区別しにくいため、子宮筋腫として手術した後に、病理検査の結果、肉腫と判明することもあります。また、閉経しても大きくなってくる子宮は、肉腫を疑ってみる必要があります。子宮筋腫であれば、閉経後は小さくなっていくのが普通だからです。閉経前に急激に子宮が大きくなってくる場合も、肉腫のことは頭に入れておかなければいけません。以上のように子宮肉腫に特徴的な症状はありませんが、出血、下腹部の違和感があれば婦人科を受診してください。

3.診断

1) 内診

腟及び直腸に指を入れ、反対の手で腹部の上から骨盤内を押さえながら、子宮のかたちや子宮の周囲の臓器との関連を調べます。子宮が大きく、いびつで、何らかの異常があれば細胞診の検査をします。

2) 細胞診

子宮の入口と子宮の奥の細胞を綿棒とプラスチックの細い棒でこすってとり、ガラス板の上に引き伸ばして、固定液につけ、染めた後に顕微鏡で診断します。

3) 組織診

子宮の奥、必要であれば子宮の入口を小さな細いさじのような器具でひっかき、組織をとり、組織は薄い切片にして染めた後顕微鏡で診断します。

4) 画像診断

画像診断、つまりMRI、CT、及び超音波断層検査などを行い、子宮を切らないで中の様子を知ることができます。がんかどうか、子宮筋腫が肉腫になっていないかが、わかる場合もあります。これで治療の方法まで決まることがあります。

4.病期(ステージ)

子宮肉腫の診断がついた場合、肉腫がどの程度広がっているか、他の臓器に転移しているかについての検査が行われます。その結果、肉腫の広がりの程度に応じて治療がかわってきます。肉腫は発育すると、子宮を破って広がっていく場合と、血管・リンパ管を通って広がっていく場合と、腹部の中に散らばって広がっていく場合があります。この肉腫の広がりの程度を病期といい、次のように分類します。

I期
肉腫は子宮の中にあって、まだ子宮の頸部には出てきていない状態です。

II期
肉腫は子宮の頸部にまで広がっている状態です。

III期
肉腫は子宮の外に広がっていますが、まだ骨盤内にとどまっている状態です。

IV期
肉腫は膀胱(ぼうこう)、直腸に進展しているか、骨盤を越えて広がり、身体の他の部分に転移している状態です。

5.治療

治療法には、外科療法、放射線治療、化学療法があります。

1)外科療法

外科療法は子宮肉腫で最もよく行われる治療法です。子宮、卵管、卵巣を切除し、骨盤内と大動脈に沿ったリンパ節をとり除きます。卵管と卵巣はひとまとめにして付属器と呼ばれます。これらを切除する手術法を子宮全摘術、両側付属器切除術、リンパ郭清(かくせい)と呼びます。

2)放射線治療

高エネルギーX線を使います。この治療は、身体の外の機械から行われたり(外照射)、がんがある部分にプラスチックチューブを差し込んで、放射線を出す物質をチューブの中に挿入し、中から直接照射します(近接照射)。

放射線治療については「放射線治療」もご参照ください。

3)化学療法

抗がん剤を内服、または静脈注射する治療法です。がんに対する薬剤濃度を上げ副作用を軽減するため、がん病巣に流れている動脈内に抗がん剤を注入する動注療法も試みます。しかし、化学療法だけで完治することは難しいので、外科療法や放射線治療と併用して治療を行います。がん細胞以外の骨髄細胞、消化管粘膜、毛根細胞などの正常細胞も抗がん剤により影響を受けるため、白血球、血小板減少、吐き気や食欲低下、脱毛などの副作用があります。子宮肉腫は難治性の腫瘍で、がんの場合と違って化学療法もよい方法が知られていません。アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、タキソール、イフォマイド、オンコビンなどが使用されていますが、奏効率は18~35%、薬剤の組み合わせ療法で効果のよい場合は46~73%ですが、子宮肉腫の種類と病期によります。子宮体がんと同様に大量の黄体ホルモンも有効な場合もあります。

化学療法については「薬物療法(化学療法)」もご参照ください。

6.副作用

1)外科療法

手術に伴う合併症については「子宮体がん 治療-1.手術(外科治療)」をご参照ください。

2)放射線治療

放射線治療の副作用については「子宮体がん 治療-2.放射線治療」をご参照ください。

3)化学療法

化学療法の副作用は、骨髄障害、悪心、嘔吐、脱毛、肝・腎障害、それに神経障害があります。対策は休薬、減量、中止すればよいのですが、G-CSFで白血球減少を防止したり、葉酸で口内炎を防止するということもあります。難聴、筋力低下などの神経障害はあくまでも予防が原則です。大量の黄体ホルモンでは血栓症が問題ですが、我が国ではまれです。多数の薬剤/放射線と併用の場合は、特に注意して使用しますが、いずれもがん化学療法の専門医が担当しますから、副作用対策は十分なされています。

7.病期(ステージ)別治療

I期
次のうちのいずれかの治療が行われます。
  1. 子宮全摘術+両側付属器(卵巣・卵管など)切除術+リンパ郭清
  2. 子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ郭清と術後骨盤内に放射線治療
II期
次のうちのいずれかの治療が行われます。
  1. 子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ郭清
  2. 子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ郭清と術後骨盤内に放射線治療
III期
次のうちのいずれかの治療が行われます。
  1. 子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ郭清を行い、可能な限り肉腫を切除
  2. 子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ郭清を行い、可能な限り肉腫を切除し、術後骨盤内に放射線治療、または化学療法
IV期
次の治療が行われます。
  1. 化学療法

8.再発

再発した場合には、手術で切除が可能であればその部分を切除します。切除が不可能な時や、他の臓器に転移した時は、化学療法・放射線治療を行い、できるだけ肉腫が進行しないようにします。これは病気を治すというより、転移による痛みなどの症状を少しでも和らげるために行うものです。

9.原発病巣治療の後

手術やその後の治療が終わった後は、一定の間隔で一定の期間、通院することになります。この時には、体調の変化などを担当医に知らせてください。担当医の診察や血液検査、レントゲン検査などが行われますが、これらは再発の有無を調べるためです。

10.生存率

生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。
ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考えください。
子宮肉腫はまれな病気ですが、さらに4種類に分けられます。
  1. 平滑筋肉腫
  2. 子宮内膜間質肉腫
  3. ミューラー管混合肉腫(現名称:癌肉腫)
  4. その他の子宮肉腫
国立がんセンター中央病院(現国立がん研究センター中央病院) 国際的に集計し計算した5年生存率
種類 頻度 平均年齢 (期別治療後予後)
平滑筋肉腫 48% 49歳 (I期 56%、II~IV期 7%) 全期 38%
子宮内膜間質肉腫 10% 62歳 (I期 50%、II~IV期 12%) 全期 36%
ミューラー管混合肉腫
(現名称:癌肉腫)
42% 60歳 (I期 50%、II~IV期 12%) 全期 31%
その他の子宮肉腫 少数である 省略

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