膀胱を摘出した場合のリハビリテーション:[がん情報サービス]
がん情報サービス ganjoho.jp
右側ナビゲーションの始まり
診断・治療

パンくず式ナビゲーション
TOP診断・治療リハビリテーション > 膀胱を摘出した場合のリハビリテーション

膀胱を摘出した場合のリハビリテーション

更新日:2015年10月23日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1997年12月10日
更新履歴
2015年10月23日 内容を全面的に更新しました。
2004年12月02日 更新しました。

1.尿路の再建について

膀胱(ぼうこう)がんなどで膀胱を適出した場合、尿路を再建する必要があります。これを尿路変向術といいます。再建方法として、回腸導管造設術、尿管皮膚瘻(ひふろう)造設術、自排尿型新膀胱造設術の3つがあり、がんのある位置、病態や全身状態などによって、いずれかが選択されます。

現在、わが国では回腸導管が最も多く実施されているようです。回腸導管造設術は長い歴史があり、術後も機能が安定した方法で長期にわたり合併症が少ないことが特徴です。

尿道(膀胱から尿の出口まで)を摘出する必要がなく、腎機能低下やクローン病などの消化管疾患、腹圧性尿失禁などがない男性の場合には、自排尿型新膀胱造設術が可能な場合があります。がんの広がりにより尿道を温存することが危険と判断された場合は、尿道の摘出が必要であり、自排尿型新膀胱造設術を選択することはできません。

尿路変向術は身体的変化をもたらすのみならず、心理面や生活の質にも影響します。また、術後は尿路変向術の特徴に合わせたリハビリテーションも必要となります。そのため、手術方法については、生活様式に合う方法を含め、担当医師と相談した上で決めてください。

尿路変向術を受ける前に、担当医や看護師の説明を繰り返し聞き、実際の装具などに触れたり、ストーマの冊子やDVDを見ることで術後の戸惑いが少なくなることもあるでしょう。

以下に、それぞれの尿路変更術の特徴(長所、短所)、ケアの方法、排尿リハビリテーションについて説明します。

2.回腸導管造設術、尿管皮膚瘻造設術

回腸導管と尿管皮膚瘻は、尿の管理方法やケア、長所・短所はほぼ同様となります。

1)手術方法の概略

(1)回腸導管

小腸の一部(10~15cm)を利用して、これに尿管(腎臓から膀胱へ輸送する管)をつなぎ、尿を導く管とします。この導管を腹部の皮膚に縫いつけて、尿を排出する出口(ストーマ)とします(図1)。
図1 回腸導管でのストーマ造設方法
図1 回腸導管でのストーマ造設方法

(2)尿管皮膚瘻

尿管を直接腹部の皮膚に縫いつけて、尿を排出する出口(ストーマ)とします。左右の尿管を片側にまとめる一側性では左右どちらか1つのストーマとなり、両側性では左右1つずつ、合わせて2つのストーマとなります(図2)。
図2 尿管皮膚瘻でのストーマ造設方法
図2 尿管皮膚瘻でのストーマ造設方法

2)特徴とケアの方法

(1) 回腸導管の場合、腹部の右側に尿の出口(ストーマ)がつくられます。大きさは、直径2~3cmです。尿管皮膚瘻の場合は、回腸導管のストーマよりも小さくなります。いずれも円形の梅干しのような形をしています。
(2) ストーマからは断続的に尿が出てきます。そのため尿を受けとめる袋をつけて尿をため、200~300mlたまったところでトイレに流します。
(3) 袋は皮膚保護剤によってストーマの周囲の皮膚に貼りつけられるようになっています。

3)長所

(1) 歴史のある確立した手術方法で、比較的単純な手術です(特に尿管皮膚瘻は身体の負担が少ない手術です)。
(2) 合併症が少ない手術です(尿路変向術単独の場合)。

4)短所

(1) ストーマがあるため、腹部に外観上の変化があります。
(2) 腹部に装具を常時装着しておく必要があります。
(3) ストーマケア(ストーマ周囲の皮膚の手入れ)を自分で行い、できない場合は身近な人に行ってもらう必要があります。装具交換は週に2回くらいで、時間は30~40分かかります。
(4) ストーマやストーマケアの方法に問題があると、ストーマ周囲にただれなどの皮膚障害が起こります。
(5) 装具代が必要です。申請すれば身体障害者の認定が受けられます。ストーマ装具の給付などを受ける制度があり、各自治体によって諸サービスが異なりますので、お住まいの市区町村の障害福祉係の窓口にお問い合わせください。また、がん相談支援センター用語集アイコンで相談することもできます。

3.自排尿型新膀胱造設術

1)手術方法の概略

小腸あるは大腸を縫いあわせて尿をためる袋(新膀胱)をつくり、これを尿道につなぎます。

2)特徴とケアの方法

(1) 少なくとも4~5時間に1回、腹圧を利用して排尿する必要があります。
(2) 外見上は術前と変わりありません。
(3) 尿意は感じないことが一般的です。

3)長所

これまで通り尿道より排尿が可能で、器具の使用やストーマ装具をつける必要がありません。

4)短所

(1) 新膀胱の容量が安定するまでの期間(手術後1~3カ月ぐらい)は、尿漏れが起こる場合があります。尿漏れのある間は、紙おむつや尿漏れ用パッドなどを当てておきます。
(2) 新膀胱には、自ら収縮して尿を排泄する機能がありません。このため、腹圧をかけて排尿することになります。
(3) 尿がたまりすぎて新膀胱が大きくなりすぎると、尿が出にくくなったり、尿が残ったりするので、少なくとも4~5時間に1回は排尿が必要です。就寝後も1~2回起きて排尿する必要があります。
(4) もし排尿後、大量の尿が出きらずに新膀胱内に残る場合は、カテーテルを使って導尿する必要があります。
(5) 長時間排尿せずにいると尿漏れ、排尿困難が共に増加します。

4.導尿型新膀胱造設術

導尿型新膀胱造設術は、現在、一般的に行われていませんが、参考までに以下に示します。

1)手術方法の概略

小腸あるいは大腸を切り離して、尿をためる袋(新膀胱)をつくります。これを腹部の中に置いて、定期的に尿を排出するための細い通り道(導尿管)を腹壁、またはへそにつなぎます。

2)特徴とケアの方法

(1) 下腹部あるいはへそに尿を排出するストーマ(導入口)がつくられます。大きさは直径1cmほどです。そのストーマにやわらかい管(カテーテル)を入れて尿を排出します。この操作を導尿といいます。
(2) 3~5時間に1回、新膀胱の中にたまった尿を導尿します。
(3) 新膀胱は患者自身の腸でつくられるため、腸粘液が尿に混じります。腸粘液がたまりすぎると尿が出にくくなります。この腸粘液は導尿だけでは出しきれないため、1~2日に1回、新膀胱内をきれいに洗う必要がありますが、完全には除去できず結石をつくりやすくなります。
(4) ストーマには普段、小さな脱脂綿か小さく折りたたんだガーゼを当てておきます。

3)短所

術後、年数が重なるとトラブルが非常に多く、また、新膀胱のケアも煩雑なことから、近年あまり実施されなくなりました。

5.尿路変向術後の排尿リハビリテーション

尿路変向術後、新しい排尿管理法を習得するためには訓練を必要とします。以下に、排尿リハビリテーションについて説明します。

1)回腸導管と尿管皮膚瘻

回腸導管と尿管皮膚瘻のストーマケアについては、大腸がん手術後のストーマケアをご参照ください。

2)自排尿型新膀胱

(1)自排尿訓練の開始

術後2週間前後に尿道膀胱造影が行われます。新膀胱と尿道とをつないだ箇所に縫合不全がないことを確認した後、膀胱留置カテーテルが抜去され、自排尿訓練を開始します。

(2)自排尿訓練

1.尿意の感覚
尿意は感じません。
2.排尿間隔
新膀胱に400ml前後の尿がたまったら排尿します。一般的には4時間ごとの間隔になります。4時間たたなくても、腹部膨満感や尿漏れを感じたら排尿します。水分摂取量や発汗量などで尿量は変化するので、「4時間ごと」は目安とします。
3.夜間排尿
夜間も起床して排尿する必要があります。
尿意によって目覚めることがありませんので、目覚ましなどで1~2回起きて排尿をします。
4.排尿姿勢
立位あるいは座位で、腹圧をかけて排尿します。

(3)尿漏れ対策

手術後2~3カ月の間は尿漏れがあるのが一般的です。新膀胱の容量が増えるに従って少しずつ改善し、最終的には昼間の漏れはほとんどなくなります。夜間は排尿に起きていても漏れるのが一般的です。尿漏れに対しては、紙おむつや尿取りパッドを当てておきます。皮膚のかぶれやかゆみを予防するために、ぬれたら尿取りパッドなどを交換し、シャワーや入浴を毎日行い清潔にしておきます。

(4)巨大膀胱対策

尿がたまりすぎて膀胱が大きくなりすぎると(巨大膀胱)、尿が残ったり、尿が出なくなったりするので、4~5時間に1回、就寝後も1~2回起きて排尿することが最も大切です。新膀胱に500ml以上はためないようにします。もし残尿が多いと判断された場合は、自己導尿が必要です。

(5)自己導尿法

1.必要物品
導尿用カテーテル、潤滑ゼリー
2.方法
①石鹸と流水で手指をよく洗います。
②カテーテルの先端に潤滑ゼリーをつけます。
③尿道の走行を確かめながら静かに挿入します。
④尿が出てきたところで挿入を止め、尿を出しきります。
⑤カテーテルを少し先に進めて、すべての尿が出されたかを確認します。
⑥カテーテルを静かに抜きます。
3.カテーテル管理
カテーテルは流水でよく洗い、陰干しで乾燥させて保管します。
4.残尿測定
排尿した後、新膀胱内に尿が残っていないか確認するために、月に2~3回カテーテルを使って自己導尿し、残量を測定します。新膀胱内に尿が常に100ml以上残っている場合は1日4~6回導尿が必要です。残尿が多くなってきたら、医師に相談しましょう。

(6)日常生活

排尿法の変化の他に、日常生活への影響はほとんどありません。感染予防のために尿量を1500~2000ml確保できるように、水分を多めにとりましょう。排尿のことを気にしすぎて、自ら外出や運動などを制限することのないようにしましょう。

(7)外来受診

定期的に外来受診と検査を行う必要があります。排尿状態に変化があらわれた場合は、すぐに外来受診をしてください。定期的な外来受診では、新膀胱の大きさに変化はないか、尿道が狭くなっていないか、腎機能が低下していないか、結石や尿路感染症はないか、新膀胱の腸管から尿が吸収されることにより体の電解質のバランスが崩れていないか、などを調べます。
アンケートにご協力ください
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
アンケートページへ

フッターの始まり