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膀胱がん(ぼうこうがん)

更新日:2016年01月08日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2016年01月08日 タブ形式への移行と、「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版)」「膀胱癌診療ガイドライン2015年版」より、内容の更新をしました。
2006年10月01日 更新しました。
1996年09月20日 掲載しました。

1.膀胱について

図1 膀胱の構造
図1 膀胱の構造
膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂(じんう)、尿管を経由して運ばれたあとに、一時的に貯留する一種の袋の役割をもっています(図1)。膀胱には、尿が漏れ出ないよう一時的にためる働き(蓄尿機能)と、ある程度の尿がたまると尿意を感じ尿を排出する働き(排尿機能)があります。
膀胱を含め、腎盂、尿管、一部の尿道の内側は尿路上皮(以前は移行上皮と呼んでいた)という粘膜でおおわれています。

腎臓と腎盂の位置については、「腎細胞がん 基礎知識-1.腎臓について」をご参照ください。

2.膀胱がんとは

膀胱がんは、尿路上皮ががん化することによって引き起こされます。そのうち大部分(90%以上)は尿路上皮がんという種類ですが、まれに扁平上皮がん腺がんの場合もあります。

膀胱がんは画像診断やTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術) による確定診断により、1)筋層非浸潤(しんじゅん)性がん(表在性がんおよび上皮内がん)、2)筋層浸潤性がん、3)転移性がんに大別されます。詳しくは、「膀胱がん 検査・診断-2.病期(ステージ)」の「図2 膀胱がんの深達度」をご参照ください。

TURBTについては、「膀胱がん 検査・診断-1.検査」もご参照ください。

1)筋層非浸潤性がん

膀胱筋層には浸潤していないがんです。表在性がんと上皮内がんが含まれます。

表在性がんはカリフラワーやイソギンチャクのように表面がぶつぶつと隆起し、膀胱の内腔に向かって突出しています。この形態から、乳頭状がんと呼ばれることもあります。
表在性がんの多くはおとなしく浸潤しないがんですが、中には放置しておくと進行して浸潤がんや転移を来す危険性のあるハイリスク筋層非浸潤性がんと呼ばれるタイプのものもあります。

通常、表在性がんの治療はTURBTで行われます。しかし、表在性がんは膀胱内に再発しやすいという特徴があり、再発のリスクが高いと判断された場合には予防的に膀胱内注入療法が実施されることがあります。

上皮内がんは、膀胱の内腔に突出せず、粘膜のみががん化した状態をいいます。粘膜は上皮とも呼ばれ、上皮内のがんという意味で上皮内がんと呼ばれています。

2)筋層浸潤性がん

膀胱の筋層に浸潤したがんです。このがんは膀胱壁を貫いて、壁外の組織へ浸潤したり、リンパ節や肺や骨に転移を来す危険性があります。

3)転移性がん

原発巣の膀胱がんが、他臓器に転移した状態をいいます。膀胱がんが転移しやすい臓器としては、リンパ節、肺、骨、肝臓などがあります。

3.症状

膀胱がんの症状は、赤色や茶色の尿(肉眼的血尿)が出ることが最も一般的な症状です。また、頻繁に尿意を感じる、排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状を来すこともあります。膀胱がんの場合は、症状が軽い、あるいはこのごろ症状が出現したばかりだとしても、がんの進行がゆっくりで、早期の状態であるとは限りません。症状が出現したときにはすでに筋層浸潤性がんや転移性がんであったということもあります。いずれにしても症状があれば医療機関を受診して、がんかどうかを診断しましょう。がんと診断された場合は、早期に治療を開始することが肝要です。下記に自覚できる主な症状を紹介します。

1)肉眼的血尿

肉眼的血尿とは、血の色を目で見て認識できる尿のことです。肉眼的血尿は、最も頻度の高い膀胱がんの症状で、一般的に痛みなどを伴わない無症候性です。血のかたまりが出る場合もあります。しかし、血尿があるからといって、必ずしも膀胱がんをはじめとする尿路系のがんがあるとは限りません。
数日経過すると血尿が止まるなど一過性の場合がありますが、そうした場合も早めの受診が必要です。

2)膀胱刺激症状

頻尿や尿意切迫感、排尿時痛や下腹部の痛みなどの膀胱刺激症状が出現する場合もあります。これらの症状は膀胱炎と非常に類似していますが、抗生剤を服用してもなかなか治らないことが特徴です。

3)背部痛

初発症状になることはまれですが、膀胱がんが広がり尿管口を閉塞するようになると尿の流れが妨げられ、尿管や腎盂が拡張してくることがあります。これを水腎症と呼んでいます。水腎症になると背中の鈍痛(背部痛)を感じることがあります。尿管結石でもこのような症状を呈することがあります。

4.疫学・統計

2008年における膀胱がんの年齢調整罹患(りかん)率は7.2(男性12.8、女性2.8)で、男性は女性に比べ4倍多いとされています。

年齢調整死亡率は2.1(男性3.6、女性1)となっており、過去10年間の中で大きな変化はありません。年齢別にみた膀胱がんの罹患率は、男女とも60歳以降で増加し、40歳未満の若年では低いです。

罹患率の国際比較では、膀胱がんは欧米白人で高く、日本人を含む東アジア系民族では、本国在住者、アメリカ移民ともに低い傾向があります。

5.原因・予防

膀胱がんの確立されたリスク要因は喫煙です。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙のために発生するとの試算があります。
また、職業でナフチルアミン、ベンジジン、アミノビフェニルといった危険物質にさらされる(曝露:ばくろ)ことも確立したリスク要因とされています。

エジプト、ナイル川流域では、ビルハルツ住血吸虫症が膀胱がんを発生させるリスク要因である可能性が高いとされています。

その他のリスク要因の候補としては、フェナセチン含有鎮痛剤、シクロフォスファミド、骨盤内臓器に対する放射線治療の際の膀胱への被曝などがあげられます。
近年、糖尿病治療と膀胱がん発症との関連があるのではという指摘もなされています。

6.検診

膀胱がんの罹患率は比較的低く、また、一般検診の実施についての有用性は確認されていません。しかし、「5.原因・予防」で示したような、喫煙歴のある高齢者や、職業性発がん物資を扱った経験をもつ、いわゆる高リスク集団に対しては、年1回程度の検尿および尿細胞診の有用性が示唆されています。
【参考文献】
1.日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編:腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版);金原出版
2.日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2015年版;医学図書出版
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膀胱がん
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