1.デスモイド腫瘍について
1)デスモイド腫瘍とは
デスモイド腫瘍は、軟部組織にできる良性と悪性の間の中間型腫瘍の1つです。デスモイド型線維腫症ともいわれます。
軟部組織とは、肺や肝臓などの臓器と骨や皮膚を除いた、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経のことです。
デスモイド腫瘍の多くは、四肢(手足)や体幹にできます。他の臓器や器官に転移することはありません。
デスモイド腫瘍は、できた部位や発生のしかたにより大きく2つに分けられます。
- 腹腔外デスモイド腫瘍:
四肢、肩の周り、おしり、腹直筋(おなかの前面の筋肉)などにできる腫瘍です。
細胞の増殖に関わる遺伝子の変異が原因といわれています。 - 腹腔内デスモイド腫瘍:
腹腔内(胃や腸などが入っている腹膜に包まれた空間)にできる腫瘍です。
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP:Familial Adenomatous Polyposis)の人に発生することが多いといわれています。
2)症状
デスモイド腫瘍が大きくなると、皮膚の上から、直接硬い腫瘤(しこり)が触れることがあります。大きくなった腫瘤が、周りの神経を圧迫することによって神経障害が起こり、しびれや痛み、感覚が鈍くなるなどの症状を感じる人もいます。
腹腔内にできたときには、大きくなった腫瘤が腸を圧迫し、腹部膨満感(おなかが張った感じ)、腹痛、便秘などが起こることがあります。
2.検査
がんの疑いがあるときや治療中・治療後に受けることの多い検査についての情報は、「がんの検査について」をご参照ください。
3.治療
デスモイド腫瘍の治療に関する情報が掲載されています。
4.療養
「症状を知る/生活の工夫」には、がんの治療に伴う症状や自宅での生活の工夫などに関する情報を掲載しています。
がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。
「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。
5.臨床試験
国内で行われているデスモイド腫瘍の臨床試験が検索できます。
がんの臨床試験を探す チャットで検索
※入力ボックスに「デスモイド腫瘍」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。
がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 胸部の希少がん、腹部の希少がん、骨・筋肉の希少がん
※「カテゴリで検索」では、広い範囲で検索します。そのため、お探しのがんの種類以外の検索結果が表示されることがあります。
- 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
- がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
6.患者数(がん統計)
デスモイド腫瘍は、日本全国で診断される患者の数に関する正確なデータはありませんが、1年間に約300から400人が診断されると考えられています。
7.相談先・病院を探す
情報や病院などが見つからないときにはご相談ください。
8.関連する情報
がんの治療を始めるにあたって、参考となる情報です。
9.参考資料
- 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編.軟部腫瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版).2020年,南江堂.
- 日本整形外科学会ウェブサイト.腹腔外発生デスモイド型線維腫症 診療ガイドライン 2019年版(閲覧日2020年11月12日)https://www.joa.or.jp/
- 大腸癌研究会編.遺伝性大腸癌診療ガイドライン2020年版.2020年,金原出版.