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末梢性T細胞リンパ腫(まっしょうせいてぃーさいぼうりんぱしゅ)

更新日:2015年11月26日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2015年11月26日 掲載しました。

1.末梢性T細胞リンパ腫とは

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-cell lymphoma)とは、悪性リンパ腫の種類の1つで、リンパ球の中のT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫です。月単位で病気が進行する「中悪性度」に分類されます。

1)疫学・統計

中悪性度リンパ腫の10~15%を占めます。

2)症状

末梢性T細胞リンパ腫は進行期(病期がⅢ期、Ⅳ期)になってから発見されることが多く、リンパ節の腫脹(腫[は]れ、しこり)と全身症状としてはB症状と呼ばれる発熱、大量の寝汗、体重減少などがみられます。血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の場合は、この他に肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大、高免疫グロブリン血症(血液中のガンマグロブリンが増加する)、発疹などがあらわれることがあります。未分化大細胞リンパ腫(ALK陽性/陰性)は、リンパ節腫脹と全身症状の中でも発熱を主な症状とする場合があります。

3)病型

主な病型としては、非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫の4つに分けられています。

4)診断

末梢性T細胞リンパ腫のがん細胞は、細胞表面マーカー検査でT細胞を示すマーカーが陽性になります。T細胞の表面にある「CD30」という分子が陽性であればまず未分化大細胞リンパ腫と診断され、さらにALK蛋白が発現していればALK陽性未分化大細胞リンパ腫と確定診断されます。上記の4つの病型のうちALK陽性未分化大細胞リンパ腫は、他の3つよりも若年(20~30歳代)で発生し、予後がよく治癒しやすいという特徴があります。その他の非特定型末梢性T細胞リンパ腫(初発進行期)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫は60歳前後に発症することが多く、治療が難しい場合があります。
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫は総称して悪性リンパ腫と呼ばれています。
それぞれのがんの解説「悪性リンパ腫」では、悪性リンパ腫の治療の全体像や大まかな治療の流れなどを解説していますので、併せてご参照ください。

検査方法や治療効果、病期分類については、「悪性リンパ腫 —検査・診断—」をご参照ください。
治療成績については、「悪性リンパ腫 —治療の選択—」をご参照ください。

2.治療

治療方針は、比較的若年で発症して予後のよいALK陽性未分化大細胞リンパ腫と、それ以外の病型に分けて決定されます。基本的な治療は化学療法です。B細胞リンパ腫に効果がある分子標的薬(がん細胞の中の増殖に関わる分子だけを標的とした薬剤)のリツキシマブはT細胞リンパ腫には効果が期待できないため使用しません。

図1は、末梢性T細胞リンパ腫の治療の大まかな流れです。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。
図1 末梢性T細胞リンパ腫の治療
図1 末梢性T細胞リンパ腫の治療
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)より作成

1)ALK陽性未分化大細胞リンパ腫

化学療法のCHOP療法を行います。CHOP療法とは、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種類の薬剤を用いた多剤併用療法で、投与スケジュールは3週を1コースとします。限局期では放射線治療を追加します。このCHOP療法で良好な治療成績が報告されています。

2)非特定型末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫

CHOP療法が主体となりますが、治療効果は必ずしも良好でなく、標準治療が確立されていないのが現状です。予後の改善を目標として新規治療薬や造血幹細胞移植などの臨床試験が行われており、臨床試験への参加も治療の選択肢の1つとなります。
各治療については、「悪性リンパ腫 —治療—」もご参照ください。
治療後の通院や社会復帰のタイミングについては、「悪性リンパ腫 —生活と療養—」をご参照ください。

3)難治性の場合および再発時の治療

最初に行った化学療法で部分奏効(病変が縮小し新たな病変を認めない)以下であった難治性の場合、または再発した場合は救援化学療法を行います。再発または難治性の未分化大細胞リンパ腫で、細胞表面マーカー検査でわかるCD30抗原という分子が陽性の場合に、分子標的薬のブレンツキシマブベドチンが使用可能になり、効果が期待されています。また、末梢性T細胞リンパ腫の約40%が細胞表面マーカーのCCR4を発現しているため、CCR4抗体が陽性の場合はモガムリズマブも使用できるようになりました。
再発については、「悪性リンパ腫 —転移・再発—」もご参照ください。
【参考文献】
  1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版;金原出版
  2. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
  3. 日本リンパ網内系学会教育委員会:レベルアップのためのリンパ腫セミナー, 2014年6月;南江堂
  4. Swerdlow, S.H. et al. eds.: WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues., 2008; IARC.
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