HOME > それぞれのがんの解説 > 悪性リンパ腫 基礎知識

全ページ表示がんの冊子悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)

更新日:2017年09月13日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年09月13日 がんの冊子「悪性リンパ腫」2017年第3版の内容を反映するとともに、4タブ形式に変更しました。
2015年11月26日 タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」より内容を更新しました。
2011年02月21日 更新しました。
2006年10月19日 「悪性リンパ腫の診断と治療」を掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については「治療にあたって」をご参照ください。

1.悪性リンパ腫とは

血液中には免疫をつかさどる白血球やリンパ球、酸素を運搬する赤血球、出血を止める働きがある血小板などの血液細胞があります。これらは、骨の内部にある骨髄(こつずい)で血液細胞のもととなる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)から増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)してつくられます(図1)。造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれ、前者から赤血球、血小板、白血球の成分のうち顆粒球(かりゅうきゅう)や単球が産生され、後者から白血球中のB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球が産生されます。
図1 造血幹細胞から血液の分化について
図1 造血幹細胞から血液の分化について
悪性リンパ腫は、血液細胞に由来するがんの1つで、白血球の1種であるリンパ球ががん化した病気です。

全身のいずれの場所にも病変が発生する可能性があり、多くの場合は頸部(けいぶ)、 腋窩(えきか)、 鼠径(そけい)などのリンパ節の腫(は)れが起こりますが、消化管、眼窩(がんか:眼球が入っている骨のくぼみ)、肺、脳などリンパ節以外の臓器にも発生することがあります。

用語集

2.症状

首や腋(わき)の下、足の付け根などリンパ節の多いところに、通常は痛みのないしこりとしてあらわれます。数週から数カ月かけ持続的に増大して縮小せずに病状が進むと、このしこりや腫れは全身に広がり、進行するに従って全身的な症状がみられるようになります。全身的な症状としては発熱、体重の減少、盗汗(とうかん:顕著な寝汗)を伴うことがあり、これらの3つの症状を「B症状」といいます。

その他には、体のかゆみや皮膚の発疹、腫瘤(しゅりゅう)により気道や血管、脊髄(せきずい)などの臓器が圧迫されると、気道閉塞、血流障害、麻痺(まひ)などの症状があらわれ、緊急で治療が必要な場合もあります。

用語集

3.原因

発症の原因はまだ明らかではありませんが、細胞内の遺伝子に変異が加わり、がん遺伝子が活性化することで発症すると考えられています。また、一部にはウイルス感染症が関係することや、免疫不全者に多いことが知られています。

4.分類

悪性リンパ腫はがん細胞の形態や性質によって70種類以上に細かく分類されていますが、大きくはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに分類されます(図2)。

発症頻度は欧米と異なりわが国ではホジキンリンパ腫は少なく、多くは非ホジキンリンパ腫です。どのタイプに分類されるかによって治療方針が異なるため、病変部から組織を採取する「生検」を行い、顕微鏡による病理学的検査により正確に診断を行うことが重要です。

用語集関連情報

1)病型分類

病理検査で「リード・シュテルンベルグ細胞」や「ホジキン細胞」といった特徴的な細胞がみられるものがホジキンリンパ腫、それ以外が非ホジキンリンパ腫に分類されます。非ホジキンリンパ腫は、がんになっている細胞の特徴(B細胞性・T細胞性・NK細胞性のどれかとその成熟度)や染色体検査や遺伝子検査などの結果を基にさらに細かく分類されます。
図2 悪性リンパ腫の分類
図2 悪性リンパ腫の分類
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013 年版」(金原出版)より作成
図中の「ホジキンリンパ腫」をクリックすると、ホジキンリンパ腫の治療の詳細ページに移動します。「非ホジキンリンパ腫」をクリックすると、非ホジキンリンパ腫の病型分類の項目に移動します。

用語集

2)非ホジキンリンパ腫の臨床分類

(1) 低悪性度リンパ腫

年単位で緩やかに進行します。腫瘍量が少ない場合は、経過観察も可能です。代表的な病型として、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などがあります。

(2) 中悪性度リンパ腫

週~月単位で進行します。したがって、診断された時点で、腫瘍に対する治療が必要となります。代表的な病型として、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫があります。

(3) 高悪性度リンパ腫

日~週単位で急速に進行します。病状によっては、この診断を疑われた時点で緊急入院をすることもあります。高悪性度リンパ腫では、ほかのリンパ腫と異なり、入院を必要とする強力な化学療法を行います。代表的な病型として、バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫があります。
表1 非ホジキンリンパ腫の分類
悪性度による分類 非ホジキンリンパ腫の種類(病型)
低悪性度:インドレントリンパ腫
(年単位で進行)
●「濾胞性リンパ腫」(Grade 1、2)
●「MALTリンパ腫
●「リンパ形質細胞性リンパ腫
●菌状息肉症(「皮膚のリンパ腫」)
●セザリー症候群(「皮膚のリンパ腫」)
●「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」など
中悪性度:アグレッシブリンパ腫
(月単位で進行)
●「濾胞性リンパ腫」(Grade 3)
●「マントル細胞リンパ腫
●「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
●「末梢性T細胞リンパ腫
●「節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型
●「成人T細胞白血病/リンパ腫」(慢性型)など
高悪性度:高度アグレッシブリンパ腫
(週単位で進行)
●「バーキットリンパ腫
●「急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫
●「成人T細胞白血病/リンパ腫」(急性型、リンパ腫型)など
日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版」(金原出版)より作成

5.疫学・統計

新規罹患(りかん)患者数は、2005年の結果では16,991人、罹患率は人口10万人あたり約13人と年々増加傾向にあります。男女比は約3:2と男性に多く、60~70歳代が発症のピークとなっています。

用語集

7.「悪性リンパ腫」参考文献

1) 日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年WEB版(第1.2版),日本血液学会
2) 日本血液学会/日本リンパ網内系学会編.造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版),金原出版
3) WHO Classification Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues.2008.
お探しの情報が見つからないときは…
がん情報サービスサポートセンター
がん相談支援センターを探す
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートページへ
用語集
このページの先頭へ