前立腺がん 検査・診断:[国立がん研究センター がん情報サービス]
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前立腺がん(ぜんりつせんがん)

更新日:2014年11月18日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年10月16日
更新履歴
2014年11月18日 「1.検査 4)画像診断」と「図3 TNM分類の例」を更新しました。
2013年11月08日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月06日 内容を更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

1.検査

最近では、腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)を用いる血液検査で異常を指摘され、受診して診断される場合が増えてきています。

受診すると、まずは排尿に関する症状を含めた問診、診察が行われます。尿検査、PSA検査、肛門から指を挿入して前立腺の腫(は)れの状態を調べる直腸診や、肛門から超音波を発する機器を挿入して前立腺の状態を調べる経直腸的前立腺超音波検査などが行われます。

これらの検査・診察でがんが疑われると、前立腺の組織の一部を採取して病理検査・病理診断が行われ、がん細胞の有無や、がん細胞の性質が調べられます(前立腺生検)。がんが疑われる場合、あるいはがんと診断された場合には、X線検査CT検査MRI検査骨シンチグラフィなどでがんの広がりや転移の有無などについて検査が行われます。

1)PSA検査

前立腺がんになると血液中のPSAという物質が増加します。前立腺がんの早期発見においては、PSAの値を測定することが必須の検査となっています。また、PSAの値は治療後の再発の警戒信号にもなります。PSAの値に異常がみられた場合は、より詳しい検査が必要になります。

PSAには、遊離型のfree PSA、結合型のcomplexed PSAがあり、総PSAに対する遊離型のfree PSAの割合を% free PSAといいます。% free PSAは、前立腺の良性疾患とがんの鑑別の参考になるもので、前立腺がんの場合は前立腺肥大症の場合より% free PSAが低くなります。

PSA基準値は、全年齢で0~4ng/mLと考えられています。PSA値が4~10ng/mLをいわゆる「グレーゾーン」といい、25~40%の割合でがんが発見されます。また、4ng/mL以下でも前立腺がんが発見されることもあります。100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、さらには転移も疑われます。

PSA検査は前立腺がんのスクリーニング検査としては最も有用と考えられています。検診でPSA検査を受けて、PSA値が基準値以下であった場合の再検診の時期は、PSA値が1ng/mL以下と1.1ng/mL以上で分けて設定されており、1ng/mL以下の場合は3年ごと、1.1ng/mL以上の場合では年1回の再検診が推奨されています。

2)直腸診・経直腸的前立腺超音波検査

PSA値に異常がみられた場合、医師が肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認する検査(直腸診)や、超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入して、前立腺の状態を調べる検査(経直腸的前立腺超音波検査)を行います。
図2 経直腸的前立腺超音波検査
図2 経直腸的前立腺超音波検査

3)確定診断のための前立腺生検

PSA値あるいは直腸診、経直腸的前立腺超音波検査により前立腺がんの疑いがある場合、年齢も考慮しながら最終的な診断を行うために前立腺生体組織検査(生検)が行われます。前立腺生検では、超音波による画像で前立腺の状態をみながら、細い針で前立腺を刺し、組織を採取する「系統的生検」が行われます。初回の生検では、10~12カ所からの組織採取が勧められます。これは画像で異常がみられない場所からも前立腺がんが発見されることが多くあるため、診断率を高めるには、ある程度の数が必要だからです。

4)画像診断

前立腺がんと診断された場合、病気の広がりを確認するため、CT検査あるいは、MRI検査、骨シンチグラフィによる検査が行われます。これらの検査をすることで、前立腺内での進行の程度やリンパ節転移、あるいは骨転移の有無を確認することができます。

CT検査は、リンパ節転移の有無や肺転移の有無を確認するために行われます。MRI検査では、がんが前立腺内でどこに存在しているのか、がんが前立腺内にとどまっているか、前立腺外への進展がないか、精のうへの浸潤がないか、前立腺周囲のリンパ節への転移がないか、などの有用な情報が得られます。担当医は状況を判断して必要な検査を指示します。

骨シンチグラフィによる検査では、骨に異常がある場合には強い反応がみられます。反応の度合いやその偏りなどにより骨転移があるかどうか判定することができます。

CT検査、MRI検査ともに、造影剤を使用するため、アレルギー反応が起こることがあります。薬剤によるアレルギー反応を起こした経験のある方は担当医に申し出てください。

2.病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてStage(ステージ)ともいいます。担当医による説明などではステージという言葉が使われることが多いかもしれません。一般的に、病期分類にはTNM悪性腫瘍分類が用いられています。また臨床病期(画像などで得られた治療前の進行度)分類としてABCD分類もあります。前立腺がんのTNM分類では、次の3点に基づいて、その病期を判定します。

T:がんが前立腺の中にとどまっているか、周辺の組織・臓器にまで及んでいるか。
N:前立腺の近くにあり、前立腺からのリンパ液が流れているリンパ節(所属リンパ節)やその他のリンパ節へ転移しているか。
M:離れた臓器への転移(遠隔転移)はないか。
T、N、Mはさらにいくつかに分けられます。

病期は、触診所見、画像診断の結果などから決定されますが、前立腺がんの分類はほかのがんと比べて複雑になっています。これは前立腺肥大症として手術が行われ、その結果、前立腺がんが認められた場合も含めて分類するためです。またPSA検査の普及に伴い、触診あるいは画像検査などで特にがんを疑う所見がなかったにも関わらず、PSA値の異常から行った生検の結果がんを認めた場合を分類する必要が生じました。

現在の分類では、前立腺がんを疑って検査を受ける場合は、T1c以上の病期と分類され、前立腺がんを疑わずに行った検査の結果として前立腺がんが発見された場合にはT1a、T1bと分類されます。例えば、PSA値の異常のみで生検を行い、がんが検出された場合はT1cと分類されることになります。

T2以上は触診、あるいは画像で異常があった場合の分類となります。T2は前立腺の中でとどまっている場合であり、T3は前立腺をおおっている膜(被膜)を越えてがんが広がっている場合です。例えば、前立腺被膜内への浸潤がみられる場合は、被膜を越えていないので、T2に分類されます。また、隣接している臓器である膀胱の頸部への浸潤は、画像診断により確認された場合はT4ですが、顕微鏡的(顕微鏡で観察して診断できる)浸潤はT3aに分類されます。

ABCD分類による臨床病期分類も複雑です。ステージAとは前立腺がんを疑わず、前立腺肥大症の手術の結果、がんが発見された場合であり(T1a、T1b)、「早期がん」であるという意味ではありません。前立腺がんを疑って検査を行った結果、前立腺がんであると診断された場合、ステージはBからDとなります。ステージBは一般的な早期がんを意味し、前立腺内にがんがとどまっている場合です(T2)。ステージCは前立腺外への進展が認められる場合(T3とT4の一部)、ステージDはD1とD2に分類されており、骨盤内への進展・転移がある場合がD1(T4かN1)、遠隔転移がある場合がD2(M1)となります。前述のT1cは当初このABCD分類には想定されておらず、B0と表現されるようになりました。ただし現在では、ABCD病期分類が多分に曖昧さを含んでいることから、可能な限りTNM分類に従って分類することが推奨されています。

次に示した表は病期分類をまとめたものです。
表1 前立腺がんの病期分類
 T1 直腸診でも画像検査でもがんは明らかにならず、偶然に発見された場合
    T1a 前立腺肥大症などの手術で切り取った組織の5%以下にがんが発見される
    T1b 前立腺肥大症などの手術で切り取った組織の5%を超えた部分にがんが発見される
    T1c 前立腺特異抗原(PSA)の上昇のため、針生検によってがんが確認される
 T2 前立腺の中にとどまっているがん
    T2a 左右どちらかの1/2までにがんがとどまっている
    T2b 左右どちらかだけに1/2を超えるがんがある
    T2c 左右の両方にがんがある
 T3 前立腺をおおう膜(被膜)を越えてがんが広がっている
    T3a 被膜の外にがんが広がっている(片方または左右両方、顕微鏡的な膀胱への浸潤)
    T3b 精のうにまでがんが及んでいる
 T4 前立腺に隣接する組織(膀胱、直腸、骨盤壁など)にがんが及んでいる
 N0 所属リンパ節への転移はない
 N1 所属リンパ節への転移がある
 M0 遠隔転移はない
 M1 遠隔転移がある
日本泌尿器学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編 「前立腺癌取扱い規約 2010年12月(第4版)」(金原出版)より作成
例えば、がんが精のうまで及んでいて、所属リンパ節に転移があるけれども、別の臓器への転移はない場合は、T3bN1M0と表記することになります。
図3 TNM分類の例
図3 TNM分類の例
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