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脳腫瘍(のうしゅよう)

更新日:2014年04月22日 [ 更新履歴 ]
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2014年04月22日 2013年6月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。

脳腫瘍とは

神経細胞とグリア細胞
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脳腫瘍の発生率は1万人に1人くらいの人で起こるといわれています。脳腫瘍はがん全体で考えると、がんの患者さん100人のうち5人以下です。ところが、子どものがん患者さんだけで考えると、脳腫瘍は白血病の次に多く、子どものがん患者さんの5人に1人となっています。子どもの脳腫瘍は珍しい病気ではないことがわかります。

脳腫瘍という病名は、頭蓋骨の中に腫瘍がある場合に使います。脳からできた腫瘍の場合だけではなく、脳を包む膜が腫瘍になった髄膜腫(ずいまくしゅ)や、脳から出ている神経に発生する神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)など、脳そのものではなく、脳のまわりのものからできた腫瘍も含みます。腫瘍には、良性のものと悪性のものとがあります。

脳からできた腫瘍には、グリオーマといわれる神経膠腫(しんけいこうしゅ)や、髄芽腫(ずいがしゅ)などがあり、多くの場合は悪性の腫瘍になります。一方、髄膜腫や神経鞘腫など、脳のまわりのものからできた腫瘍のほとんどは、良性の腫瘍です。大人の脳腫瘍では、悪性の腫瘍はおよそ1/3ですが、子どもの脳腫瘍では、髄膜腫や神経鞘腫が少ないので、2/3は悪性の腫瘍となります。
脳外側面の領域と名称
脳外側面の領域と名称
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脳腫瘍がどれくらい悪いものであるかは、世界保健機関(WHO)が決めた基準(グレード)で示されます。グレードは1から4まであり、数字が大きくなるほど悪い腫瘍ということになります。グレード1の腫瘍は良性で、手術でとることができれば、多くの場合再発することはありません。グレード2、3、4の腫瘍は悪性です。悪性の腫瘍には、脳の中にしみ込むように入り込んでいく性質があります。脳には、体を動かす、話す、見る、聞く、食事をする、呼吸をするなど、私たちが活動するための重要な機能を調節する役目があります。ですので、脳の内側に入り込んでいる腫瘍を、丸ごと大きく切り取ってしまうことはできません。そのため、手術だけで治すことができません。

完全に取りきれなかった腫瘍に対しては、放射線を照射したり、あるいは抗がん剤を投与したりすることがあります。
脳正中断面の解説図
脳正中断面の解説図
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子どもに多い脳腫瘍は、神経膠腫、胚細胞(はいさいぼう)腫瘍、髄芽腫、頭蓋咽頭腫(とうがいいんとうしゅ)などです。これらの腫瘍による症状としては、頭蓋内圧(頭蓋骨に囲まれた脳の入っている部分の圧力)が高くなることによる頭痛や嘔吐、手足の麻痺、よろけたり歩行がおぼつかなかったり、顔面がゆがむ、眼の動きがおかしい、視力が低下する、異常に水分を欲しがり尿が多い、けいれん発作を起こすなどがあります。このような症状がみられた場合は、速やかにかかりつけ医に相談することをお勧めします。

小児期の脳腫瘍は、発育期の脳に重大な影響を与えます。また、脳腫瘍を治すための治療も、小児期の脳が発育過程にあるため、重大な影響を与えかねません。従って、小児脳腫瘍の治療には生命予後のみならず、機能的予後についての十分な配慮が必要です。
【子どもの脳腫瘍について、もっと詳しく】
子どもの脳腫瘍は、腫瘍の種類、好発部位が大人の脳腫瘍と異なるため、多くはその症状の経過も大人の場合と異なります。大人では大半の脳腫瘍が大脳に発生し、その発生部位により手や足が利かなくなったり(運動麻痺)、しびれがあったり(知覚障害)、言葉がうまく出なくなったり(言語障害)します。子どもの脳腫瘍の場合は、半数近くが小脳や脳幹などに存在することから、脳内の液体(脳脊髄液)の通過障害により水頭症を起こしやすいことになります。しかしながら、脳内に脳脊髄液がたまりすぎても、子どもは頭蓋骨を構成する骨同士の継ぎ目にあたる縫合線の部分が開きやすいため、頭の中の圧(頭蓋内圧)の上昇があまりみられず、単に不機嫌であったり、軽い歩行障害を示す以外に症状がみられないこともあります。

脳腫瘍の症状は、頭蓋骨という限られた空間の中に腫瘍ができたり、脳の水がたまったりして起こる頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)と、腫瘍によりその部位の脳の機能が障害されて起こる局所症状に分けられます。

頭蓋内圧亢進症状

小児の脳腫瘍は成人の脳腫瘍に比べ、小脳や脳幹のある後頭蓋窩と呼ばれる狭い空間にできることが多く、脳内の液体(脳脊髄液)の通路の通りが悪くなり、頭蓋内に脳脊髄液がたまり過ぎることによって水頭症を起こします。その結果、頭蓋内圧が高くなり、乳幼児であれば頭囲が拡大します。また、大脳の腫瘍が大きくなった場合にも頭蓋内圧が高くなります。成人では症状として、頭痛、嘔気、嘔吐があらわれますが、小児では、単に食欲が低下したり、突然嘔吐したり、また不機嫌であったりするだけのこともあります。

局所症状

脳腫瘍のできた部位により、その領域の神経細胞が障害を受け、特徴的な症状があらわれます。例えば、前頭葉の後部には運動野と呼ばれる運動神経の集まっている領域があり、その部分に障害を受けると反対側の手足の麻痺が生じます。また、右利きの人の言語中枢がある左前頭葉の側方の障害によっては、話をすることが不自由になります。後頭葉の障害では視野の狭窄(きょうさく)が起こります。小脳が障害されたときには、歩行時のふらつきが出たり、姿勢の保持が困難になったりします。しかしながら、小児ではいずれも成人ほど典型的な症状を示さないことも多いので注意が必要です。
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神経膠腫(グリオーマ)について

毛様細胞性星細胞腫(もうようさいぼうせいせいさいぼうしゅ)

図1 小脳の毛様細胞性星細胞腫のMR画像
図1 小脳の毛様細胞性星細胞腫のMR画像
神経膠細胞(グリア細胞)は、神経細胞と神経線維の間を埋めている細胞です。ここから発生する腫瘍を神経膠腫(グリオーマ)と呼びます。

毛様細胞性性細胞腫は、グリオーマとしては例外的に予後のよい良性腫瘍です(グレード1)。よく発生する場所は、小脳と視神経です。

小脳に発生する毛様細胞性星細胞腫は、大きなのう胞をつくることが多いことで知られています(図1)。完全に摘出すれば治すことができる可能性のある腫瘍です。

視神経に発生する毛様細胞性細胞腫(視神経グリオーマ)は、1型の神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう:レックリングハウゼン病)の子どもにみられることが多い腫瘍です。視力を犠牲にして完全に摘出すれば治ることもありますが、腫瘍が視神経から奥の脳へ入り込んでしまっている場合は手術で全部摘出することはできません。また、視神経グリオーマは自然に小さくなっていくこともあるので、個々の症例によって適切な治療法の判断が難しい場合があります。
【毛様細胞性星細胞腫について、もっと詳しく】

星細胞腫(幼若性毛髪様星細胞腫:ようじゃくせいもうはつようせいさいぼうしゅ)

5~14歳の小児に多い腫瘍で、小脳に好発する腫瘍です。髄芽腫と同様に小児脳腫瘍の中で大変頻度の高い腫瘍ですが、極めて良性で摘出手術を行えば完治し、5年生存率は80%以上といわれています。小脳半球に多く発生しますが、正中部にも珍しくありません。小脳が適切に機能しなくなることにより左右に足を開いて歩行し、ふらつきが強くなります。第4脳室や中脳水道などの脳脊髄液の通路を圧迫し、水頭症を起こしますが、骨縫合線を切り開く手術などにより頭蓋内の圧力が高くなることが抑えられ、頭痛や嘔気を初期には訴えないことも珍しくありません。

診断には、CT、MRIが用いられます。この腫瘍は嚢胞(のうほう:腫瘍内の水の袋)を形成することが多く、小脳内に黒い円形の画像として認められます。腫瘍本体は、この嚢胞の壁の一部が肥厚する形で結節状に存在し、壁在結節と呼ばれ、造影剤により白く描出されます。壁在結節と周囲の小脳との境界は鮮明で、手術でこれを完全に摘出すれば嚢胞壁の一部を残しても腫瘍の再発はないとされています。小児に発生する小脳の星細胞腫の多くは、このように摘出可能な良性腫瘍ですが、成人に発生する星細胞腫のように浸潤性に進行するものも一部あり、病理学的な悪性度に応じて術後に放射線療法を行う場合もあります。
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脳幹グリオーマ

図2 脳幹グリオーマのMR画像
図2 脳幹グリオーマのMR画像
脳幹は中脳、橋、延髄(えんずい)からなる細長い部分で、顔や手足の運動と感覚から呼吸、意識までをつかさどる重要な部分です。子どものグリオーマの1/3はこの脳幹に発生し(図2)、歩行時のふらつきや顔面の麻痺のために受診して発見されることが多くあります。重要な機能が集まった部分であるために手術で全部摘出することは困難です。また、放射線治療は一時的に症状をよくすることはありますが限界があり、抗がん剤による治療も同様です。以上からわかるように、残念ながら治療が最も困難な脳腫瘍の1つです。

胚細胞腫瘍について

図3 松果体部の胚細胞腫瘍のMR画像
図3 松果体部の胚細胞腫瘍のMR画像
子どもの脳腫瘍としてはグリオーマに次いで2番目に多い腫瘍です。脳内に存在し、胎児のときに胚細胞と呼ばれる精巣や卵巣などのもとになる細胞から発生する腫瘍です。10歳から20歳にかけての発症率が高く、欧米人に比べて東洋人で多くみられます。また、女児に比べ男児に多いという特徴があります。

胚細胞腫瘍は、脳の中心付近にある松果体(しょうかたい)と下垂体付近の2ヵ所によく発生します(図3)。

胚細胞腫が松果体に発生した場合は、眼を上に向けにくくなるという症状が出ることが多く、また下垂体付近に発生した場合は尿崩症(にょうほうしょう)*になるという特徴があります。下垂体は鼻の奥の真上にあり、えんどう豆ほどの大きさの小さな器官で、ホルモンの分泌などを介して体のさまざまな機能を制御しています。

胚細胞腫瘍にはいろいろな型があって治療法や治療成績が異なります。

ジャーミノーマ(胚腫)は胚細胞腫瘍の中でもっとも多く、放射線治療や抗がん剤による治療が有効な型の腫瘍であり、80%は治すことが可能です。

一方、胎児性がん、絨毛がん、卵黄のう腫瘍といった型の場合は極めて悪性であり、手術と放射線治療に加えて抗がん剤による治療を行っても、治すことができる例は半数程度でしかありません。ただ最近は、手術と放射線治療と薬物療法(抗がん剤治療)をうまく組み合わせることによって、徐々に治療成績が向上しつつあります。

*尿崩症:脳より分泌される抗利尿ホルモンの生成、反応が低下して生じる状態で、薄い尿が大量に出ます。夜中に何度もトイレに行くことがきっかけで、診断されることがあります。
【胚細胞腫瘍について、もっと詳しく】
胚細胞腫瘍が松果体に発生した場合は、早期より中脳水道の閉塞により水頭症となり、頭蓋内圧亢進症状が起こるほか、上方が見にくくなるという特徴があります。トルコ鞍上部に腫瘍が発生すると、尿量が増えたり、視野が狭くなるという症状があらわれます。

胚細胞腫瘍は病理学的に、成熟奇形腫、未熟奇形腫、悪性胚細胞腫瘍に大きく分類されています。奇形腫は良性の腫瘍です。

悪性胚細胞腫瘍はさらに、未分化胚細胞腫(または胚細胞腫、またはセミノーマ)、胎児性がん、多胎芽腫、卵黄囊(のう)腫瘍、絨毛がんに分類されます。未分化胚細胞腫は、発生した部位により名前が変わり、卵巣に発生した場合は未分化胚細胞腫、中枢神経に発生した場合は胚細胞腫、精巣に発生した場合はセミノーマといいます。これらは予後のよいがんであることが知られています。一方、多胎細胞腫、卵黄囊腫瘍、絨毛がんは悪性度が高いがんです。特に乳幼児の男児で多くみられる精巣の悪性胚細胞腫瘍は、多くが卵黄囊腫瘍です。また、悪性胚細胞腫瘍が奇形腫の中にふくまれているといった場合もあります。
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髄芽腫について

図4 髄芽腫のMR画像
図4 髄芽腫のMR画像
子どもの脳腫瘍としては3番目に多い腫瘍であり、5歳から9歳によく発症します。小脳の中央部付近に発生し、頭痛、吐き気、歩行障害を生じます(図4)。小脳以外に発生した髄芽腫と類似した腫瘍をPNET(Primitive neuroectodermal tumors:原始神経外胚葉腫瘍:げんししんけいがいはいようしゅよう)といいます。この腫瘍は極めて悪性ですが、手術によって全部摘出できれば治る可能性があることが知られています。脳内や脊髄に散らばりやすい性質があるために、手術後には脳と脊髄に放射線治療が必要です。さらに、抗がん剤による治療を加えることによって、5年生存率70%以上という報告もみられるようになってきました。悪性脳腫瘍の中では最も治療成績が向上した腫瘍の1つですが、一方で、治療による身体の発育や知能発達などへの影響が問題になってきています。まだまだ乗り越えなければならない問題も多い腫瘍です。
【髄芽腫について、もっと詳しく】
髄膜腫が発生すると、小脳症状として歩行障害や姿勢維持の障害が出現し、足を左右に開いての歩行が特徴的です。また、脳脊髄液の通過障害に伴う水頭症により、頭蓋内の圧力が高くなり、頭痛や嘔気を訴えたり、突然嘔吐したりします。しかし、水頭症があっても骨縫合線を切り開く手術などにより頭蓋内圧が緩和され症状が出にくくなることもあります。

診断には、CTやMRIが用いられます。大半は小脳正中部を中心に造影剤により一様に白く染まる円形の画像を示します。ときに、この腫瘍は髄液を介して脳室壁や脊髄腔に播種(はしゅ:種をまいたように広がる)するため、たとえ症状がなくても脳内の検査だけでなくMRIによる脊髄の検査も必要です。

治療は、手術および放射線療法が主体です。放射線療法が有効な腫瘍ですが、十分に腫瘍の摘出を行った後、放射線療法を行うとさらに効果的であるとされています。放射線療法は全脳に照射を行った後、小脳の病変部に追加照射します。さらに脊髄全体にも行います。また、放射線照射中や照射後に化学療法剤を併用するほうが予後がよいと考えられています。

治療に伴う副作用で最も問題になるのは、放射線照射によるものです。早期には全脊髄に対する照射による骨髄抑制(骨髄で白血球や血小板を造る機能が低下すること)であり、特に化学療法剤を併用した場合には白血球減少による感染に対する抵抗力の低下、血小板減少による出血傾向に注意が必要です。また、治療後数年たってからの障害としては、全脳照射による知能の発育障害があるため、3歳未満の場合には、術後の放射線照射の代わりに化学療法を第一選択とする傾向にあります。

髄芽腫と関連し、原始神経外胚芽葉性腫瘍(PNET)と呼ばれる腫瘍群があります。これは中枢神経系に発生する髄芽腫と鑑別が困難な未分化な腫瘍の総称であり、グリア細胞、神経細胞、上衣細胞などへの分化を示すものも認められます。腫瘍の性状や治療に対する反応は髄芽腫と似ています。
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頭蓋咽頭腫について

下垂体と視神経の近くに発生する良性の腫瘍で、転移することはありません。子どもの脳腫瘍では4番目に多く、大人にも発生することが知られています。

下垂体は鼻の奥の真上にあり、えんどう豆ほどの大きさの小さな器官であり、体のさまざまな機能を制御しています。この腫瘍が下垂体を圧排することにより、成長ホルモンの分泌障害から身体の発育不全を起こします。皮膚は色白できめ細かく、体毛は少なくなります。

腫瘍が視神経の交叉部を圧迫すれば、両眼ともに外側の視野が狭窄しますが、下垂体腺腫のときほど明確な半盲にはならず、やや不規則な視野障害になります。さらに腫瘍が大きくなると脳脊髄液の通過障害が起こり水頭症となります。

上衣腫について

上衣腫は5歳から9歳によく発症し、上衣細胞*に由来する腫瘍です。上衣細胞は脳の中の脳脊髄液で満たされた腔(脳室)の表面に並んでいます。上衣腫が大きくなると、脳脊髄液の流れを妨げ、水頭症を引き起こすことがあります。脳の下部に生じると脳脊髄液を通して脳の別の部位や脊髄に播種する可能性もあります。

*上衣細胞:大脳の深部にある脳室(脳脊髄液を貯留する部屋)の壁を形成している細胞です。
【上衣腫について、もっと詳しく】
脳室壁を構成する上衣細胞から発生するため、第4脳室、側脳室、第3脳室に接して存在し、脊髄腫瘍としても高頻度にみられます。腫瘍は周囲の脳組織を圧排する形で進行するため、腫瘍と脳との境界は比較的鮮明です。進行が緩徐ですから、かなり大きくなるまで何ら症状を示さないことも多く、脳脊髄液の通過障害による急激な水頭症で発症することも少なくありません。側脳室壁から大脳実質内に進展した場合は、片麻痺や視野障害などの症状があらわれます。また、第4脳室から舌状に頸髄方向へ進展し、頸部の硬直や運動制限が出現することもあります。

石灰化を伴う場合には、CTでは白く、MRIでは黒く抜けて映ります。造影剤を用いると均一あるいは不規則に増強され、内部に円形の嚢胞が認められることもあります。

手術で腫瘍部分を全部摘出することが可能であれば治癒しますが、大脳や小脳深部に存在し、全摘手術のできない場合は、放射線療法を併用します。一般に予後は良好で、5年生存率は60%程度ですが、ときに脳脊髄液を介して播種性に転移をすることがあります。
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その他の脳腫瘍

【視神経膠腫について、もっと詳しく】
3~7歳児の視神経に好発する良性腫瘍の1つです。眼窩(がんか)内に発生して一側の視力障害を起こすものから、脳内の視交叉部というところにできて、両側の視力視野の異常を起こすものまで、発生部位により症状はさまざまです。増殖の速度が大変遅いため、発症時にはかなりの大きさになっていることもあります。眼窩内で増大すれば眼球が突出し、頭蓋内で大きくなれば、脳脊髄液の通過障害により水頭症となります。また、この疾患はレックリングハウゼン病と呼ばれる全身の骨の軟化や変形、皮下腫瘍(神経線維腫)、皮膚の褐色色素斑(café au lait spot)、高カルシウム血症などを特徴とする遺伝性疾患との合併が多いとされています。診断は、頭部レントゲン撮影やCT、MRIで腫大した視神経を確認します。手術で全摘が可能であれば、極めて予後がよいのですが、病変が視交叉部に広がり、摘出を行えば両眼ともに失明するような場合は、手術により診断をつけ、放射線療法や化学療法を主体として行います。
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【脳幹部神経膠腫について、もっと詳しく】
小児および若年者に発生する腫瘍です。脳幹部は大脳からの神経線維が集中している部位であるために、四肢の運動神経麻痺ばかりでなく、顔面神経麻痺、眼球運動障害などの脳神経症状も伴います。特徴として手足の麻痺と反対側の脳神経麻痺が出現します。CTおよびMRIでは腫大した脳幹部を確認することができ、その一部あるいは全体が造影剤にて白く増強されます。手術で摘出できない部位であるために、手術の目的は診断の決定あるいは一部の摘出にとどめ、放射線療法が行われます。照射により一時的な腫瘍の縮小効果は得られますが、治療効果は極めて不良で、2年生存率は50%程度です。
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