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膵臓がん(すいぞうがん)

更新日:2014年10月14日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
更新履歴
2014年10月14日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.膵臓について

膵臓は胃の後ろにあり、長さ20cmほどの細長い臓器です。ふくらんだ部分は頭部(とうぶ)といい、十二指腸(じゅうにしちょう)に囲まれています。反対側の幅が狭くなっている端は尾部(びぶ)といい、脾臓(ひぞう)に接しています。膵臓の真ん中は体部(たいぶ)と呼ばれます。
図1 膵臓の構造
図1 膵臓の構造
膵臓は2つの役割を果たしています。食物の消化を助ける膵液の産生(外分泌)と、インスリンやグルカゴンなど血糖値の調節に必要なホルモンの産生(内分泌)です。膵液は膵管(すいかん)によって運ばれ、主膵管(しゅすいかん)という1本の管に集まり、肝臓から膵頭部(すいとうぶ)の中に入ってくる総胆管と合流し、十二指腸乳頭(じゅうにしちょうにゅうとう)へ流れます。

2.膵臓がんとは

膵臓にできるがんのうち90%以上は、膵管の細胞にできます。
これを膵管がんといい、膵臓がんは、通常この膵管がんのことを指します。膵臓は洋ナシを横にしたような形をしていますが、膵管はこの細長い膵臓を貫いて網の目のように走る細い管です。
手術するときは、がんのある位置や広がりによって、これらのどこを切除するかが決められます。

3.症状

早期の膵臓がんに特徴的な症状はありません。膵臓がんの方が病院へ来られた理由を調べてみますと、最も多いのは胃のあたりや背中が重苦しいとか、何となくおなかの調子がよくないとか、食欲がないなどという漠然としたものです。このほかに、体重の減少などもよく起こります。このような症状は膵臓がんでなくてもいろいろな理由で起こるものです。

比較的膵臓がんに関連のある症状として、体や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)があります。黄疸が出ると、体がかゆくなったり、尿の色が濃くなったりします。黄疸は、膵頭部にがんができて、胆管が詰まってしまったときに起こるのですが、胆石や肝炎などが原因の場合もあります。そのほか、膵臓がんができると、糖尿病を発症したり血糖のコントロールが急に悪くなったりすることがあります。

4.疫学・統計

年齢別にみた膵臓がんの罹患(りかん)率は60歳ごろから増加して、高齢になるほど高くなります。年齢調整死亡率の年次推移は、男女とも戦後1980年代後半まで増加し、1990年代以降は横ばいまたは緩やかに増える傾向にあります。年齢調整死亡率は、男性の方が高く、女性の約1.6倍です。罹患数は死亡数とほぼ等しく、膵臓がん罹患者の生存率が低いことと関連しています。

年齢調整死亡率の国際比較では、以前は日本の膵臓がんの死亡率は低いレベルでしたが、1960年代から80年代後半まで増加し、欧米諸国並みになった後、緩やかに増加しています。罹患率の国際比較では、日本人は国際的にみて高いレベルにありますが、最も高いのはアメリカ黒人です。

膵臓がんを起こす危険因子としては、糖尿病、慢性膵炎、肥満、喫煙などがあげられています。これらのうち、喫煙は確立した危険因子です。

わが国では、毎年30,000人以上の方が膵臓がんで亡くなっています。しかし、残念なことに、その診断と治療はいまだに難しいことが知られています。膵臓は体の深部に位置し、胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆のう・脾臓などに囲まれているため、がんが発生しても見つけるのが非常に難しいのです。その上、どんな人が膵臓がんになりやすいのかもよくわかっていません。また、早い段階では特徴的な症状もありません。このため、胃がんや大腸がんのように早期のうちに見つけることは難しく、膵臓がんとわかったときにはすでに進行していることが多いのです。治癒のためには早期発見はとても重要ですので、どうしたら早く発見できるかという研究が意欲的に続けられています。
更新日:2013年04月12日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
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2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.がんの診療の流れ

この図は、がんの「受診」から「経過観察」への流れです。大まかでも、流れがみえると心にゆとりが生まれます。ゆとりは、医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう。あなたらしく過ごすためにお役立てください。

がんの疑い

  「体調がおかしいな」と思ったまま、放っておかないでください。なるべく受診しましょう。
   

受診

  受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。
   

検査・診断

  検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。
   

治療法の選択

  がんや体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。
   

治療

  治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。
   

経過観察

  治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

2.受診と相談の勧め

がんという病気は、患者さんごとに症状のあらわれ方が異なります。また、症状がなく検診でがんの疑いがあると言われることもあります。何か気にかかる症状があるときや、詳しい検査が必要と言われたときには、医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご自身で判断したり、何か見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、問題がないことを確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

がん診療連携拠点病院がん相談支援センターでは、がんについて知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしていますので、お気軽に訪ねてみてください。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談できます。対面だけでなく、電話などでも相談することができますので、わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

詳しくは、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」をご覧ください。

お近くのがん相談支援センターは「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。

3.がんと言われたとき

がんという診断は誰にとってもよい知らせではありません。ひどくショックを受けて、「何かの間違いではないか」「何で自分が」などと考えるのは自然な感情です。

病気がどのくらい進んでいるのか、果たして治るのか、治療費はどれくらいかかるのか、家族に負担や心配をかけたくない…、人それぞれ悩みは尽きません。気持ちが落ち込んでしまうのも当然です。しかし、あまり思い詰めてしまっては、心にも体にもよくありません。

この一大事を乗りきるためには、がんと向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく必要があります。そこで、まずは次の2つを心がけてみませんか。

1)情報を集めましょう

まず、自分の病気についてよく知ることです。担当医は最大の情報源です。担当医と話すときには、あなたが信頼する人にも同席してもらうといいでしょう。わからないことは遠慮なく質問してください。また、あなたが集めた情報が正しいかどうかを、あなたの担当医に確認することも大切です。

「知識は力なり」。正しい知識は、あなたの考えをまとめるときに役に立ちます。

2)病気に対する心構えを決めましょう

大きな病気になると、積極的に治療に向き合う人、治るという固い信念を持って臨む人、なるようにしかならないと受け止める人などいろいろです。どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。そのためには、あなたが自分の病気のことをよく知っていることが大切です。病状や治療方針、今後の見通しなどについて担当医からよく説明を受け、いつでも率直に話し合い、その都度十分に納得した上で、病気に向き合うことに尽きるでしょう。

情報不足は、不安と悲観的な想像を生み出すばかりです。あなたが自分の病状について理解した上で治療に取り組みたいと考えていることを、担当医や家族に伝えるようにしましょう。

お互いが率直に話し合うことが、お互いの信頼関係を強いものにし、しっかりと支え合うことにつながります。
更新日:2016年12月07日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
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2016年12月07日 「膵癌取扱い規約 第7版(2016年)」より、「2.病期(ステ-ジ)」を更新しました。
2014年10月14日 「2.病期(ステ-ジ)」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.検査

膵臓がんが疑われる場合、腹部の超音波(エコー)検査CT検査が行われます。これらの画像所見から診断に至らない場合には、病状に合わせて、MRI、超音波内視鏡検査(EUS)、ERCP、MRCP、PETなどの検査を組み合わせながら総合的に診断されます。
なお、膵臓がんの疑いでCT検査を行う場合には、CTの単独使用は適さず、造影剤を用いた検査が推奨されています。造影剤を用いることで、血流や病変を詳しくみることができます。

1)腹部超音波(エコー)検査

漠然とした消化器症状がある人に対しては、まず腹部超音波検査や、胃と食道の内視鏡検査などを行い、胃炎、胃潰瘍(いかいよう)、胆石などの一般的な消化器の病気がないかどうかを調べます。腹部超音波検査では膵臓を観察することもできますが、患者さんの体形や状態、部位によっては見えにくい場合もあります。

2)CT検査

腹部超音波検査で異常が疑われる場合、あるいは異常がはっきりしない場合でも、症状や血液検査などのデータから膵臓や胆管などに病気のある可能性があれば、CT検査が行われます。

CTは、X線で体の内部を描き出し、病変の状態や周辺の臓器へのがんの広がり、転移の有無を調べられます。特に最近は画像の分解能力に優れたマルチスライスCTなどの新しい画像診断が行われるようになりました。

膵臓がんの場合、通常、ヨード造影剤を用いますので、ヨードアレルギーのある人は医師に申し出てください。

3)MRI検査

腹部超音波(エコー)検査やCTなどの所見から診断に至らない場合に用いられる検査の1つです。MRIは磁気を使用します。MRIではガドリニウムという造影剤が用いられますが、ぜんそくやアレルギー体質の人や腎機能が悪い人は副作用の起こる危険が高くなりますので、医師に申し出てください。

4)超音波内視鏡検査(EUS)

異常のある部分を詳細に調べるために、超音波装置の付いた内視鏡を入れて、胃や十二指腸の中から、膵臓などの臓器に超音波をあてて病変の状態や周囲への広がりなどをみる方法です。体外からの超音波検査に比べて、より詳細な観察が可能になります。腫瘍組織を調べるために、針を刺して腫瘍の細胞を採取する穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)を行うこともあります。

5)内視鏡的逆行性(ぎゃっこうせい)胆管膵管造影(たんかんすいかんぞうえい)(ERCP)

口から入れた内視鏡の先端を十二指腸に留置した後、十二指腸乳頭部と呼ばれる、膵管(すいかん)と胆管の出口にカテーテル(細い管)を入れて造影剤を流し込み、膵管や胆管の形をX線撮影で調べる検査です。膵管の中に超音波装置を挿入する膵管内超音波検査(IDUS)や膵管内の細胞や組織を採取する検査が行われることもあります。黄疸(おうだん)があるときは、ステントと呼ばれる管を胆管に留置する内視鏡的胆道ドレナージ(EBD)と呼ばれる治療が行われることがあります。(参照:「膵臓がん 治療-4.黄疸や感染に対する治療」)なお、これらの検査や治療では膵炎などの合併症を起こすことがあります。

6)MR胆管膵管撮影(たんかんすいかんさつえい)(MRCP)

MRIを使って胆管や膵管の状態を調べる検査です。内視鏡や造影剤を使わずに、ERCPの画像を得ることができ、患者さんの負担が少ないので、ERCPの代用としてMRCPを行うことが多くなってきています。

7)PET検査

PET検査(陽電子放射断層撮影検査)は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出する検査です。PETを用いても膵臓がんを早期に診断することは困難ですが、膵炎との鑑別や、膵臓がん手術後の再発診断に用いられることがあります。

8)血管造影検査

足の付け根の動脈から細い管を差し込んで、膵臓やその周辺に向かう動脈に造影剤を入れて、血管の状態や病気による変化を調べます。

9)経皮経肝胆道造影(PTC)

黄疸があるときは状況に応じてERCPではなく、皮膚の上から直接肝臓を貫いて胆管に針を刺し、そこから造影剤を入れて胆管をX線撮影することがあります。その後黄疸に対しては、皮膚から挿入したカテーテルを胆管に留置する経皮経管胆道ドレナージ(PTBD)と呼ばれる治療が行われます。(参照:「膵臓がん 治療-4.黄疸や感染に対する治療」)

10)腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、体のどこかにがんが潜んでいると異常高値を示す血液検査の項目のことで、がんの種類に応じて多くの種類があります。膵臓がんでは、CEA、CA19-9、Span-1、DUPAN-2、CA50などがありますが、必ずしも早期に膵臓がんを発見できるわけではありません。

2.病期(ステ−ジ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてStage(ステージ)ともいいます。担当医からの説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることが多いかもしれません。病期には、ローマ数字が使われ、膵臓がんでは、I期、II期、III期、IV期に分類されています。病期は、がんの大きさや広がり、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかによって決まります。

膵臓がんの病期は、これまで、日本の膵臓学会が定めたものと、国際的に使われているもの(UICC分類)で内容が多少異なることから、両方を使用していました。
しかし、2016年夏に、日本膵臓学会によって、両者の整合性をもたせる形で、以下のように病期(ステージ)分類が改訂されました。

病期(ステージ)分類 <日本膵臓学会 膵癌取扱い規約> 第7版 2016年

0期

がんが膵管の上皮内にとどまっている(非浸潤(ひしんじゅん)がん)。

IA期

大きさが2cm以下で膵臓内に限局しており、領域リンパ節(がんに近いリンパ節)転移を認めない。

IB期

大きさが2cmを超えているが膵臓内に限局しており、領域リンパ節転移を認めない。

IIA期

がんは膵臓外に進展しているが、領域リンパ節転移を認めない。

IIB期

領域リンパ節に転移を認めるが、がんは腹腔動脈や上腸管膜動脈に及ばない。

III期

がんが腹腔動脈もしくは上腸管膜動脈へ及ぶが、離れた臓器への転移(遠隔転移)を認めない。

IV期

遠隔転移を認める。
表1 膵臓がんの病期
  領域リンパ節への転移 離れた臓器への転移がある
なし あり
大きさが2cm以下で膵臓内に限局している IA IIB IV
大きさが2cmを超えているが膵臓内に限局している IB
がんは膵臓外に進展しているが、腹腔動脈や上腸管膜動脈に及ばない IIA
がんが腹腔動脈もしくは上腸管膜動脈へ及ぶ III
日本膵臓学会編「膵癌取扱い規約 2016年7月(第7版)」(金原出版)より一部改編

病期(ステージ)分類 <UICC分類> 第7版 2010年

I期

がんは膵臓内に限局しており、領域リンパ節転移を認めない。

II期

がんは膵臓内部に限局しているが、領域リンパ節に転移を認める。または、がんは膵臓外に進展しているが、腹腔動脈や上腸管膜動脈に及ばない。

III期

がんが腹腔動脈もしくは上腸管膜動脈へ及ぶが、離れた臓器への転移(遠隔転移)を認めない。

IV期

遠隔転移を認める。
治療の場面では、切除可能かどうかによって膵臓がんを「切除可能膵臓がん」と「切除不能膵臓がん」に分け、切除不能膵臓がんはさらに遠隔転移の有無により「局所進行膵臓がん」と「転移性膵臓がん」に分けて検討します。病期分類とこれらの病態との間にはおおよそ以下のような関係があります。
病期分類とこれらの病態との間にはおおよそ以下のような関係があります。
  切除可能膵臓がん 局所進行膵臓がん 転移性膵臓がん
日本膵臓学会
UICC
I~II III IV

2016年には、上記の「日本膵臓学会 膵癌取扱い規約」の中で、「切除可能性分類」が新たに定義され、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」の3つの分類が定められました。
詳しくは、「膵臓がん 治療-1.手術(外科治療)」ページをご参照ください。
【参考文献】
  1. 日本膵臓学会編:膵癌取扱い規約 第7版(2016年7月);金原出版
  2. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編:膵癌診療ガイドライン 2016年版 第4版;金原出版
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更新日:2016年12月07日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
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2016年12月07日 「膵癌診療ガイドライン2016年版」より、「図2 膵臓がんの臨床病期と治療 」を更新しました。
2016年02月10日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月14日 「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン2013年版」を反映しました。
2014年10月03日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.臨床病期と治療

膵臓がんの標準的な治療法は、手術(外科治療)、抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療の3つです。がんの広がりや全身状態などを考慮して、これらのうちの1つ、あるいは複数を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。

がんが膵臓にとどまっている場合は、手術と補助療法(通常は抗がん剤治療)を組み合わせて行います。膵臓がんが大事な血管を巻き込んでいたり、別の臓器に転移したりして手術ができないときは、放射線治療や抗がん剤治療が行われます。これらにバイパス手術を組み合わせる場合もあります。(参照:「膵臓がん 治療-1.手術(外科治療)」)を組み合わせる場合もあります。

膵臓がんは早期発見が難しく、診断されたときには進行していることが多いため、手術単独で治癒することは多くありません。現在では、病期に関わらず、手術の後に化学療法を行うこと(術後補助化学療法)が推奨されています。術後補助化学療法は、生存期間の延長や、安全性の点で比較的良好な成績を示しており、標準治療として行われるようになっています。

次に示すものは、病期(膵癌取扱い規約)と治療方法の関係を図にしたものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。
図2 膵臓がんの臨床病期と治療
図2 膵臓がんの臨床病期と治療
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会編「膵癌診療ガイドライン2016年版」(金原出版)より一部改変

2.治療成績

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによって、こうしたほかの要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。

以下に、全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が公表している院内がん登録から算出された5年相対生存率のデータを示します(参照:相対生存率)。このデータは、およそ10年前のがんの診断、治療に基づくものです。従って、診断や治療の進歩により、現在は下記の数字より治療成績は向上していると考えられます。

データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、全ての患者さんに当てはまる値ではないことをご理解ください。
【膵臓がんの生存率データについて、さらに詳しく】
このデータは、2005年から2007年の間に、膵臓がんの診断や治療を受けた患者さんが対象となっています。治療については、外科治療だけではなく、放射線治療、化学療法、その他の何らかの治療を受けた患者さんが対象となっています。そのため、各施設で公表している、外科治療だけを受けた患者さんを対象とした生存率と、異なる場合があります。

臨床病期については「膵臓がん 検査・診断-2.病期(ステージ)」をご参照ください。
表2 膵臓がんの病期別生存率
病期 症例数(件) 5年相対生存率(%)
I 206 41.3
II 626 17.8
III 654 6.4
IV 1,626 1.4
全症例 3,250 9.0
外部サイトへのリンク全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による

なお、こちらの表の臨床病期はUICC(Union Internationale Contrele Cancer:国際対がん連合)TNM分類を用いています。
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3.自分に合った治療法を考える

治療方法は、全て担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいというわけではなく、患者さん自身が納得できる方法が一番です。

まずは、詳しい病状を把握しましょう。あなたの体を一番よく知っているのは担当医です。わからないことは、何でも質問してみましょう。診断を聞くときには、ステージ(病期)を確認しましょう。治療法は、病期によって異なります。医療者とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認してください。

診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。最初にかかった担当医に何でも相談でき、治療方針に納得できれば言うことはありません。

担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。そのときは、担当医に話してみましょう。多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解していますので、快く資料を作ってくれるはずです。
【参考文献】
  1. 日本膵臓学会編:膵癌取扱い規約 第7版(2016年7月);金原出版
  2. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編:膵癌診療ガイドライン 2016年版 第4版;金原出版
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更新日:2016年12月07日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
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2016年12月07日 「膵癌診療ガイドライン2016年版」より、「1.手術(外科治療)」「2.化学療法(抗がん剤治療)」を更新しました。
2014年10月14日 「4.黄疸や感染に対する治療」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.手術(外科治療)

膵臓がんの治療の中で最も治療効果が高いものは手術です。手術ができる場合には、がんを含めて膵臓と周囲のリンパ節などを切除します(リンパ節郭清(かくせい))。

2016年には、「日本膵臓学会 膵癌取扱い規約」の中で、「切除可能性分類」が新たに定義されました。CT検査などの所見を総合した結果から、手術の適応になるかどうか、以下の3つに分類されます。

・「切除可能」
・「切除可能境界」
・「切除不能」

手術が適応になるかは、肝臓や肺などへの転移がないか、重要な臓器に栄養を運ぶ大きな血管にがんが広がっていないか、などから判断されます。

「切除可能境界」は、遠隔転移はないものの、がんが主要な血管に広がっているものを指します。がんが動脈系(上腸間膜動脈、腹腔動脈、総肝動脈)まで広がっているか、門脈系への浸潤にとどまっているかによってさらに細分されます。いずれも、標準的手術のみでは、がんが組織学的に残存する可能性が高いとされ、個別の状況に応じた治療法が検討されます。

手術は、膵臓がんの位置や広がりによって次のような方法が選ばれます。

1)膵頭十二指腸(すいとうじゅうにしちょう)切除

膵頭部を中心にがんがある場合、十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除します。切除後には、膵臓、胆管、消化管の再建(切除した部分をつくり直すこと)が必要になります。がんが胃の近くにある場合は、胃の一部も切除することがあります。血管にがんが広がっている疑いがあるときは、その血管の一部も合わせて切除し、再建します。

2)膵体尾部切除

膵体尾部のがんの場合、膵臓の体部と尾部を切除します。通常は脾臓も摘出されます。切除後の消化管の再建は必要ありません。

3)膵全摘術

がんが膵臓全体に及ぶ場合は膵全摘術が行われます。ただし、膵全摘は膵臓の機能がまったく失われてしまい、体への負担が大きいので、切除による治癒が期待できない場合には行われません。術後には、血糖をコントロールするためにインスリンの注射が必要となります。

4)バイパス手術

がんを切除することができない場合でも、十二指腸がふさがって食事がとれなくなるのを防ぐために胃と小腸をつなぐバイパス手術や、黄疸(おうだん)予防のために胆管と小腸をつなぐバイパス手術(胆道バイパス術)を行う場合があります。
【手術に伴う主な合併症について】
手術の場合、治療後、創(きず)の痛みがしばらく続くことがあります。痛みを我慢することはストレスになり、心身ともに疲れてしまい、回復の遅れにつながります。我慢しないで担当医や看護師に伝えましょう。

胆道や膵臓の手術では、切除部分から胆汁が漏れて腹膜炎を起こしたり、膵液が漏れて出血や感染を起こしたりしやすくなります。このため、手術の後しばらくの間、手術した場所にたまった胆汁や膵液、血液などを体外に出すための管(ドレーン)が数本、おなかに挿入されます。鼻から胆道や膵臓に管を通すこともあります。

管が付いている間は、抜けたり、場所が動いたりしないように管の入り口で固定されます。管から出た液体をためておく容器を身に付けておくことで、体を動かしたり、歩いたりすることができるようになります。体をまったく動かさないでいると背中が痛くなることがあります。そのようなときはマッサージをしてもらったり、可能な範囲で体の位置を静かに変えたりなどして対処します。

また、膵頭十二指腸切除術という手術を行った場合、残った膵臓を小腸に縫い合わせ、膵液が小腸に流れるようにします。同様に、胆管と小腸、胃と小腸をつなぎ合わせます。この縫い合わせた部分が狭くなると、食べ物の通りが悪くなって吐き気がしたり、あるいは細菌が腸から胆管や膵臓に移行して感染を起こしたりして、だるさや腹部の不快感、腹痛、吐き気、高熱などの症状が現れることもあります。こうした症状が現れたら、担当医や看護師に伝えましょう。症状が改善されないときは、内視鏡を使って狭くなった場所を広げる処置をしたり、再度手術を行ったりする場合があります。
胆汁や膵液、食べ物の流れに問題がなければ、少しずつ管を外して食事を再開します。

手術による合併症の程度は手術法によって異なります。例えば、膵臓全体を切除した場合は糖尿病になりますが、膵臓の一部を残せた場合には、もともと糖尿病の傾向があるのでなければ、糖尿病になることはあまりありません。がんのある範囲によっては腸の動きを調整する神経を残せないことがあり、この場合には下痢を起こしやすくなります。また、一般に膵臓の頭部を切除する手術の方が、尾側を切除する手術に比べ、腸をつないだりするところが多いため回復するまでの時間がかかります。
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2.化学療法(抗がん剤治療)

血管を巻き込んでいたり、転移があったりして手術でがんを取り除くことができない場合や、再発した場合には、抗がん剤治療が行われます。これらの切除不能や再発した膵臓がんに対する抗がん剤治療には、疼痛(とうつう)などの症状を和らげる効果と、生存期間を延長する効果があることが証明されています。

一方、膵臓がんを手術で取り除いた場合でも、一定期間抗がん剤の治療を受けると、再発がしにくくなったり、生存期間が延長したりすることが最近明らかにされたため、手術後の抗がん剤治療も広く行われるようになりました。このような治療のことを術後補助化学療法と呼びます。

膵臓がんに有効な抗がん剤には、点滴やのみ薬などいくつか種類があり、これらを単独で使用したり併用したりすることがあります。
一般に、以下のような化学療法が行われます。

1)がんが進行して手術ができない場合や再発した場合:
・FOLFIRINOX療法 (フルオロウラシル(5-FU)+レボホリナート+イリノテカン+オキサリプラチン)
・ゲムシタビン(ジェムザール)+ナブパクリタキセル(アブラキサン)併用療法
・ゲムシタビン単剤治療
・ゲムシタビン+エルロチニブ(タルセバ)併用療法
・S-1(TS-1)単剤療法

2)手術を行った場合の補助化学療法:
・S-1(TS-1)単剤療法
・ゲムシタビン単剤治療

 ※S-1(TS-1):テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムの3成分を配合した薬

抗がん剤には副作用がありますので、体の状態やがんの状態を考慮した上で、適切な抗がん剤治療を選択していくことになります。担当医から、化学療法や術後補助化学療法の具体的な内容をよく聞き、不安な点やわからない点について十分に話し合った上で、納得できる治療を選びましょう。膵臓がんに対してさらに有効な治療法を開発するため、新しい抗がん剤の研究も世界中で活発に行われています。
【化学療法(抗がん剤治療)の副作用について、さらに詳しく】
抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えます。口や消化管などの粘膜、髪の毛、骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、その結果、口内炎、下痢、吐き気、脱毛が起こったり、白血球血小板の数が少なくなったりすることがあります。それ以外に、だるさが現れたり、また肝臓や腎臓に障害が出たりすることもあります。多くの副作用は一過性であり、適宜症状を抑える薬物療法などを併用することによりコントロールされますが、副作用が著しい場合には治療の休止や減量、変更などを検討することもあります。

抗がん剤については「がんの治療に使われる主な薬」もご参照ください。
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3.放射線治療

高エネルギーの放射線を患部にあててがんをコントロールするのが放射線治療です。明らかな遠隔転移はないものの、膵臓がんが主要な血管を巻き込んでいたりして手術で取り除くことができない場合に行われます。化学療法と組み合わせることで放射線の効果を高めることが期待できるため、抗がん剤と併用されることが多く、その場合は化学放射線療法と呼ばれます。化学放射線療法は、がんが進行し、手術ができない場合における標準治療の1つとして推奨されています。より効果的な治療となるよう、抗がん剤の量や組み合わせについてさまざまな研究がなされています。
【放射線治療の副作用について】
放射線治療の副作用は、主として放射線が照射された部位に起こります。症状は部位や照射量によって異なります。一般的な副作用としては、皮膚の色素沈着(しきそちんちゃく)、吐き気・嘔吐(おうと)、食欲不振、白血球の減少などです。まれに胃や腸の粘膜が荒れて出血し、黒色便が出たり下血したりすることもあります。コンピューターによって照射部位を限定して放射線をあてられる技術が進歩しており、腸などの消化管への副作用を減らすことができるようになりました。

放射線治療の副作用については、「放射線治療総論」もご参照ください。
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4.黄疸や感染に対する治療

胆管が通過する膵頭部付近のがんでは、胆汁の流れが滞っていないか注意する必要があります。がんの影響で胆汁の流れが悪くなると肝機能障害や黄疸が起こり、さらにうっ滞した(正常に流れず、たまってしまった)胆汁に細菌が感染すると胆管炎が起こります。胆管炎は悪寒や発熱を伴い、時にショックと呼ばれる急激な血圧の低下を引き起こすことがあるため注意が必要です。また、黄疸や胆管炎の影響で手術や抗がん剤治療などが行えなくなる場合があります。そのため、うっ滞した胆汁を体外に排泄(はいせつ)するために「胆道ドレナージ」と呼ばれる処置を行うことがあります。胆道ドレナージには、皮膚から肝臓を経由して胆管にアプローチする方法(経皮経管胆道ドレナージ:PTBD)と、内視鏡的に胆管にアプローチする方法(内視鏡的胆道ドレナージ:EBD)があります。状況によって適切な方法が選択されますが、通常は身体への負担が少ない内視鏡的胆道ドレナージが推奨されています。

黄疸のケアについては、「黄疸(おうだん)」もご参照ください。
ドレーン(誘導管)については、「ドレーン(誘導管)留置中の管理」もご参照ください。

5.そのほかの治療

そのほかの治療としては、免疫療法や漢方、温熱療法などが膵臓がんに対して試みられていますが、はっきりした効果は確認されていません。

有効であることが証明されていない治療は研究段階にあるため、「臨床試験(りんしょうしけん)」として実施されています。膵臓がんは有効な治療が限られていることから、新しい抗がん剤や放射線治療、免疫療法などの開発を目的とした臨床試験が現在積極的に行われています。臨床試験にはいろいろな種類があり、参加できる条件も異なっていますので、検討できる臨床試験があるかどうかに関しては担当医と相談してください。

また、膵臓がんは痛みや吐き気などの症状を伴うことが多いので、これらの症状を和らげるための医療(緩和医療)が行われます。全身状態が悪く治療の負担が大きすぎると考えられる場合や積極的にお勧めできる治療がない場合には、無理せず症状のつらさを和らげる医療やケアに専念することも考えられます。

緩和ケアについては、「緩和ケア」もご参照ください。
【参考文献】
  1. 日本膵臓学会編:膵癌取扱い規約 第7版(2016年7月);金原出版
  2. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編:膵癌診療ガイドライン 2016年版 第4版;金原出版
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更新日:2013年04月12日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
更新履歴
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.手術後に日常生活を送る上で

1)手術後の食事 −消化のよい食事をとる−

手術の影響で脂肪の消化吸収に重要な役割を担う胆汁や、消化酵素を含む膵液の分泌量が少なくなったり、場合によってはまったく出なくなったりすることがあります。そのため消化不良による下痢などを起こしやすくなりますので、食事は、バランスよくなるべく消化のよいものをとりましょう。規則正しい食事は体力の回復にも役立ちます。食事の内容については栄養相談や食事指導の機会に栄養士などに相談し、あなたに合った献立や調理の工夫について聞くことが役に立ちます。

2)手術後の食生活のヒント

  • 食事は控えめの量から少しずつ:消化や栄養分の吸収に時間がかかることがあります。
  • 少量ずつ何回かに分けて食べましょう:一度にたくさんの量を食べると、消化吸収が追いつきません。体が慣れるまでは、1回の食事量を少なめにして、回数を増やしましょう。
  • 脂肪分をとりすぎないようにしましょう:動物性脂肪を控え、植物性脂肪をとりましょう。
  • 大豆製品や魚など良質なタンパク質をとりましょう。
  • 香辛料は控えめにしましょう。
  • コーヒー、紅茶は控えめにしましょう。
  • アルコールをとるときには、まず医師に確認してみましょう。

3)血糖の変動に注意

手術によって膵臓を全て切除する場合、血液の糖分(血糖)を下げるためのインスリンというホルモンが分泌されなくなります。慢性膵炎を合併している場合もインスリンの分泌が不足して血糖が上がりやすくなるので、自分で注射を打ってインスリンを補います。どのくらいの量のインスリンを注射すればよいのか、どのように打てばよいのかなどは退院前に、担当医あるいは看護師、薬剤師が指導します。1日に3〜4回の血糖測定を行い、血糖値の変動を自己チェックすることも必要になりますが、この血糖測定の方法も退院前に教えてもらいます。

膵臓はインスリンのほか、グルカゴンという血糖を上昇させる働きのあるホルモンも分泌しています。膵臓を切除すると、グルカゴンの分泌が低下することで、食事がとれなかったり、下痢を起こしたり、ふるえや動悸(どうき)、大量の発汗などの症状を引き起こしやすくなります(低血糖発作)。インスリンを注射しているときも低血糖発作を起こしやすくなります。このような症状が出たときは、あめやジュースなどを口に入れて、糖質(ブドウ糖)を補給すると軽減します。ブドウ糖やあめを持ち歩いておくと安心です。低血糖発作で意識が遠のいたり、気を失ったりすることがあるので、あらかじめこうした対応方法を確認しておき、氏名や連絡先、薬の一覧、かかっている医療機関名などを書いたカードやお薬手帳なども携帯しておくと安心です。発作を繰り返すようであれば、担当医に相談しましょう。

2.手術後の経過観察と検査

手術を受けた後も、回復の度合いや再発の有無を確認するために、定期的に検査を受ける必要があります。通院する頻度はがんの種類や進行度などによって異なります。少なくとも術後5年間は定期的な通院が必要になります。診察では、黄疸(おうだん)の有無や血糖、ホルモンの状態などを調べるための血液検査、腫瘍マーカー検査がなされます。さらに必要に応じてX線、腹部の超音波(エコー)CTなどの画像検査が行われます。

体調の変化や後遺症についての問診に続き、診察では黄疸やおなかの痛み、食欲の変化をみていきます。黄疸は自分では気が付きにくいので、白目の色が黄色くなったり、おしっこの色が濃くなったりすることも目安になります。少しでも気になる症状があるときは、担当医に相談するようにしましょう。強い痛みや発熱がある場合には、胆管炎などで入院の上、治療が必要なこともあります。早めに医療機関に連絡しましょう。

また、膵臓を切除することで糖尿病を発症したり、もともとあった糖尿病を悪化させたりする可能性もあります。その場合は糖尿病の専門医に診てもらう必要があります。
更新日:2013年04月12日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
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2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

1.転移

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで成長したものをいいます。がんを手術で全部切除できたように見えても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している可能性があり、手術した時点では見つけられなくても、時間がたってから転移として見つかることがあります。

膵臓がんは、がんが小さなうちから膵臓の周囲に広がりやすく、特に肝臓などに転移しやすい性質があります。早い時期から転移を起こすことも膵臓がんが治りにくい一因と考えられています。

2.再発

再発とは、治療により目に見える大きさのがんがなくなった後、再びがんが出現することをいいます。再度手術できる場合はまれで、抗がん剤による治療や放射線治療、痛みや食欲の低下といった症状に応じた治療などが一般的です。

膵臓がんは、切除可能な場合でも術後早めに再発することが多いがんです。再発といってもそれぞれの患者さんで状態は異なります。転移が生じている場合には治療方法も総合的に判断する必要があります。それぞれの患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。

3.生活の質を重視した治療

近年、がんと診断されたときから、QOL(生活の質)の改善を目的とし、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族がその人らしく過ごしたりするための緩和ケアが浸透し始めています。

緩和ケアは、がんが進行したときだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、その人らしい生活を送ることができるように、緩和ケアでは医学的な側面に限らず、幅広い対応をしていきます。
そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことがあれば、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。
再発や転移のこと、痛みが強いときの治療については、「患者必携がんになったら手にとるガイド」の以下の項目もご参照ください。
がんの再発や転移のことを知る患者必携サイトへのリンク
緩和ケアについて理解する患者必携サイトへのリンク
痛みを我慢しない患者必携サイトへのリンク
もしも、がんが再発したら 冊子
がんの再発に対する不安や、再発に直面したときの支えとなる情報をまとめた冊子です。がんの再発という事態に直面しても、「希望を持って生きる」助けとなりたいという願いを込めて、再発がんの体験者、がん専門医らとともに検討を重ねて作成されたものです。
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