膵臓がん 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス]
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膵臓がん(すいぞうがん)

更新日:2016年12月07日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年12月25日
更新履歴
2016年12月07日 「膵癌診療ガイドライン2016年版」より、「1.手術(外科治療)」「2.化学療法(抗がん剤治療)」を更新しました。
2014年10月14日 「4.黄疸や感染に対する治療」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。

1.手術(外科治療)

膵臓がんの治療の中で最も治療効果が高いものは手術です。手術ができる場合には、がんを含めて膵臓と周囲のリンパ節などを切除します(リンパ節郭清(かくせい))。

2016年には、「日本膵臓学会 膵癌取扱い規約」の中で、「切除可能性分類」が新たに定義されました。CT検査などの所見を総合した結果から、手術の適応になるかどうか、以下の3つに分類されます。

・「切除可能」
・「切除可能境界」
・「切除不能」

手術が適応になるかは、肝臓や肺などへの転移がないか、重要な臓器に栄養を運ぶ大きな血管にがんが広がっていないか、などから判断されます。

「切除可能境界」は、遠隔転移はないものの、がんが主要な血管に広がっているものを指します。がんが動脈系(上腸間膜動脈、腹腔動脈、総肝動脈)まで広がっているか、門脈系への浸潤にとどまっているかによってさらに細分されます。いずれも、標準的手術のみでは、がんが組織学的に残存する可能性が高いとされ、個別の状況に応じた治療法が検討されます。

手術は、膵臓がんの位置や広がりによって次のような方法が選ばれます。

1)膵頭十二指腸(すいとうじゅうにしちょう)切除

膵頭部を中心にがんがある場合、十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除します。切除後には、膵臓、胆管、消化管の再建(切除した部分をつくり直すこと)が必要になります。がんが胃の近くにある場合は、胃の一部も切除することがあります。血管にがんが広がっている疑いがあるときは、その血管の一部も合わせて切除し、再建します。

2)膵体尾部切除

膵体尾部のがんの場合、膵臓の体部と尾部を切除します。通常は脾臓も摘出されます。切除後の消化管の再建は必要ありません。

3)膵全摘術

がんが膵臓全体に及ぶ場合は膵全摘術が行われます。ただし、膵全摘は膵臓の機能がまったく失われてしまい、体への負担が大きいので、切除による治癒が期待できない場合には行われません。術後には、血糖をコントロールするためにインスリンの注射が必要となります。

4)バイパス手術

がんを切除することができない場合でも、十二指腸がふさがって食事がとれなくなるのを防ぐために胃と小腸をつなぐバイパス手術や、黄疸(おうだん)予防のために胆管と小腸をつなぐバイパス手術(胆道バイパス術)を行う場合があります。
【手術に伴う主な合併症について】
手術の場合、治療後、創(きず)の痛みがしばらく続くことがあります。痛みを我慢することはストレスになり、心身ともに疲れてしまい、回復の遅れにつながります。我慢しないで担当医や看護師に伝えましょう。

胆道や膵臓の手術では、切除部分から胆汁が漏れて腹膜炎を起こしたり、膵液が漏れて出血や感染を起こしたりしやすくなります。このため、手術の後しばらくの間、手術した場所にたまった胆汁や膵液、血液などを体外に出すための管(ドレーン)が数本、おなかに挿入されます。鼻から胆道や膵臓に管を通すこともあります。

管が付いている間は、抜けたり、場所が動いたりしないように管の入り口で固定されます。管から出た液体をためておく容器を身に付けておくことで、体を動かしたり、歩いたりすることができるようになります。体をまったく動かさないでいると背中が痛くなることがあります。そのようなときはマッサージをしてもらったり、可能な範囲で体の位置を静かに変えたりなどして対処します。

また、膵頭十二指腸切除術という手術を行った場合、残った膵臓を小腸に縫い合わせ、膵液が小腸に流れるようにします。同様に、胆管と小腸、胃と小腸をつなぎ合わせます。この縫い合わせた部分が狭くなると、食べ物の通りが悪くなって吐き気がしたり、あるいは細菌が腸から胆管や膵臓に移行して感染を起こしたりして、だるさや腹部の不快感、腹痛、吐き気、高熱などの症状が現れることもあります。こうした症状が現れたら、担当医や看護師に伝えましょう。症状が改善されないときは、内視鏡を使って狭くなった場所を広げる処置をしたり、再度手術を行ったりする場合があります。
胆汁や膵液、食べ物の流れに問題がなければ、少しずつ管を外して食事を再開します。

手術による合併症の程度は手術法によって異なります。例えば、膵臓全体を切除した場合は糖尿病になりますが、膵臓の一部を残せた場合には、もともと糖尿病の傾向があるのでなければ、糖尿病になることはあまりありません。がんのある範囲によっては腸の動きを調整する神経を残せないことがあり、この場合には下痢を起こしやすくなります。また、一般に膵臓の頭部を切除する手術の方が、尾側を切除する手術に比べ、腸をつないだりするところが多いため回復するまでの時間がかかります。
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2.化学療法(抗がん剤治療)

血管を巻き込んでいたり、転移があったりして手術でがんを取り除くことができない場合や、再発した場合には、抗がん剤治療が行われます。これらの切除不能や再発した膵臓がんに対する抗がん剤治療には、疼痛(とうつう)などの症状を和らげる効果と、生存期間を延長する効果があることが証明されています。

一方、膵臓がんを手術で取り除いた場合でも、一定期間抗がん剤の治療を受けると、再発がしにくくなったり、生存期間が延長したりすることが最近明らかにされたため、手術後の抗がん剤治療も広く行われるようになりました。このような治療のことを術後補助化学療法と呼びます。

膵臓がんに有効な抗がん剤には、点滴やのみ薬などいくつか種類があり、これらを単独で使用したり併用したりすることがあります。
一般に、以下のような化学療法が行われます。

1)がんが進行して手術ができない場合や再発した場合:
・FOLFIRINOX療法 (フルオロウラシル(5-FU)+レボホリナート+イリノテカン+オキサリプラチン)
・ゲムシタビン(ジェムザール)+ナブパクリタキセル(アブラキサン)併用療法
・ゲムシタビン単剤治療
・ゲムシタビン+エルロチニブ(タルセバ)併用療法
・S-1(TS-1)単剤療法

2)手術を行った場合の補助化学療法:
・S-1(TS-1)単剤療法
・ゲムシタビン単剤治療

 ※S-1(TS-1):テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムの3成分を配合した薬

抗がん剤には副作用がありますので、体の状態やがんの状態を考慮した上で、適切な抗がん剤治療を選択していくことになります。担当医から、化学療法や術後補助化学療法の具体的な内容をよく聞き、不安な点やわからない点について十分に話し合った上で、納得できる治療を選びましょう。膵臓がんに対してさらに有効な治療法を開発するため、新しい抗がん剤の研究も世界中で活発に行われています。
【化学療法(抗がん剤治療)の副作用について、さらに詳しく】
抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えます。口や消化管などの粘膜、髪の毛、骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、その結果、口内炎、下痢、吐き気、脱毛が起こったり、白血球血小板の数が少なくなったりすることがあります。それ以外に、だるさが現れたり、また肝臓や腎臓に障害が出たりすることもあります。多くの副作用は一過性であり、適宜症状を抑える薬物療法などを併用することによりコントロールされますが、副作用が著しい場合には治療の休止や減量、変更などを検討することもあります。

抗がん剤については「がんの治療に使われる主な薬」もご参照ください。
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3.放射線治療

高エネルギーの放射線を患部にあててがんをコントロールするのが放射線治療です。明らかな遠隔転移はないものの、膵臓がんが主要な血管を巻き込んでいたりして手術で取り除くことができない場合に行われます。化学療法と組み合わせることで放射線の効果を高めることが期待できるため、抗がん剤と併用されることが多く、その場合は化学放射線療法と呼ばれます。化学放射線療法は、がんが進行し、手術ができない場合における標準治療の1つとして推奨されています。より効果的な治療となるよう、抗がん剤の量や組み合わせについてさまざまな研究がなされています。
【放射線治療の副作用について】
放射線治療の副作用は、主として放射線が照射された部位に起こります。症状は部位や照射量によって異なります。一般的な副作用としては、皮膚の色素沈着(しきそちんちゃく)、吐き気・嘔吐(おうと)、食欲不振、白血球の減少などです。まれに胃や腸の粘膜が荒れて出血し、黒色便が出たり下血したりすることもあります。コンピューターによって照射部位を限定して放射線をあてられる技術が進歩しており、腸などの消化管への副作用を減らすことができるようになりました。

放射線治療の副作用については、「放射線治療総論」もご参照ください。
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4.黄疸や感染に対する治療

胆管が通過する膵頭部付近のがんでは、胆汁の流れが滞っていないか注意する必要があります。がんの影響で胆汁の流れが悪くなると肝機能障害や黄疸が起こり、さらにうっ滞した(正常に流れず、たまってしまった)胆汁に細菌が感染すると胆管炎が起こります。胆管炎は悪寒や発熱を伴い、時にショックと呼ばれる急激な血圧の低下を引き起こすことがあるため注意が必要です。また、黄疸や胆管炎の影響で手術や抗がん剤治療などが行えなくなる場合があります。そのため、うっ滞した胆汁を体外に排泄(はいせつ)するために「胆道ドレナージ」と呼ばれる処置を行うことがあります。胆道ドレナージには、皮膚から肝臓を経由して胆管にアプローチする方法(経皮経管胆道ドレナージ:PTBD)と、内視鏡的に胆管にアプローチする方法(内視鏡的胆道ドレナージ:EBD)があります。状況によって適切な方法が選択されますが、通常は身体への負担が少ない内視鏡的胆道ドレナージが推奨されています。

黄疸のケアについては、「黄疸(おうだん)」もご参照ください。
ドレーン(誘導管)については、「ドレーン(誘導管)留置中の管理」もご参照ください。

5.そのほかの治療

そのほかの治療としては、免疫療法や漢方、温熱療法などが膵臓がんに対して試みられていますが、はっきりした効果は確認されていません。

有効であることが証明されていない治療は研究段階にあるため、「臨床試験(りんしょうしけん)」として実施されています。膵臓がんは有効な治療が限られていることから、新しい抗がん剤や放射線治療、免疫療法などの開発を目的とした臨床試験が現在積極的に行われています。臨床試験にはいろいろな種類があり、参加できる条件も異なっていますので、検討できる臨床試験があるかどうかに関しては担当医と相談してください。

また、膵臓がんは痛みや吐き気などの症状を伴うことが多いので、これらの症状を和らげるための医療(緩和医療)が行われます。全身状態が悪く治療の負担が大きすぎると考えられる場合や積極的にお勧めできる治療がない場合には、無理せず症状のつらさを和らげる医療やケアに専念することも考えられます。

緩和ケアについては、「緩和ケア」もご参照ください。
【参考文献】
  1. 日本膵臓学会編:膵癌取扱い規約 第7版(2016年7月);金原出版
  2. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編:膵癌診療ガイドライン 2016年版 第4版;金原出版
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