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平成21年度 第1回市民向けがん情報講演会

がんになったら手にとるガイド〜がん「患者必携」〜

更新日:2009年09月18日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2009年09月18日 内容を更新しました。
2009年07月13日 掲載しました。
平成21年03月28日(土) 国立がんセンター築地キャンパス内 国際研究交流会館にて開催

プログラム

総合司会 国立がんセンターがん対策情報センター  高山 智子

開会のあいさつ   国立がんセンターがん対策情報センター センター長補佐 若尾 文彦
資料 患者必携試作版サンプルページ(抜粋版) PDFファイル
(17.8MB)
       
演題1: 「わたしの療養手帳」の使い方・活かし方   PDFファイル
(743KB)
読売新聞東京本社 編集局社会保障部 記者 本田 麻由美
       
演題2: がん患者と医療者との合い言葉「患者必携」   PDFファイル
(647KB)
  栃木県立がんセンター 病院長 清水 秀昭
       
演題3: がんになったら手にとるガイド「患者必携」   PDFファイル
(2,736KB)
  国立がんセンターがん対策情報センター 渡邊 清高
質疑応答

     
閉会のあいさつ 国立がんセンター総長 廣橋 説雄  
講演会の様子1講演会の様子2
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当日の主な質疑とその回答

患者必携の内容について

【完成の見込みと入手方法】
患者必携はいつ完成するのか。どこで受け取ることができるか。
(群馬県立がんセンター会場)
現在「試作版」として、がん情報サービスのホームページ「患者必携完成版に向けて」にて公開しています。冊子としての印刷や配布は行っていません。完成版として、どの医療機関でいつから配布するのか、などを含めてまだ検討段階です。今後、ホームページ上のアンケートでのご意見や、がん対策推進協議会、都道府県、がん診療連携拠点病院などでの議論の中で、内容の修正や地域版の拡充、配布の時期などを議論していきます。
追記:患者必携(完成版)は、平成22年6月に公開されました。

【配布、普及の方法】
含まれる情報量が膨大であるが、配布方法は? 全国の医療者に対し、理解を得るための周知や教育などの体制の計画はどうか。医療者にきちんと届かなければ、かえって混乱を招き、医療格差是正や解消にもつながらないのでは。
(四国がんセンター会場)
患者さんによっては、患者必携に含まれるすべての情報を一度にお渡しするのではなく、まず必要な情報だけをお渡しし、その後は個別の状況に応じて必要な情報を渡していく方法など、さまざまな伝え方が考えられます。
医療者への周知、理解ということについては、医師や看護師、相談員など医療従事者をはじめ、行政担当、患者さんを含め、多くの方に実際に使っていただき、内容や使い方など、評価や意見を出していただきながら徐々に広げていくことが重要と認識しています。

【地域の療養情報の拡充】
「地域の療養情報」について、茨城、栃木、静岡、愛媛以外の都道府県のものは作られるのか。
(山形県立中央病院会場)
現状は「試作」であり、こうした「地域の療養情報」を作成したほうがよいかどうか、を含めてご意見をいただいている段階です。この4県の「地域の療養情報(試作版)」については、地域のがん診療連携拠点病院の医療従事者の協力をもとに情報をまとめています。
「とても便利」「ぜひ自分の県も(作ってほしい)」など、好評を得ているところです。一方、すでに策定されている各都道府県のがん対策推進計画において、地域情報を作る取り組みについて言及している県もあります。具体的に、すべての都道府県でいつまでに作成されるかといった点などは未定です。
必要な情報が1冊にまとまった、「地域の療養情報」について、「とても便利」「作りたい」といった声を各都道府県に届けるなど、必要性を伝えていくことが重要であると考えています。

【用語説明の充実】
「5年生存率」など、よくわからない言葉があるので患者必携に掲載してほしい。
(愛知県がんセンター中央病院会場)
「がんに関する用語集」(がん情報サービス)には掲載されていますが、試作版の中では生存率について説明している項目を設けていません。今後修正の際に追加が可能ですので、知りたい言葉の候補を出していただき、用語集を拡充していきたいと考えています。

【再発や転移のときに活用できる情報】
再発の時点から患者を引き受けてくれる病院は限られている。再発患者こそ「がん難民」になってしまう。再発や転移のときに活用できるガイドブックがあるとよい。
(宮城県立がんセンター会場)
今回作成している試作版については、初発、つまり初めて「がん」と診断されたときに渡されるという想定で作成しています。一方、再発や転移を指摘されて病状が変わったときも、大きく意思決定を求められる場面です。この試作版での、再発や転移に関する情報は、一つの項目内の記事としての掲載にとどまっています。例えば、考えを整理するために「わたしの療養手帳」を活用したり、再発したがん治療の進め方や向き合い方など、始めにがんと診断されたときの対話や治療を踏まえた情報を、別の冊子として準備したり、ホームページで活用できるようにするなどは、検討段階にあります。概論的な治療の進め方とともに、役に立つ情報について、意見を聞いてまとめたり、試作の上で試用していく形でさらに情報の種類を増やしていければと考えています。ただ、まず医療者との対話が第一ですので、対話の中で情報を整理したり判断するなどして、活用できる形が望ましいでしょう。ぜひ多くの患者さんの意見をいただきながら、作っていくことができればよいと考えています。

【デザインや使い方の工夫】
「患者必携」を持つことで、周囲に「がんであること」がわかってしまうのが嫌だと思う患者がいるのではないか。例えば、ファイルの表紙の色を変えたりデザインを選択できたりということはできないか。
(国立がんセンター築地会場)
デザインや構成で工夫できる仕様にしたいと考えています。例えば、海外の患者会などで提供されている冊子では、表紙を、風景やペット、思い出の写真などから選んで着せ替えられたり、バインダーに名刺やカード、領収書を入れられるポケットがついているものがあります。また、バリアフリーのレストランガイドがあったり、割安で買い物ができるクーポン券がついていたりと、中身にも工夫がなされているものがあります。A5判バインダーでとじ込んで持ち歩くものを変えたり、表紙にカバーをかけるなど、自分だけのお気に入りの手帳を作ることも考えられます。地域や患者会によって創意工夫しながら良いものを楽しく作れるというかたちがいいのではないかと考えています。

患者必携の活用のあり方について

【患者と医療者の相互理解】
「患者必携」が、果たして多忙な医療現場での「合い言葉」となり得るのか。
(九州がんセンター会場)
患者さんが、「がんになったら手にとるガイド」や「がんの冊子」を読んだり、「わたしの療養手帳」に質問内容や要点を書いて利用することによって、効率的に診療を行えるようになる可能性があります。医師も診療で多忙ですが、「患者必携とは、患者と医師の合い言葉」という理解をお互いに粘り強く広げていくことが重要であると考えています。

【医療機関における準備・対応】
各医療機関の相談支援センターの相談員など、スタッフの確保、周知、対応は?
(国立がんセンター築地会場)
相談員については、がん対策情報センターが定期的に行っている相談員研修会などの機会において周知し、意見交換や情報共有を行っています。患者さんには「相談支援センター」を積極的にご活用いただき、わからないことやご意見、問題点があれば相談員にご相談ください。相談員から医師、看護師など医療従事者が連携して対応していくことも考えられます。患者さんが積極的に「相談支援センター」を活用することによって、体制の整備や相談員をはじめとする医療従事者の意識の向上や経験の共有にもつながります。

【医師との対話】
患者必携の配布によって、「(必携を渡して)詳しくはこれを読んでおいてください。」といったように、医師の説明努力が低下するのでは? そのようなとき、医師に対して、どのように質問していいのかわからない。
(国立がんセンター築地会場)
基本的に患者必携は「患者と医療者の対話のなかで活用されるもの、コミュニケーションツール」を想定して作成されています。患者必携を渡すことにより、かえって医師の説明不足を招くようなことは望ましくありません。「がんになったら手にとるガイド」の内容は、あくまでも「総論的・一般的」なことであり、個々の病状については医師との対話の中で確認しながら話を進めていくことが必須です。一方で、医師が患者さんに伝えたと思っていることと、患者さん本人が理解したと思っていることにはギャップ(格差)があります。そのギャップを埋めるために、患者必携を活用していただきたいと考えています。例えば利用者(患者)が「わたしの療養手帳」に質問内容を記入しておき、要点を医師にお話しいただく、また事前に「相談支援センター」で相談員と一緒に質問を整理する方法もあります。手帳を一緒に見ながら医師と対話するなど、医療現場の中でよりよい使い方が広がっていくと考えています。

【受け入れのための支援】
「がん」を受け入れるのと同様に、必携も受け入れるのに時間がかかると思うが、その時間を無理なく縮めていく努力が重要になってくるのではないか?
(千葉県がんセンター会場)
すぐに解決できる課題ではありませんが、がんになる前から、「がんになったら活用できる情報がある」ということを、いろいろな機会に知っていただいておくことが重要です。使っていただきながら、ご自身や家族、身近な人ががんになったときの、話し方、伝え方、聞き方について、いろいろな立場の方が共に考えていくことが課題なのではないかと思われます。

【活用のための工夫】
短い診療時間の中で、医師からの説明を受けながら「わたしの療養手帳」に記載していく余裕が患者自身にあるのか。手帳の書き込みをもっと端的にできるようにしてほしい。
(北海道がんセンター会場)
診療中は心にとどめておく、メモなどに走り書きをする程度として、自分がどのように理解したのかを、後で整理しながら「わたしの療養手帳」に記載していくことも考えられます。そのとき、わからないということはあって構いませんので、「次回担当医に聞いておくこと」として印をつけておけば、次回の診察に役立ちます。手帳の空欄をすべて埋めたり、質問例について聞かなくてはいけない、ということではなく、使いやすいところから取り組んでみて、使い方の工夫や意見など、どんどんご提案ください。わたしの療養手帳も含めて、患者必携は「たたき台」であり、引き続きご意見をいただき反映させていくことで、役に立つよりよいものになっていくと考えています。

【活用における課題】
患者必携によって医師の負担が増えるのではないか。「書くこと」が苦手な患者はどうしたらいいのか。
(新潟県立がんセンター新潟病院会場)
医療者が患者さんに、「がんになったら手にとるガイド」や、がんの冊子を指し示したり、患者さんが自分で読んだり、「わたしの療養手帳」に聞きたい要点を記入することによって、関心のあるところに焦点を絞った対話ができます。こうしたことで、両者がよりよく納得できるような使い方につながる可能性があります。逆に、医療者の負担が増えるかもしれません。これは、実際に使っていきながら検討する必要があります。
患者必携は現在試作版について検討している段階であり、「手帳に書きにくい」という患者さんについては、書きにくい個所を指摘していただいたり、「こうすれば書きやすいのでは」など、ご意見、ご提案をいただきたいと考えています。

【各地域、医療機関の取り組み】
各都道府県での取り組みの違いはないか。全国すべての医療機関で手にすることができるようになるのか。
(宮城県立がんセンター会場)
現在、全国のがん診療連携拠点病院を介して、医療者からの説明とともにお渡しすることを念頭に検討しています。まずは、がん診療連携拠点病院において実際に使用する中で、評価し、検証し、見直すべき点や意見を集め、さらに地域や医療機関を広げていくという流れになると考えています。

【連携の場における活用】
複数の医療機関で診療を受けているときにはどのように使えばいいのか。
(大分県立病院会場)
試作版に含まれる、「わたしの療養手帳」の中に、かかっている医療機関や連絡先などを一覧にして書き込むことのできるページがあります。
一方、複数の医療機関を受診している方のための、「地域連携クリティカルパス」という、複数の施設が共通に使う診療記録のようなものが広がりつつあります。「わたしの療養手帳」を組み合わせて連携を支援するものとして活用したり、医療の場面以外でも、介護や相談支援の場で、患者さん、医療者を含めた「合い言葉」として通行手形のようにして使っていく、などいろいろな仕組みが考えられます。

【さまざまな立場の参画の必要性】
患者必携を有効に活用するためには、医療者の活用意識はもちろん、患者、家族側の意識の変革が必須。がん診療連携拠点病院だけでなく、行政や患者団体など、どのような協力体制が期待されているのか。
(名古屋医療センター会場)
試作版の企画・作成の過程において、患者・市民の視点で「患者・市民パネル」からご意見をいただきましたが、患者さん、一般の方の意見を「聴く体制」が、まだ十分とは言えません。がん診療連携拠点病院が、地域の患者団体などと懇談会を開催するなどの機会を通して接点を持つ取り組みを積極的に行ったり、各都道府県で行われる地域懇話会などを通して説明の機会を持つなど、地域での認知や取り組みをさらに広げていく必要があります。

その他がん医療の課題について

【患者の自覚症状の伝え方について】
医師に理解してもらえない患者の自覚症状について、どのように対処して伝えていくのがよいか。
(埼玉県立がんセンター会場)
痛みやつらさ、不安など患者自身にしかわからない症状を医師に伝え、理解されたり、心配ないかどうか判断がもらえれば安心することもありますので、書きとめて、見てもらったり、対話の話題にする方法も考えられます。伝え方の工夫として、昨日からの変化、これまでとの違いなど、時間的変化を書きとめることで伝わりやすくなる情報もあります。数字の情報だけでなく表情をグラフにする、絵にして描いてみるなど、いろいろな伝え方が考えられます。

【医師との対話の重要性】
診察中にパソコンばかり見ていて患者の顔も見ない医師、いろいろ質問したときムッとした顔をする医師などもおり、信頼関係を築くにはどうしたらよいのか。
(大阪府立成人病センター会場)
「わたしの療養手帳」での伝え方のヒントやうまい伝え方の対話例などを活用するなど、いくつかの対応法が出てくるといいと思います。一方で情報だけでは解決されない問題や、医師の負担が軽減される方法も考慮する必要があるかもしれません。医療者としてもわかりやすく伝えられる方法を考えていくことが重要だと考えています。

【家族の理解を得るためには】
若年層のがん患者が増加する中、「親にどのように現実を受けとめてもらうか」というのは大きな問題。親とどのように対話すべきかのヒントについて、その必要性をどう考えるか。
(国立がんセンター東病院会場)
親や子どもなど、家族に対して自分のがんをどう伝えるかということは、重要なテーマです。「がんになったら手にとるガイド」では、小児がんの項目のなかに、子どもががんにかかったとき、親としてどのように伝えるか、どのような準備が必要かについて掲載していますが、他の項目も含めて患者さんが自分の両親に伝えるヒントについては十分でないかもしれません。一部は「社会とのつながりを保つ」という項目のなかに、周囲の人に伝えたり理解を得るための要点について触れています。「家族にどう伝えるか」という項目の提案について、ぜひご意見をいただきながら取り上げていきたいと考えています。
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