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子どもの検査値の読み方

更新日:2014年07月08日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2014年07月08日 掲載内容が正しいことを確認し、文章に追記しました。
2014年04月22日 2013年7月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、掲載しました。
さまざまな検査値を理解することで、病気の状態を正しく把握することができます。病院によっては検査結果をプリントアウトして渡してくれるところもあります。ここでは代表的な検査について、解釈の方法を示します。

なお、ほとんどの検査において小児の正常値は成人の正常範囲とは異なっています。検査値を読む際には、この点に注意が必要です。(下記は2014年7月8日現在の情報です)

血算の読み方

血算とは、血液の成分の量や濃度を調べる検査です。病院によってはCBC(Complete blood count)とよんでいることがあります。

白血球:WBC(White blood cell)

血球の種類
血球の種類
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「Blood」は「血液」、「Cell」は「細胞」のことです。血液細胞は丸いので、日本語では「球」といいます。

正常値は5,000から10,000です。単位は1立方ミリメートル(1mm3)=1マイクロリッター(1μL)当たりの個数で表します。通常1,000を掛けることで実際の値を得ることができます。すなわちWBCが5であればそれは5×1,000=5,000ということになります。

白血球の総数が正常か異常かということには大きな意味はありません。白血球には多くの種類があり、それぞれの細胞の数が大きな意味を持ちます。その比率は血液像あるいは白血球分画という欄に、パーセントを使って示されています。

白血球のうちまず顆粒(かりゅう)球について述べます。顆粒球は文字どおり細胞内に顆粒があるもので好中球、好酸球、好塩基球の3種類からなります。

好中球(neutrophil)

細菌(バクテリア)や真菌(カビ)などのばい菌を直接攻撃して食べる細胞です。

通常はstab(桿状核球:かんじょうかくきゅう)とseg(分葉核球:ぶんようかくきゅう)を合わせたものです。例えばstabが2%でsegが52%だったら好中球は合わせて54%ということになります。このとき白血球総数が5,000であれば好中球は5,000×0.54=2,700ということになります。

好中球数が500未満になると感染を起こしやすくなります。500未満になると生ものを禁止している(加熱食のみ食べる)病院もあります。

好中球数が100未満になると敗血症(細菌が血液に乗って全身に広がる)が起こりやすくなります。したがって好中球数が100未満のときに発熱があったらすぐに血液培養検査用の採血をして抗生物質を点滴投与しなければなりません。

担当の先生が「白血球数はまずまずだけど中身がまだ足りませんね」などと言うとき、その中身とは好中球のことだと思ってください。

好酸球(eosinophil)

主に喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患で増加します。小児がんの治療では重要ではありません。

好塩基球(basophil)

免疫系に関係するといわれていますが、いまだにその存在意義がよくわかっていない白血球です。
顆粒球以外の白血球には次のようなものがあります。

リンパ球(lymphocyte)

免疫を担当する賢い細胞群です。大まかにTリンパ球とBリンパ球に分かれますが、顕微鏡では区別がつかず、フローサイトメトリーという機械を使わなければわかりません。しかし毎日の臨床では2つを区別して考える必要はありません。

Tリンパ球は細胞性免疫を担当し、主にウイルスが感染した細胞を攻撃します。1つ1つのTリンパ球は1つの標的(例えばインフルエンザ専門のTリンパ球など)を認識します。Bリンパ球は液性免疫を担当し、抗体(ガンマグロブリン)を産生します。すなわち、麻疹(ましん)に対する抗体、風疹(ふうしん)に対する抗体など1つ1つのBリンパ球は1種類の抗体を産生します。

リンパ球は無作為に直接ばい菌を攻撃する好中球に比べて特異性が極めて高い細胞であり、またその免疫学的な記憶は長期間続きます。麻疹に一度かかると終生免疫ができるのもリンパ球のおかげです。

リンパ球が200以下など、極端に少なくなると、ウイルス感染症やカリニ肺炎などにかかりやすくなります。特にステロイド剤を長く用いるとカリニ肺炎にかかりやすくなるため、リンパ球が少ない患者さんは抗菌薬であるST合剤をのんで予防します。

単球(monocyte)

好中球のように細胞の核が分かれず、1つしかないのでこの名称がついたと思われます。 単球は細菌などを食べて(貪食(どんしょく)という)、その中身を吟味してリンパ球に教えるという働きを持っています。 化学療法を行うと一旦、白血球は減少し、やがて増加してきますが、好中球に先だって単球が増加してくることが多くあります。担当の先生が「単球が回復してきたからもう大丈夫でしょう」などと言うことがあります。

白血病細胞(Leukemia cell:略してLk)

正常人の血液中には存在しません。骨髄中の若い細胞を芽球(blast)と言いますが、化学療法後に白血球が減少し、その後増加してくるときに、芽球が血液中に出現することがあります。白血病細胞も若い細胞なので、回復期の芽球と区別がつきにくいことがあり、白血病の再発か、と驚かされますが、あせらずに数日待つと、芽球が消失して白血病の再発ではなかったことがわかります。

赤血球:RBC(Red blood cell)

赤血球数の正常値は350万~500万です。単位は1立方ミリメートル(1mm3)=1マイクロリッター(1μL)当たりの個数で表します。赤血球数が日常議論されることはほとんどないと思います。

赤血球にはヘモグロビン(血色素)という鉄を含むタンパク質が含まれています。赤血球の働きは酸素を運搬することです。酸素はヘモグロビンの中の鉄と結合して運ばれますから、ヘモグロビンの値はRBCの数よりも重要です。

ヘモグロビンは通常HgbまたはHbと略されます。医者はよく「ハーべー」などと読みます。Hgbの正常値は10g/dL以上です。化学療法の最中には7g/dLを下回らないように予防的に輸血が行われます。

血小板:Platelet(略してplt)

血小板は球形ではなく、平らなお皿のような形をしているのでプレートと呼ばれます。正常値は15万から40万と大きな幅があります。

注意すべき点は、病院によって千単位だったり万単位だったりすることです。すなわちpltの値が5だったときにA病院ではこれを千倍して5,000ですが、B病院では1万倍して5万だったりします。欧米の数字の単位は千ですが日本では1万なのでこの差が出るのです。かかっている病院の単位が欧米基準か日本基準かを知る必要があります。

血小板が2万未満になると重篤な出血が起こりやすくなります。化学療法中は2万未満にならないように予防的に血小板輸注(ゆちゅう)が行われます。反対に5万以上であれば出血は少なくなるので、手術も可能です。中心静脈カテーテルを挿入するときなどは、血小板数が5万以上になるように血小板輸注が行われます。

網状赤血球:Reticulocyte(略してRet)

これは番外ともいうべき指標で、できたばかりの若い赤血球のことです。

正常値かどうかにはあまり意味はありませんが、増減には意味があります。すなわち、骨髄機能が回復して赤血球を自力でつくり出すと増加してきます。

Retの単位も病院によって異なり、世界標準はパーセント(%)ですが、多くの病院でパーミル(‰、千分率)が用いられています。

血清検査

血清検査は血液から血清を分離して調べる検査です。生化学検査とほぼ同じような検査ですが、歴史的に検査方法が異なっていたため、今でも別のカテゴリーに分類されることがあります。

C反応性タンパク:CRP(C-reactive protein)

”C”は肺炎球菌のC多糖体のことで、もともとは肺炎球菌の感染症においてC多糖体に反応して血液中に増加する物質がCRPと名付けられました。現在は細菌感染症、真菌感染症などの感染症一般、膠原(こうげん)病、悪性腫瘍(しゅよう)があるときに増加することがわかっています。

正常値は0.3mg/dL未満ですが、1以下は大体正常、重症感染症では10以上になります。発熱時にCRPの上昇があれば細菌感染が疑われることが多いため、小児がんの治療中によく行われる検査です。結果も1時間以内に得られるので便利です。感染症が軽快すると下がってきます。

免疫グロブリンG:IgG

抗体のことです。人間は麻疹の抗体、風疹の抗体、というようにあらゆる病原体に対して抗体をつくります。IgGはその総量を表し、通常は800mg/dL以上あります。

抗体はBリンパ球によってつくられるため、ステロイド治療や抗がん剤治療によってリンパ球が減少するとIgGも減少します。IgGが400未満などと低くなると重症感染症を来しやすくなるので、IgG製剤の補充が必要になることもあります。

免疫グロブリンにはIgGのほかにIgA、IgM、IgEなどがあります。

IgAは唾液などに入っており、局所の免疫をつかさどります。

IgMはIgGに似ていますが、感染症の早期に上昇します。IgEは喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギーのある患者さんで増加します。

生化学検査

主に血液中を流れる化合物や酵素の濃度を測定する検査です。

総タンパク:TP(Total protein)

TPの約3分の2はアルブミン(Albumin)というタンパクです。

実は上述のIgGもTPの一部を構成します。TPやアルブミンが高いときには脱水が疑われます。低いときには低栄養が疑われますが、ネフローゼ症候群といって腎臓からタンパク質が漏れ出てしまう病気や下痢がひどく腸からタンパク質が漏れ出てしまう状態でも低下します。TPやアルブミンが下がるとむくみます。

血中尿素窒素:BUN、クレアチニン:CRNN(CRN、Cre、Crと表すこともあります)

いずれも腎機能が低下すると上昇します。

BUNは消化管出血でも上がります。CRNNの正常上限は年齢が低いほど低く、年齢によって異なりますので注意を要します。

尿酸:UA

UAは中高年の男性では高くなりがちです。高尿酸血症は痛風発作あるいは腎障害を起こすことがあります。尿酸はいわゆるプリン体の一種で、肉やビール、キノコ類や貝類に多く含まれます。運動をしたり体重を減らしたりすると下げられますが、尿酸の生成を抑える薬が用いられることもあります。

ところで、白血病と診断されたばかりの患者さんでは、新しい白血病細胞がどんどんつくられますし、また壊れる細胞もたくさんあります。細胞が壊れると細胞の中の核にあるプリン体が出てきて尿酸が上昇しますので、白血病の診断時には高尿酸血症がよくみられます。したがって白血病の治療を開始する前にまず尿酸を下げる薬を投与する必要があります。また尿が酸性になると腎臓の中で結石ができることがあるため、白血病の治療早期には点滴に重炭酸を入れて尿をアルカリ性に保つようにします。

LDH

白血病細胞などのがん細胞が増加あるいは壊れると上昇します。したがって多くの小児がんで病勢を反映する腫瘍マーカーとして使えます。

ただし、腫瘍がある場合だけではなく、肝機能異常、心臓を含む筋肉の異常、脳細胞へのダメージがあるときにも上昇します。またLDHは化学療法後に起こった骨髄抑制が終わり、若い正常な血液細胞が増加してくると上昇することがあります。

AST、ALT

従来ASTはGOT、ALTはGPTと呼ばれていました。いずれも肝機能が悪化すると上昇します。ただしASTは肝機能異常のみならず、心臓を含む筋肉系の異常でも上昇します。

G-GTP(ガンマGTP、γGTPと表すこともあります)

成人ではアルコール摂取の過多によって上昇します。小児がんの治療に際しては、ステロイドを長期にわたって使用すると脂肪肝になり上昇します。治療に用いる薬剤の副作用で上昇することがあり、AST、ALTとあわせて肝障害の程度を判断します。

ビリルビン:Bilirubin

血中のビリルビンが上昇すると黄疸(おうだん)が出てきます。

D-Bil(直接ビリルビン)とI-Bil(間接ビリルビン)を合計したものがT-Bil(総ビリルビン)です。D-Bilは肝臓の障害で上昇し、I-Bilは溶血(赤血球が破壊されること)に際して上昇します。日本人の約5%はI-Bilが体質的に高く、これは病的ではありません(体質性黄疸、その大部分はGilbert症候群です)。

以上をまとめるとAST、ALT、G-GTP、T-Bilはいずれも肝機能障害の指標ですが、一般にもっとも重視されるのはT-Bil、とりわけD-Bilの上昇です。

アミラーゼ:AMY

膵臓(すいぞう)の炎症、あるいは唾液腺の炎症(耳下腺炎(じかせんえん)など)で上昇します。白血病や悪性リンパ腫に対する治療としてL-アスパラギナーゼを用いた場合に急性膵炎がみられることがあり、注意を要します。

ESR(赤沈または血沈)

採血した血液を特殊な試験管に入れて立て、赤血球が沈んでいく速さを測定するというものです。

結核が多くみられた時代によく用いられた検査法です。すなわち結核の病勢が悪化すると血沈が亢進します。「1時間に100mm落ちる」というように表します。ところがその後、血沈は結核以外の感染症や膠原病、悪性腫瘍などでも亢進することがわかり、非特異的とはいえ、炎症の程度と相関することが知られています。

Ccr(クレアチニンクリアランス)

24時間蓄尿(ちくにょう)した尿中のCRNN値に24時間の尿量(ml)を掛け、それを血中のCRNN値で割った後、分の単位にするために1440で割り、さらに体表面積(m2)で割り、最後に1.73を掛けるという少々込み入った検査値です。体表面積(m2)は身長(cm)に体重(kg)を掛けたもののルート(平方根)を60で割ると得られます。

腎臓で濾過される血液量を反映します。正常値は100以上で、腎機能を評価する最もよい指標と考えられています。
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