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喉頭がん(こうとうがん)

更新日:2013年03月18日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1998年02月12日
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2013年03月18日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1998年02月12日 掲載しました。

1.喉頭について

人間の「のど」は、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)からできています。このうち喉頭は甲状軟骨(こうじょうなんこつ;いわゆる「のどぼとけ」を構成する部分)に囲まれた箱のような部分で、内面は粘膜におおわれています。喉頭は舌の付け根(舌根:ぜっこん)から気管につながっており、さらに肺へと続いています。喉頭の背側(後方)には下咽頭と呼ばれる部位があり、こちらは食道へ続いています。
図1 咽頭と喉頭の構造
図1 咽頭と喉頭の構造
喉頭には、主に以下の3つの働きがあります。

1)発声

喉頭には左右1対の声帯(せいたい)があります。肺からの呼気で閉じた声帯を振動させることにより、声を出すことができます。

2)誤嚥(ごえん)防止

食べ物をのみ込むときは、喉頭蓋(こうとうがい)というフタが喉頭や声帯を閉じ、誤嚥を防いでいます。

3)気道の確保

喉頭には空気の通り道(気道)としての働きもあります。

2.喉頭がんとは

頭頸部(主として耳鼻咽喉科が診療する領域)にできたがんを頭頸部がんといいます。喉頭にできたがんを喉頭がんとよび、頭頸部がんに含まれます。

喉頭がんが進行すると、発声、誤嚥防止、気道確保などの喉頭の機能が損なわれます。

声帯がある部位を声門といい、それより上を声門上(せいもんじょう)、下を声門下(せいもんか)といいます。喉頭がんはその発生部位によって「声門がん」「声門上がん」「声門下がん」の3つに分けられています。最も多いのは声門がんで60〜65%を占め、声門上がんは30〜35%であり、声門下がんの発生は極めてまれです。

3.症状

がんの発生部位によって最初に現れる症状は異なります。

1)声門がん

最も発生頻度が高い声門がんでは、ほぼ全ての方に嗄声(させい)といって、低いがらがら声、雑音の入ったざらざらした声、かたい声、息がもれるような声などの症状がみられます。嗄声が1カ月以上続くときは、喉頭がんの疑いが強くなります。がんが進行すると嗄声はさらにひどくなり、声門が狭くなって息苦しいなどの呼吸困難症状がみられるようになります。痰(たん)に血液が混じることもあります。

2)声門上がん

声門上がんでは、いがらっぽさ、異物感、食べ物をのみ込んだときの痛みなどの症状がみられます。進行すると耳に広がる痛みが現われることもあります。頸部(首)のリンパ節の腫(は)れが最初に出ることも少なくありません。がんが声帯に広がると嗄声が起こり、さらに進行すると呼吸困難などの症状が起こります。

3)声門下がん

声門下がんの場合は、かなり進行するまでは無症状です。

気になる症状がある場合には、早めに耳鼻咽喉科を受診することが喉頭がんの早期発見につながります。

4.疫学・統計

頭頸部のがん自体非常に発生頻度が少なく、最新の統計データによると、喉頭がんの発生数はがん全体の0.6%ほどであり、人口10万人あたり3.4人が喉頭がんに罹患しています。

喉頭がんの発生は女性より男性が10倍ほど多く、50歳代から80歳代までに急激に増加します。また、喫煙によってリスクが確実に高くなることがわかっており、患者さんの90%以上が喫煙者です。喫煙と飲酒はそれぞれが別々に、または双方が相乗的に働いて、喉頭がんの発生リスクを高めます。その他、アスベストなどの職業性の曝露(ばくろ)との関連が指摘されています。

5.検診

喉頭がんは、他のがんと同様に早期発見が非常に重要です。喉頭がん全体の治癒率は約80%弱と頭頸部がんの中でも高い方ですが、早期に発見すれば音声を失うことなく治癒することが可能です。しかし、基本的に喉頭がんの検診は行われていないため、進行して発見されることも少なくありません。少しでも違和感を覚えたら受診することをお勧めします。

また、一部の地域では、喉頭がんの早期発見を目的とした音響分析による検診も試みられていますが、まだまだ一般的とはいえません。
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1.がんの診療の流れ

この図は、がんの「受診」から「経過観察」への流れです。大まかでも、流れがみえると心にゆとりが生まれます。ゆとりは、医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう。あなたらしく過ごすためにお役立てください。

がんの疑い

  「体調がおかしいな」と思ったまま、放っておかないでください。なるべく受診しましょう。
   

受診

  受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。
   

検査・診断

  検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。
   

治療法の選択

  がんや体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。
   

治療

  治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。
   

経過観察

  治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

2.受診と相談の勧め

がんという病気は、患者さんごとに症状のあらわれ方が異なります。また、症状がなく検診でがんの疑いがあると言われることもあります。何か気にかかる症状があるときや、詳しい検査が必要と言われたときには、医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご自身で判断したり、何か見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、問題がないことを確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

がん診療連携拠点病院がん相談支援センターでは、がんについて知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしていますので、お気軽に訪ねてみてください。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談できます。対面だけでなく、電話などでも相談することができますので、わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

詳しくは、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」をご覧ください。

お近くのがん相談支援センターは「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。

3.がんと言われたとき

がんという診断は誰にとってもよい知らせではありません。ひどくショックを受けて、「何かの間違いではないか」「何で自分が」などと考えるのは自然な感情です。

病気がどのくらい進んでいるのか、果たして治るのか、治療費はどれくらいかかるのか、家族に負担や心配をかけたくない…、人それぞれ悩みは尽きません。気持ちが落ち込んでしまうのも当然です。しかし、あまり思い詰めてしまっては、心にも体にもよくありません。

この一大事を乗りきるためには、がんと向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく必要があります。そこで、まずは次の2つを心がけてみませんか。

1)情報を集めましょう

まず、自分の病気についてよく知ることです。担当医は最大の情報源です。担当医と話すときには、あなたが信頼する人にも同席してもらうといいでしょう。わからないことは遠慮なく質問してください。また、あなたが集めた情報が正しいかどうかを、あなたの担当医に確認することも大切です。

「知識は力なり」。正しい知識は、あなたの考えをまとめるときに役に立ちます。

2)病気に対する心構えを決めましょう

大きな病気になると、積極的に治療に向き合う人、治るという固い信念を持って臨む人、なるようにしかならないと受け止める人などいろいろです。どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。そのためには、あなたが自分の病気のことをよく知っていることが大切です。病状や治療方針、今後の見通しなどについて担当医からよく説明を受け、いつでも率直に話し合い、その都度十分に納得した上で、病気に向き合うことに尽きるでしょう。

情報不足は、不安と悲観的な想像を生み出すばかりです。あなたが自分の病状について理解した上で治療に取り組みたいと考えていることを、担当医や家族に伝えるようにしましょう。

お互いが率直に話し合うことが、お互いの信頼関係を強いものにし、しっかりと支え合うことにつながります。
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1.検査

喉頭がんは、視診と、病変の一部を採取して組織を顕微鏡で調べる病理検査によって診断されます。がんの広がりの程度を確認するためには、CT検査MRI検査などの画像検査も必要になります。

1)視診

喉頭鏡という丸い小さな鏡がついている棒を口の中に入れて、「えーっ」「いーっ」などの発声をしながら喉頭内にがんがないかどうかを観察します。

2)喉頭ファイバースコープ

咽頭反射(舌の奥を押さえられるとゲェーッとえずく)が強い方や、のどの奥まで観察したいときなどには、喉頭ファイバースコープ(先端にライトとカメラレンズがついている細い内視鏡)を鼻から入れ、モニターを使って喉頭の内部を直接観察します。痛みはほとんどありません。

3)生検

一般に、咽頭や喉頭を局所麻酔薬で麻酔して咽頭反射が起こらないようにし、太いファイバースコープで細かな部位まで観察したあと、鉗子(かんし)で病変の一部を採取して、顕微鏡でがんかどうかを確定診断します(病理検査・病理診断)。

病変の採取は全身麻酔下で行われることもあり、その場合には入院が必要です。組織診断は、結果が出るまでに通常1週間前後かかります。

4)超音波検査

体表から観察する超音波検査は、頸部(首)に対して行い、頸部リンパ節への転移の有無を検索します。頸部の動脈や静脈、気管など周囲臓器との関係も調べることができます。

5)CT検査、MRI検査

がんがどの程度広がっているかを調べるために、CTやMRIなどで頸部の断層撮影を行います。CTはX線を、MRIは磁気を使用します。

CTやMRIで造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあります。過去にアレルギーなどの経験がある人は、医師に申し出てください。

2.病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。担当医からの説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることが多いかもしれません。病期にはローマ数字が使われ、喉頭がんでは、0期、I期、II期、III期、IV期(IVA、IVB、IVC)に分類されています。

病期は、次の3項目によって決められます。これらT、N、M因子による表記の仕方をTNM分類といいます。喉頭がんの場合、がんの発生部位によってT分類は異なります。
  • がんがどこまで広がっているか(T:原発腫瘍 primary Tumor、表1)
  • 頸部のリンパ節転移の程度(N:所属リンパ節 regional lymph Nodes)
  • 別の臓器への転移の有無(M:遠隔転移 distant Metastasis)
このようにTNM分類によって病期を決定し、治療法を選択したり予後の見通しを立てたりする場合の参考とします。
表1 喉頭がんのT分類
声門がんのT分類
Tis 上皮内がん
T1a がんが片側の声帯にとどまっており、声帯の機能は正常である
T1b がんが声帯の両側に広がっているが、声帯の機能は正常である
T2 がんが声門の上部か下部まで広がっている、または声帯の動きに制限がある
T3 声帯の動きが悪く、がんが喉頭内に広がる、または横の隙間や甲状軟骨の内側に広がっている
T4a 甲状軟骨を越えて舌深層の筋肉/外舌筋*や前方の組織、気管、甲状腺、食道に広がっている
T4b がんが喉頭の外側の組織を越えて、頸動脈の周りを囲む、椎前間隙**や縦隔に広がっている
声門上がんのT分類
Tis 上皮内がん
T1 がんが声門上部の一部にとどまっている
T2 がんが声門を含む声門上部の外側にまで広がっている、または声門上部の広い範囲に及んでいる
T3 声帯の動きが悪く、がんが喉頭内に広がる、または周囲の隙間や甲状軟骨の内側に広がっている
T4a 甲状軟骨を越えて舌深層の筋肉/外舌筋や前方の組織、気管、甲状腺、食道に広がっている
T4b がんが喉頭の外側の組織を越えて、頸動脈の周りを囲む、椎前間隙や縦隔に広がっている
声門下がんのT分類
Tis 上皮内がん
T1 がんが声門下部にとどまっている
T2 がんが声帯に及んでいる、声帯の機能は問わない
T3 声帯の動きが悪く、がんが喉頭内に広がっている
T4a 輪状軟骨や甲状軟骨を越えて舌深層の筋肉/外舌筋や前方の組織、気管、甲状腺、食道に広がっている
T4b がんが喉頭の外側の組織を越えて、頸動脈の周りを囲む、椎前間隙や縦隔に広がっている
copyright
*舌の深部や外側の筋肉(オトガイ舌筋、舌骨舌筋、口蓋舌筋、茎突舌筋)
**頸椎の前の筋肉との間
表2 喉頭がんの病期
表2 喉頭がんの病期
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌取扱い規約 2012年6月 第5版」(金原出版)より一部改変
更新日:2016年02月10日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1998年02月12日
更新履歴
2016年02月10日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月03日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年03月18日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1998年02月12日 掲載しました。

1.臨床病期と治療

喉頭がんの治療法は、病期に基づいて決まります。

喉頭がんの治療では、がんを治すことに加えて、最近は声を出す機能を温存することが重要視されるようになりました。そのために、早期の小さい声門がんと声門上がんには、まず放射線治療が選ばれます。進行がんでは、手術が選択されることが多いですが、喉頭温存を目的に放射線治療単独あるいは抗がん剤治療(化学療法)と併用した治療が行われることもあります。しかし、がんが残存または再発したときには手術が行われます。

図2は喉頭がんの病期と治療法の関係を表した図です。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。
図2 喉頭がんの病期と治療
図2 喉頭がんの病期と治療
*喉頭微細手術(レーザー手術)、喉頭垂直/水平部分切除術などを含む
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2009年版」(金原出版)より作成

2.治療成績

治療成績(生存率)は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうしたほかの要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。
【喉頭がんの生存率について、さらに詳しく】
このデータは、2005年から2007年の間に、喉頭がんの診断や治療を受けた患者さんが対象となっています。治療については、外科治療だけではなく、放射線治療、化学療法、その他の何らかの治療を受けた患者さんが対象となっています。そのため、各施設で公表している、外科治療だけを受けた患者さんを対象とした生存率と、異なる場合があります。

臨床病期については「喉頭がん 検査・診断-2.病期(ステージ)」をご参照ください。
表3 喉頭がんの病期別生存率
病期 症例数(件) 5年相対生存率(%)
I 408 97.8
II 294 86.2
III 186 83.9
IV 288 45.8
全症例 1,187 80.0
外部サイトへのリンク全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による

なお、こちらの表の臨床病期はUICC(Union Internationale Contrele Cancer:国際対がん連合)TNM分類を用いています。
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3.自分に合った治療法を考える

治療方法は、全て担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいというわけではなく、患者さん自身が満足できる方法が一番です。

まずは、病状を詳しく把握しましょう。あなたの体を一番よく知っているのは担当医です。わからないことは、何でも質問してみましょう。診断を聞くときには、病期(ステージ)を確認しましょう。治療法は、病期によって異なります。医療者とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認しましょう。

診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。最初にかかった担当医に何でも相談でき、治療方針に納得できればいうことはありません。

担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。そのときは、担当医に話してみましょう。多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解していますので、快く資料を作ってくれるはずです。
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1.放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線などの放射線を利用してがんがふえるのを抑えて、治す方法です。放射線治療は、体にあまり負担がないので外来通院が可能であり、仕事をしながら治療を行っていることも珍しくありません。

1)早期がん(I、II期)

早期の喉頭がんは放射線がよく効き、放射線治療単独で治癒できるケースも多く、I期では放射線治療により80~95%が治り喉頭も温存することができます。そのため早期の声門がん、声門上がんに対して多くの場合、放射線治療が行われます。治療期間は通常6~7週で、週5回(月~金)放射線を照射します。治療後にがんが残存したり再発したりした場合は、手術を行うことになります。

2)進行したがん(III、IV期)

がんが進行している場合は放射線の効果が低いことが多く、最初から手術が選択されることが少なくありません。
ただし、喉頭温存の希望が強い場合は、放射線治療単独あるいは化学療法と放射線治療の併用療法を行うこともあります。効果がない場合には追加の手術を行います。化学放射線療法がよく効いた場合はよいのですが、効果が少なく手術を行うと、はじめから手術をした場合に比べて合併症が起こりやすくなります。

また、放射線治療はリンパ節転移や遠隔転移に対して、治療や転移に伴う痛みの緩和などを目的に行われることもあります。

2.手術(外科治療)

手術は、喉頭部分切除術と喉頭全摘出術に大きく分けられます。

1)喉頭部分切除術

一般に、早期がんが喉頭部分切除術の対象になります。小さな早期がんにはレーザー手術が行われることもあります。喉頭部分切除は、発声機能を保つには有用です。声門がんに対する喉頭垂直部分切除、声門上がんに対する喉頭水平部分切除があります。ただし、この部分切除術は、限られた施設でのみしか行われていません。

2)喉頭全摘出術

がんが広い範囲に及ぶ場合などには、喉頭全てを摘出する喉頭全摘出術が第一選択の治療になります。喉頭を全て取るので声は失われます。そのため、最近は本来の適応を超えて、進行がんであっても声を出す機能を温存するために「喉頭亜全摘出術」が行われる場合もあります。がんと声帯など喉頭の4分の3を切除し、喉頭の上下の骨は残しておく手術です。機能温存にはよいのですが、がんを完全に切除できない場合もあり注意が必要です。担当医と十分に相談しましょう。

喉頭部分切除や亜全摘出後には、むせて食事がしにくかったり、気道に飲食物が入って誤嚥を起こしたりすることもあります。食べ方を工夫すればよくなりますが、どうしても改善されない場合には、喉頭全摘出術を行うこともあります。喉頭を全て摘出しても治療前とほぼ同じように食事をすることが可能です。

3)頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)

声門がんと声門上がんで頸部のリンパ節転移がある場合、片側または両側の耳の後ろから鎖骨(さこつ)までの範囲のリンパ組織を含んだ部分も切除する頸部郭清術が行われます。喉頭がんから頸部リンパ節への転移は、がん細胞が頸部のリンパ管を通ってリンパ節へ到達して起こるので、リンパ節のみ切除してもあまり意味がなく、リンパ管とリンパ節(リンパ系)を根こそぎ切除してはじめて意味があります。リンパ系は主に頸部の皮膚裏面の脂肪組織の中に含まれるので、頸部郭清術はその脂肪組織を切除することになります。脂肪組織の中には重要な血管や神経もあるので、それらを傷つけないように脂肪組織だけを切除できれば理想的ですが、転移リンパ節の大きさや周囲への浸潤の程度によっては、神経や血管を残すことができない場合もあります。

3.抗がん剤による化学療法

喉頭がんに対する抗がん剤治療は、再発・遠隔転移を起こしている場合などに行われます。また手術が不可能な進行がんである場合、または手術が可能であっても喉頭の温存を希望する場合には放射線治療と抗がん剤治療(化学療法)とを併用するのが一般的です。
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1.日常生活を送る上で

頭頸部のがんは、1つの場所にできると、後になって別の場所にがんができることが多いという特徴があります。そのため、特に症状がない場合でも定期的に通院し、診察を受けることが大切です。

1)なるべくのどを使って

治療後の安静が必要な期間を過ぎてからは、積極的に機能を回復するための練習が必要です。話すこと、のみ込むこと、食べることは、多くの筋肉や神経の複雑な働きによって可能になります。身ぶりや手ぶり、メモによる筆談などを組み合わせながら、なるべくのどを使うように心がけてみましょう。話すことが、のみ込みやすさを助けることもあります。

2)補助の道具を使うことも

喉頭を全て手術で摘出した場合には、発声機能が失われます。この場合には食道を震わせて声を出す食道発声という方法を試みたり、マイクのような形をした振動させる器械(電気喉頭)や管の付いた器械(人工喉頭)で代わりに発声した音声で会話したりする訓練を行います。詳しくはこちら[発声障害(失声)]をご参照ください。

食道発声法は習得者の話が役に立つことがあります。患者会などで経験者にコツを聞くとよいでしょう。電気喉頭は器械が入手できれば、入院中から練習を始められます。担当医や看護師、言語聴覚士などに聞いてみましょう。

また、発声のための器具を埋め込む小手術も広まってきています。
【各自治体における身体障害者認定の手続きについて、大切なこと】
喉頭を摘出した人は身体障害者3級に認定されます。市区町村によって異なりますが、電気喉頭、ファクス、ガス警報機購入の補助、交通機関の運賃割引などが受けられます。申請後、認定までに2カ月程度かかります。
手術当日から申請手続きができるので、入院前に書類を取り寄せるなどの準備をしておくとよいでしょう。住まいの市区町村で問い合わせてください。わからないときには、がん相談支援センターに相談しましょう。お近くのがん相談支援センターは、「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。
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2.経過観察

治療を行った後の体調や再発の有無を確認するために定期的に通院します。再発は治療後1年から2年で生じることが多いため、治療後1年から2年は1カ月から2カ月に1回程度、継続的な受診が必要です。その後の受診の間隔は状態によって異なりますが、少なくとも5年間は経過観察をする必要があります。通院の際には、内視鏡検査、頸部の触診などを行います。通院の頻度や検査項目は、治療内容や患者さんの状態に応じて変わります。

3.治療の副作用対策

1)放射線治療

副作用は治療した部位に起こることがほとんどであり、治療している期間中や終了してすぐのころに起こるもの(急性期の副作用)と、終了して数ヵ月から数年たってから起こるもの(遅発性の副作用)があります。

なお、治療中に喫煙を続けると喉頭、咽頭の粘膜炎が強くなりつらい思いをします。タバコを吸っている人は禁煙しましょう。

(1)急性期の副作用

治療中には喉頭、咽頭の粘膜炎、および頸部の皮膚炎などが起こります。
治療開始1週から2週目に発声しにくい、声がれ、つばが出にくい、味がわからない、食べ物をのみ込むときに痛いなどの症状が出てきます。照射部の皮膚は日焼けのように赤くなったり、こすると皮膚がむけてしまったりすることもあります。口が渇く場合には、水分を小まめにとることを心がけます。また、担当医から人工唾液を処方してもらうこともできます。医師、放射線技師、看護師に相談し、副作用が強くならないようにこの時期を上手に切り抜けましょう。

進行がんで頸部の広範囲に照射した場合は、治療終了後もつばが出にくい、味がわからないといった症状は続くことが多く、一生残る場合もあります。また、つばが出ないため虫歯になりやすくなります。しかし、早期の喉頭がんの場合は、照射する範囲は非常に小さくのどぼとけ付近のみの場合が多く、あまり心配しなくてもよいでしょう。

(2)遅発性の副作用

治療が終わって数カ月以降でも、頸部の皮膚が硬くなる、口の渇きが続くなどの症状があります。甲状腺機能低下症が起こることもありますが、症状が出ることはほとんどありません。非常にまれですが、咽頭・喉頭の炎症が続いて呼吸が苦しくなってしまうことがあります。
また、数年たってから放射線を照射した部位に二次がんが発生する(二次性発がん)場合もあります。

2)手術

(1)声を出す機能を補う

喉頭の手術をした後は、「食べる」「話す」といった機能が影響を受けます。
喉頭を摘出し、声が出なくなった場合には、電気喉頭などの器械を用いたり、食道発声の習得を試みたりするといった方法があります。食道発声法は、食道や胃から空気を吐き出すときに、喉頭の代わりに咽頭や食道粘膜を震わせて音を出す方法です。電気発声法は、小型のマイクのような器械を首の皮膚に密着させて、電気的に振動させて声を出します。
何度も繰り返し書くことができる筆談用ボードなども市販されています。
【電気喉頭を使って会話をしている方が飛行機に乗る場合に、大切なこと】
機内での電気喉頭の使用については、事前の申し出が必要です。事前申し出をしなかった場合、機内での使用はできません。
飛行機の搭乗券を予約する際に、会話が不自由なことを前もって伝えておき、機内で乗務員の支援を受けられるように確認しておきましょう。航空会社によっては筆談ボードが用意されているので、機内で使えるように頼んでおくとよいでしょう。
なお、身体障害者に認定され障害者手帳を交付されていれば、飛行機を含め各乗り物の旅行運賃の割引措置が受けられます。
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(2)呼吸する機能を補う

手術後は、創(きず)を保護したり、治療後の腫(は)れがあったりすることによって一時的に呼吸しにくくなります。空気と食べ物の通り道を別々に確保するための治療を行うこともあります。
そのような場合、手術によって頸部(首)から気管に穴(気管孔)を開け、管を入れて空気の通り道を確保します。その間、話すことができないので、筆談や文字盤で意思を伝えます。永久気管孔により、長期にわたって通り道を確保することもあります。

永久気管孔については、「永久気管孔(永久気管瘻)」もご参照ください。

(3)嚥下(えんげ)の機能を補う

喉頭がんの手術後や、食べ物を通すために腸の一部を移植した後で、食べ物がのみ込みにくかったり、逆流したり、つかえる感じを自覚することがあります。通り道が狭くなる、のどの動きが悪くなるなどの原因によります。
このようなときには、よくかんで、ゆっくりと少量ずつのみ込むようにします。通り具合を調べるために内視鏡検査やバリウムなどを用いたX線検査を行ったり、嚥下の動きを調べたりして原因に応じた治療を受けます。

(4)首や肩の痛みを和らげる

手術で頸部のリンパ節を取り除いた場合、腕を真上に上げられない、肩が凝る、首がしめ付けられる感じがする、などの症状が現れ、数ヵ月間続くことがあります。
このようなときには、理学療法士などの指導を受けながら、腕を上げたり、肩や首を回したりする運動を行います。退院後も根気よく続けることで、不快感を軽減することができます。

(5)気管孔がある状態での注意点

喉頭を摘出した場合、呼吸のために頸部の付け根の前に穴(永久気管孔)が開けられ、そのケアやリハビリテーションが必要になります。詳細については、担当医や看護師にご相談ください。また喉頭全摘出術を受けた先輩患者さんなどと情報交換をすることで、上手に適応することができるでしょう。
気管孔があると、外気が直接気管に入ることになります。日常生活では次のようなことに注意しましょう。詳しくは、「永久気管孔(永久気管瘻)」を参照してください。
【気管孔がある状態での注意点について、さらに詳しく】

●気管孔の保護

気管孔にほこりなどが入らないように、小さいガーゼなど専用のエプロンで保護します。エプロンは病院の売店などで購入することができますが、スカーフやハンカチでも代用できます。

●痰(たん)の管理

気管孔からほこりが入りやすいので痰の量が多くなったり、湿気が不足するので痰が硬くなったりすることがあります。加湿器などで部屋の湿度を調節し、気管孔の周りを清潔にしておきましょう。

●入浴時の注意

気管孔は気管や肺とつながっているため、気管孔から水が入らないようにします。入浴のときは、首にタオルを巻いたり、気管孔に向かってシャワーを向けたりしないようにします。もし気管孔に水が入った場合は、あわてずに咳(せき)をして水を出します。

●排便

息を止めていきむことができないので便秘になりやすくなります。食物繊維や水分を多めにとり、便秘が続くときは担当医に相談しましょう。緩下剤(かんげざい)が処方されることもあります。

●食事

よくかんでゆっくり食べましょう。呼吸の通り道が変わるため、うどんやラーメンなどのめん類をすすりにくくなったり、においを感じなくなったりします。熱いものをフーフーと吹いて冷ますこともできないので、やけどをしないように注意しましょう。ただし、食道発声を習得できると、鼻に空気を吸い込めるようになり、嗅覚はかなり戻ります。

●外出や旅行

外出先で体調が悪くなったときのために、名前・連絡先・かかりつけ医療機関名・服用中の薬の名前・血液型、それに加えて『私は手術をして声が出ません。首の前の孔で呼吸をしています』と書いたメモを常に携帯すると安心です。
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3)抗がん剤治療

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼします。特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球血小板の数が少なくなったりすることがあります。そのほかに食欲不振や吐き気、また肝臓や腎臓に障害が出ることもあります。

現在では、抗がん剤の副作用による苦痛を軽くする方法が進んでおり、副作用が強い場合には治療薬の変更や治療の休止、中断などを検討することもあります。
更新日:2013年03月18日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1998年02月12日
更新履歴
2013年03月18日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1998年02月12日 掲載しました。

1.転移

転移とは、がん細胞がリンパ液血液の流れに乗って、別の臓器に移動し、そこでふえたものをいいます。喉頭がんのうち、声門がんは頸部リンパ節への転移は少ないのですが、声門上がんではリンパ節転移が起こりやすいとされています。喉頭がんのリンパ節転移では、手術により広い範囲のリンパ節を完全に取り除くことで治る可能性も高くなります。手術後、放射線治療を追加することもあります。また、がんを手術で全部切除できたようにみえても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している可能性があり、手術した時点では見つけられなくても、時間がたってから転移として見つかることがあります。

2.再発

再発とは、治療の効果により目に見える大きさのがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。喉頭がんは、治療後の最初の1年から2年のうちに再発することが最も多くなっています。再発は喉頭内に起こることもありますし、転移として別の部位に起こることもあります。放射線治療後の喉頭内再発の場合、同じ場所に再度放射線を照射することはできないため、手術が選択されることが一般的です。手術後の場合は状況に応じて再手術が選択されたり、放射線治療が行われていない場合は、放射線治療が選択されたりすることがあります。しかし、再発といってもそれぞれの患者さんで状態は異なります。転移が生じている場合には治療方法も総合的に判断する必要があります。それぞれの患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。
再発や転移のこと、痛みが強いときの治療については、「患者必携がんになったら手にとるガイド」の以下の項目もご参照ください。
「がんの再発や転移のことを知る」患者必携サイトへのリンク
「緩和ケアについて理解する」患者必携サイトへのリンク
「痛みを我慢しない」患者必携サイトへのリンク
もしも、がんが再発したら 冊子
がんの再発に対する不安や、再発に直面したときの支えとなる情報をまとめた冊子です。がんの再発という事態に直面しても、「希望を持って生きる」助けとなりたいという願いを込めて、再発がんの体験者、がん専門医らとともに検討を重ねて作成されたものです。
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