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全ページ表示肺がん(はいがん)

更新日:2017年08月03日 [ 更新履歴 ]
更新履歴
2017年08月03日 「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2016年版」「臨床・病理 肺癌取扱い規約 第8版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2014年10月23日 「6.疫学・統計」を更新しました。
2012年11月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
1995年11月06日 掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については「治療にあたって」をご参照ください。

1.肺について

肺は胸の大部分を占める臓器で左右に1つずつあり、右肺は上葉・中葉・下葉の3つに、左肺は上葉と下葉の2つに分かれています。肺の中では気管支が木の枝のように広がり、その先には肺胞(はいほう)があります。

右肺と左肺の間の胸の真ん中で縦隔(じゅうかく)と呼ばれる空間には、心臓や大血管、気管、食道など複数の臓器があります。肺と縦隔にある臓器は胸膜という膜(臓側胸膜)で覆われています。同じように、肋骨で囲まれた胸部の中(胸腔[きょうくう])の内側の壁も胸膜(壁側胸膜)で覆われています。

肺は呼吸によって体の中に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する重要な役割を担っています。呼吸により酸素は肺胞に送られ、血液中に取り入れられます。また、血液中の二酸化炭素は肺胞に排出され、呼吸により吐き出されます。
図1 肺の構造
図1 肺の構造

2.肺がんとは

肺がんとは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。

進行すると、がん細胞が周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れに乗って広がっていきます。転移しやすい場所は、リンパ節、脳、肝臓、副腎、骨です。

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3.症状

肺がんは早期ではほぼ無症状です。病状の進行とともに、咳(せき)、痰(たん)、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛などの呼吸器症状があらわれます。しかし、これらは必ずしも肺がんに特有のものではないため、他の呼吸器疾患と区別がつかないこともあります。複数の症状がみられたり、長引いたりして気になった場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

その他には、腫瘍が特殊な物質を産生することによる、あるいは免疫反応による影響で起こる症状があります。それらは「腫瘍随伴(ずいはん)症候群」と呼ばれ、他のがんと比べて肺がんでは比較的多く発症します。症状としては、肥満、ムーンフェイス(顔が満月のように丸くなる)、食欲不振、神経症状、意識障害などがあります。

また、進行の程度に関わらず症状がほとんどみられない場合もあり、検診などの胸部X線検査やCT検査によって発見されることもあります。喫煙は肺がんとの関連が非常に大きいので、喫煙歴のある40歳以上の人は、症状がみられない場合でも特に注意が必要です。

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4.組織型分類

肺がんは、組織型により非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つに大きく分けられています。
表1 肺がんの組織型とその特徴
  組織分類 多く発生する場所 特徴
非小細胞肺がん 腺がん 肺野 ・肺がんの中で最も多い
・症状が出にくい
扁平(へんぺい)上皮がん 肺門
(肺野の発生頻度も高くなってきている)
・咳や血痰などの症状が現れやすい
・喫煙との関連が大きい
大細胞がん 肺野 ・増殖が速い
・小細胞がんと同じような性質を示すものもある
小細胞肺がん 小細胞がん 肺門・肺野
ともに発生する
・増殖が速い
・転移しやすい
・喫煙との関連が大きい
図2 肺門と肺野
図2 肺門と肺野

肺門:太い気管支が細かく分かれ、肺に入っていくあたり(肺の中心部)
肺野:肺門の先の肺の末梢部分

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5.統計

肺がんと新たに診断される人数は、1年間に10万人あたり88.7人です。年齢別にみた罹患率は40歳代後半から増加し始め、高齢になるほど高くなります。男女別の罹患率でみると、男性は女性の2倍以上になっています1)

6.発生要因

肺がんは喫煙との関連が非常に大きいがんです。研究によると、たばこを吸わない人に比べて、吸う人が肺がんになるリスクは男性で4.4倍、女性で2.8倍と高くなります2)。また、たばこを吸わない人でも、周囲に流れるたばこの煙を吸うこと(受動喫煙)により発症する危険性が高まることもわかっています。

喫煙以外では、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、職業的曝露(アスベスト、ラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、クロム酸、ニッケルなどの有害化学物質に曝されている)、大気汚染(特に粒径2.5ミクロン以下の微小浮遊粒子[PM2.5]が浮遊している)、肺がんの既往歴や家族歴、年齢などが発症する危険性を高めると考えられています。

7.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

肺がんを予防するためには、たばこを吸っている人は禁煙し、吸わない人はたばこの煙を避けて生活しましょう。

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2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

肺がんの検診方法として「効果がある」とされているのは「問診」「胸部X線検査」「喀痰(かくたん)細胞診」です。喀痰細胞診ついては、50歳以上で、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の方(現在喫煙されている方だけではなく、過去に喫煙していた方も含む)を対象に検査します。検診の間隔は年1回ですので、気になる症状がある場合には、検診を待たずに医療機関を早期に受診しましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の検査は、ここで言う検診とは異なります。

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8.「肺がん」参考文献

1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録全国推計値2012年
2) Wakai K., Inoue M., Mizoue T., et al. Tobacco smoking and lung cancer risk: an evaluation based on a systematic review of epidemiological evidence among the Japanese population. Jpn J Clin Oncol. 2006; 36(5): 309-324.
3) 日本肺癌学会.EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む2016年版,金原出版
4) 日本肺癌学会編.臨床・病理 肺癌取扱い規約第8版.2017年,金原出版
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