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肺がん(はいがん)

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更新日:2014年10月23日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1995年11月06日
更新履歴
2014年10月23日 「6.疫学・統計」を更新しました。
2012年11月02日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

1.肺について

肺は人間の胸の大部分を占める臓器で、左右に1つずつあります。右肺と左肺の間、つまり胸の真ん中は縦隔(じゅうかく)と呼ばれる空間であり、そこには心臓や大血管、気管、食道などがあります。右肺は上葉・中葉・下葉の3つに、左肺は上葉と下葉の2つに分かれています。肺は呼吸によって身体の中に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する重要な役割をしています。空気は口や鼻から咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)を経て気管を通り、気管支と呼ばれる左右の管に分かれ左右の肺に入ります。気管支は肺の中で細気管支と呼ばれるより細い管に分かれ、木の枝のように肺内に広がり、最終的には肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな部屋につながって、そこで酸素が血液にとり入れられ、二酸化炭素が排出されます。
図1 肺の構造
図1 肺の構造

2.肺がんとは

肺がんは肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものです。肺がんは進行するにつれて周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗って広がっていきます。肺がんは喫煙との関係が非常に深いがんですが、たばこを吸わない人でも発症することがあります。周囲に流れるたばこの煙を吸う受動喫煙により発症リスクが高まることもわかっています。

近年、肺がんは日本人のがんによる死亡原因のトップとなりましたが、まだ増加する傾向にあります。

3.肺がんの原因

肺がんのリスク要因を考える上で、喫煙習慣を切り離して考えることはできません。

欧米では、喫煙者の肺がんリスクは、非喫煙者の20倍以上とされていますが、日本人を対象とした研究(2008年)では、喫煙者の肺がんリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍という結果でした。
【肺がんのリスク要因について、さらに詳しく】
肺がんのリスクを組織型別に見ると、扁平上皮がんについては男性12倍、女性11倍であるのに対し、腺がんについては男性2.3倍、女性1.4倍と大きな違いが示されています。欧米では、たばこが肺がんの発生原因の90%とされていますが、日本では男性で69%、女性では20%程度と推計されています。

また、受動喫煙によって肺がんのリスクが高くなるという科学的根拠は十分あると評価されています。受動喫煙者は、受動喫煙がない者に比べて20~30%程度高くなると推計されています。日本人で欧米に比べて喫煙の相対リスクが低くなっていますが、その原因のひとつとして非喫煙者でも受動喫煙の影響によってリスクが上がっていることが、特に女性において考えられます。

また、喫煙による発がんリスクの大きさは、同じタバコを吸う人でも遺伝子素因で変わる可能性が指摘されました。ほかに遺伝的素因として、発がん物質の代謝経路(たいしゃけいろ)にある酵素の活性などを決める遺伝子多型が、いくつか候補にあげられています。遺伝子関連の研究はまだ初期の段階にあり、根拠としては不十分です。

環境要因として、飲料水中のヒ素は確実なリスク要因です。その他、アスベスト、シリカ、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガス等への職業や一般環境での曝露、さらに、石炭ストーブの燃焼や不純物の混ざった植物油の高温調理により生じる煙(中国の一部地域)、ラドンなどによる室内環境汚染も、肺がんのリスク要因とする根拠は十分とされています。

肺がんのリスクを低下させる栄養素として、β−カロテンが最も注目されましたが、欧米で喫煙者などハイリスク・グループを対象にして行われた2つの臨床試験により、β−カロテンを多く摂取(1日20~30mg)すると、かえって肺がんリスクが20~30%程度高くなるという結果になりました。このため、喫煙者がサプリメントなどの服用により高用量のβ−カロテンを摂取することは肺がんリスクを高くする確実な要因とされています。
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4.肺がんの分類(組織型)

肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんの2つに大きく分けられます(表3)。

1)小細胞肺がん

小細胞肺がんは、肺がんの約15~20%を占め、増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすく悪性度の高いがんです。しかし、非小細胞肺がんよりも抗がん剤や放射線治療の効果が得られやすいと言われています。

2)非小細胞肺がん

非小細胞肺がんは、小細胞がんではない肺がんの総称で、肺がんの約80〜85%を占めています。腺がん扁平(へんぺい)上皮がん 、大細胞がんなど、多くの異なる組織型があり、発生しやすい部位、進行形式と速度、症状などはそれぞれ異なります。いずれの場合も化学療法や放射線治療で効果が得られにくく、手術を中心とした治療が行われます。
【非小細胞肺がんの組織型について、さらに詳しく】
わが国で最も発生頻度が高い組織型である腺がんは、男性の肺がん全体の40%、女性の肺がん全体の70%以上を占めています。中でも、肺の末梢に発生する「肺野(はいや)型」がほとんどです。肺がんの中でもほかの組織型に比べ症状は多彩で、進行の速いものから進行の遅いものまでさまざまです。

次に多い扁平上皮がんは、男性の肺がん全体の40%、女性の肺がん全体の15%を占めています。太い気管支に発生する「肺門型」が多くみられます。

大細胞がんは、一般に増殖が速く、肺がんと診断された時には大きながんであることが多くみられます。
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表3 肺がんの分類
  組織分類 多く発生する場所 特徴
非小細胞肺がん 腺癌 肺野部 女性の肺がんで多い
症状が出にくい
扁平上皮癌 肺門部 喫煙との関連が大きい
大細胞癌 肺野部 増殖が速い
小細胞肺がん 小細胞癌 肺門部 喫煙との関連が大きい
転移しやすい

5.症状

肺がんの一般的な症状としては、なかなか治りにくい咳(せき)、血痰(けったん)、胸痛、呼吸時のぜーぜー音(喘鳴:ぜいめい)、息切れ、声のかれ(嗄声:させい)などがありますが、これらは必ずしも肺がんに特有のものではありません。また、肺がんは進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合が多く、検診などの胸部X線検査CT検査によって発見されることもあります。

肺がんの一般症状はほかの呼吸器疾患の症状と区別がつかないことが多いため、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、喘鳴、息切れ、嗄声、発熱などを認める場合には医療機関の受診をお勧めします。喫煙歴のある40歳以上の人は、特に注意が必要です。
【肺がんの組織型別にみた症状について】
扁平上皮がんや小細胞がんに多い肺門型肺がんは、咳、痰、血痰などの症状が出現しやすい傾向があります。腺がんに多い肺野(はいや)型肺がんは、がんが小さいうちは症状が出にくく、検診や人間ドック、別の病気で検査を受けたときに見つかることがあります。がんが転移 した部位の症状、例えば脳転移による頭痛、骨転移による痛みなどが最初の症状である場合もあります。ほかのがんと同様に肺がんでも疲れやすさ、食欲不振、体重減少、発熱がみられることがあります。
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【肺がんの腫瘍随伴症候群について】
肺がんでは、腫瘍がホルモンを異常産生するなどして症状が引き起こる「腫瘍随伴(ずいはん)症候群」が、ほかのがんと比べて多くみられます。小細胞肺がんの約10%では、抗利尿ホルモンの産生による水利尿不全で血液中のナトリウム値が低くなり、食欲不振などの消化器症状や神経症状・意識障害がみられます(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)。扁平上皮がんでは、腫瘍が副甲状腺ホルモンと類似したタンパクを出すことで、血液中のカルシウム値が高くなり、吐き気や嘔吐、食欲不振、便秘、多飲、多尿といった症状がみられることがあります。
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6.疫学・統計

年齢別にみた肺がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなります。死亡率の年次推移は、1960年代から80年代に急激に増加しましたが、90年代後半から男女ともほぼ横ばいとなっています。

罹患率、死亡率は男性の方が女性より高く、女性の2倍から3倍にのぼります。がんで亡くなった人数を部位別に多い順に並べると、最新の統計データでは男女とも肺がんが第1位となっています。

罹患率の国際比較では、日本人は欧米人に比べると低い傾向があります。がんの組織型では、近年、扁平上皮がんに比べ、腺がんの割合が増加しています。

7.肺がん検診

肺がんの予防には禁煙が最も重要ですが、定期的に検診を受けて早期発見を心がけることも大切です。

肺がんの検診方法として“効果がある”とされているのは「胸部X線検査」です。さらに喫煙者の場合には「胸部X線検査」と「喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)」を組み合わせて検査します。検査対象となる喫煙者とは、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が 400以上あるいは600以上の方です。

詳しくは、「がん検診について」をご参照ください。
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