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中咽頭がん(ちゅういんとうがん)

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更新日:2013年03月14日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1997年05月12日
更新履歴
2013年03月14日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年03月16日 内容を更新しました。

1.中咽頭について

人間の「のど」は、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)からできています。このうち咽頭は鼻の奥から食道までの、食べ物と空気が通る部分で、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれています(図1)。
図1 咽頭と喉頭の構造
図1 咽頭と喉頭の構造
中咽頭は口を大きく開けた時、口の奥に見える場所で、以下の4つの部位に区分されます(図2)。中咽頭は、食物や空気の通路であり、食物をのみ込む嚥下(えんげ)や言葉を話す構音(こうおん)をうまく行うための重要な働きをしています。
図2 中咽頭の構造
図2 中咽頭の構造

1)軟口蓋(なんこうがい)

口を大きく開けた時に見られる口蓋垂(こうがいすい)(いわゆる「のどちんこ」)と呼ばれる突起した部分と、その上のうわあごの軟らかい部分を「軟口蓋」といいます。

ただし、うわあごの固い部分は「硬口蓋(こうこうがい)」といって中咽頭ではなく口腔(こうくう)の領域に含まれます。

軟口蓋は、鼻と口との間を開けたり閉じたりする扉の役割をもっています。この軟口蓋がなくなったり、動きが悪くなったりすると、食べたものが鼻に流れ込んでつらくなることがあります。また、話をするときに息が鼻に抜けて言葉がわかりづらくなることもあります。これを開鼻声(かいびせい)といいます。

2)扁桃(へんとう)

口の奥の左右にある扁桃も中咽頭の一部です。

扁桃は、幼児期には外界から進入する細菌などに対する免疫防御器官としての大切な役割をもっていますが、成人では食物、空気の通路としての役割しか果たしていません。しかし、リンパ組織に富んでいるため悪性リンパ腫が発生しやすい部位となります。

3)後壁(こうへき)

口の奥の突きあたりは中咽頭の「後壁」と呼ばれています。

後壁は咽頭と頸椎(けいつい)の間をさえぎる壁であると同時に、食物や空気の通路になっています。

4)舌根(ぜっこん)

舌のつけ根も「舌根」といって中咽頭に属します。そして、口の中に見えている、舌の前方の大部分は、なめらかによく動くため「舌可動部(ぜつかどうぶ)」あるいは「口部舌(こうぶぜつ)」と呼ばれ、口腔に属します。

舌根は重要な役割をもっています。食べた物をのみ込む時にこの舌根が奥に動いて食物を食道に送り込みます。同時に誤嚥用語集アイコン(ごえん:食物が喉頭を通り気管に入ってしまうこと)がないように、この舌根が気道(喉頭の上側)をふさぎます。この働きがうまくいかないと、誤嚥のためにむせたりして、口から食事をとることが難しくなります。

2.中咽頭がんとは

頭頸部(とうけいぶ:主として耳鼻咽喉科が診療する領域)にできたがんを頭頸部がんといいます。中咽頭がんは頭頸部がんに含まれます。同じく頭頸部がんに上咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんも含まれますが、それぞれ治療方法が異なります。

中咽頭には、発生する組織や細胞の由来によって、いくつかの種類(組織型)がみられ、粘膜上皮から発生する扁平上皮がん用語集アイコンのほか、悪性リンパ腫、粘膜下に存在する付属腺から発生する腺がん用語集アイコンなどがあります。中咽頭がんでは扁平上皮がんが最も高頻度です。

3.症状

中咽頭がんの初期症状は、食物をのみ込むときの違和感、しみる感じなどです。やがてのどの痛みやのみ込みにくさ、しゃべりにくさなどが少しずつ強くなり、さらに進行すると耐えられない痛み、出血、開口障害、嚥下障害用語集アイコン、呼吸困難など生命に危険を及ぼす症状が出現してきます。

時には、がんそのものによる症状がほとんどなく、頸部へ転移用語集アイコンしたリンパ節用語集アイコンの腫(は)れだけが唯一の初発症状となることもあり、注意が必要です。

中咽頭は口を開けて見えるところが多いのですが、舌根は直接見えないところにあり、指でも触れにくい部位です。そのため舌根がんを早期発見するために、食べ物をのみ込む時に違和感やしみる感じがある場合には、早めに耳鼻咽喉科もしくは頭頸科を受診してのどの奥を診てもらうことが大切です。これは他の頭頸部がんにも共通して大切なことです。

ただし、のどは非常に敏感な部位ですから、異常がなくても違和感を覚えることがよくあります。診察で異常がないといわれたら、あまり神経質にならないようにしましょう。

また、頸部のリンパ節が腫れてきた場合、がん(特に頭頸部がん)の転移の可能性もありますので、中咽頭がんをはじめとする頭頸部がんができていないか、耳鼻咽喉科(頭頸科)で精査してもらうことも大切です。
表1 各咽頭の役割とがんの症状
  役割 がんの症状
上咽頭 呼吸する
耳の圧の調整
鼻の症状(鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混ざるなど)
耳の症状(耳がつまった感じ、聞こえにくいなど)
脳神経の症状(目が見えにくくなる、二重に見える など)
頸(首)のリンパ節の腫れなど
中咽頭 呼吸する
正しく発音する
のみ込む
のみ込むときの違和感、のどにしみる感じ、のどの痛み・出血、息が鼻に抜けて言葉がわかりにくくなる、口を開けにくくなる、頸(首)のリンパ節の腫れなど
下咽頭 のみ込む のみ込むときの異物感、のどにしみる感じ、耳の周りの痛み、声がれ、頸(首)のリンパ節の腫れやしこりなど

4.疫学・統計

頭頸部(主として耳鼻咽喉科が診療する領域)のがん自体非常に発生頻度が少なく、最新の統計データでは口腔・咽頭がんを合わせた発生数はがん全体の約2%です。中咽頭がんはこのうち10%前後にすぎません。

中咽頭には、扁平上皮がんの他に悪性リンパ腫、腺がんなどがみられますが、最も多い扁平上皮がんについて話を進めます。わが国では、年間1,000〜2,000人程度に発症する比較的まれながんといえます。ただし、地域的には九州、沖縄など南の地域に多く発症する傾向にあり、強い酒などが原因ではないかといわれています。また、世界的にはインド、東南アジア、フランス、イタリア、ロシアなどに多く発生する傾向にあり、やはり強い酒や、インドのかみたばこをたしなむ風習などが、中咽頭がん発症の誘因の1つではないかと考えられています。

このように、喫煙や過度の飲酒を長期間続けることにより、中咽頭がんが発生する危険性が高まると考えられています。年齢や男女比でみると、50歳から60歳代に診断されることが多く、圧倒的に男性に多いがんです。また中咽頭がんの場合、食道や口の中にもがんができることがあり、注意が必要です。

最近は、中咽頭がんにおいてもヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されはじめており、欧米では多くの、本邦でも20%程度の患者はこのタイプの発症を示唆する報告も出てきています。

5.検診

中咽頭がんのための検診は行われていませんが、何らかの症状で耳鼻咽喉科を受診した際に偶発的に見つかることがあります。
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