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外陰がん(がいいんがん)

更新日:1996年10月16日 [ 更新履歴 ]    掲載日:2006年10月01日
更新履歴
2006年10月01日 更新しました。
1996年10月16日 掲載しました。

1.外陰がんとは

外陰がんは、女性性器の外陰部に発生するがんで、婦人科のがんの中では約3%を占めるまれな病気です。外陰がんの多くは50歳以上の方ですが、40歳以下の女性でも次第に多くみられるようになってきました。

外陰がんは、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)感染や硬化性苔癬(たいせん)が重要なリスク要因とされています。

2.症状

月経に関係のない出血や帯下、外陰の強い焼けるような感じやかゆみ、痛み、外陰の皮膚が白く見え荒い感じがすることなどがあります。

3.診断

ほとんどのがんと同様、外陰がんも早期発見、早期治療が第一です。診断は、まず外陰部をよく観察し触診をします。外陰がんが疑われる場合には、組織の小片を切除し(生検)、顕微鏡でがんの有無を観察(病理検査)します。生検は、通常外来で局所麻酔のもと行われます。

4.病期(ステージ)

外陰がんと診断されたら、がんが外陰から他の部位に広がっているかどうかを確かめるために、さらに検査が行われます。適切な治療計画のためにはがんの病期を知ることが大切です。外陰がんの病期分類には、下記の分類が用いられています。病期分類は、手術により得られた所見により決定されます。
0期
上皮内がんとも呼ばれ、早期のがんです。がんが皮膚表層のみに認められる場合です。

I期
がんが外陰のみ、もしくは会陰部と呼ばれる肛門と腟の入口の間の領域にのみ認められる場合で、がんの大きさが2cmまたはそれ以下で、リンパ節転移を認めない場合です。

浸潤(しんじゅん:がんが深部の組織や周囲の組織に広がること)の深さが1mm以下のものをIa期、1mmを超えるものをIb期とします。

II期
がんが、外陰もしくは会陰部のみに認められる場合で、がんの大きさが2cmを超えていて、リンパ節転移を認めない場合です。

III期
がんが、外陰もしくは会陰部に認められ、その大きさにかかわらず尿道の下部、腟、肛門などにおよんだ場合はIIIa期、一側の所属リンパ節(足のつけ根である鼠径部「そけいぶ」及び大腿上部のリンパ節)に転移があるものはIIIb期とします。

IV期
がんが上部尿道、膀胱の粘膜、直腸粘膜あるいは恥骨に浸潤するか、両側の所属リンパ節に転移がある場合はIVa期、骨盤内のリンパ節を含む遠隔臓器のいずれかに転移があるものはIVb期とします。

5.治療

外陰がんには外科療法、放射線治療、化学療法の3種類の治療法があります。

治療の選択は、がんの広がり(病変の深さや、病変が外陰にとどまっているか、または他の場所に広がっているかどうかなど)、組織型(がんの顔つき)、患者さんの年齢、全身状態などによります。

1)外科療法

外陰がんの治療は、できる限り手術を行うのが基本です。以下の手術のひとつを選択します。

(1)局所切除

周りの正常な組織も1~2cm含めてがんを切除します。

(2)レーザー蒸散療法

がん細胞をレーザー光線で焼きとります。

(3)単純外陰切除

外陰全部をとりますが、主に皮膚の切除を目的としています。

(4)広汎性外陰切除

外陰皮膚全部をとりますが、皮下の脂肪組織やそこに含まれるリンパ組織もあわせて切除します。

(5)骨盤内臓摘出術

もしがんが外陰を越えたり、他の器官に広がっている場合は、子宮、腟と一緒に直腸、膀胱もとり除くこともあります。
これらの手術の後、身体の他の部位から皮膚などの組織をもってきたり、人工的外陰・腟形成を行うための形成外科手術が必要なことがあります。

骨盤内臓摘出術を行った場合には、人工肛門、人工尿路などのストーマをつくらなければなりません。人工尿路は、膀胱と尿道を切除したかわりに、腸管の一部を膀胱の代用として用い尿管に縫いつけ、一端を閉じて、他端を(一般に右側の)腹部の皮膚に穴をあけて縫いつけ、尿の出口とします。尿をためる装置をつけます。人工肛門は、直腸を切り放した結腸の末端を(一般に左側の)出口として腹部につくります。便をためる装具もあります。

ストーマについては「大腸がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」、「泌尿器がん手術後の排尿障害のリハビリテーション」もご参照ください。

2)放射線治療

リニアックを用いて、高エネルギーX線を体外から照射する方法(外照射)と、がんがある部分にプラスチックチューブを差し込んで放射線を出す物質をチューブの中に挿入し、中から直接照射する方法(組織内照射)があります。放射線治療は、単独で用いられる場合と、手術療法と併用して手術の前や後に行われる場合があります。

放射線治療については「放射線治療」もご参照ください。

3)化学療法

抗がん剤を使用します。薬剤は内服で投与、あるいは血管内または筋肉内に注射したりします。この治療法は投与方法にかかわらず薬剤が血流に入り、全身をめぐるので全身療法に分類されます。外陰がんの場合、化学療法は、主に放射線治療と同時に、補助的な治療として行われます。

化学療法については「薬物療法(化学療法)」もご参照ください。

6.病期(ステージ)別治療

全身状態や病変の状況によっては、ここに書かれている以外の方法で治療する場合があります。

0期
治療は以下のうちのいずれかです。
  1. 局所切除、またはレーザー蒸散、またはこれらの併用
  2. 単純外陰切除
  3. 抗がん剤含有軟こうの局所塗布
I期
治療は以下のうちのいずれかです。手術の場合は、病変の深さや広がりにより、1~4のいずれかが選択されます。
  1. 局所切除
  2. 局所切除+片側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  3. 広汎性外陰切除と、両側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  4. 広汎性外陰切除と、鼠径部への放射線治療
  5. 放射線治療
II期
治療は以下のうちのいずれかです。
  1. 広汎性外陰切除と、両側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  2. 病変の大きさ、広がりなどにより、外陰部に放射線治療の追加
  3. 広汎性外陰切除と鼠径部への放射線治療
  4. 放射線治療
III期
治療は以下のうちのいずれかです。
  1. 広汎性外陰切除と、両側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  2. リンパ節に転移が見つかった場合、手術後骨盤と鼠径部に放射線治療
  3. 病変の大きさ、広がりなどにより、外陰部に放射線治療の追加
  4. 放射線治療、あるいは放射線治療と化学療法の併用療法の後、広汎性外陰切除と、両側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  5. 放射線治療単独、または放射線治療と化学療法の併用療法
IV期
治療は以下のうちのいずれかです。
  1. 広汎性外陰切除と子宮、腟と一緒に直腸、膀胱(がんの広がっている部位による)をとり除く骨盤内臓摘出術
  2. 広汎性外陰切除(+骨盤内臓摘出術)の後、リンパ節転移、病変の大きさ、広がりなどにより、外陰や、骨盤、鼠径部に放射線治療
  3. 放射線治療あるいは放射線治療と化学療法の併用療法の後、広汎性外陰切除と、両側の鼠径部と大腿上部のリンパ節切除
  4. 放射線治療単独、または放射線治療と化学療法の併用療法
再発
再発後の治療は、再発した部位や大きさや症状、さらに最初にどんな治療法を受けたかにより違ってきます。
  1. 局所切除のみ、あるいは局所切除と放射線治療
  2. 広汎性外陰切除と、子宮、腟と一緒に直腸、膀胱(がんの広がっている部位による)をとり除く骨盤内臓摘出術
  3. 放射線治療+化学療法、あるいは放射線治療+化学療法と外科療法の併用療法
  4. 局所再発に対する、または疼痛などの症状を減らすための放射線治療
  5. 新しい治療の臨床試験

7.生存率

生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。
ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考えください。
外陰がんの予後は、組織型(がんの顔つき)、患者さんの年齢、全身状態などによっても異なりますが、おおよその5年生存率は、I期が80%、II期が60%、III期40%、IV期20%程度です。
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