PDCAサイクルの開始の経緯
- 「厚生労働省−がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」で、「がん診療提供体制に関するPDCA体制の構築」(※概要は下記)が示され、県拠点病院は当然のことながら、県内のすべてのがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院と示す。)が取り組むべきこととして、実施に向けて具体的な行動を開始した
- 国立がん研究センター、都道府県拠点病院による各拠点病院への実地調査等
- 各拠点病院での院内のPDCAサイクルの確保(患者QOL把握・評価等による組織的改善と実施状況の報告・広報体制の整備等)
- 当初は本来の目的というよりも、そのための手段というべき「PDCAサイクル」が拠点病院整備の要件になっていることに多少の疑問を感じざるを得なかった
- また、具体的に何をすればよいのかという点について暗中模索の状況ではあったが、「いずれにせよやらなくてはいけないこと」との認識のもと開始に至った
PDCAの具体的な取り組み内容や工夫
- 県拠点病院で取り組みを試みたのち、県内の各拠点病院でも取り組みを開始
- 各部署・各病院には、PDCAの意味がわからないという意見が散見されたため、「PDCA評価シート」を作成し、県拠点病院内、県内各拠点病院に配布
- 県・病院レベルで、それぞれPDCAサイクル評価委員会をつくり、評価委員を選定
- 開始初年度は、県拠点病院の事務局が主体
- 県拠点病院内および県内各拠点病院にて、PDCAサイクルで取り組んでもらう項目を複数決定し、それらを記入した評価シートを配布
- 項目は(特に最初は)拠点病院の指定要件を優先
- 指定要件を満たすことにつながるため、PDCAサイクルが能率的という印象あり
- 特に緩和ケア関連の要件が増えた時期でもあるため、初年度は当該分野の項目を多数選んでPDCAサイクル評価シートを配布
- 2年目以降はほかの分野の項目も追加
- どのレベルで、誰が、チェック~評価するかについては、あらかじめスケジュールを決定
- 期限までに少なくともP(Plan)とD(Do)まで、可能なら関係部署内でのC(Check)まで記載を依頼
- その後、PDCAサイクル評価委員会を開催し、評価委員によるチェック
- なお、Cには、委員によるチェックのみの場合と、専門部会のチェックを含むダブルチェック(あるいは、関係部署内でのチェックと評価委員によるチェック)があり得る
- Cの後のA(Act)については、評価委員会時にCまで記載されている場合は評価委員がP~Cまでを評価し、その指摘を勘案した上で、Aを行うことにした
- さらにAまで実施済みの場合には、評価委員がPDCAの全体をチェックし、必要があれば、追加の対応~次のサイクルを回しての検討を行うことを示唆
PDCAの効果/振り返り
- 評価シートにて評価を実施した項目について、具体的に目に見える形で計画を実施、修正できていることの意義は大きい
- PDCAサイクルが中断せずに回ることで、次のステップ(サイクル)につながっていくことが多い点も重要である
- 従来、漠然とそれぞれの部署に任せて実施していたことが、多少介入が必要とはいえ、わかりやすい形で進められることは非常に価値がある
- 一方で、順調にサイクルを回せているようでも、詳細な内容検討が不十分なこともあり得る点には注意が必要である
- 計画(Plan)が立てられていても、実施(Do)に意味内容が伴っている必要がある
- PDCAサイクルそれ自体が目的ではなく、PDCAサイクルを上手に利用して有効ながん対策を計画的に進めていくことを忘れてはならない
今後のPDCA
- 現在は、県拠点病院からの指定ではなく、各部署、各病院においてPDCAサイクルを利用した取り組みを進めていくことを想定している
- がん対策の計画実施においては、原則的にPDCAサイクルを使うことを予定している
更新・確認日:2017年04月20日 [
履歴 ]
よりよい情報提供を行うために、
アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートはこちらから