PDCAサイクル開始の背景
- 2014年の「厚生労働省-がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」で、「がん診療提供体制に関するPDCA体制の構築」が示されたが、都道府県がん診療連携拠点病院である埼玉県立がんセンターではDPC導入や新築移転、病院機能評価の受審などが重なりPDCAサイクルの取り組みが遅れた
- 2016年のPDCAサイクルフォーラムに参加し、同時期に国立がん研究センターからトップダウン方式で活動を進めたらどうかとの提案を受けた
- また、埼玉県がん診療連携協議会において、県内の全がん診療連携拠点病院(以下、拠点病院と示す。)がトップダウン方式でPDCAサイクルの確保に取り組むこと、希望する拠点病院では「がん診療質評価班」のアンケートと改善ツールを利用すること、PDCAサイクル部会を新設することが決まった
PDCAの具体的な取り組み内容や工夫
- トップダウン方式で進めるために、以下のような目標を定めた
- 埼玉県全体で達成を目指す目標(全体目標)
- 全体目標を達成するために共通で目指す目標(共通目標)
- 各拠点病院の進行状況を評価するための「共通指標」
- 各拠点病院は「共通目標」の達成を目指し「施設目標」と「施設計画」を作成
- 全体目標は、県のがん対策推進計画でもある「がん患者の在宅看取り率の向上」とした
- 共通目標は「外来がん患者在宅連携指導料」の算定件数の増加、共通指標は各病院で算定する「外来がん患者在宅連携指導料」の件数とした
- 埼玉県立がんセンターでは、在宅医療との連携の課題を抽出し、解決の方向性を明らかにするため「在宅医療におけるPDCAサイクルの確保に関するワークショップ」を開催
- PDCAサイクル部会では集合会議を行い、各拠点病院の取り組みの進行状況を確認、在宅診療や訪問診療ができる医師のリストアップ化などを検討
PDCAの効果/振り返り
- 県内で医療の質の向上に取り組んでいる施設は約75パーセントと、質の向上に向けた動きが始まっている状態である
- 外来から在宅緩和ケアへの移行を進める活動を行うことで、地域によって在宅の受け皿には大きな差があることがわかった
- 在宅の受け皿は十分とは言えない状況だったが、各地域において在宅診療所や訪問看護ステーションが増えてきており、少しずつ状況が変わってきている
- 各拠点病院の意識が変化して、連携のためにアクションを起こすようになったことも影響していると考えられる
今後のPDCA
- 各拠点病院においてPDCAサイクル確保に前向きに取り組んでもらうためにも、トップダウン方式ではなく、ボトムアップ方式でテーマが上がってくるように働きかけを行っていきたいと考えている
- 今後のPDCAサイクルのテーマとして、医科歯科連携を進めることを検討している
- 県外でがん治療を受けた患者を、県内の病院で受け入れる際に、必要な情報を共有するための新たな仕組みづくりを検討していきたいと考えている
- 「がん診療質評価班」のアンケートと改善ツールを使用する施設数を増やすために、使用することのメリットを明確にしていく
更新・確認日:2018年03月27日 [
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