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胃がん検診

更新・確認日:2019年06月11日 [ 履歴 ]
履歴
2019年06月11日 「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」を基に、掲載内容を更新しました。
2010年04月01日 掲載しました。

1.胃がん検診検査法のまとめ

国立がん研究センターが作成した「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」では、胃がん検診の各種検査法について下記の推奨がまとめられています。推奨は、がん検診の有効性(死亡率減少効果)と、利益と不利益のバランスを勘案して決定されています。
胃X線検査
複数の観察研究において死亡率減少効果を示す相応な証拠があり、その結果には一貫性があります。不利益については、高濃度バリウムの普及後、誤嚥の報告が増加しています。その他の不利益には、偽陽性、過剰診断、放射線被曝があります。対策型検診・任意型検診としての実施を推奨します。検査対象は50歳以上が望ましいです。ただし、不利益について適切な説明が必要です。

胃内視鏡検査
複数の観察研究において死亡率減少効果を示す相応な証拠があります。不利益については偽陽性、過剰診断のほか、前処置の咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血などの偶発症があり、重篤な場合は緊急性を要します。対策型検診・任意型検診としての実施を推奨します。検診対象は50歳以上が望ましく、検診間隔は2~3年とすることが可能です。ただし重篤な偶発症に迅速かつ適切に対応できる体制が整備できないうちは実施すべきではありません。さらに、精度管理体制の整備とともに、不利益について適切な説明を行うべきです。

ペプシノゲン単独法、ヘリコバクターピロリ抗体単独法
複数の観察研究において死亡率減少効果が示唆されましたが、研究の質が低いため、確定的な判断は得られませんでした。不利益については偽陰性、偽陽性、過剰診断の可能性があります。この結果、対策型検診としての実施は推奨しません。任意型検診として実施する場合には、死亡率減少効果が不明であることと、不利益および今後の検診の必要性について適切な説明を行う必要があります。

ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査の併用法(ABC検査)
死亡率減少効果を検討した研究は報告されていません。不利益については偽陰性、偽陽性、過剰診断の可能性があります。この結果、対策型検診としての実施は推奨されません。任意型検診として実施する場合には、死亡率減少効果が不明であることと、不利益および今後の検診の必要性について適切な説明を行う必要があります。

2.胃がん検診検査法の有効性評価

1)胃X線検査

これまでのわが国で行われた研究のメタアナリシスの結果によると、X線検診を受けることにより、40~48%の胃がん死亡率の減少が認められました。X線検診の感度(がんのあるものをがんと正しく診断する精度)はおおむね70~80%、特異度(がんでないものを正しくがんがないと診断する精度)は85~90%です。

2)胃内視鏡検査

わが国で行われた胃内視鏡検査による胃がん死亡率減少効果を評価した研究では、さまざまな方法上の問題が認められましたが、内視鏡検診受診による死亡率減少を示していました。韓国の20万人規模の大規模な症例対照研究では40~79歳まで57%の死亡率減少効果を認めており、その効果は3年程度継続しました。不利益としての内視鏡検査による死亡は、これらのことから胃内視鏡検診の実施を推奨しました。

3)ペプシノゲン単独法、ヘリコバクターピロリ抗体単独法

ペプシノゲン単独法による胃がん死亡率減少を評価した研究は4件で、いずれも死亡率減少を示していました。しかしどの研究も症例数が少なく、コホート研究の追跡期間は5年以内と短いものでした。研究の質として問題があることから確定的な判断に至りませんでした。
ヘリコバクターピロリ抗体単独法による死亡率減少効果を評価した研究は認めませんでした。したがって、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分と判定されました。

4)ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査の併用法(ABC検査)

胃がん死亡率減少効果について評価した研究は報告されておらず、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分と判定されました。

3.胃がん検診の不利益

胃X線検診の偶発症として高濃度バリウムの普及後、誤嚥の報告が増加しており、10万件あたり37.3件と報告されています。検査に伴う死亡は10万件あたり0.015~0.086件と報告されています。
胃内視鏡検診の偶発症として診療例を含む消化器内視鏡学会報告では、10万件あたり0.19でした。検診に特化した日本消化器がん検診学会の平成22年・23年報告では死亡は報告されていませんでした。経鼻内視鏡による鼻出血の報告は認められますが、5%以下でした。

胃X線検査の間接撮影では前投薬は使用しませんが、直接撮影では人間ドックなどで鎮痙剤を投与する場合があります。前投薬を使用した場合には、内視鏡検査と同様に血圧低下やショックなどの可能性があります。ただし、系統的な報告はなく、発生率は不明です。服薬に関しては、抗凝固剤や降圧剤などは服用をしても検査に支障はなく、休薬による不利益はほとんどありません。

現在は、間接X線はすべてI.I.TVを使用しています。医療機関における胃X線検査1件あたりの実効線量は3.7~4.9mSv、間接撮影による胃X線検査1件あたりの実効線量は0.6mSvです。健康に影響を与える放射線被曝はないと考えられています。

国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」 有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン
用語集
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