- 日時
- 2024年10月18日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 外来通院がん患者のその人らしい療養生活を支える外来看護師の取り組みと課題
宮城県立がんセンター 発信
司会 宮城県立がんセンター 看護部 副看護部長 熊谷 直美
近年、医療制度の変化に伴いがん治療は入院から外来へと移行し、がん患者は外来通院の中で様々な意思決定を繰り返しながら療養を継続している。高齢者人口増加により外来にも高齢がん患者が増えており、限られた時間の中でも患者の生活の変化や多様な価値観を知り、意向や希望を尊重した意思決定の支援をしていく重要性を感じている。そこで、外来通院がん患者のその人らしい療養生活を支えるための外来看護師の取り組みと課題について検討したい。
1.宮城県立がんセンターの外来看護の概要について
宮城県立がんセンター 看護部 第一外来 看護師長 奥山 淳子
宮城県立がんセンターはがん専門病院であり、一日平均外来患者数は350人、6割が60~70代である。高齢独居・老々世帯、合併症併発などありながら通院治療を継続する患者も多く、外来看護師は診療の介助をすると同時に、患者家族の対処行動や理解度を把握し,安心して治療の選択や継続ができるよう他部門と連携しながら支援している。
2.がん薬物療法の方針決定プロセスの紹介と看護師-医師間の連携構築
宮城県立がんセンター 医療局 腫瘍内科 医師 高橋 昌宏
抗がん薬開発の進歩によって、消化器癌領域では様々な強度および投与経路の薬物療法を提供することができるようになった。腫瘍内科では、がんの病状、全身状態だけではなく、簡便な高齢者機能評価を使用するとともに、家族背景、通院方法等を初診時に聴取し、治療方針決定に役立てている。また、長期間にわたって薬物療法を継続するためには多職種連携が重要であり、中でも看護師-医師間の情報共有は欠かせない要素である。
3.腫瘍内科外来で抗がん剤治療を受ける患者の意向を把握する問診表作成の取り組み
宮城県立がんセンター 看護部 第一外来 がん専門看護師 佐々木 理衣
腫瘍内科外来は延命・症状緩和目的の抗がん剤治療患者が対象である。初診時には治療効果と生存期間が示され、患者は衝撃を受けながら治療を選択する。治療経過の中、PS悪化・日常生活の支障が増し「治療」中心の生活となる患者もおり、看護師は医療者・患者家族間で考えるQOL乖離に葛藤する。患者の意向尊重のため、短時間の外来診療の中でも望む治療や療養生活把握の必要があり問診表を見直した。その視点と問診票活用の現状、今後の課題を報告する。