- 日時
- 2023年07月21日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 愛知県がんセンター臨床検査部のさまざまな取り組み
(愛知県がんセンター 発信)
司会 愛知県がんセンター 臨床検査部 生理・化学検査室長 鍋田 弥生
当院検査部ではがん専門病院の診療を支える精度の高い検査結果の提供だけでなく、診察前検査体制や新型コロナウイルス関連検査体制を構築するなど臨床からの要望に応えている。
今回、当院検査部および他職種と取り組んだ臨床への貢献と病理検査におけるシステム導入による検体交差リスクの回避とその効果を報告する。
1.8時採血開始に向けての取り組みとその成果
愛知県がんセンター 臨床検査部血液検査室 徳升 富美
外来化学療法センターにおける午後の患者待ち時間が2,3時間となることがあり、病院全体の問題であった。状況を精査したところ午前9~10時にベッドが空いていることが多く、この時間帯に患者を誘導することで午後の待ち時間が軽減するのではとの提案から、一部の化学療法前患者採血を現行の8時30分から8時に早める運用を、医師、看護部、医療事務、検査部全体で検討した。その結果、採血室や患者受付のシステム的な変更無しに、人員の配置を工夫することにより8時採血が可能と考え、2022年12月より試行開始している。半年経過し、今回の取り組みとその成果について紹介する。
2.生化学検査室における臨床への貢献の歩み
愛知県がんセンター 臨床検査部生化学検査室 北山 祐花
以前より化学療法前患者の生化学検査結果を9時までに報告してほしいと要望があり、2021年、運用手順と採血容器の変更を行うことで検査所要時間(TAT)を短縮させ、9時報告を可能とした。更に昨年度は腫瘍マーカー測定装置を更新することにより高感度化と迅速化を実現した。また、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、患者が自己採取可能な唾液を用いたSARS-CoV-2抗原定量検査を導入したが、判定保留が多発した。検体の状態によるものと考え、前処理方法を検討・改良した。その結果、判定保留は減少し、結果報告の迅速化による病床管理支援と再検査による患者負担やコストの軽減に貢献した。これらの取り組みについて紹介する。
3.包埋カセット・スライド印字システム導入の効果
愛知県がんセンター 臨床検査部病理検査室 田中 由美恵
病理検査室業務では手作業による作業工程が多く、特に手書きでの検体識別は検体交差などの医療過誤に繋がりやすい。2019年度に受審した病院機能評価の際に、手書き作業工程の一部で、検体交差のリスクが大きいことを指摘され、人的努力に頼るだけでなくシステム的な改善を推奨された。これを受け、2021年度より包埋カセットおよびスライドプリンターを導入し、依頼書と検体ラベルのみではなく、FFPEブロックおよびスライド標本に関しても、検体識別情報を付加したバーコードでの管理システムを導入した。今回は、包埋カセットおよびスライドプリンター導入前後の比較・改善点を報告する。