- 日時
- 2020年08月21日(金)17:30~18:45
- テーマ
- 当院におけるがん診療に関わる薬剤師の取り組み
(山形県立中央病院発信)
司会 山形県立中央病院 薬局長 鈴木 薫
1.ゲムシタビン凍結乾燥製剤から液剤への変更による血管痛出現状況について
山形県立中央病院 薬剤部 押切 翼
ゲムシタビンは膵臓癌や胆道癌などに対して幅広い癌種で使われており、投与時の有害事象として血管痛や血管炎が発現することも知られている抗がん剤である。また、ゲムシタビンは凍結乾燥製剤と液剤があり、液剤は凍結乾燥製剤に比べ調製時間の短縮が利点となっている。当院では、ゲムシタビンの凍結乾燥製剤を採用していたが、ゲムシタビンの使用頻度の増加に伴い、調製の簡便性と時間短縮を目的に液剤への変更を行った。液剤への変更による有害事象発現の変化について、投薬時の血管痛に焦点を当て検討を行ったので報告する。
2.緩和ケアにおける死前喘鳴及び流涎に対する5%スコポラミン軟膏の使用経験について
山形県立中央病院 薬剤部 寺崎 敦子
緩和ケアにおいて、死前喘鳴は死が切迫している患者にみられ、患者本人と家族など周囲の人にとっても苦痛となっている。また、流涎はがんによる随伴症状として生じ、患者の不快感を招きQOLを低下させる要因となっている。これらの症状の要因となる唾液などの分泌物抑制には抗コリン薬の使用が適しているが、内服や注射の投与では全身的副作用の発現が懸念される。エビデンスは乏しいが、5%スコポラミン軟膏 (院内製剤) は投与が簡便で全身的副作用の発現を軽減し、死前喘鳴や流涎に対する対症療法のひとつとして有効性の報告がされている。今回、当院においても5%スコポラミン軟膏の使用を経験したので報告する。
3.当院におけるがん化学療法実施患者の救命救急センター受診状況について
山形県立中央病院 薬剤部 小野 裕紀
近年、有効性の高い抗がん剤の開発などにより、患者の延命期間が長期化している。また、吐き気などの副作用に対する支持療法の進歩により、がん化学療法に要する入院期間の短縮や外来化学療法へ移行する患者が増えており、日常生活や社会生活を行いながら治療を続けていくことが生活の質 (QOL) を向上につながっている。しかしながら、患者は在宅での副作用や病状について自己管理を行い、症状に応じて医療機関を受診している現状がある。
化学療法管理委員会では、当院のがん化学療法実施患者の救命救急センター受診状況とその受診要因を調査し、さらに、受診時、適正に対応されているかの検証を行った。今回、この検証の詳細について報告をする。