- 日時
- 2020年01月17日(金)17:30~19:00
- テーマ
- がん医療について診療放射線技師として知っておくべきこと
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 石原 敏裕
はじめに
これまでに多地点合同カンファレンスでは、各施設から放射線技術学を中心とした教育内容や教育システムについて報告をおこなってきた。今回は、多職種の方を講師として招き、それぞれの立場からがん医療についてご講義をいただく。その中で、診療放射線技師としてがん医療に携わる上で知っておくべき知識についての理解を深め、今後の日常業務や教育につなげていくことを目的とする。
1.刻まれていく怒りのポイント
国立がん研究センター中央病院 医療安全管理部患者医療対話推進室 杉本 麻紀
待合室には日々、多くの患者さんが検査の順番を待っていることと思います。その日初めて、がんについて精査をする患者さん、再診の患者さん、その方々のご家族。皆がそれぞれ様々な思いや、考えを抱いて、その場に居ると考えられます。この様々な思いの1つである『怒り』という感情は心(気持ち)に刻まれていくポイント制であることについて紹介します。
2.がん患者における画像撮影時の介助
国立がん研究センター中央病院 リハビリテーション科 沖田 祐介
がん患者を対象とした撮影室での画像撮影では車椅子からの立ち上がりや撮影台への移動に介助を要する場合があり、がんや各種治療に伴う身体機能低下、脳転移・骨転移等に起因するリスクを踏まえ技師は患者の安全を確保する必要がある。本発表ではがん患者の動作介助時に考慮する点や車椅子からの立ち上がり、移乗の方法を示し、脊椎転移を有する患者を想定した動作介助の実践例を紹介する。
3.がん診療における歯科の役割
国立がん研究センター中央病院 歯科 上野 尚雄
がん薬物療法時には、粘膜炎や歯性感染症、顎骨壊死など口腔にも様々な有害事象が生じ、患者のQoLを低下させるだけでなく、時にはがん治療の大きな妨げとなる。当院では、口腔有害事象の予防的対応として、治療開始前に顎骨のレントゲン(オルソパントモ)撮影を行い、リスク因子となり得る歯性感染病巣のスクリーニングや、予防的処置を積極的に行っている。がん患者に対する歯科の口腔管理の意義と実際について述べる。
4.検査説明について(IVR・CTC編)
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 池野 直哉
大腸CTでは、外来にて検査予約後、検査室中待合にお越しいただき通常のCT検査との違いや前処置の説明をおこなっている。前処置用紙のみでの説明では分かりづらいため、実物(検査食や下剤)を見せながら説明している。TACEの検査説明では、治療前日にベッドサイドにてTACEの概要や造影剤のこと、治療時間などについて説明している。運用までの取り組みや実際に運用して良かった点や問題点などについて紹介する。
5.検査説明について(MRI・核医学編)
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 宇津野 俊充
MRI検査は身につけている金属や手術等による体内金属の有無確認、核医学検査のPET検査では食事、運動制限等の検査当日の注意事項等が検査の質に大きな影響を及ぼすため、患者への事前の確認、説明が大変重要である。当院で行っているMRI検査、PET検査における検査説明の手順や説明のポイントを実際の資料を交えて概説する。