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【放射線診療技師向け】 2022年

診療放射線技師のための多地点合同カンファレンス[2022-第2回]

(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 瓜倉 厚志

1.アンケート調査結果報告

九州がんセンター 放射線技術部 加賀 恵太

2022年第1回多地点合同カンファレンスは「がん患者のQOLに貢献する」というテーマのもと開催された。各施設において最適な医療を検討することが重要だと考える。今回、カンファレンス参加施設における骨シンチグラフィー診断支援ソフトの利用状況と、疼痛緩和目的の骨転移腫瘍に対する外部放射線治療や脊椎転移腫瘍に対する定位放射線治療の取り組みについてアンケート調査を行ったので報告する。

2.分注投与機能を搭載したデリバリーPET製剤用自動投与装置による患者被ばく線量の評価

国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 宍戸 淳

自動投与装置(UG-1000M)はデリバリーPET製剤用に初めて分注投与機能を搭載したもので、一人ひとりに合わせた放射能量を設定分注して投与可能な装置である。UG-1000Mでデ分注投与した分注投与量(MBq)と投与時刻における全容量投与量(MBq)から算出される患者の被ばく線量(実効線量)の比較検討を行った。UG-1000Mの使用により体重当りの投与量の均等化が図れ、分注投与によって75.9%(453/597例中)の被ばく線量(実効線量)の低減が可能であり、体重別で線量低減割合が異なることが示唆された。

3.人工知能搭載型検像システムの開発 -胸部画像自動検出におけるノイズの影響-

国立がん研究センター東病院 放射線技術部 浜頭 孝成

深層学習を用いた検像システムを開発し、ノイズが撮影方向の識別に与える影響を評価した。検像システムに胸部PA及びAP画像の撮影方向を提示させ、実際の撮影オーダーと照合し正答率として算出した。原画像では高精度で撮影方向を識別していたがノイズ増加に伴い正答率は低下した。肩甲骨や鎖骨の骨陰影情報から撮影方向を識別していたが、ノイズ増加によってこれらの骨陰影情報が消失することに起因したと考える。

4.X線の線量校正に用いられる各種補正係数の多施設調査

大阪国際がんセンター 放射線腫瘍科 五十野 優

多放射線治療において、線量校正は臨床結果に直結する重要な作業である。放射線治療業務の勤務経験が少ない方は不安を感じながら、線量校正を実施しているのではないだろうか。
そこで、放射線治療かたろう会関連施設に協力を要請し、日本で最も使用されているPTW社30013型の線量計の線量校正時に使用する各種補正係数を集計した。それぞれの係数でばらつきが小さいことを明らかにし、その結果をHPで公開した。本結果が、『安全な線量校正の体制構築』の一助となれば幸いである。

5.深層学習を用いたSingle Energy CTからの疑似物質弁別画像の生成

大分県立病院 放射線技術部 西嶋 康二郎

【目的】腹部単純CT検査におけるコレステロール胆石の検出感度の向上を目的として、深層学習を用いて単純SECT画像から擬似MD画像を生成し、その有効性を評価した。【方法】当院で撮影された単純DECT仮想単色画像70keV画像およびMD画像(Fat2/Water)を教師画像として70keV画像から疑似MD画像を作成するよう学習をおこなった。作成したネットワークに単純SECT画像を入力し、疑似MD画像を生成した。【結果】生成画像のWindow Levelを肝臓および腎臓の信号値差にあわせて調節することで、MD画像と疑似MD画像は同等のコントラストで観察できた。コレステロール胆石と診断されたSECT画像から生成した疑似MD画像では、胆石を明瞭に描出できた。【結語】深層学習を用いて単純SECT画像から擬似MD画像の生成手法を考案できた。

6.プロトタイプフォトンカウンティング CTの初期性能評価

国立がん研究センター東病院 放射線技術部/医療情報部 野村 恵一
キヤノンメディカルシステムズ株式会社 鈴木 庸次郎
国立がん研究センター東病院 村松 禎久
国立がん研究センター東病院/名古屋大学大学院医学系研究科 藤井 啓輔
キヤノンメディカルシステムズ株式会社 中井 宏章
キヤノンメディカルシステムズ株式会社 西島 輝
キヤノンメディカルシステムズ株式会社 塚越 伸介
キヤノンメディカルシステムズ株式会社 田口 博基
Canon Medical Research USA, Inc. Xiaohui Zhan
Canon Medical Research USA, Inc. Ruoqiao Zhang
Canon Medical Research USA, Inc. Richard Thompson
国立がん研究センター東病院 小林 達伺

フォトンカウンティング検出器を搭載したCTが次世代型CTとして注目されている。フォトンカウンティングCT(PCCT)は入射する光子の数をカウントでき、エネルギー選択機能を有することから、従来のシンチレータを用いたCTよりも画像ノイズ、アーチファクトの低減、物質弁別の精度向上が期待されている。今回我々は、キヤノンメディカルシステムズ株式会社と共同で開発しているプロトタイプPCCTの性能を評価したので報告する。PCCTは従来CTに比べ、低線量領域でのノイズ特性に優れ、大きな被写体におけるアーチファクト改善、更にIとCaの濃度の定量性においても真値に近く、初期評価の段階だが今後に期待する装置であった。

更新・確認日:2022年05月23日 [ 履歴 ]
履歴
2022年05月23日 抄録を更新しました。
2022年01月06日 抄録を掲載しました。
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