- 日時
- 2023年09月15日(金)17:30~19:00
- テーマ
- 診療放射線技師のための教育システム‐膵腫瘍編‐
(国立がん研究センター東病院発信)
司会 国立がん研究センター東病院 放射線技術部 副放射線診断技術室長 梶原 宏則
1.概論
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 鈴木 悠太
糖尿病、喫煙、飲酒などにより膵がんの罹患者数、死亡数が増加傾向である。膵がんには、腺がんや神経内分泌腫瘍があり、前者が90%以上を占め、後者が2~3%程度である。膵がんの画像診断には、CT、MRI、核医学、ERCP、 超音波内視鏡を用いた検査が行われる。病理診断は、上記検査において穿刺吸生検で採取した細胞や膵液を観察して行われている。当院では今年度より核医学治療主任を配置し、神経内分泌腫瘍に対する核医学検査と治療に力を注いでいる。
2.CT・MRI検査
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線診断技術室 平山 憲 井上 幹太
膵腫瘍の画像診断におけるCT検査の役割は、Dynamic CT撮像による存在診断や周囲浸潤の有無リンパ節転移の確認および切除可能性分類を行うことである。一方、MRI検査の役割は、MRCPによる膵管の観察や嚢胞性病変の描出に加え、肝特異性造影剤 (Gd-EOB)を用いたDynamic撮像による肝転移の評価である。
3.放射線治療
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 大野 里沙
膵がんの放射線治療には、治療効果向上を目的とした化学放射線治療や手術の補助療法、症状緩和を目的として行う緩和治療がある。特に化学放射線治療は、局所進行切除不能膵がんに対する標準治療の一つとして位置づけられている。その中でも呼吸性移動対策を講じた治療計画・照射技術を用いた体幹部定位放射線治療 (Stereotactic Body Radiation Therapy: SBRT)について説明する。
4.核医学検査・治療-
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線診断技術室 髙橋 浩太郎
神経内分泌腫瘍において核医学部門ではペプチド受容体放射性核種治療(Peptide receptor radionuclide therapy: PRRT)が近年注目を集めている。昨年10月の法令改正により特別措置病室の設置について記されたことも一助となり国内におけるPRRTは日に日に増加している。当院でのPRRT実施方法について検査のソマトスタチン受容体シンチグラフィから特別措置病室など入院対応まで包括的に説明する。
5.教育 (ししゃも)システムの活用報告
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線診断技術室 青柳 俊
本教育システムを使用して食道がん (前回のテーマ)に関する理解度テストを実施した。今回は技師歴3年以下の若手技師8名を対象に教育資料の学習前後でテストを10問出題し、学習前後の平均正答率は44%から71%に向上した。システム管理者が学習者の成績をデータ分析・可視化することで得意分野・苦手分野を把握し本教育システムの効果を確認することができた。今後の展開として当院における診療放射線技師レジデントにも本教育システムを有効活用し知識向上を目指す。