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北関東・甲信越

平成29年度 地域相談支援フォーラム in 北関東甲信越 「どうしていますか?患者が自分の最期を考えるとき~事前意思指示書と共に考える~」開催記録

日時: 2017年11月18日(土) 10:00~16:30
場所: 群馬大学医学部附属病院 刀城会館
主催: 群馬県がん診療連携協議会
共催: 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
後援: 群馬県、茨城県、栃木県、新潟県、山梨県、長野県、群馬県看護協会、群馬県医療ソーシャルワーカー協会、群馬県医師会

プログラム

会場風景

10:00~10:15 開会あいさつ
10:15~12:00 シンポジウム 各県における事前意思表示の取り組みについて
12:00~13:00 昼食休憩
13:00~14:30 特別講演 終末期医療に関する法と倫理
14:30~14:50 休憩
14:50~16:00 グループディスカッション
16:00~16:30 ディスカッションの発表
16:30     講評・閉会あいさつ

開会あいさつ

立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター長 若尾文彦

国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター長 若尾文彦
地域相談支援フォーラムは2012年に開始後、本日までに全国で14回おこなわれており、特に、関東甲信越では2013年に高崎、2014年に松本で開催し、本日で3回目になる旨の報告がありました。また、相談支援センターは設置後10年経過し、現在は相談支援センターのベースが出来上がったところで、今後は相談支援の質に対する視点が重要になってくるとの説明がありました。第3期基本計画ではPDCAサイクルについての記載もあり、ブロックフォーラムは相談支援の格差を解消する、PDCAサイクルのツールの1つになる得ることの話がありました。さらに、このフォーラムにより多くの気づきを得て、ネットワーク作りの機会にもしてほしいとあいさつがありました。

群馬県がん診療連携協議会 会長 田村遵一

群馬県がん診療連携協議会 会長 田村遵一
現在は病気をみるのではなく、個々人をチームでどのように支えていくかの総合力が試されており、さまざまな職種・さまざまな地域で情報交換する場が大切であるとの話がありました。このようなフォーラムは貴重な機会であり、ぜひ活発な議論をおこなって、有意義な時間にしていただきたいとのあいさつをいただきました。

群馬県 健康福祉部 保健予防課がん対策推進室長 柿沼輝信

群馬県 健康福祉部 保健予防課がん対策推進室長 柿沼輝信
群馬県内の相談支援センターでは本年度就労支援の勉強会開催を強化しており、群馬県でもバックアップの体制整備に努めているとの話がありました。今回のテーマは重く、難しいテーマですが、このフォーラムをきっかけに相談員の皆さまの力になり、ひいては患者・家族の皆さまの力になることを祈念しているとのお話をいただきました。

総合司会 国立大学法人 群馬大学医学部附属病院 患者支援センター看護師長 冨田千恵子

シンポジウム 各県における事前意思表示の取り組みについて

座長 国立大学法人 群馬大学医学部附属病院 緩和ケアセンター看護師長 角田明美

群馬県 前橋赤十字病院 中井正江

シンポジスト 群馬県 前橋赤十字病院 中井正江 「私の人生ノートについて」 
まず、前橋版事前指示書の作成の経緯について紹介がありました。事前指示書の問題点をふまえた上で、事前指示書をどのように使用していくかの運用方法・活用方法をご紹介いただきました。

茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 鯉沼とも子

茨城県 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 鯉沼とも子 「人生の最終段階をどう過ごすか —意思決定支援の取り組みについて—」
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンターでのアドバンス・ケア・プランニングについての取り組みが紹介されました。また、≪人生の最終段階をどう過ごすか???≫という課題に対して、コミュニケーションの充実・情報提供のあり方の可視化等の課題をあげていただきました。

栃木県立がんセンター 寺脇立子

栃木県 栃木県立がんセンター 寺脇立子 「どうしていますか? 患者が自分の最期を考えるとき ~事前意思指示書と共に考える~」
各施設のアンケートから事前指示へのツールに関する取り組みのご紹介をいただきました。また、平成29年度栃木県内の事前指示の取り組みについてご紹介いただきました。

新潟県立がんセンター新潟病院 若井麗子

新潟県 新潟県立がんセンター新潟病院 若井麗子 「新潟県における事前意思表示の現状」
事前意思表示の新潟県内にある施設の整備状況、新潟県立がんセンター新潟病院の事前意思表示の現状について、お話をいただきました。事前指示に関するホームページ等による告示の課題、事例をふまえて相談員が考えるべき大切なことについて投げかけをいただきました。

国民健康保険 富士吉田市立病院 小池賀津江

山梨県 国民健康保険 富士吉田市立病院 小池賀津江 「事前意思表示の取り組みについて」
まず、富士吉田市立病院の事前意思表示の取り組みについて紹介いただきました。また、富士市吉田市立病院で実施している高齢者健康教室による事前指示についての取り組みも紹介いただきました。最後は、患者さんの事前意思表示を家族が支えたケースについてお話をいただきました。

長野市民病院 横川史穂子

長野県 長野市民病院 横川史穂子「『長野県の事前意思表示の取り組み』と長野市民病院におけるACPの推進」
まず、長野県内のがん診療連携拠点病院の事前意思表示に関する現状について、紹介いただきました。また、地域文化をふまえた上で、長野市民病院によるACPの取り組みの途中経過(作成経緯、作成手順、患者・家族への働きかけ等)を紹介いただきました。

質疑応答風景

質疑応答
受講生やシンポジストから、活発に質疑応答がおこなわれました。相談支援センターは診断から在宅まで横軸で関わり、地域との密接な関わりが可能なことから、ACPに対して積極的に取り組むことができる部署との話があがりました。また、相談支援センターの認知度をあげ、早い段階から相談員が関わることで、ACPの取り組みが可能になるというディスカッションにもなりました。

特別講演 「終末期医療に関する法と倫理 -やりたいこと&できることを考えるために、正しく知る&理解する」

座長 独立行政法人国立病院機構 渋川医療センター 医療福祉相談室長 尾方仁

国立研究開発法人 国立がん研究センター 研究支援センター 生命倫理部 生命倫理・医事法室長 一家綱邦

演者 国立研究開発法人 国立がん研究センター 研究支援センター 生命倫理部 生命倫理・医事法室長 一家綱邦
一家室長(国立がん研究センター)には、「終末期医療に関する法と倫理 -やりたいこと&できることを考えるために、正しく知る&理解する」という表題のもと、①終末期医療をめぐる法の現状・②「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の読み方・③悩ましい臨床の問題に対する考え方の3部構成でお話をいただきました。
まず「終末期医療をめぐる法の現状」では、日本の安楽死の刑事事件についてご紹介をいただきました。また、医療者ではない人が患者の世話に疲弊し、安楽死させる事件が起きていること、そのような事件は今後も増える可能性があることを投げかけていただきました。医療者が正しい知識をふまえ、終末期の患者に治療中止をおこなっても刑事事件に問われる恐れはなく、良い終末期医療の選択として治療中止を考えてほしいという強いメッセージをいただきました。
『「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の読み方』では、臨床の裁量の余地を大きく残している、手続き的正義(プロセス)を重視しているというガイドラインの考え方をご紹介いただきました。さらに、裁量を生かすには事実確認・情報共有が大切であるというお話をいただきました。
最後の「悩ましい臨床の問題に対する考え方」では、法の考え方として家族ではなく患者に告知するべきで、家族ができるのは本人の意思の推定であり、代行決定ではないということが伝えられました。また、患者が提案する治療に同意しない場合であっても、自己決定を尊重しつつ、医療者の立場として説得可能であるとのお話をいただきました。さらに、医療行為が法的に正しいための3要件として、①患者がその医療を必要とする状態にあるか:医学的適応性・②治療目的のために用いる手段が正しいか:医術的妥当性・③患者の同意があるかが重要になってくる、とお話をいただきました。
質疑応答では、人工呼吸器取り外しの際の法律的解釈による医療者の心理的抵抗への対処について投げかけがあり、ディスカッションが深まりました。また、患者個人と医療者で意向の差異がある際には、医療チームでの意思統一というプロセスをふまえた上で、患者への説得も可能ということがわかり安心できたという感想も聞かれました。

グループディスカッション

司会 独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター 地域医療支援・連携センター 高田美和子

「テーマ1:終末期における相談員としての意思決定支援に必要な知識や技術について」
「テーマ2:事前意思指示書に関する相談員の対応について」

グループディスカッション風景

グループディスカッションでは、シンポジウム・特別講演をふまえて、2つのテーマについて話し合われました。奇数グループは「テーマ1:終末期における相談員としての意思決定支援に必要な知識や技術について」で、終末期における相談支援の悩みや迷い・葛藤、そしてがん専門相談員に必要な知識・技術・姿勢・他職種の連携について話し合うことができました。また、偶数グループは「テーマ2:事前意思指示書に関する相談員の対応について」で、シンポジウムや特別講演を聴いて感じたこと・実際に相談を受けて困ったこと・自分(たち)施設でできそうなことが話し合われ、各施設の現状・課題を共有することができました。どのグループも終始笑顔でワークが進み、各ファシリテーターを中心に活発な議論をおこなわれました。

ディスカッションの発表

グループディスカッション風景

座長 独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター 地域医療支援・連携センター 高田美和子
1グループ発表時間2分で6つのグループより、「話し合った内容」「グループとしてのまとめ」を発表いただきました。テーマ1は患者と家族の意向の違い・患者家族と医療者の意向の違い・患者が終末期と認識できておらず、できることと希望することに差異がある等の問題点が報告され、患者と家族・患者家族と医師との面談の場のセッティングや、相談員自身の役割の見直しという課題があげられました。また、テーマ2では指示書を渡すタイミング・指示書記載のタイミングはいつか等どのように事前指示書を活用するか、患者の事前指示書と家族の意向が異なったときはどうするか・指示書を見直すタイミングはいつか等、の事前指示書を活用する上で注意すべきことについて発表がありました。

閉会あいさつ

講評 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター長 若尾文彦
相談員は他職種・地域と施設をコーディネートする役割を持っており、活躍できる場であるとの話がありました。本日の学びを県に持ち帰り、自施設や地域で何が必要なのか・何ができるのかを考えていただきたいとの話もありました。地域支援フォーラムは情報交換や学びの良い機会になるので、ぜひ今後につなげていただきたいとのあいさつがありました。

群馬大学医学部附属病院 腫瘍センター長 塚本憲史

閉会あいさつ 群馬大学医学部附属病院 腫瘍センター長 塚本憲史
シンポジウム・グループディスカッションや特別講演で、普段の臨床での悩みや疑問を解決し、有意義な時間を過ごせたのではとお話をいただきました。今回のフォーラムで顔なじみになることができたので、ぜひ次回の開催も進めてほしいとあいさつをいただき、平成29年度地域相談支援フォーラムin北関東甲信越は終了いたしました。

資料

資料:シンポジウム資料

更新・確認日:2017年12月28日 [ 履歴 ]
履歴
2017年12月28日 掲載しました。
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