プログラム
- 国立がん研究センターがん対策情報センター長あいさつ
- 福岡県がん診療連携協議会/九州がんセンター院長あいさつ
- 講義「今、がん相談支援センターに求められている役割」
- セッション1:「がん相談支援センターの課題と対策」
- セッション2:グループディスカッション(セッション1を受けて)「がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくりをどのように行っていくか」~Catch The Hint、明日から実践できるためのヒントを持って帰ろう~
- 全体共有
- 総評
- 閉会あいさつ
概要
平成26年2月8日(土)に行われた九州・沖縄ブロック計8県の相談員を対象とした地域相談支援フォーラム(九州・沖縄ブロック)実務者フォーラム「がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくり!!」には九州・沖縄ブロックの全県から131名の相談員の方々および関連各県でがん対策を担当されている9名の行政担当者の方々、各県の部会の責任者6名にご参加いただきました。
開会のあいさつおよび趣旨説明の後、高山智子部長(国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報提供研究部)による講義が行われ、がん相談支援センターへの期待やがん相談支援センターが果たすべき役割、がん相談支援センターに対する患者のニーズなどについて紹介がなされました。
その後のセッション1では「患者は適切にがん相談支援センターを利用していますか」「適切に利用していない場合の問題点は何ですか」「あなたが最も望んでいることは何ですか」などの質問を会場に問いかけ、参加者である相談員から率直な意見や感想を収集しました。それに対しパネリストからは、具体的な経験を交えながら現在の問題とそれを解決するための方法などについて意見が出され、議論が交わされました。
つづくセッション2では、「がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくりをどのように行っていくか」についてグループディスカッションを行い、グループ発表を行いました。
その後の全体討議ではがん相談支援センターの設置は拠点の指定を受けるための要件となっていること、加算・補助金の獲得につながっているということをとくに病院幹部にもアピールすることが重要であること、あるべき姿のビジョンを持って病院幹部と話をしていくことが大切であることについてコメントがなされ、つづく各県の行政担当者および部会の責任者からの総評では、「相談員の皆さんの苦労が伝わってきた」「行政は、直接患者・家族の声を耳にすることができず、現場を持たないのが弱みだと思っている。そのような状況にあって、患者・家族の声を直接聞いている相談員の意見を聞くことは非常に重要である。行政の立場から施策として何ができるかを考えていきたい」「県庁に問い合わせやがんに関する相談がきても、顔が見える関係ができているのでがん相談支援センターの紹介を安心して行うことができる」などのコメントが寄せられました。その後、若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)による閉会のあいさつをもって本フォーラムが閉会しました。
開催記録
平成26年2月8日(土)14:00〜18:00に、九州・沖縄ブロック計8県の相談員を対象とした地域相談支援フォーラム(九州・沖縄ブロック)実務者フォーラム「がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくり!!」が、福岡市内の公益財団法人福岡県中小企業振興センター大ホールにて開催されました。
当日は九州・沖縄ブロックの全県から131名の相談員の方々および関連各県でがん対策を担当されている9名の行政担当者の方々、各県の部会の責任者6名にご参加いただきました。なお、相談員の参加者の約半数となる77名は午前に行われた市民公開講座から引き続きの参加となりました。
矢野知子さん(九州がんセンター)による総合司会のもと、若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)および岡村健院長(九州がんセンター/福岡県がん診療連携協議会)による開会のあいさつが行われ、続いて竹山由子さん(九州がんセンター)より趣旨説明が行われました。本フォーラムのテーマはがん相談支援センターをもっと利用してもらえるよう周知していくことが必要だと思われること、そのためには院内のスタッフや院外の連携する職種の方たちにがん相談支援センターを知ってもらい、味方になってもらうことが重要なのではないかと思われること、そのための方法を参加者みんなで考える場としたいということが語られました。
また、がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための周知・味方づくりについての検討を進めていく上で必要なことは「現状分析」「課題の明確化」「対策の構築」の3つであることから、セッション1ではアナライザーシステムを用いて主に現状分析と課題の明確化を行い、セッション2のグループワークでは明日から実践できる課題解決のためのヒントを検討することが紹介されました。
つづいて、高山智子部長(国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報提供研究部)による「今、がん相談支援センターに求められている役割」の講義が行われ、がん相談支援センターへの期待やがん相談支援センターが果たすべき役割、がん相談支援センターに対する患者のニーズなどについて紹介がなされました。2014年1月10日付で発出されたがん診療連携拠点病院の新しい指定要件の中には、基礎研修(3)まで修了した者を2名配置するなど、相談員の人員を強化すること、がん相談支援センターの機能について、主治医やその他医療スタッフから紹介される体制をつくることなど組織としてがん相談支援センターを周知する取り組みについて明記されたこと、就労問題・患者活動支援・広報周知・相談員教育と支援サービスの質向上に関してがん相談支援センターの業務として新たに明文化されたことなども紹介されました。
その後は大野真司部長(九州がんセンター相談支援・情報センター臨床腫瘍研究部)と竹山由子さんの司会でセッション1がすすめられました。
パネリストである川崎浩二副センター長(長崎大学病院地域医療連携センター)、篠原晋係長(福岡県健康増進課保健事業係)、南秀明さん(健康保険人吉総合病院がん専門相談員)、佐藤洋子さん(国立病院機構都城病院がん専門相談員)、吉本多佳子さん(沖縄県立中部病院がん専門相談員)からの自己紹介がなされた後、アナライザーを使用して匿名性を確保したうえで大野部長が参加者に以下の各質問を問いかけ、会場の相談員から率直な意見や感想を収集しました。
参加者の回答からは、患者さんが適切にがん相談支援センターを利用しているか否かについては、院内外ともに十分に周知ができていないと考えている人が大多数でしたが、その原因として、院内スタッフにがん相談支援センターの役割や活動が理解されていないと感じている人が多いこと、また患者さんの相談ニーズに他の医療スタッフが気が付かないケースも多いと感じられていることなどが明らかになりました。この結果について、医療スタッフが退院後の生活など病気以外の生活の中での困難などについて察知できていないためにその患者さんががん相談支援センターを利用する必要があることがピンとこないのではないか、相談ニーズをくみ取ることのできる専門家をもっと育てていく必要があるのではないか、患者さんは担当医に遠慮してがん相談支援センターに足を運べない場合もあることを医師に知ってもらい利用を促してもらう必要があるのではないか、市民への周知は行政の役割でもあり、がん相談支援センターの現場の方たちと協力して周知を進めていきたいなど、具体的な経験を交えながら現在の問題とそれを解決するための方法についての議論が交わされました。また、がん相談支援センターに所属するがん専門相談員について、退院支援など他の業務との兼務している場合が多くマンパワー不足があるため、活動が十分に広げられていない現状があると思うなどの意見も出されました。
つづくセッション2「がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくりをどのように行っていくか」では、各県の相談員の参加者が1グループ9人前後で一組となった上で計16のグループに分かれ、「誰を味方につけるか、どういう方法で取り組むか」といったテーマについて各グループで検討を行いました。他県・他施設の相談員とのネットワークづくりのため、1つのグループに複数の県の相談員が入るようにグループ編成を行いました。
このディスカッションの中で、がん相談支援センターを院内外の人に知ってもらうための味方づくりの方法として、「医師に周知協力をしてもらう」「看護師の新人教育に相談支援センターの紹介を含めてもらう」「入院時患者向けオリエンテーションのビデオに相談支援センターの紹介を含めてもらう」「がん相談支援センターを紹介する名刺大カード(国立がん研究センターがん対策情報センター作成)の配布」「がん相談支援センター相談員のバッジ(がん対策情報センター作成)の活用」「院内の医師や看護師に対するがん相談支援センターのオリエンテーションの機会を設ける」「院内スタッフ向け研修の機会の活用」「市の広報紙や病院の広報紙の活用」「行政と連携」「患者サロン内での口コミの活用」「訪問看護ステーションとの連携」「入院のしおりやリーフレットの活用」「スクリーニングシートの活用」などの案が出されました。このセッション2でもアナライザーシステムを活用し、各グループの発表について会場の参加者がフィードバックを行いました。
その後の全体討議では、若尾文彦センター長より、がん相談支援センターの設置は拠点の指定を受けるための要件となっていることや、加算・補助金の獲得につながっているということはアピールポイントであり、そのことを院内スタッフ、とくに病院幹部にもアピールすることが重要であるとのコメントがなされました。また、大野真司部長からは、あるべき姿のビジョンを持って病院幹部と話をしていくことが大切であるとのコメントがなされました。
全体討議の後は各県の行政担当者および部会の責任者からの総評が行われ、「相談員の皆さんの苦労が伝わってきた」「相談支援の部会と連携を図り、がん相談支援センターの周知方法について改めて考えていきたい」「相談支援に特化した専門部会を組織化していきたい」「行政は、直接患者・家族の声を耳にすることができず、現場を持たないのが弱みだと思っている。そのような状況にあって、患者・家族の声を直接聞いている相談員の意見を聞くことは非常に重要である。行政の立場から施策として何ができるかを考えていきたい」「院外のPRにおいては、行政の役割が大きいと思う。県庁に問い合わせやがんに関する相談がきても、顔が見える関係ができているのでがん相談支援センターの紹介を安心して行うことができる」などのコメントが寄せられました。その後、若尾文彦センター長による閉会のあいさつをもって本フォーラムが閉会しました。
フォーラムの中で出された意見や総評は、このフォーラムを通じて行政の担当者の方や、各県の相談支援部会の責任者の方々と共に考える機会となり、各県でより幅広くまた緊密に協力しあいながら日々の取り組みが進める機会となったことがうかがえるものでした。がん対策情報センターはこれからも相談支援・情報提供の質の維持・向上を目指し、相談員同士のネットワーク作り、学びの場作りを応援してまいります。
資料
フォーラム当日資料
フォーラム前日情報交換会資料