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【看護師向け】 2017年

多地点がん看護カンファレンス[2017-第3回]

(呉医療センター・中国がんセンター発信)
司会 呉医療センター・中国がんセンター 外来 副看護師長
がん性疼痛看護認定看護師 實森 直美

がん患者は治療内容の決定時や変更時、療養場所の選択時など多くの場面で意思決定をする必要がある。しかし、今後、高齢者の増加により、認知症を伴うがん患者も増加することが予測され、看護師による患者の意思決定支援がより重要となってくる。そのため、緩和ケアチーム、一般病棟、緩和ケア病棟のそれぞれの看護師の立場から、認知症を伴うがん患者の意思決定支援における事例を紹介する。

1. 治療内容の意思決定支援

呉医療センター・中国がんセンター 緩和ケアチーム がん看護専門看護師 奥田 真由美

緩和ケアチームが介入した認知症を伴うがん患者の治療内容における意思決定支援を紹介する。意思決定支援において、代理意思決定者は必要不可欠である。しかし、介入した患者には代理意思決定者が不在であった。そのため、早期から患者の意思を確認し、家族間調整を行った。また、症状コントロールにおける困難が予測されたため、疼痛が増強してきた時期に繰り返し患者の意思確認を行うとともに、病棟スタッフと情報共有、連携し、できる限り患者が苦痛なく過ごすことができるよう支援した。

2. 患者の意思決定に向けた家族支援

呉医療センター・中国がんセンター 消化器科病棟 がん性疼痛看護認定看護師 丸口 忍

高齢の患者に対する告知をためらっていた家族を支援し、患者・家族が納得して療養場所を決定することができた事例を紹介する。患者は診断時に家族の希望で告知されないまま入退院を繰り返し、全身状態の悪化や認知機能の低下がみられた。療養場所を決定する場面で「告知しないままで本当に良かったのか」「本人にとってどこで過ごすのが一番良いのか」と葛藤する家族の思いに寄り添い支援することで患者の意思決定につながった。

3. 緩和ケア病棟における意思決定支援 

呉医療センター・中国がんセンター 緩和ケア病棟 がん看護専門看護師 小杉 恭子

診断時に余命一ヵ月とされ、家族による意思決定にて無治療・緩和ケア病棟転入となった80歳代女性の事例を紹介する。終末期の代理意思決定支援は、方針決定後の「これでよかったのか」という家族のゆらぎに真摯に向き合うことが求められた。取り巻く家族の意見は様々であるが、合意に向けて家族自身が取り組めるよう支援が必要であった。認知症になっても変わらない「その人らしさ」を尊重した看護は家族の信頼に、多職種による関わりは家族の癒しとなった。

更新・確認日:2017年10月10日 [ 履歴 ]
履歴
2017年10月10日 抄録を掲載しました。
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