- 日時
- 2018年06月15日(金)17:30~18:30
- テーマ
- がん患者の生活を支える退院支援向上への取り組み
(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター発信)
司会 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 総看護師長 橋本 泉
地域包括ケアシステム構築に向けて、平成28年度の診療報酬改定では医療機関の病棟看護師による入院患者の退院後訪問が評価された。がん患者への退院支援に対する社会の期待は一層高まっているといえる。そこで、がん患者の生活を支える退院支援向上にむけて、退院後訪問指導の実際、訪問看護ステーションへの出向、訪問看護体験と退院支援に関する研究について紹介する。
1.認定看護師が高齢がん患者への退院後訪問指導を実践して
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 皮膚・排泄ケア認定看護師 中田 公美
高齢者世帯のがん患者に対して、本人が望む早期退院の実現と3回の退院後訪問指導でストーマケアの確立に繋がった事例について報告する。患者の受容過程や理解力を考慮しながら、セルフケア指導を進めて行くが、尿管皮膚瘻で尿管ステント管理も含めたストーマ装具管理をしていくことになった。今回の事例を通し、ストーマケア以外の日常生活を含めた指導の大切さを学んだ。
2.訪問看護ステーションへの出向体験で変化した退院支援への意識
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター HCU看護師 八木 仁美
平成27年に日本看護協会事業として実施された訪問看護ステーション出向事業に参加した。出向体験では、「独居だから退院後は施設に行くしかない」と捉えていたケースも、訪問看護やヘルパーなどの多職種や社会資源と連携すれば自宅退院が可能であることを知った。現在は「帰りたい」という本人の気持ちに寄り添い、在宅療養できる環境を整えるという視点で退院支援を行っている。
3.「急性期病院の病棟看護師が実践する退院支援とその関連要因」の研究報告
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 訪問看護認定看護師 池田 美智子
急性期病院の病棟看護師278名を対象に調査研究を行った。看護師の退院支援の指標には山岸らが開発した「在宅の視点のある病棟看護の実践に対する自己評価表」を用いて、訪問看護体験の有無と訪問日数との関連を分析した。その結果、訪問看護経験がある看護師は訪問日数に関わらず退院支援の実践が高まっていた。このことから病棟看護師の退院支援の質を高めるためには、実際に地域にて訪問看護を体験する実践教育の重要性が示唆された。